
リーフラス株式会社 代表取締役CEO 伊藤 清隆
リーフラス株式会社は、「スポーツを変え、デザインする。」を理念に掲げ、スポーツを通じた人材育成と社会課題の解決に取り組むソーシャルビジネスカンパニーです。全国でスポーツスクールや部活動支援、放課後等デイサービス事業を展開し、子どもたちの非認知能力の育成と地域コミュニティの活性化を推進しています。勝利至上主義に偏らない教育型スポーツの実践を通じて、スポーツの新たな価値創出を目指す同社の取り組みについて、代表取締役CEOの伊藤清隆氏に詳しくお話を伺いました。
スポーツで非認知能力を育み、地域と次世代の可能性を広げる
事業の内容をお聞かせください
私たちの事業の柱は、大きく分けて三つあります。
一つ目がスポーツスクール事業です。対象年齢は主に2〜3歳から小学6年生までの、子ども向けスポーツスクールを展開しています。試合に勝つことや技術を上げることより、非認知能力を伸ばすことを目的としたスクールです。全国で約4,500箇所、会員数は約7万人と、国内No.1のスクールです。※
二つ目が自治体と連携して行う部活動支援事業です。私たちは自治体と契約し、その地域全体の公立中学校の部活動を民営化し、運営を受託しています。2031年度までに、国の方針として部活動の地域展開が全面的に推進されることが決まっており、私たちはその先駆けとして、すでに全国360校、2,000以上の部活動の運営を担っています。
この事業を始めてから、部活動の在り方が変化していると実感しています。例えば東京都や大阪、名古屋では、すでに私たちが部活動の運営を行っている自治体があります。その結果、先生の負担も軽減され、先生にとっても良い環境となると同時に、子どもたちにとってもより専門的にスポーツと関わる時間を持てるようになります。
三つ目がスポーツ療育の事業です。放課後等デイサービスでは、主に発達障害といわれる特性を持った子どもたちを対象に、スポーツを通じた療育を行っています。子どもの体の発達段階に合わせた指導はスポーツ科学に基づくものであり、非認知能力育成は協調性や課題解決能力などを高めていくことを目的としています。
例えばサッカーはとてもシンプルで、誰もがプレーできるスポーツです。自分で考えることを主体とするスポーツであるため、療育にとても向いていると考えています。
以上三つの事業に加え、スポーツの要素を取り入れたイベントを開催したり、地域活性化に取り組んだりしています。
スポーツイベントに関しては、様々なスポーツチームと連携し、子ども向けのスポーツスクールを開催しています。さらに、プロの選手をゲスト講師に招いてイベントを実施するなど、多様な機会を提供しています。
また、地域活性化の取り組みとしては、地域の体育館を運営し、地域のご高齢の方を招いてスポーツを通じて健康寿命を延ばしていただくことを目的に、各種クラスを開催しています。
子どもたちへの指導において大切にしているのは、子どもたちを褒めて伸ばすことです。勝つ楽しみよりも非認知能力の育成を目的として意識しているため、指導員が「認めて、褒めて、励まし、勇気づける」ことを基本としています。
私たちが幼少期のスポーツ教育に力を入れている理由として、性格形成や価値観の形成において幼少期の環境が非常に重要であると言われていることが挙げられます。
私たちは幼少期に行ったスポーツや、指導者・先生の影響を強く受けるといわれていて、この時期に非認知能力を育むことが、成人後の社会的成功につながると言われています。
だからこそ私たちは子どもたちが豊かな人生を歩めるよう、スポーツを通じてその土台を形成しています。
※スポーツスクール会員数No.1…スポーツ施設を保有しない子ども向けスポーツスクール企業売上高上位3社の会員数で比較。会員数の定義として、会員が同種目・異種目に関わらず、複数のスクールに通う場合はスクール数と同数とする。
スポーツスクール スクール数No.1…スポーツ施設を保有しない子ども向けスポーツスクール企業売上高上位3社のスクール数で比較。キッズ・小学生で分かれている場合は、それぞれを1スクールとする。
株式会社 東京商工リサーチ調べ。2024年12月時点
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
この事業を始めたのは2001年のことです。それまでは学習塾の運営に携わっていましたが、自身の体験から、スポーツを通じて子どもたちを育成したいと考えるようになりました。
学習塾での経験から、スポーツを通じて子どもたちの成長を支え、育つ力に大きな魅力を感じたことから、現在の事業への取り組みを始めました。
当時は「非認知能力」という言葉がまだ一般には浸透しておらず、私たちは「人間力をつけていく」というキャッチコピーで事業をスタートさせました。スポーツを楽しむ取り組みの中で、人間力が自然と身についていくことを、私たち自身も実感しました。
また、当時は厳しさを前提とした指導スタイルが一般的で、いわゆる昭和的な体育会系の指導が主流でした。私たちはそのような指導を見直し、子どもたちが楽しみながら成長できる環境を作りたいと考え、子どもたちを褒めて伸ばす指導を意識するようになりました。

社員が公私ともに幸福になれる会社づくり
仕事におけるこだわりを教えてください。
仕事におけるこだわりは、社員が公私ともに幸せを感じる会社にすることです。これは創業当初より大切にしてきた考えで、「社員に良しの会社をつくる」という思いを胸に創業しました。
また、指導員を採用する際には、人間力や非認知能力の高い人材を重視しています。技量よりも人間力を重視して採用しており、人間力を見極めるために、インターンシップや面接を通じて直接お会いし、相手と接する中で感じ取ることを大切にしています。
企業としての役割は、成長を志す社員に対して、活躍できるフィールドを提供することにあると考えています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
創業当初は、サッカーを指導する団体は、地域密着型でボランティア指導者を中心に運営される少年団が主流で、私たちのような新しい団体はまだ認知されていませんでした。そのため当時は学校や体育館を借りることが難しく、活動場所が公園になることもありました。
そのような状況の中でも、借りた場所では子どもたちと一緒に清掃を行い、ご近所の方々へ挨拶するなど、当たり前のことを積極的に行い、コミュニケーションを重ねてきました。
また、2011年にスポーツ基本法が確立されたことは大きな転機でした。少年団であっても、民間企業であっても、スポーツ振興のために公営施設を分け隔てなく利用できるようになったことは、私たちにとっても非常に大きな意味がありました。
その経験を踏まえ、私たちが部活動を受託することで、生徒のペースに合わせて、その選手がベストの才能を発揮できる機会を、少しでも提供していきたいと考えています。

仲間づくりでさらなる成長へ
今後やりたいことや展望をお聞かせください
昨年10月にNASDAQへの上場を果たしました。次のステップとして、M&Aを積極的に進めていきたいと考えています。M&Aは単なる事業拡大ではなく、仲間づくりだと捉えており、仲間を増やしていくという意味で前向きに取り組んでいきたいと思っています。
これまでにも、「社員を大切にする」という考えのもと、多くのM&Aを実行し、実際に喜んでいただくことができました。そのノウハウを生かし、今期・来季に向けて、世界の企業も含めて積極的に買収を進めていくことで、さらなる成長を目指していきたいと考えています。
NASDAQ上場を果たしたことで、海外展開を進めやすくなったと感じています。そのため、今後は海外にも非認知能力を学べる学校を展開していくことを目標としています。国や場所については、タイミングや案件次第だとは思いますが、積極的に挑戦していきたいと考えています。

好きなことを軸に、得意を磨く
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
やはり、自分のやりたいことや心から好きだと思えることを徹底的に突き詰め、それを単なる趣味や関心で終わらせるのではなく、価値として提供できる形にまで磨き上げ、ビジネスへと昇華させていくことが、最も成功に近づく道なのではないかと考えています。
嫌なことや苦手なことを無理に続けることは、確かに一定の成長をもたらすかもしれませんが、長くは続きません。
一方で得意なことを伸ばすというのは、自分の特性や強みを理解し、それを最大化する方向に時間とエネルギーを投下するという、極めて戦略的な選択だと感じており、起業においても同じことが言えると思っています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
【起業家データ】伊藤 清隆
琉球大学教育学部卒業。2001年にスポーツ&ソーシャルビジネスにより、社会課題の永続的解決を目指すリーフラス株式会社を設立し、代表取締役に就任。
【企業情報】
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法人名 |
リーフラス株式会社 |
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HP |
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設立 |
2001年8月28日 |
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事業内容 |
■スポーツ部門
■ソーシャル部門
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