ビジネスハーモニー株式会社 代表取締役 趙 節冰

ビジネスハーモニー株式会社は、パソコン周辺機器のオリジナルブランド「EGRET」を展開しています。自社ブランドに加え、OEM・ODMの設計受託や物流支援も手がけるハードウェア企業です。黒や白が主流の業界で、女性ユーザーに向けた「美しい」製品づくりにこだわる理由とは何か。事業の現在地と今後の展望について、代表取締役の趙節冰氏にお話を伺いました。

 

ないなら作る」から始まった、女性の感性を軸にした設計

事業の内容をお聞かせください

当社は、パソコン周辺機器のオリジナルブランド「EGRET」を中心に事業を展開しています。設計から販売、アフターサービスまでほぼすべて日本で行い、生産のみ中国の深圳にある工場で行っています。コストを抑えながら、バランスよく事業を進めています。

 

現在、自社製品は約20種類あります。主力はマウスで、そのほかマウスパッド、キーボードパッド、パソコンバッグ、USB拡張ハブ、USB-Cから変換するドッキングステーションなどを展開しています。販売チャネルは家電量販店が約6割、オンラインショップが約4割です。

 

現状は、PC周辺機器業界は開発者の多くが男性です。ソフトウェアエンジニアには女性もいますが、ハードウェアエンジニアは男性中心です。女性向け製品を作る際も、女性社員やユーザーからアンケートを取り、その結果を男性開発者が形にしています。デザインとして好きかどうかなどの言葉にしにくい感覚は、データだけでは伝わりきらないと感じています。

 

当社の製品開発では、「働く女性」をターゲットに据えて設計を行っています。特にデザイン性と機能性の高さにこだわっています。使いやすく、マニュアルを読まなくてもすぐに使えること、そして時間が経っても色が剥げにくいよう、塗装を工夫しています。ファンデーションケースに使われる塗装技法を応用し、三層から四層のコーティングを施しており、長く使っても美しさを保てるようにしています。

 

また最近は、自社製品の開発・販売で蓄積したノウハウを生かしBtoB向けの事業も展開しています。プライベートブランドやODM・OEM品の設計受注に加え、輸入や物流のサポートも行っています。電化製品の輸入には認可や法律など複雑なハードルが伴いますが、そうした部分でお困りの企業様に対してコンサルティングをするような形で支援しています。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私はもともと電気電子工学科の出身で、電気製品が好きでした。2017年までは携帯電話の分野にいましたが、その後パソコン分野に移り、台湾ブランドで日本責任者としてプロダクトマネージャーを5年間務めていました。

 

ちょうどeスポーツが盛り上がっていた時期から、かっこいいPC周辺機器が次々と登場し始めました。その一方で女性目線の、かわいいデザインの製品があればいいのにと感じていました。

 

パソコン周辺機器が可愛くないと言っていた私に放った娘の「ないなら作ればいい」という一言が、転機となりました。

 

誰かが第一歩を踏み出さなければ世界は変わりません。その頃は私自身、プロダクトマネージャーとしてのノウハウも十分に蓄積されていたタイミングでした。それなら自分がやろうと決意し、半年かけて準備を重ね、2022年11月に創業しました。

 

プレミアムを貫くための覚悟

仕事におけるこだわりを教えてください

製品のクオリティには絶対に妥協しないことです。当社は大企業ほど生産数を出せない分、一般品よりコストが高くなります。

 

それでも、他の製品との差別化を保ち、プレミアムなブランドとして認めていただくことが重要だと考えています。コストが高くても、それだけの価値があると感じていただける製品を作り続けることが、当社のブランドを守ることに直結しています。

 

ブランド名「EGRET(エグレット)」には、英語で「Electric Girls Request Electronic Technology」と書きますが、これは女性も電化製品が好きという思いを込めています。また「EGRET」はシラサギを意味し、ヨーロッパでは最も美しい鳥とされ、「美しさ」と「高貴さ」の象徴とされています。さらにシラサギは大型で肉食という、美しさと力強さという二面性を持っていて、「美しい、強い」という当社のコンセプトをそのまま体現したブランド名になっています。

 

 

美しく、強く。ブランドを未来へ残す

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

一番の原動力は、このブランドを残したいという思いです。自分が愛着を持って作り上げたロゴやブランドを、20年30年先に自分の子どもたちに残していきたいという思いが根底にあります。

 

そして、ユーザーの方からいただく声が大きな励みになっています。このブランドに出会えてよかった、もっと早くから欲しかった、という言葉をいただくたびに、もっと頑張ろうという気持ちが自然と湧いてきます。

 

起業当初は娘に自分で作ればいいと言われて始めた事業でしたが、今では「すごい可愛いよね、ママえらい」と言ってもらえるようになりました。そういう積み重ねが、前に進む力になっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

まずは会社を継続させ、このブランドを確かなものとして根付かせていくことが、最優先事項だと考えています。そのうえで、品質への誠実さを保ちながら、より多くのユーザーの方々に届けていきたいと考えています。

 

長期的な目標としては、日本の可愛い文化をPC周辺機器の世界でも体現し、海外へと発信していくことです。

 

日本には世界が認める「可愛い」の文化がありますが、これがPC周辺機器にはまだほとんど反映されていません。日本の可愛さと、電化製品の強さを融合させた製品が、再び海外へと広がっていく未来を描いています。

 

 

起業したからこそ見えた、生き方の選択肢

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

私自身、まだ成功しているとはとても言えない状態で、毎日苦しみながら走り続けています。それでも、起業してこの道に入ったことは、自分にとって一本道だったと今では思っています。

 

最初の1年は本当につらくて、事業を辞めるかどうか何度も迷いました。でもそれを乗り越えると、だんだんと見える世界が変わってきました。生き方はサラリーマンだけではなく、どんな人生でも良いのではないかと思えるようになりました。その感覚の変化が、起業して得た最大のものだと思っています。

 

「Happiness requires struggle」という言葉がありますが、これは苦労しないと、本当の喜びは得られないという意味で、私がずっと心の支えにしてきた言葉です。

 

ただ楽しむだけでは、本当の幸せには辿り着けません。苦しみの中にこそ、本当の喜びがあるということです。起業を考えている方には、ぜひその覚悟を持って、一歩踏み出してほしいと思います

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:趙 節冰

中国出身、2001年に来日。

東京工業大学電気電子工学科卒業。NTTドコモに11年間勤務し、代理店マネジメントと中国子会社出向を経験して退社。Amazon JapanでPC周辺機器のバイヤーを務める。台湾、中国の企業で商品戦略責任者に着任し、「ZOWIE」、「MOBIUZ」、「ECOVACS」など数々のブランド立ち上げに成功。2022年11月に創業。

 

企業情報

法人名

ビジネスハーモニー株式会社

HP

https://www.egret-jp.com/

設立

2022年11月2日

事業内容

PC周辺機器の委託生産、品質管理、輸入、卸販売、EC販売

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