【#636】介護×横浜F・マリノス、6年間の共創。株式会社ツクイが「共生社会の実現」に挑むパートナーシップの全貌|総務部広報課 吉﨑 友美(株式会社ツクイ)

株式会社ツクイ 総務部広報課 吉﨑 友美
介護福祉士の資格を持ちながら広報を担う吉﨑氏。共生社会の実現という共通の志が生んだ取り組みは、スタジアムの広告掲示から劇団ツクイという名のロールプレイ、SNS発信まで、介護の枠を軽やかに超えていきます。今回は、株式会社ツクイと横浜F・マリノス(以下、F・マリノス)とのパートナーシップについて伺いました。
住み慣れた地域で、その人らしくを実現。47都道府県に根を張る介護の総合サービス
事業の内容をお聞かせください
弊社は、デイサービスを中核とした在宅介護サービスを展開しています。具体的には訪問介護・訪問入浴・居宅介護支援といった在宅サービスに加え、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど居住系介護施設の運営も手掛けています。
また、看護分野にも参入しており、訪問看護やホスピスの事業も展開しています。さらに近年は介護保険外サービスにも注力しており、介護保険の枠だけでは支えきれないニーズにも幅広く対応しています。
大きな特徴のひとつが、全国47都道府県すべてに事業所を持ち、その数が770か所に広がっていることです。特にデイサービスは全ての地域を網羅しており、地域密着型の運営を行っています。各事業所が地域・行政と連携しながら事業を展開していることが、弊社の強みになっています。
介護サービスをご利用されるのは高齢のお客様が多いですが、その方を支えるご家族の力にもなりたいという思いから、近年は介護する人・受ける人の両方を支える取り組みを強化しています。保険外サービスの充実もそのひとつです。介護保険の制度だけでは支えきれない生活の隙間を丁寧に埋めていくことが、これからのツクイが目指す姿のひとつです。
支援に至るまでの背景を教えてください
きっかけは、神奈川県を仲介としてF・マリノスからお声がけをいただいたことでした。F・マリノスが神奈川県と連携して取り組まれている「未病改善」の活動内容が、弊社が長年取り組んできた介護予防や健康維持、そして高齢者の孤立を防ぐ社会コミュニティづくりと非常に親和性が高いと感じ、方向性の一致からパートナーシップを締結させていただくことになりました。
最大の決め手となったのが 一般社団法人F・マリノススポーツクラブの「横浜F・マリノスフトゥーロ」というチームの存在です。Jリーグ初の知的障がい者サッカーチームを持ち、障がいの有無に関わらずともに挑戦するという共生社会の実現を掲げていらっしゃいます。弊社も、誰もが地域で共に暮らせる社会づくりに取り組んでいます。この志が完全に合致したことが、パートナーシップを結んだ本質的な理由です。
実際にそのご縁から、フトゥーロに所属する選手がグループ会社に勤めることになりました。2つのフィールドで活躍するという嬉しいつながりも生まれています。2019年から始まったこのパートナーシップも、気づけば6年目を迎えます。

「介護×スポーツ」という掛け算——前例なき共創が生んだ劇団ツクイ、体験会、そして12万インプレッション
なぜそのチームを支援するのですか
共生社会の実現という目標の一致はもちろんですが、F・マリノスならではの魅力として特に感じているのが、担当者の方の熱量と柔軟性です。弊社がこんなことをやってみたいと投げかけると、「ぜひ一緒にやりましょう!」と毎度好意的な反応を返してくれます。「介護」という領域を超えて、クリエイティビティを刺激しあえていると感じています。
F・マリノスは社会貢献活動にも特に力を入れていらっしゃいます。一般社団法人F・マリノススポーツクラブの活動も含め、地域と社会に向き合う姿勢が弊社の事業理念と深く重なっています。横浜市を代表するスポーツクラブとして、ともに地域に根ざした活動を続けていけることに大きな意義を感じています。6年間パートナーシップが続いているのは、互いに思いが合致し続けているからこそだと思っています。
支援するチームとのご関係は
取り組みは非常に多岐にわたり、この場では語りきれないほどです。特にここ1〜2年は、F・マリノスのファン・サポーターの皆様に介護への理解を深めていただくための活動をメインに展開しています。
代表的な取り組みのひとつが、コラボ体操「GO!GO!ツクマリ体操」の動画制作です。YouTubeでもご覧いただけます。また、ツクイ・サンフォレスト横浜センター北のサービス付き高齢者向け住宅ではサポータ-参加型の「ツクマリルーム日帰り入居体験会」を開催しました。
マリノスカラー満載のお部屋を用意し、ファン・サポーターの皆様をお招きして介護体験や事業所でご提供しているお食事を一緒に楽しんでいただきました。好きなものを楽しみながら介護が必要になっても変わらない暮らしを体験してもらい、大変好評をいただきました。
また、日産スタジアムでの試合の際に同会場内の会議室をお借りしてミニセミナーも定期的に開催しています。そのセミナーで生まれたのが「劇団ツクイ」です。F・マリノスが大好きなおじいちゃんと孫のマリコによる寸劇を通じて、認知症のある方への好ましい対応・好ましくない対応を楽しく学んでいただく内容で、初開催から大反響でした。
さらに、弊社が開発した「ケアラータイプ診断」をF・マリノスの選手に実施していただき、SNSで発信したところ、インプレッション数が12万まで跳ね上がりました。選手と同じ診断結果だと喜ぶファン・サポーターの皆様からのコメントが続き、楽しみながら介護を身近に感じてもらえるという新しいコミュニケーションの形が生まれました。
我々が発信するだけでは、ここまでのご好評をいただくことはできないので、本当にF・マリノスには感謝しかありません。


インナーブランディングからアウターブランディングへ、そしてファンとの絆へ——パートナーシップが広げた「ツクイ」の輪
支援してよかったことはありますか
まずインナーブランディングの観点では、全国の従業員にF・マリノスという大きなクラブとの連携を知ってもらうことで、仕事へのモチベーションが高まった従業員がいることです。最初は「本社が横浜にあるとはいえ、自分の地域とは関係ないかも」という声も正直ありましたが、取り組みを重ねる中で社内の理解も着実に深まっていきました。
アウターブランディングの観点では、試合中のゴール裏LED看板や大型ビジョンでのアディショナルタイム表示でツクイという名前を広く認知していただく段階を経て、ようやく介護のリテラシー向上活動へと展開ができるようになりました。
その成果として、スタジアムで「あ、ツクイさんだ!」と声をかけていただいたり、イベントにいらした際に「サインを書いてください」とお願いされたりと、広報担当がちょっとした芸能人のような体験をするほどにまでファン・サポーターの皆様との距離が縮まりました。
また、F・マリノスというプラットフォームを通じて、他の企業との新たなつながりも生まれています。自分たちだけでは開拓できなかった分野に、F・マリノスが橋渡しをしてくれる存在になっているのです。介護と全く異なる視点からのアイデアが加わることで、施策の幅が大きく広がっています。
長期的には、今スタジアムで触れていただいた「ツクイ」という名前が、20年後・30年後に介護が必要になった時に思い出してもらえる、そんな記憶への投資にもなっていると感じています。

支援するチームに今後どうなってほしいですか
パートナーとしてはもちろん優勝を願っています。2019年のパートナーシップ開始以来、F・マリノスの優勝を2度喜びを分かち合うことができました。今シーズンも優勝を目指して頑張って欲しいです。それと同時に、社会貢献活動においても一緒に高みを目指していきたいと考えています。
F・マリノスは横浜市を代表するスポーツクラブとして、社会とのつながりを非常に大切にしています。スタジアムのバリアフリー改善への取り組みのように、高齢者や障がいのある方が安心して観戦できる環境づくりに向けて、ともに働きかけていきたいですし、「介護×スポーツ」という掛け算で、共生社会の実現を一歩一歩進めていければと思っています。

「単なる広告ではなく、課題解決のパートナーとして」——パートナーシップの本質的な価値とは
パートナー契約を検討している企業へのアドバイス
パートナーシップというと広告宣伝の手段として検討される企業が多いと思いますし、それ自体も大切な目的のひとつです。ただ弊社の場合は、共生社会の実現という明確な課題と達成目標があって、それを実現するためにF・マリノスと何ができるかを逆算的に考えたことがパートナーシップの出発点でした。
単なる支援の枠を超え、自社の課題解決や社会的な目標達成のためのパートナーとして活用するという視点が、パートナーシップの可能性をぐっと広げてくれると感じています。
もうひとつ大切なのは、自社の専門性と他分野の掛け算を楽しむ姿勢です。、介護の枠の中だけで考えていたら、劇団ツクイも、「ケアラータイプ診断」も生まれませんでした。
スポーツの現場が介護の固定観念を壊してくれて、介護の知見がスポーツの場に新しい価値をもたらす共創の面白さを教えてくれました。地域に根ざしたチームをパートナーに選ぶことで、地域を一緒に盛り上げるという自然な関係も生まれてきます。資金の援助以上の絆が必ず生まれるはずです。
応援しているチームへのエールをお願いします
いつも地域の皆様、そしてツクイという会社に元気と感動を届けていただき、本当にありがとうございます。リーグ優勝を一緒に祝えた瞬間の感動は、今でも忘れられません。パートナーシップ開始以来、3度目のリーグ優勝に向けて、私たちも日々応援しています。怪我には十分気を付けながら頑張ってください!
本日は貴重なお話をありがとうございました!
企業情報
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法人名 |
株式会社ツクイ |
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HP |
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創業 |
1969年 |
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事業内容 |
在宅介護サービス、居住系介護サービス、在宅看護サービス |
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