
TRUNK株式会社 代表取締役CEO 西元 涼
「eラーニングを導入したものの、結局利用されない」そんな企業の悩みに真正面から向き合い、学びを楽しくする仕組みを追求し続けているのがTRUNK株式会社です。同社が提供するLMS(ラーニングマネジメントシステム)「Workschool(ワークスクール)」は、IT企業の技術研修から大手企業の資格取得支援まで、幅広い領域で活用されています。今回は、代表取締役CEOの西元 涼氏に、事業の詳細や起業のきっかけ、今後の展望についてお聞きしました。
「やらないeラーニング」を変える——学びを楽しくするLMSという挑戦
事業の内容をお聞かせください
当社は、LMSをベースとした企業向けのeラーニング事業を展開しており、これらは大きく2つの利用ケースに分かれています。
まず1つ目は、IT企業向けの現場技術研修で活用いただくケースです。PythonやC#、Javaといったプログラミング言語の学習など、エンジニアが現場で必要とする技術習得のコンテンツを配信しており、企業の研修プラットフォームとしてご活用いただいています。
2つ目は、業界を問わず比較的規模の大きな企業が、社内の学習管理システムとして導入するケースです。階層別・部門別の研修や、部門ごとのマニュアル管理など、さまざまな用途に対応しています。研修コンテンツについても、各企業のニーズに合わせてカスタマイズが可能です。
また、2024年からは資格取得に特化したコンテンツとして、「Workschool 宅建」と「Workschool ITパスポート」の提供も開始しました。「Workschool 宅建」は、株主でもある東急不動産と共同開発したサービスで、大手不動産企業にも導入されています。
年間約30万人が受験する宅建試験は、これまでBtoC向けの学習アプリやスクールが中心でした。しかし、何百人もの社員が同時に受験する企業にとっては、個々の学習進捗をリアルタイムで管理することが難しいことが課題でした。
当社のシステムでは、管理画面から受講者全員の学習状況を一覧で確認できるため、人事担当者の負担を大きく軽減することができます。
一方の「Workschool ITパスポート」は、DXやAIが注目される中で、何よりもまずITリテラシーの底上げが必要だという企業の声を受けて開発しました。メーカーや物流、船舶といった非IT系の大手企業との相性が良く、ITパスポートを全社員教育の第一歩として導入していただくケースが増えています。
問題制作や動画教材については、TACの講師やYouTubeで活躍されている専門家の方々と協力しながら制作しています。
また、グループ学習の仕組みを導入することで、上意下達で勉強を強制するのではなく、グループごとに学習進捗を可視化し、お互いに刺激し合いながら学べる環境づくりにも取り組んでいます。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
創業当時は採用・紹介事業から始め、大学生に教育を無償提供し、育った学生をインターンや新卒として企業に紹介するという事業を展開していました。
オフラインで学生を集めて勉強会を開く形で事業をスタートさせたのですが、規模を全国に広げようとしたとき、どうしても限界を感じました。東京だけでなく全国に教育を届けるためには、物理的に人が集まる場所に依存しないやり方が必要だと気づきました。
その手段として最初に頭に浮かんだのが、eラーニングです。eラーニングを活用することで全国どこにいても同じ質の学びを届けられるのではないかと考えました。その可能性に着目し、今のシステムを自分たちで作り始めたのが事業転換のきっかけです。

「誰でも活躍できる世界」へ 学びの遊び化というこだわり
仕事におけるこだわりを教えてください。
一番の軸は「生まれた環境に関係なく、やる気次第で誰でも活躍できる世界をつくる」というビジョンです。これは創業当初から変わっていません。勉強に対するやる気を引き出し、自己実現につながるような仕組みを作りたいと考えています。
そのため、一緒に働く仲間にも、こうしたビジョンに共感してくれるメンバーであってほしいと考えています。採用においてもミスマッチが起きないよう、特に大切にしています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
最大の壁は、創業時の採用・紹介事業から現在の研修・教育事業へとピボットしたタイミングでした。また、コロナ禍の時期と重なり、大変な局面でもありました。もともとは学生を集めて対面で勉強会を開催していましたが、コロナの影響で人が集まることが難しくなり、これまでのやり方を続けることができなくなりました。
そのため、事業の方向性を見直し、フルリモート・デジタル中心の形へ完全に切り替える決断をしました。その意思決定をしたタイミングは大きな壁だったと感じています。

成長の実感が原動力。倍々で広がる、楽しいからやれること
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
「モチベーション」という感覚はあまりなく、純粋に楽しいからやっているのだと思います。また、自分たちが作ったプロダクトを多くの人が使ってくれていることを実感できているのも一つの理由になっていると思います。
売上は昨年は前年比130%、今年はさらに160%以上の成長を見込んでいます。一緒に働くメンバーも増えて、世の中に受け入れられているという手応えが確実に出てきています。そういった積み重ねが、結果として前に進み続ける力になっているのかもしれません。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
今後も教育を軸とした事業を続け、学びのハードルをもっと下げて、楽しく学べる仕組みを広げていきたいと考えています。具体的には、提供できる教育コンテンツの幅を広げていくことが直近の目標で、イメージとしては一つの入口から、学びの選択肢を広げていけるようにしていきたいです。
例えば不動産企業が「Workschool 宅建」を導入した後、次はFPや賃貸管理士といった関連資格にも挑戦できるツールを増やしていきたいと考えています。また、自治体や学校法人への導入も進めています。中高一貫校など、民間企業以外の領域でも「学びの遊び化」というコンセプトが受け入れられてきており、手応えを感じています。
学びを楽しくすることに共感してくれる企業や学校と一緒に、もっと多くの人に届けていけるといいなと思っています。

目的があるなら、まずやってみる 若いうちにこそ挑戦を
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
やりたいことが明確にあって、その領域への強い想いがあるなら、一度チャレンジしてみることをお勧めします。起業してみてはじめて分かることは、たくさんあります。アドバイスを集めていくより、実際に動いてみた方が学べることの量が圧倒的に多いです。
ただ、借金を背負うリスクなども伴うため、手放しでやってみようとだけ言うのは難しい部分もあります。大切なのは「なぜやるのか」という目的意識だと思います。漠然とした憧れではなく、これをやりたいという具体的な動機があるなら、やるべきだと思います。
挑戦していく中で見えてくるものが必ずあるはずです。まずは一歩踏み出してみてください。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:西元 涼 氏
横浜国立大学卒業後、新卒でDeloitteグループに入社し、人事コンサルティング業務に従事。企業の人材育成における課題と向き合うなかで、教育をより広く届けることへの想いを強め、2015年7月1日にTRUNK株式会社を設立。eラーニングシステム「Workschool」の開発・提供を通じて、企業の学習管理DXを推進している。
企業情報
|
法人名 |
TRUNK株式会社 |
|
HP |
|
|
設立 |
2015年7月1日 |
|
事業内容 |
|
関連記事
RANKING 注目記事ランキング
- 【#186】日本の漫画やアニメを世界に広め、「生きる希望」を与えていく|代表取締役会長 保手濱 彰人(株式会社ファンダム!)起業家インタビューインタビュー

- 【#631】最終面接の涙から生まれたサービスと、生まれた時からのクラブへの愛。ABABAが描くスポンサーシップの新常識|代表取締役社長 久保 駿貴(株式会社ABABA)スポンサーインタビューインタビューその他インタビュー

- 【#363】お金いらずで寄付ができるECサービス、世界を救う第一歩に|代表取締役 藤本 巴(株式会社ギバース)起業家インタビューインタビュー

- 【#533】遺伝子と腸内環境、2つの切り口から新たなヘルスケアを提案|代表取締役 山路 恵多(株式会社KEAN Health)起業家インタビューインタビュー

- 【#634】現役大学生起業家が挑むAIエージェントですべての人が熱狂できる世界へ|代表取締役CTO 橋本 大河(株式会社ZIKUU)起業家インタビューインタビュー
