株式会社Water Air 代表取締役 國安 秀之輔 

「下着もファッションのパーツ」というテーマを掲げてデザインやファンクションを追求。女性の魅力を最大限に引き出すランジェリーやインナー、ルームウェアを手がける株式会社Water Air(https://waterair.jp)を生まれ育った広島に創業した國安氏。今回は改めて、主力ブランド「tu-hacchi」の誕生秘話や、事業における最大のピンチ、今後の展開プランなどについてお話を伺いました。

 

ブランド名は、私たちのスタートを表す言葉

まず、どのような事業をされているのかについてお伺いできますか?

女性のライフスタイルを豊かにするインナーウェアブランド「tu-hacci(ツーハッチ)」の企画から販売、流通までを一気通貫しておこなっています。

 

現状の販売はECサイトのみですのでサイト運営は自社スタッフが担当し、物流も弊社のスタッフが手掛けています。

 

物流はアウトソーシングをする同業他社も多いと思いますが、なぜ自社で行うのかといいますと、「最後まで自分たちが責任を持ってお客様に製品をお届けしたい」という思いがあるためです。

 

実のところ物流などは多くの従業員が必要となります。固定費が嵩むわけですが、それでも自社で行うことを基本スタンスとし、こだわっていきたいと考えています。

 

ブランド名の由来を教えていただけますでしょうか。 

創業は妻としました。私と妻は歳が同じで、創業したのは28歳のとき。そこで「スタートを表す言葉にしよう」と、“2”と“8”をブランド名にしたのです。

 

当初は「浅はかだったかな」という思いもありましたが、振り返ればもう13年目。忙しい日々を過ごしながら今を迎えることができて、少しは意義深い名称になってきたのではないかと感じています。

 

今も毎月28日にイベントをおこなっていますし、4人いる子供のうち1人が2月8日生まれ。我々にとって非常に大切な数字です。

 

世の中に価値提供できる事業を興したい

事業はどのような経緯で始められたのでしょうか? 

物販ECの事業を手掛けることは前もって決めていたものの、「では何を販売するのか?」となったとき、妻がアイデアを提案してきたのです。それがレディース用インナーでした。

 

ほかにもいくつかの構想があったなかで一番面白い企画だと感じましたし、会社を設立し早く売上を立てないといけない事情もありました。

 

ただ正直なところ、兼ねてより「起業しよう!」といった私の志はそれほど強くはなかったのです。男ですので「いつか何かを成したい」という気持ちは持っていたのですが、どちらかというと、ボーッと生きてきたタイプなので。

 

そんなあるとき、「自分が楽しく生きるためだけに仕事をしていても人生は充実しないだろう」と思い至り、「世の中に対して価値提供をできる事業を興したい」と強く思える瞬間がありました。

 

事業を始めた個人的な経緯は、そのようなチャレンジングな考えですね。

 

もっと俯瞰的な視点でいえば、そのころの私には充実した環境や時間を持てていなかった。その状況を打開したいという思いが起業へつながっていったという感じです。

 

奥様は積極的に賛成されたのでしょうか?

そうですね。妻は自営の家系だというのもあり、何かをやることに対して前向きなのです。反対の言葉は特にありませんでした。

とはいえ、当時すでに3人の子供がいましたから、今思えば勢いだったなと思うところもあります。

 

家庭に安定が必要なタイミングで起業をする。それは結構無謀なことだったのかもしれません。

 

常に一歩一歩成長していきたい

仕事におけるこだわりや、ここは譲れない軸がありましたら教えてください。

企業としてのこだわりはあまりないのが実情かもしれません。

 

むしろ天邪鬼でいることも良さかなと思っているのですが、とはいえ数少ないながらもフィロソフィーはあり、常に一歩一歩成長する、前進する、設定した数字は絶対にクリアすることを大切にしています。

 

立ち止まったら衰退だと思っていますし、最近はスタッフ各々に半期の目標を立ててもらい社内で共有するようにしています。

 

公言することで逃げられない状況にはなるのですが、そのことを私を含めたみんなで前向きに捉え、職務に意欲的に取り組むことで事業を伸ばし、社会に貢献していきたいと考えているのです。

 

起業して13年目。今日に至るまでの最大の壁はなんでしたか?

財務に関するものですね。これは多くの創業者の方が経験しているのではないかと思います。

 

創業時から財政面で支援をしてくれる方との繋がりというものがなく、そのため金融機関による融資を受けてきました。

 

当然ながら最初は門前払いでした。ですが手ぶらでは帰らず、クリアすべきポイントをレクチャーいただいて、それを社内の目標として数値化し、事業でクリアする、という積み重ねをしてきたのです。

 

ときにはそう簡単にはクリアできない壁もあって、これまで5回くらいは潰れそうになっていますね(笑)。すべて実業家としての力がなかったためなのですが。

 

その中でも一番といえば、黒字倒産しそうになったときでしょうか。

 

在庫がなくなっても商品が売れて、売り越してしまう…すると購入者からの入金がまだないのに、生産過程での支払いが発生し、そこに必要なキャッシュが不足してしまったのです。

 

その際も金融機関さんには助けていただきました。

 

そのような壁を乗り越えながら進み続けるモチベーションは何でしょうか

夢と責任だと思います。

 

最初に申し上げた通り、やりたくて手掛けている事業です。そのため苦労があっても続けていきたいと思っています。

 

モチベーションを上げる必要はなく、むしろ常に高い状態なのです。

 

経営は簡単ではありません。しかし、この難しさを求めていたと言いますか、それまで刺激のない日々を長く過ごしていましたので。

 

そうした個人的な思いが根底にありながらも、従業員それぞれの夢、妻との夢があるからこそ走り続けることが重要であり、経営者の責任なのだと思っています。

 

起業は、まずやってみることが重要

今後の展望をお伺いできますか?

個人的な的な夢や野望は薄れてきているのですが、会社としては「tu-hacci」をリーディングブランドに育てていくことです。

 

そのためにも、より多くの人に選んでもらい、愛用してもらえるよう、スタッフたちとより良いブランドづくりに邁進していきたいですね。

 

思うに、世の中に必要だとされる、価値があるとされる企業というのは100億企業であろうと。弊社もその目標に向かって、まずは「tu-hacci」をレディースインナーの業界ナンバーワンブランドに育てたいと考えています。

 

起業をしたいと考えている方、迷われている方にメッセージやアドバイスをお願いします

その事業を手掛けたかったり、手掛けないとならないといった思いが強いならば、やれば良いと思います。

 

やはり、まずはやってみるのが重要だと思うのです。行動を起こしても、うまくコトが運ばないのは当たり前のことなので。

 

事業経営において大切なのは、どれだけしつこくできるか、やり切れるかということ。

 

そして、上手くいかなかったときのことを想像して、不安や心配、恐怖を感じるのなら、やめたほうが良いです。なぜなら、そのような心持ちでは継続していけないからです。

 

ありがとうございます。では最後に、このたび新設された東京オフィスのお気に入りのポイントなどを教えてください。

今春、広島に本社を構える我々が東京へ進出するにあたり構えた拠点は、渋谷にある新築のオフィスビルです。

 

すべてが新しく、清潔で、居心地がとてもいいですね。天井が高いため空間にゆとりがありますし、デザインも洗練されていてモダン。快適度が高いのです。

 

また今回はセットアップオフィスで内装が仕上がっていました。そのためフォンブースや会議室を自社で設えなくてもよく、その分の時間と経費というコストを削減できたのは大きな魅力でした。

 

スムーズに営業に入ることのできた東京支店の開設はブランドと会社にとって大きなターニングポイント。この快適なワーク環境で新たな挑戦に向き合っていきたいですね。

新たな船出をした「tu-hacci」の動向が楽しみですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

起業家データ:國安 秀之輔 氏

グラフィックデザイナーとして5年間従事し、 大好きだったECの世界で価値提供する側になるべく2010年28歳で株式会社Water Airを設立。 レディースインナーブランド「tu-hacci(ツーハッチ)」の展開スタート。

 

企業情報

法人名

株式会社Water Air 

HP

https://waterair.jp 

設立

2010年4月

事業内容

衣料品の企画生産/通信販売事業

沿革

2010年4月28日 株式会社Water Air設立

 レディースインナーブランド tu-hacci 展開開始

2011年1月 広島市西区観音町へ本社移転

2012年11月 広島市西区楠木町へ本社移転

2018年1月 Wowma!(au PAY)新人賞 

 レディースファッションカテゴリ賞 受賞

2018年6月 tu-hacci 公式 ONLINE SHOP オープン

2019年1月 楽天市場 SHOP OF THE AREA 2018

 中国・四国エリア賞 受賞

2019年11月 海外事業展開スタート

2019年12月 広島市西区三篠へ本社移転

2020年1月 楽天市場 SHOP OF THE YEAR 2019 NATIONS大賞 受賞

2020年8月 Yahoo!ショッピング AREA AWARD2020<1期>

 中国エリア レディースファッションカテゴリ賞 第3位 受賞

2021年1月 物流センター 祇園BASEを設置

2021年1月 楽天市場 SHOP OF THE AREA 2020

 中国・四国エリア賞 受賞

2021年3月 Yahoo!ショッピング AREA AWARD2020<2期>

 中国エリアレディースファッションカテゴリ賞 第1位 受賞

2022年1月 楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー 2021 

 インナー・下着・ナイトウェアジャンル賞 受賞

 

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