タイムリープ株式会社 代表取締役 望月 亮輔
「最も大切なことに時間を使える世の中」をビジョンに掲げ、従業員がその場にいなくても遠隔で接客できる「RURA(ルーラ)」を提供するタイムリープ株式会社。テクノロジーを最大限活用し、人々が生活のためにしている「労働」をなくしたいとの想いがこのビジョンに込められています。
同社が提供するRURAは、非接触でも対面と変わらない質の高い接客を提供できるとし、さまざまな企業から注目を集めています。
サービスを提供するに至った経緯や今後の展望など、同社の代表取締役を務める望月亮輔氏に伺いました。
遠隔接客サービスがもたらす革新的な接客体験
早速ですが事業内容をお聞かせください
弊社は店舗での接客を遠隔で行える、RURAという遠隔接客サービスを提供しております。スタッフとお客様がモニター越しにリアルタイムでコミュニケーションを取ることができ、対面時と同じような接客体験を実現するサービスです。
最小人数で最大店舗数の接客ができるため、接客の質を維持しながら店舗を省人化・無人化できるのが特長です。現在はホテルやインターネットカフェ、葬儀場、大学などさまざまな場所で活用いただいています。
事業をはじめた経緯を教えてください。
創業以前、ロボットに関する情報を発信するメディアを運営していた際に、さまざまな領域でロボットが活用されているのを4年半もの間取材をしていました。中でも接客ロボットには期待をしていたのですが、なかなか現場での活用が難しいことも取材を通じて感じていました。
ロボットの接客に不安を覚える方も多く、会話の精度もなかなか向上しなかったため、本当に人手不足で切羽詰まっていない限りは使い続ける企業は多くありませんでした。
現実的に考えてロボットやAIが人間のように臨機応変に接客できるようになるまでは、相当の時間がかかります。
そこで、人間による質の高い接客を遠隔で提供できる接客サービスができれば、人手不足に困っている店舗を助けることができると考え、それを形にしたのが遠隔接客サービスのRURAでした。
苦しい時も楽しむ 何事もポジティブに捉える姿勢が大事
仕事におけるこだわりや譲れないことがあれば教えてください
仕事で一番大切にしているのは、楽しむことです。
弊社のバリューは「チームで働くことをたのしむ」「常識にとらわれないやり方をたのしむ」「ひとりひとりが作ることをたのしむ」の3つで、とにかく楽しむことを大切にしています。
会社のバリューは社長の性格に似てくるという話があるのですが、私もそう思っていて実際に私自身、大変な時でも愚痴ばかり言うのではなく、困難な状況をどう乗り切るのかを楽しむようにしています。
とは言っても起業すると本当に色んなことが起こるので、常に意識できている訳ではないですが、こだわりと聞いて一番に思い浮かぶのは、楽しむ姿勢ですね。
起業してから最大の壁だと感じた出来事をお聞かせください
数年前の話ですがリリース当初、RURAの導入事例がまだあまりなかったこともあり営業しても売れない時期が続きました。
「いいね」とは言ってもらえるのですが、なかなか実際に導入はしてもらえない。振り返るとその時が一番つらかったです。
よく「売上はすべてを癒す」と言われますが、やはり売上があがらないと経営が苦しいだけでなく社内の雰囲気も殺伐としてくるんです。その時期は色んなことが上手くいかない時で、当時の大変さを今でもよく覚えています。
どのようにその壁を乗り越えられたのでしょうか
RURAを導入すると店舗のオペレーションがガラっと変わることもあって、サービス自体には興味があっても、実際に導入するのはなかなか面倒なことなのだと気づけたことがきっかけでした。
そこで、クライアントと一緒にオペレーションを考えながら、よりスムーズに現場に導入できるよう意識してご提案ができるようになり、さらにカスタマーサクセスチームがお客様からの信頼を得ることができるようになったことで少しずつ契約をして頂けるようになりました。
また、RURAを活用して3人で30店舗を回すなど、大幅な省人化に成功したお客さまの事例が出てきたことも大きな後押しでした。
営業先でも成功事例をフックにお話できるようになり、あわせて導入後のサポートも提供していることを伝えると興味を持ってくださる方が徐々に増えていったように感じます。
ネックになっていた「導入事例」「遠隔接客のオペレーション構築」の2つが解消されたことで、苦しい時期を乗り越えることができました。
人々が本当にやりたいこと・大切なことに時間を使えるよう、「労働」をなくしたい
今後やりたいことや展望を教えてください
弊社では働くということを、意志や使命感を持って働く「仕事」と、生活のために仕方がなく働く「労働」に分けて考えていますが、後者の「労働」をテクノロジーによってなくしていくことで、ビジョンとして掲げている「最も大切なことに時間を使える世の中」を実現していきたいと考えています。
一般的に、世の中の人は年間2,000時間ほど仕事をしていると言われています。仕事が好きな人はいいのですが、生活のために労働している人がそこから解放されるよう、今後はRURAのみでなく、他の事業も掛け合わせて壮大なミッションを実現させたいと考えています。
起業をしようとしている方へメッセージをお願いします
私自身成功しているわけではないので、このようなことを言える立場ではないのですが、起業したら数多くの壁に直面したり、まったく想像していなかった問題が出てきたりします。
なので、どんなことが起こっても、たとえ人に反対されてもやりたい事業があるのか、という点が起業家として大事だと思っています。
もし家族に反対されたとしても私はなんとかして起業していたと思いますが、やはり少なくともそれくらいの意思の強さは必要なのではないでしょうか。
こだわりは居心地のいい空間づくりとRURAを体験できるショールーム
最後にオフィスのこだわりを教えてください
過ごしやすい場所にしたいという想いがあったので、床を全て張り替えて靴を脱げるようにしました。
社内ではスリッパに履き替えて働いています。
最初はこのビルの3階のみを借りていたのですが、だんだん人も物も増えてきたので今は4階も借りてオフィスを拡大しました。
あと、来社してくださった方にRURAを体験していただけるよう、社内にショールームを設けているのが大きな特長でしょうか。
実際の使用イメージを膨らませていただけるようになっています。
労働がなくなる世界、楽しみです。本日はありがとうございました!
起業家データ:望月 亮輔 氏
1988年生まれ。大学卒業後大手通信会社、動画メディアのベンチャー企業を経て、起業。事業売却をおこない、以降スタートアップにて役員としてロボットメディアの編集長を務める。2019年に同社を退任してタイムリープを設立、現在に至る。
企業情報
法人名 |
タイムリープ株式会社 |
HP |
サービスサイト:https://timeleap-rura.com/ |
設立 |
2019年6月 |
事業内容 |
遠隔接客サービス「RURA」の開発・提供 |
沿革 |
2019年6月 会社創業 2020年6月 遠隔接客サービス「RURA」リリース 2021年3月 経済産業省主催「NEW NORMAL LAB」に参加 2022年12月 未来の市場をつくる100社【2023年版】(日経クロストレンド)に選出 |
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