株式会社エッジコネクション 代表取締役社長 大村康雄
営業のプロ集団としてはもちろん、人事/財務と幅広く事業課題をサポートするエッジコネクション。大村社長が目指すのはお客様だけでなく、自社の社員も世界一ハッピーであること。なぜ社員が幸せだとお客様にも喜んでもらえるのか、3月にスタートした福岡支社にもそんな狙いが…。非常に興味深いお話を伺いました。
「お客様のために」が、いつのまにか営業のプロ集団へと
事業の内容をお聞かせください
営業支援事業がメインで、コンサルや研修、そしてテレアポ代行などを行っています。2023年度からはこれまでも行っていた人材紹介や資金調達支援にもさらに注力していく予定です。
最初はテレアポ代行からスタートしたのですが、お客様のコール部隊に関わるうちに「どうしてアポが取れないのか」「もっとこうした方がいい」というノウハウが整理できてきて着手前にアドバイスできるようになりました。その流れで営業戦略のコンサル依頼も入るようになり、どのお客様でもアポイントは安定して取れるようになっていきます。
すると次に差が出てくるのはアポイントを売上に変えられるかどうか、つまり「商談の質」という部分になってきますので、次はその研修をするようになったんです。
また、研修をしっかりしてもマネージメントがうまくいってないとせっかく育てた営業マンが辞めてしまうので、今度は営業部のマネージメント手法をコンサルティングメニューに入れていく、というような形で領域が広がっていきました。
お客様が困ってるところに対応しようとしていたら、気づいたら全部できるようになっていたという感じですね。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
ちょうど私が大学生のときに会社法が改正されて、もともと1000万円ないと作れなかったのがいわゆる1円でも株式会社を作れるようになって、当時の友達とやってみようとなったのがきっかけですね。まあ今考えると多少「ノリ」もあったのかもしれません(笑)
スマホもない時代なのに携帯用のウェブサイトを作ったり、アメリカからクラフトビールを輸入したり、飲食店の伝票を全部データ化してあげて、どのメニューが人気かのレポートを作ってあげたりとか。いろいろやりましたがどれもうまくいかず、慌てて就活を始め、当時のシティバンクに入社しました。
入社後は同期の中でも安定的に売上目標を達成するようになりましたが、やはり自分で事業をやりたいという想いは強く、同期の4人で起業の準備を始めました。大学時代に1度失敗していたからこそ、この4人なら次はうまくいくという確信もあって。そして2年弱の準備期間を経て、2007年の1月に今の会社をスタートしました。
起業から今までの最大の壁を教えてください
2015年のことですね。当時私が社長で、創業メンバーの副社長がいて、もともと私たちの仲がよかったこともあって、他の社員からすると上下関係が分かりづらい状態で「私は○○派、私は○○派」と派閥争いのようになってしまっていて。
これを課題と感じ、副社長が「俺が現場まとめるから、一切社員と関わらないでくれ」という話をしてきたので、1年ぐらいその体制を取ったんです。しかし、やはり2人残っていては統率がとれないので、どちらかが辞めるべきだと、副社長がもちかけてきました。私に辞めてほしいんだろうとは思いましたが、そのタイミングが自分の生まれ故郷、宮崎県延岡市への進出が決まり、同じ週に延岡市役所で記者会見をする時でした。
それもあって、故郷のために無責任なことはできないので、最悪誰も会社に残らなかったとしても自分が残ると伝え、結果副社長が会社を辞めることになりました。
こうして啖呵を切ったわけですが、現場から離れていた私が急に指揮を取ったのでやはり会社は混乱しました。副社長の直属の部下たちもいなくなり最終的には20人いた社員は一気に5人まで減りました。
今は社員数50人ほどになっていますが、そこからの再スタートはやはり簡単ではなく、もう一回創業しなおすくらいの感覚でした。当時、残ってくれた社員は本当に頑張ってくれましたが、20人でやっていたことを5人で同じようにはできないので、新規の案件は全く見ず、まずはひたすらに引継ぎを進めるような状況のときもありました。
社員が増えていくことは大きなモチベーション
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
社員のみんなが頑張ってるのがすごく伝わってくるので、それを見てるこっちもしっかりしなきゃっていうのは大きいですね。社員数が増えていくことは大きなモチベーションかもしれません。今の雰囲気をキープしながらどこまで人を増やせるのかは常に考えています。
10人や50人の壁ってよく会社経営でいいますが、たぶん私たちも100人の壁にはぶつかるだろうと思っていて、その鍵になるのは完全に人なんです。1人の人間がマネジメントできるのは最大で7人だと経営学的にいわれていて、プレイングマネージャーだと5人くらい。そうすると、ちゃんと7人とか5人の面倒が見れるマネージャータイプの人をいかに採用できるかがその鍵なんです。
例えば社長の下に7人の役員がいて、さらにその下に7人のマネージャーがいて…という三角形をきれいに作っていかないと組織を拡大していくことはできない。心理的安全性やティール組織など組織についての考え方もいろいろありますが、極論いうとその上司の下で部下がどれだけハッピーかということに尽きると思うんです。
そう考えた時に、「この人の下で働きたい」っていう人をどれだけ集められるか。だからそういう意味で採用には力を入れてますし、たくさんの人と出会うためにはやっぱり社風だったり、社長の器という部分も大きく影響してくると思っています。
あと、私はまだ未熟なので、採用時にその人がマネージャーに適しているかはわからないです。でもプレイヤーとして活躍できるかは大体わかります。まず適性検査での学力と性格を見るのと、あとは面接で話した感じも大事ですね。特に営業採用の場合は「このまま飲みに行こうか」と言いたくなるような雰囲気になったら、その人は営業できるなと思います。
社員が生き生きと自分の市場価値を上げられるよう全力で応援
今後やりたいことや展望をお聞かせください
これまでは営業支援をメインでやってきましたが、それに加え、人事関連サービス、財務関連サービスと3本の柱を立て「事業でのお困りごとは全て対応できます」という打ち出し方に変えていきます。メッセージとして、広い対応力が伝わってより多くの人に興味を持ってもらいたいのが狙いですが、営業特化というエッジがなくなって刺さらなくなるかもしれない。これは推移を見守りますが、会社としては営業支援だけでなく人事も財務も対応できるので、総合的なサポートが期待できる会社としての認知は広めていきたいです。
あとは、うちで働くことで社員が生き方を柔軟に選択できるようになってほしいんです。それは昔からずっと考えていたことです。今年(2023年)3月に福岡支社をオープンしたのもこの狙いがあってで、これによって東京、福岡、宮崎(延岡)という3拠点体制になりました。この3拠点は地域性がちょうどよく違っているので、例えば都会から田舎(といったら延岡の方に失礼かもしれませんが…)に移住したいと思ったら延岡支社に異動すればよいですし、逆に都会で頑張りたい、でもいきなり東京は怖いと思ったら福岡で最初は勤めてみればいい、という感じです。福岡にも宮崎出身者がたくさんいるので延岡に帰りたかったけど、仕事がないという人にもUターンできる機会ができますからね。
私はよく「社員のことを考えていますね」と言われます。もちろん大切な仲間というのはありますが、うちはコンサルティング業なのでどれだけ優秀な人がつくかで顧客満足が変わります。なので、社長の私は従業員満足を徹底的に考え、社員一人一人が生き生きと自分のポテンシャルをどれだけ発揮できるかをどこまでも考えます。
社員一人一人の市場価値が上がることが、イコール会社としていいサービスを提供することに直結するので。
どうやって仕事を取るのか、それだけは絶対に考えて
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
相談を受けることもありますが、まずは「しんどいぞ」ってことを強めに伝えます(笑) 進んで起業を勧めはしませんが、それでも起業したいという方にはアドバイスしています。
起業してすぐ失敗する方は、営業を全く考えてない人が多いと思います。特にプロダクトのことばかり考えてどう仕事を取るかの視点が抜けているのは危ない。なので、例えば明日から自分の会社が始まったときにどうやって仕事を取るかを真剣に考えてもらって、そこがクリアになった状態で起業してほしいです。
結局私が大学生の時に失敗したのも営業を考えなかったからなんです。「こういうサービス作ったら面白そうじゃね?」「そうだね!」って始めたんですけど、これ実際どうやって収益化するんだっけって話は全然してなくて、結局うまくいかなかったので。それもあって営業の大切さを痛感しています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
(オフィスはシェアオフィス内に3部屋借りている。「初期費用が抑えられて合理的。」)
起業家データ:大村 康雄 氏
1982年生まれ。宮崎県延岡市出身。宮崎県立延岡高校卒業。慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、米系金融機関であるシティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。
資産運用のコンサルティングセールスを行い、同期で唯一16ヶ月連続売上目標を達成。
2007年 学生ベンチャーとして起業していた会社を、株式会社エッジコネクションとして創業。
2015年 生まれ故郷である宮崎県延岡市にアウトバウンドコールを主体としたインサイドセールス事業所を開設。
2023年 福岡オフィス開設
現在、7年連続増収、12年連続黒字経営を継続中。
営業効率を解決することを中心に、営業戦略設計・テレマーケティング・商談代行・各種研修・経営コンサルティング・M&A仲介など1400社以上を支援し、継続取引による売上が常時80%を超え、サービス品質に定評あり。
約20年におよぶ起業家経験や経営者へのコンサルティング経験から、これまでに東京都中小企業振興公社や宮崎県延岡市商工会議所など各地で営業・経営関連のセミナーを100回以上開催。
ワークライフバランスを保ちつつ業績を上げる様々な経営ノウハウを構築、体系化し、多くの経営者が経営に苦しむ状況を変えるべく各種ノウハウをコンサルティング業、各webメディア、ラジオ等で発信中。
企業情報
法人名 |
株式会社エッジコネクション |
HP |
|
設立 |
2003年12月12日 |
事業内容 |
1.マーケティングコンサルティング事業 |
沿革 |
2007年1月 営業総合支援会社、株式会社エッジコネクション創業。 2015年2月 宮崎県にインサイドセールスセンターを開設。 2020年1月 仕事と生活の両立応援宣言 2022年12月 有料職業紹介事業許可取得。 2022年12月 みやざきSDGsプラットフォーム会員登録。 2023年3月 福岡支社を開設する。 2023年3月 営業総合支援会社から事業課題総合支援会社に変貌。
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