Marvel株式会社 代表取締役 河畑福太郎
ITエンジニアになる希望を抱き転職をするが、なかなか実現できない。そのような自身の経験を通して、日本にはエンジニアが成長できる会社が少ないことを実感。みずから生み出すことを使命として2020年にMarvel株式会社を起業しました。日本を代表するシステム会社に成長させるというミッションのもと、エンジニアが働きたい企業として注目され、受注案件を増やすなど、勢いを増す同社について、河畑社長にお話を伺いました。
エンジニアが“就職したい”と思える会社を作りたかった
事業の内容をお聞かせください
弊社のメイン事業はシステム開発で、業態はSES(システムエンジニアリングサービス)事業になります。
人材不足や技術不足を背景に、自社のリソースではシステム開発ができないという企業が多いと思いますが、そのような企業に対して技術支援を行い、ときには企画立案から参画し、開発、運用、リリースまでをワンストップで手掛けるサービスを提供してます。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
創業のきっかけは、過去に同じ業界で営業をしていたときに、ある思いを抱いたことです。それは「日本にはエンジニアが就職したくなるような会社があまりないな」というものでした。
システム開発を行う企業と聞いて、多くの人が連想するのはNTTデータや富士通といった大企業だと思います。またメルカリのようにアプリ開発を通してサービス展開をする会社もあるのですが、システム開発をメイン事業としている会社というのは、あまり耳にしないと思うのです。
そこで「エンジニアが成長できる会社を興したい」と思い、起業しました。起業にあたっては、まずはエンジニアが成長し、それによって、お客さまにさらに良質なサービス提供が可能となっていく環境づくりに取り組みました。
創業しておよそ2年半が経過した現在の事業内容としては、AIロボットの操作UIや、購買システムのAI予測の機能、機械学習のロジックなどの開発に始まり、Webアプリ、モバイルアプリの開発など、業務を幅広く行っています。特に最近は、AI、機械学習、ブロックチェーンの領域に関する案件依頼が多い印象ですね。
エンジニアの成長を促す環境に関しては、”Marvelに入社したら市場価値が上がる”という評価を業界から得られる場にしたいと考えています。面接でも「エンジニアの市場価値を上げる会社です」と説明していますし、入社したら経験、知識、スキルが身について、もし将来的に独立して起業したりフリーランスになったとしても、うちの会社に入って良かったと思える、「将来に役立つ資産が作れます」という話をしています。
このような弊社のフィロソフィーに共感していただけるのは、これから成長したいと考える若い世代が多い傾向にあります。モダンな開発環境、流行りの言語に関する経験を積んでスキルアップしたい人が入社するというイメージですね。
実際、社内にはスキルアップのできる環境を整えているなど、向上意欲のある人にとって好ましい社風であると思います。フレームワークのReact.jsが学べるプロジェクトがあって常にスキルをアップデートできますし、業務系の会社から転職してきた人には、Webの開発が中心の会社ならではの企業カルチャーに時間をかけながら慣れてもらう風土があります。
良い人材の確保と資金繰り。この2つは事業者としての永遠のテーマ
仕事におけるこだわりを教えてください
大前提として、お客さまの役に立つ仕事をする。それが第一です。対価としてお金を頂くわけですから、しっかりとした価値が伴うサービスを提供しなければなりません。「お客さまの業務を向上させる一助となるために、どのようなサービスが提供できるだろうか」といった視点を持つことは、とても重要です。
その上で、弊社には5つの行動指針があります。1つ目は、当事者意識を持って主体的に取り組む。2つ目は、物事は逆算して考える。3つ目は、常に誠実な対応をする。4つ目は、最優先事項を優先する。5つ目は、完璧を目指すよりもまず終わらせる。
これらの行動指針を意識して仕事をするようにということは弊社のスタッフと共有しています。その上で、自分に課しているこだわりがあるとすれば“行動量”でしょうか。質はもちろん、量も意識して日々の仕事に向き合っています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
本当は無いと答えたいところなのですが、きっとそれだとつまらないと思うので(笑)。あるとすれば、良い人材の確保と資金繰り。この2つは永遠のテーマだと感じるほど、いつも悩まされていますね。
システム開発を手掛ける会社において、社の命運を左右する開発を誰が行うのかというとスタッフなわけです。つまり、優れたシステム開発を行える人材がいないと事業を成立させることはできません。
その上で今はエンジニアの採用難と呼ばれる時代。リクルーティング費用が一人100万円に及ぶと言われる中で数十名単位の人材を採用していくのですから大変です。
そして資金繰りについて。今は銀行からの借り入れだけで賄っていますが、今後どうなるかは不透明というのが正直なところ。アメリカからは不景気の兆しも聞こえてきていますし……。ただ不透明だからこそ、解決策は常に考えていなければならないと思い、対策を日々講じています。
社員が成長をする姿を見ると、経営者としてのやり甲斐を感じる
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
こちらも“ない”というのが本当のところなんです。ただ、やりたいことをやっているだけなので……。そうしたことを前提に挙げるとすると、社員であるエンジニアの成長過程をすぐそばで見られることでしょうか。苦楽を共にしている社員がエンジニアとして、人間として成長していく姿を見ると、経営者としてのやり甲斐を感じます。
入社当時にはできなかったことができるようになり、お客さまからの信頼も獲得し、結果として昇給につながっていく。数ヶ月という短いスパンでは起こらないことだからこそ、成果や成長が見られたときには、喜びもひとしおなのです。会社を経営してきて良かった。そのようにさえ感じる瞬間ですね。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
“六本木のメガベンチャー”に成長させたいですね。それこそ溜池山王や虎ノ門にも近い六本木1丁目へ行けばDMMさんのオフィスはありますが、今のところ六本木駅近くに拠点を設けるメガベンチャーはどこかといわれて、すぐに思い浮かべられる会社はないのかな、と。だからこそ大きく成長して、今よりももっと多くの若い世代が街を闊歩するような光景が生まれたらいいなと思っているんです。
実際のところ、どこへ行くにもアクセス至便な街であることが、とても気に入っています。それに現在はコワーキングスペースのSENQ六本木をオフィスとして活用していまして、場所は六本木駅から1分未満という好立地にあります。雰囲気がよく、働きやすく、テラスもあって気分転換が容易にできます。他のベンチャー企業さんも利用されていることから、日々交流をさせていただき、刺激をもらっています。
また、創業2年ほどということもあり現在はシェアオフィスを活用しているのですが、今後は事業を成長させつつ、次の10年で30事業、売上1000億の達成を視野に入れています。そのためにもメインのシステム開発にプラスして、今後は新しい事業も意欲的に展開したいと考えています。
どの業界にいたとしても、今を全力に生きてほしい
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
今を全力で生きて欲しいなとは思います。人生において、“今”が一番若いときだと言いますけれど、起業にしろ何にしろ、いつ始めても遅いということはありません。後悔がないように、“今を全力で生きて欲しい”と思いますね。
そう思うきっかけは、僕がこれまで送ってきた転職人生にあります。地元・大阪の大学を卒業してから、これまで僕は5回の転職をしてきました。半年ほどで辞めた早期離職も経験しました。成果が出なくて挫けそうになったこともありますし、異業種への転職によって、それまでの経験が無になったと感じたこともあります。
24歳のときには営業職に就いていて、1500万ほどの年収があったのですが、「ITコンサルタントになりたい」という長らく抱いていた希望が叶う会社へ移ったときには年収が1000万円ほどのダウン。それでも、こうしたすべてのことが今の自分を生み出したのだと思っています。
やりたいことにはチャレンジすべきです。場合によっては年収が下がり、モチベーションも下がってしまうときがあるかもしれません。けれど、きちんと目の前の課題に向き合い、持てる力を発揮し続けていたら成果は出てきます。
どの業界にいても今を全力に。健闘を祈っています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:河畑福太郎 氏
大阪府・岸和田で生まれ育つ。大学卒業後に上京。新卒で外壁塗装の営業会社に入社。太陽光発電の営業に転職。その後は経営に興味を持ち、早稲田大学MBA入門コースを受講しながら保険会社、IT営業、ITコンサルタントを経てMarvel株式会社を創業。
企業情報
法人名 |
Marvel株式会社 |
HP |
|
設立 |
2020年 11月 |
事業内容 |
メディアサービス事業 デジタルマーケティング事業 システムインテグレーション事業 |
沿革 ※サービスリリース、資金調達、採用、移転など |
2020年11月 東京都港区六本木にてMarvel株式会社を創業 2023年4月 社員100名を突破 |
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