【#045】「日本一芸能に詳しい」を武器に、タレントから動物まで幅広いジャンルのキャスティングに対応。目指すのは、芸能の総合商社 |代表取締役 布目 靖太郎(株式会社クロスアイ)
株式会社クロスアイ 代表取締役 布目 靖太郎/取締役副社長 伊藤 啓輔
「日本一芸能に詳しい会社」という特性を活かし、有名人やモデルのみでなくYouTuberや動物のキャスティングまで手掛ける、株式会社クロスアイ。キャスティングのみに留まらず広告運用やタレントのYouTube進出をサポートするなど、芸能の総合商社を目指し邁進している企業です。
創業者は大学時代からの友人だという、布目 靖太郎氏(代表取締役)と、伊藤 啓輔氏(取締役 副社長)。
以前は別々の業界で働いていたというお二人は、どのような経緯で一緒にキャスティング会社を立ち上げることになったのでしょうか。詳しくお話を伺いました。
圧倒的なスピード感で全ジャンルのキャスティングに対応
事業の内容を詳しくお聞かせください
布目氏:芸能界での強固なコネクションを活かして、著名人を企業にキャスティングする事業をメインに行っています。
企業が広告やイベントなどで著名人をキャスティングしたい時に、我々が企業と芸能事務所の間に入り、適切な人物の選定から事務所への出演交渉まで請け負っています。
また、もう一つの事業としてYouTubeの運営代行も手掛けています。会社を立ち上げたのがコロナ禍だったのですが、ちょうどYouTubeに参入するタレントさんが多くいらっしゃったタイミングでした。
私は元々めざましテレビで映像制作の仕事を6年ほどしていたため、映像制作は得意分野でした。そこで得意を活かして、YouTube制作にもチャレンジすることにしたんです。
伊藤氏:世の中にキャスティング会社は他にもありますが、弊社が差別化を図れるポイントは3点あると思っています。
1点目は、全ジャンルに対応できることです。弊社は芸能人や専門家、また最近人気のYouTuberだけでなく犬や猫のキャスティングにも対応しています。特に複数の出演者がいる場合は、我々が幅広いジャンルのキャスティングをワンストップで担当できることが業務の効率化にも繋がっていると思います。
2点目は、ITに投資していることです。タレントのデータベースを内製化しているため、他社では1週間かかる資料作りでも、弊社はほんの数秒で作れます。
3点目は、連絡速度の早さです。エンタメ業界は、電話やFAXでの連絡が今でも当たり前です。しかし、我々は芸能事務所のキーマンとチャットで連絡を取れるネットワークを築いています。
属人的ではありますが、連絡スピードの早さは交渉を進める上でも有利になっていますね。
差別化には上記の3点、これに一般的なキャスティング会社として独自のコネクションを加えた4点がクロスアイの強みです。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
布目氏:元々芸能が好きだったというのが一番大きな理由ですが、経緯を辿ると前職が関係しています。
前職では映像制作の仕事を楽しくやっていたのですが、何か他のことにも挑戦してみたいなと思っていた時期がありました。その会社はキャスティング事業も行っていましたが、私自身は映像制作の担当でしたので、キャスティングについては「タレントと企業を仲介する」ということ以外、何も知りませんでした。
ですが、当時から日本一芸能に詳しいのは自分だと思っていたので、キャスティングの仕事が自分には一番向いているに違いないと思い、この領域で起業することにしました。単にミーハーだっただけかもしれませんね(笑)。
伊藤氏:私は布目の前職のキャスティング会社でインターンシップをする機会がありましたが、独立前は以前は大学の職員として働いていました。
布目とは大学時代からの友人です。20代の頃は一緒にイベントを成功させたこともあり、その時から布目と一緒に仕事ができたら楽しいだろうなと思っていました。
2人とも30代になり、私は別の事業をする予定だったのですが、布目がキャスティング事業に本格的に取り組むというタイミングで二人でやろうという話になり、共同創業という形で会社を作った次第です。
業界の慣習より自分たちで決めた社内指標を大切にする
仕事におけるこだわりを教えてください。
布目氏:会社としての指針は2点あります。1点目は連絡スピードの早さです。クライアントへの連絡も社内連絡も基本は即レスで、社員にもそれを求めています。
もう1点、やってはいけないこととして、悪口を言わないことを徹底しています。クライアントに対してそうですし、社内でも悪口・陰口は言わないことを社内の行動指標にしています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
伊藤氏:やはり、人が辞めた時が一番つらかったですね。
弊社の評価基準は、即レスができることやリテラシーが高いこと、また素直で真面目なことなどを重視しているため、キャスティング業界で重視されている「コネクションをどれだけ持っているか」とは評価軸が違います。
我々は業界の慣習より社内基準を重要視していることもあり、業界での経験を持つ人材が転職してきた際「これまでと違う」と感じ、社内でハレーションが生まれたことがありました。そのままネガティブな流れになってしまい、結果、弊社のやり方に合わないと感じた社員は退職していきました。
布目氏:正直、壁に感じた出来事は今までなく、むしろ上手く行き過ぎているなと。今後はどこかで壁にぶち当たるかもしれませんが(笑)。
弊社としての指針がしっかりと定まっているので、今のところ壁になり得ることはないのではと感じています。トラブルはこれまでもありましたが、壁とは捉えていません(笑)。
今後はD2Cとエンタメに特化したM&A事業にも挑戦
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
伊藤氏:会社としてのミッションは当然あり、社員の皆には高いモチベーションを保って貰うように心がけています。一方で、私自身は最近はモチベーションという言葉で仕事のパフォーマンスを上下させないようにしています。
起業する機会に恵まれたからには、いつでも一定以上の結果は残したいなと思います。ただ最近は布目はもちろん、明るくて最高のメンバーが揃っているので、皆を幸せにしてあげたい!といった、他己的な想いが仕事の原動力になっています。
強いて言えば、弊社には布目をはじめとし、明るくて最高のメンバーが揃っているので皆を幸せにしてあげたいといった、他己的な想いが仕事の原動力になっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
布目氏:今後は、D2C企業とエンタメ業界に特化したM&Aを手掛けていきたいと考えています。会社の売却を考えるD2C企業が増えているのですが、薬機法が厳しくなっていることもあり、売却の難易度が上がってきています。そこで我々が間に入り、スムーズなM&Aをリードしていきたいと思っています。
伊藤氏:布目はアイデアマンで0→1が上手いのですが、反対に私は1→10が得意なタイプです。たとえば、属人的なキャスティングから脱却するために、データベースで管理できるシステムを3年かけて作りました。どのような業務も各社員に落とし込み、誰がやっても上手く回るような仕組み作りに今後も力を入れていきたいですね。
信頼できる仲間との共同創業で、楽しさは倍・つらさは半分に
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
布目氏:起業するタイミングは、若ければ若いほどいいと思います。若いほうが絶対チャレンジしやすいですし、最悪失敗してもまたやり直せますしね。やはり、年齢を重ねて結婚して子どもがいるとなると、リスクを取ることを躊躇してしまう人が多いと思います。若いほうが少ないリスクで、さまざまな挑戦ができるかと。
伊藤氏:最近、大学での講義でもお話ししたのですが、私は起業を考えている人に共同創業の選択肢もあることを伝えたいと思います。信頼できる仲間と共同創業したら、楽しいことは倍になり、つらいことは半分になると、この4年間で実感したからです。
資金調達の際や固定費が上がった時は、喉が焼けるような気持ちになることがありましたが、布目とそのつらい思いを分かちあえたことで、だいぶ気持ちが軽くなりました。
共同創業は仲たがいをするというイメージがあるかもしれませんが、弊社のように仲良くやっているケースもあると皆さんにお伝えしたいです。
起業家データ:布目 靖太郎氏、伊藤 啓輔氏
企業情報
法人名 |
株式会社クロスアイ |
HP |
|
設立 |
2019年11月 |
事業内容 |
キャスティング事業映像制作事業 |
沿革 |
2019年 設立 2020年 YouTube運営事業開始 2021年 グループ会社に株式会社クッションを設立、広告運用事業開始 2022年 完全成果報酬制キャスティング「アフィキャス」開始、撮影制作事業開始 2023年 事業拡大に伴い事務所移転 クッションをクロスアイへ吸収統合 |
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