「建築×IT」を軸に、DXシステム開発やコンサルティングで新規事業の立案などを手掛けている株式会社IEDIAの前野大悟氏。

 

「人々にもっと住まいに対して関心を持って欲しい」という思いから起業に参画し、課題を抱えている建築関係の事業者を助けるために取り組んでいます。

 

代表取締役CEOである前野氏に、業務内容や建築×ITについて、仕事におけるこだわりや起業家へのアドバイスをお伺いしました。

 

コロナ禍で「価値観が変わるなら今では?」と起業を決意

事業の内容をお聞かせください

「建築×IT」を軸に活動しています。「不動産テック」と呼ばれるジャンルではありますが、差別化を図るため建築に注力しています。工務店やハウスメーカー、そして住まいに関係している建材メーカー、不動産の仲介業者に家具メーカーなど、建築に携わる企業は多岐に渡ります。

 

これらの企業に対して、DXシステム開発やコンサルティングを行うのが主な事業です。前提として、建築関係は皆さんが思っている以上にアナログなんです。

 

例えばモデルルームひとつをとっても、VRモデルルームで感触をつかんでから足を運んでいただくことで、アナログを大切にしながらデジタルを取り入れることができます。

 

メタバースと建築は相性が良いので、実際に建物を作って貰ったり、HPを作るお手伝いをしたりすることもあります。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は新卒でアクセンチュアに入社して、1年目を終えるタイミングでコロナ禍になりました。元々起業には興味を持っていたのですが、まずは海外のプロジェクトに携わったりMBA留学を視野に入れたキャリアを考えていたんです。

 

けれども緊急事態宣言の2回目が発令されたころに、「いつまで続くか分からないから、キャリアを変えなければ」と思って転職を考えたのですが…。

 

実は「スタートアップで成功するのはタイミングだ」という思いが昔からありました。例えばAmazonは今流行っていますが、以前から似たような会社はあったんです。Amazonがここまで広まったのは、世の中のユーザー感度とピッタリ合うタイミングだったから。

 

コロナになったタイミングで、「価値観が変わるなら今では?」と思いました。コロナ禍の影響で、在宅で仕事をすることによって、自分の住まいと向き合わないといけないこのタイミングで起業しようと。

 

家を買う時には資産価値を気になさる方が多いですが、「次に家に住む方が住みたいかどうかで家を買う」という日本の住宅事情に違和感を覚えていたんです。

 

「コロナ禍のこのタイミングならば、資産価値だけではなく趣などのもっと違う観点で住宅を選んでくれるようになると思い」起業しました。

 

 チームメンバーを尊重し、個性を大切にしている

仕事におけるこだわりを教えてください。

弊社にはコンサル出身のメンバーだけではなく、建築家のメンバーもおり個性的なチームメンバーが揃っています。

 

フルコミットのメンバーは役員4名で、副業で参画してくださっている方が多いです。個性がある人が揃っているからこそ、「建築×IT」でお仕事を頂けると思うんです。

 

例えば世の中にあるデジタルマーケティングの会社は、マーケティングに長けているけれども、建築家に対する知見がなかったりすることも珍しくありません。IEDIAには建築家の目線があり、さらにコンサルという経営の目線もあり、そのうえで個性を大切にしています。

 

ベンチャー企業は、色んな仕事があり自分の専門だけではなく多彩なことをする必要があります。クリエイティブな仕事は単純に納期のタスクを振るのではなく、数時間その仕事のみに掛かりっきりになる方が良い結果が出るケースも多いんです。

 

その分、私が細切れで行うタスクを拾っています。私自身、裏方の方が性に合っているんです。「経営者だから会食に行く必要がある」のではなく、共同創業者に任せて私は得意な仕事をしています。「得意なもので戦っていく」というのは、資本力が少ないベンチャーの戦い方のひとつだと思います。

 

多様なメンバーがおり、各自の得意なことを活かしながら個性を大切にしているのがこだわりです。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

日本では新築のニーズが非常に高く、新築が8割中古が2割ですが、実は海外ではこの数値が逆転しているんです。新築へのこだわりも強く、空き家問題がこんなに言われている中でもどんどん新築の家が建っていますよね。

 

そのため日本の建築・不動産業界は、事業者が売れそうな家を建ててその中から選ぶという潮流があります。私は、「人々にもっと住まいに対して関心を持って欲しい」と思っていて、その価値観が変化するタイミングがコロナ禍だと思っていたのです。

 

けれどもコロナがあけても、家の選び方は何も変わっていなくて。「家にいる時間が増えたから、窓が多い方が良い」とか「吹き抜けがあると良い」とか、変化があると思っていたのですが変わりませんでした。

 

かろうじて、リモートがあるのでリモート用の部屋やスペースに興味を持つ方が増えたくらいでしょうか。

 

エンドユーザーの意識はコロナ禍程度では大きな変化がなく、その上事業者の方は建材費が凄くあがったり跡継ぎ問題で困っていたりしていて。考えていたツーサイドプラットフォームは、「今のタイミングではない」と気付きました。事業者は新しいプラットフォーム以前に、目の前の課題で一杯だったのです。

 

元々持っていたプラットフォームの構想よりも、目の前にいる困っているBtoBの事業者を助けることが、自分たちが世の中のためにできることではないかと方向転換しました。

 

 同じビジョンや夢を持っている仲間がいたから発想を転換できた

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

「同じビジョンや夢を持っている仲間がいること」です。

 

最初お話したように、起業したのはベストなタイミングだと思っていたのですが、実は全然そうではなかったんです。コロナ禍でも、家に対する人の価値観は大きく変わらなかったですよね。私の理論は業界に基づくものではなかったので、いずれの業界でも通用するものだと思います。

 

けれども、「この業界を本当に良くしたい」と考えている役員の仲間がいて、このメンバーで会社を大きくしていくことで、いずれはもっと大きな価値を提供できるようになると思うんです。仲間がいたことで、価値観が変わるタイミングが50年後だとして、「タイミングを早められるように何ができるか?」と考えるようになりました。

 

実は社名の「IEDIA」は、創業準備の際にチームメンバーの家田のZOOMの表示名「IEDA」から取ったんです。「家田って家のアイディアみたいで面白いね」と。家田の営業トークの、「IEDIAの家田です」は鉄板なんですよ。

 

「IEDIA」の言葉の様に、ゆくゆくはもっと家に対して関心を持って、理想を描いて家を建てるのが当たり前になって欲しいと思っています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

事業としては、現在はBtoBが主軸でBtoCに関われていないんです。需要視点で始まるところを大切にしたいので、エンドユーザーの話を聞いてエンドユーザー向けの事業開発をしたいですね。

 

社内に目を向けると、弊社のチームにはクリエイターがおり、ベンチャー特有の若くて行動力があって熱気があってというイメージとは少し異なるんです。文化やクリエイティブ、そしてデザイン思考を大事にしているんですね。

 

デザインやストーリーを大切にして、唯一無二の組織に育てていきたいです。

 

苦手なことを得意な人に任せれば、経営者になれる

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

私自身起業して2年目なので大それたことは言えませんが、「経営者に適性はなく、誰でも経営者になれる」と思っています。

 

先ほどお話したように、私は表に立って外交をするのが得意ではありませんが、世の中には「コネクション作りは経営者の大切な仕事」というイメージがありますよね。

 

経営者の在り方というのは多様なので、どんなに内気な方でも苦手なことを得意な人に任せれば経営者になれるんです。

 

だから臆することなくチャレンジしてください。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:前野大悟氏

 

代表取締役 CEO

慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、2019年にアクセンチュアへ入社。製造・流通系事業の複数のプロジェクトにて、コンサルティングに従事。

退職後、2021年初頭より、小茂鳥と共に本PJを立ち上げ。

 

https://iedia.co.jp/iedia%e8%a8%ad%e7%ab%8b%e3%81%ae%e6%83%b3%e3%81%84/

企業情報

 

法人名

株式会社IEDIA

HP

https://iedia.co.jp/

設立

2021年1月25日

事業内容

デザイン&コンサルティング事業

デジタルマーケティング事業

システム開発事業

沿革

 

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