株式会社LITA 笹木郁乃 氏

株式会社LITAは、PR塾・PR代行・I’me(アイミー)の3つの事業を通して、人や企業の活躍を応援している会社です。特に、仕事のやりがいや子育てとの両立で悩んだ笹木郁乃氏は「人の可能性を開花させたい」という強い想いで、人や企業、それから世の中に貢献しています。そこで今回は同社の笹木郁乃氏に、具体的な事業内容や事業を始めたきっかけ、今後の展望について伺いました。

3つの事業を通して人や企業の活躍を応援したい。

さっそくですが、事業内容をお聞かせください。

2017年の創業当初から会社のテーマを「可能性を開こう」と掲げていたので、人や企業の可能性を開くためのPR代行や広報を教える事業をしています。

 

事業内容は主に3つです。1つ目は「PR塾」です。PR塾では、起業家や経営者、これからフリーランスになりたい方や子育てをしながらお仕事をしたいけど正社員との両立が難しくて挫折してしまった方などに、認知度向上により売上げ拡大に繋がるメディアPRの手法や、SNSのスキルなどをお伝えしています。この事業は、埋もれている素晴らしいサービスや商品、人にスポットを当てることができる人を増やすことによって、地域経済を発展させ、日本全体を活性化させられるようになることが目的です。

 

 

2つ目は企業向けの「PR代行」です。企業様がメディアに露出し、認知度向上による売上げ拡大のためのご支援をしています。PR代行では、上場企業や中小企業など幅広く対応させてもらっています。偶発的な単発のメディア露出のみではなかなか変化は実感できません。なので、売上拡大のための情報や実績の流れを作り、口コミで高い評価を得られるような仕組みを作っています。

 

3つ目は、女性のためのキャリアスクールの「I’me(アイミー)」です。I’meでは、起業したばかりの方やフリーランスとして活動している方など、今後どうしようと悩んでいる方のキャリアや方向性そのものを一緒に考えたりしています。これらの3つの活動を通して、人や企業の活躍を応援する事業を行っています。

 

PR塾と聞くと堅い広報やPRを学ぶイメージを持たれている方が多いのですが、うちに入塾してくれる方は子育てとの両立を望むママさんや、本気で人生を変えたい方、在宅でも仕事ができるようになりたい方などでして、実はPR塾の約40%が未経験の方々なのです。

 

残りの約34%が起業家・経営者、約26%がライターさんや営業フリーランスといった個人事業主の方で構成されています。

 

最近見た日経新聞では、広報の求人が増えていると記載されていました。昔は広報=受け身のイメージでしたけど、最近は積極的にTikTokやInstagramなどのSNSを更新したり、動画を作って流してみたり、noteでブログを書いてみたりしていて、広範囲で何でもできるスキルが求められるようになっています。

 

しかし、年齢が少し上がるとそういったSNSをやったことがない方が増えてくるので、教える側の人材が不足しています。そのスキルを持つ若者がいるから、広報の求人数が伸びているようです。

 

現代はAIの時代ですが、色々なことができる広報のスキルを持っている方はまだ少ないと思います。だからこそ、今学んでおけば就活や転職などで勝てるチャンスだと思うのです。フリーランスにも広報のスキルがあると喜ばれます。

 

LITAのPR塾では、SNSを含めた多彩なスキルを習得できるので、そういった意味でぜひ学んでいただきたいですね。

今の時代に合わせて学べることも更新していくので、今必要な広報スキルを身につけることが可能です。広報は今後より一層求められるスキルになっていくと思います。

 

現在の仕事を始めた経緯を教えていただけますか?

もともと私は、アイシン精機株式会社(現:株式会社アイシン)という自動車部品の製造・販売を行う会社で研究職員として働いていました。周りは車好きも多かったのですが、私自身は、業務内容である自動車の部品で実験を行う作業にワクワクできなくて。素晴らしい仕事内容なのは理解しつつも、自分の中でやりたいこととの差が生まれるようになり、「これってどのように生活に活かせているのかな」、「世の中のためになっているのかな」と、私のなかで上手くイメージができず、役に立っていることがもっと身近に感じる仕事がしたいと非常に悩んだ結果、転職することを決断しました。

 

転職先は規模の小さい会社を自分の力で大きくしたいと思っていたので、転職活動中は創業したばかりの会社に絞って面接を受けていました。いろいろ面接を受けたなかで採用された、株式会社エアウィーヴという寝具メーカーに1人目の広報として入社させていただきました。

 

社員数は少なかったので、営業もマーケティングも当時は全部私が担当していました。そういう部分が大手とは違いましたし、同期の人数も少なくて、とても魅力を感じた部分です。

 

入社してからは社長と2人でこの会社をどうやって大きくしていくか、という話題で話し合い、とても楽しかったのを覚えています。マーケティングの広告をしたり、営業したり、試行錯誤していました。そのなかで特に成果が出たのはPR活動です。PR活動によってメディアにたくさん露出したことで、会社の売上が大きく伸びました。

 

そのときはとても楽しかったですし、達成感がありました。その後、出産をして育休から会社に復帰したのですが、そのときにはもう会社が大きくなり、社員数も400人くらいいたので、私がいなくても会社が回っていました。そのような状況になると、大手だった前職と同じと感じ、再度やりがいを感じたく、鍋メーカーの愛知ドビー株式会社へ転職しました。ですが、入社して1年くらいでメディアに露出した商品がヒットし、子育てとの両立に悩むことになりました。

 

愛知ドビー株式会社は製造業だったので、朝8時に出社していました。私はやっぱり挑戦が大好きで続けたいのだけれども、小さい子どもを育てながら朝早くに出社して夜遅くに帰ってくるというのは、子どもとの時間も取れずとても大変です。女性としてこういった人生はどうなのだろうと悩みました。

 

その経験が起業のきっかけとなり、他に選択肢が思い浮かばなかったため、私は泣く泣くフリーランスになりました。フリーランスがどういうものか全くイメージが湧きませんでしたが、最初はPR方法を教える活動をして、それがすごく楽しく充実していました。私の立てた計画がお客様にすごく喜んでもらえましたし、「人生が変わりました」と言ってもらえて、やりがいを感じていましたね。

自分の心が喜ばない仕事はやらない。

仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。

アイシン精機株式会社(現:株式会社アイシン)はお給料が高く安定していて、とても素晴らしい会社だったと思います。でも、私が人生をかけてその仕事を続けたいのか考えたときに、とても疑問に思いました。私には、「自分の心が喜ばない仕事はやらない」というこだわりがあります。

 

フリーランスになったときに初めて行ったのは、人の可能性を開花させることをテーマにした活動でした。そのときにお客様から言われた「ありがとう、頑張ってみます」といった言葉がとても嬉しかったです。

 

私はかつて、お仕事も頑張りたいのに子育てとの両立に悩んで目の前が真っ暗だった経験から、同じように頑張りたいのに環境や状況によって頑張れない方を、サポートして変わっていく姿に、とてもワクワクします。

 

最初は不安に感じている方がほとんどです。なので、私をきっかけにして変わっていく姿を見守れるのは、生きている意味を実感できます。また、私がいることで間接的に社会が良い方向に進んでいるといった実感があるので、とてもやりがいにつながっています。

 

人の可能性の開花につながることは私のやりがいにも直結するので、人の可能性の開花を実感できない仕事はやらないと決めています。PR会社として最初はスタートしたのですが、今は先ほどお話させていただいたI’meという女性活躍支援も行っています。女性のキャリアの可能性を広げることを中心に事業を行っていますし、私のこだわりです。

スタッフの退職。常に壁のある状況を乗り越えていく。

起業から今までの最大の壁を教えてください。

本音で話すと、常に壁を更新し続けていますね。やっぱり1人で挑戦するよりも、社員が10名20名と増えていくと、大変さや背負う責任も増えていくので、苦労は比例しています。大きな夢を追うほど大変です。しかし、それでも夢に近づいている未来を想像すると嬉しいですし、たどり着きたいから進み続けています。なので、壁は常にありますね(笑)。

 

具体的なエピソードとして、9割近くの社員が退職したときは辛かったです。2019年に社員を1人採用して、さらに2020年には7、8人くらい採用したのですが、私のマネジメントの知識が浅かったので、社員の気持ちを理解することよりも、目の前のお客様に対して、コミットすることだけを考えてしまっていました。

 

私としては説明しているつもりでも、スタッフにとっては私が何を考えているのか分からなくなっていたのです。

 

また、その当時は社員数が増えてきたタイミングだったこともあり、それまで特に設けていなかった社内ルールをあとから追加し、スタッフにギャップを感じさせてしまったのも原因だと思います。これは私の反省点ですね。

 

現在も常に壁がある状況ですが、こういった経験から、学んだことを活かしています。

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

起業当初は、「自分の限界に挑戦したい」といった気持ちが強かったです。

 

フリーランスでの活動を通して、お客様から「ありがとう」と感謝の言葉をいただくことで自信もつき、それがモチベーションでした。

 

それからさらに挑戦したいと考え株式会社LITAを創業しまして、「世の中に変化や影響を与えたい」「日本にLITAがあった証を残したい」という気持ちが今のモチベーションです。

上場をして世の中に勇気を与え、本当の意味で人の可能性を開花させたい。

今後やりたいことや展望を教えてください。

通過点の1つとして、上場したいと考えています。私のような育児経験者で上場を目指していなかった人が、かつ、社員も子育て中あるいは子育て経験者のママが多くいる会社を上場させられると、世の中に勇気を与えられると思うので、そこを目指しています。

 

また、挑戦したらできるんだよっていう背中を見せながらも、良いことを言っているだけでは世の中は何も変わらないので、きちんとサービス拡大も同時に進めていきます。LITAのおかげで人生が変わったと言ってくれる方を増やすことが、本当の意味で世の中に貢献していると思うので、人の可能性を開花していくことが夢です。

起業しようとしている方へのメッセージをお願いします。

私自身は起業してとても楽しかったですし、PR塾では起業家も育成させていただいているのですが、まず起業しようと考えている時点で素晴らしいと思います。起業は勇気のいることなので、そこを志している方は非常に可能性があると考えていて、あとはもうやりきるだけです。

 

起業家は好きな時間と場所で仕事ができるイメージが強いと思うのですが、起業はむしろ逆だと感じています。ある程度好きな時間と場所を調整できるのですが、それ以上に責任が大きいです。自分が失敗したらお給料も得られないですし、時にはお客様からのクレームに対応しなければなりません。

 

ただ、「自分がやりたいことを120%そのまま挑戦できて、それが結果で返ってきて、喜ばれる」。私はこれ以上やりがいのある仕事はないんじゃないかと思います。なのでそこに喜びを感じられる方にとって、起業は天職です。辛いときに支えあえる環境が大事なので、経営者同士の交流会には足を運ぶことをおすすめします。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

 

起業家データ:笹木 郁乃 氏

1983年 宮城県仙台市に4人兄弟の次女として生まれる

2005年 山形大学 工学部 機械システム工学科 首席で卒業

同年 「アイシン精機株式会社」に 研究開発職として入社

2009年 寝具メーカー 「株式会社エアウィーヴ」へ転職

2013年 出産(1児の母)

2015年 鍋メーカー(バーミキュラの製造・販売)「愛知ドビー株式会社」へ転職

2016年 独立

同年 「PR塾」を開講

2017年 ikunoPR株式会社 設立

2019年 株式会社LITA へ社名変更

2022年「I’me」を開講

 

企業情報

法人名

株式会社LITA

HP

https://lita-pr.com/

設立

2017年2月

事業内容

PR代行、PR講座主宰、女性のキャリアスクールI’me主宰

 

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