Uniforce株式会社 代表取締役 砂田 和也

今回は、公認会計士業務のDX化や効率化のためのクラウドサービスや、IPO・BPOのコンサルティングサービスなどを手がけるUniforce株式会社の代表、砂田氏へインタビューしました。大学時代に公認会計士資格に合格した砂田氏。大手監査法人でのIPOや起業サポート、会計士事務所や税理士事務所の起業経験などを現在の事業へ活かしています。インタビューでは、企業の成長をサポートすべく奮闘する様子や将来の展望、起業家を目指す方へのメッセージなどをお話しいただきました。

 

公認会計士の経験から起業が成長するための礎を築くためのサポートを

事業の内容をお聞かせください

事業内容は、大きく分けて3つあります。

 

1つ目は、会計事務所の業務をそのままコンサルティングする業務です。IPOの準備に向けたサポートや、BPO経営支援サービスなどを行っています。

 

2つ目は、クラウド型サービスです。公認会計士の担う業務をDX化したものです。

 

3つ目はビジネス資料作成サービスです。公認会計士としての経験と、凄腕の広告デザイナーたちの知見を活かし、起業家の伝えたいことと、投資家の欲しい情報をマッチングできるような資料作成をサポートする事業を展開しています。

 

今後は、AIツールを用いたりデータをパッケージ化させたりして、世の中の上場企業の決算説明資料として使っていただけるようにバージョンアップさせていきたいです。

 

 

3つの事業は、全て繋がっています。例えば、BPOの中に決算開示があるため、決算開示クラウドを提供しています。クラウドを使用すれば完結するというような単純な世の中ではないため、効率化を目指しながら、伴走型で人や企業に対してサポートしていきます。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

大学生の時に公認会計士試験に合格し、某監査法人に就職して3年ほど働きました。IPOを目指す企業に対する任意監査などの業務に携わりました。

 

ただ、せっかく公認会計士として監査法人に勤めていましたが、この道を進み続けることに疑問も持っていました。また、実家は400年くらい続く家業を継いでいたため、「自分もいつかは社長になる」というイメージを漠然と持っていたのです。

 

そこで、アナログなこの仕事をどこまでデジタル化できるか、という挑戦が自分のやるべきことだと考えました。税務や会計業務から外れて、エンジニアとともにクラウドサービスを開発するために2018年に起業しました。しかし、なかなか思うようなプロダクトが完成せず、初めての企業は一旦幕を閉じました。

  

その後、2020年に上場企業の社長さんや成功されているさまざまな方とお会いし、取締役CPOの小川と出会ったことがきっかけとなり、現在運用しているクラウドサービスの開発に至りました。

 

ちなみに、監査法人のあとに、会計事務所や税理士法人を先に設立しており、こちらは今年で8年目を迎えます。

 

 

コーポレートガバナンスの強化の重要性を浸透させること

仕事におけるこだわりを教えてください。

弊社のミッション・ビジョン・バリューのそれぞれにこだわりが詰まっていますが、ここではバリューを取り上げてお話しします。バリューとしては「探求」「越境」「感働」を掲げています。

 

1つ目の探究は、失敗を恐れずにチャレンジすることです。2つ目の越境は、超越という言葉と似ていますが、越境を選んだのには僕なりのこだわりがあります。

 

超越には、壁があったらどんどん破って突き進むような、直線的で攻撃的な組織が出来上がるようなイメージを持っています。一方で、越境は垣根を越えながら戻るという意味であり、自分の部署の価値を上げながら他の部署とも協力していくというイメージを込めています。もちろん、会社同士でも同じことです。将来的には、社員たちには国と国という大きな規模の土俵で越境してほしいと願っています。

 

3つ目の感働は、感動と労働を掛け合わせた造語です。過去には、仕事に没頭するあまり、周りが見えなくなってしまうこともありました。しかし、それでは成長がありません。今は、一人の人間として周りの人に生かされていると、自然に思えるまでになりました。周りの人たちを巻き込んでより良い価値を生み出せるように、感謝の心は常に中心に据えています。

 

また、事業に対するこだわりは、コーポレートガバナンスの意義を世の中に理解してもらい、当たり前の存在にしていくことです。価値を理解することは企業が発展し続けるために大切だということを啓蒙していきたいです。

 

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

自分の限界を未だ理解していないことが、壁だと思っています。今後、挑戦することで新たな壁が立ちはだかる予感がしています。

 

また、PMF(プロダクトマーケットフィット)を目指していますが、まだ到達できていません。ここに到達できればプロダクトへの申し込みが殺到し、勝手に売れていくような状況になっています。社員がとても頑張ってくれており、今後ますます人数が増えていけばその景色が見えてくると考えています。

 

さらに、社長としての在り方を考え、壁を乗り越えなければならないと考えています。アメリカではシード、アーリー、ミドル、レイターのそれぞれの期間で社長が代わることもしばしばあります。上場後にも、何度も変わります。日本では、同じ経営者が長く携わるケースも多いですが、対局のやり方も学ぶ必要があるかもしれません。市場をどんどん拡大して成長するためには、どちらのやり方を選ぶべきなのか、来るべき時に判断する必要があります。

 

やりたいことはまだまだたくさんあります。挑戦を続けていく中で、まだ見ぬ壁にも向き合っていくイメージはできています。

 

 

 公認会計士としての役目を全うするための起業

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

公認会計士に課された使命を全うするための仕事そのものが、モチベーションの源泉です。

 

公認会計士法の第一条、つまり冒頭に公認会計士の役目が書かれています。実は、この内容については受験生の頃から疑問に思っていました。「国民経済の健全な発展に寄与する」ということが使命として書かれていますが、監査業務を通じて、直接的に企業の売り上げに貢献するわけではないため、監査業務がそこに直結するイメージがなかなか持てていませんでした。

 

そこで、会計士として「国民経済の健全な発展に寄与する」ことを実現し、会計士としての役目を全うする道を模索し、今に至ります。

 

また、自分の限界をどこまで超えていけるのかという挑戦ができていることも、モチベーションに繋がっています。

 

私の周りには、素晴らしい起業家や経営者がたくさんいらっしゃいます。尊敬する一方で、「この方達をどうにかして超えていきたい」という向上心や野心も持っています。ただし、自分の会社だけが発展すれば良いという考えではなく、日本を支えるリーダーの方達と共に成長し、自分の限界を超えていきたいです。

 

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

世界に通じるサービスを作りたいと考えています。

 

だからこそ、これまで手がけてきたサービスだけではなく、世界の動向に合わせたコーポレートガバナンスを基準として、事業展開していかなければならないと考えています。

 

現在、アメリカにはGRCという市場が既にあります。Gはガバナンス、Rはリスクマネジメント、Cはコンプライアンスを指します。実は、日本においてはこれをまとめあげたプラットフォームが存在しません。だからこそ、悩みを抱える社長さんが多いかと思います。

 

これまでは、IPOや決算開示など、会計士だからこそ提供できるサービスを育ててきましたが、今はもっと先を見ています。会社を作り上げていく際に役立つプラットフォームを生み出し、日本のスタートアップに対して世界基準でサポートしていきたいですね。

 

 

一握りのチャンスを掴むためには失敗を乗り越えて行動を

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

まずは、やると決めたら覚悟を決めて突き進むことです。

 

私は学生時代にずっとバスケットボールをやっていました。某有名なバスケットボールアニメの「諦めれば、そこで試合終了」という言葉が胸に刻まれています。起業家でいえば、試合終了とは倒産のことを指すかと思いますが、これは最悪の事態です。

 

もし、苦難が押し寄せたとしても、諦めることさえしなければ行動によって何か生まれ、回収できたものによって再起できます。このサイクルを繰り返すうちに前に進んでいけるかと思いますので、起業するからには諦めずにとにかく進み続けましょう。 

 

そして、突き進む過程で失敗を経験するかと思いますが、失敗をしてなんぼということも伝えたいです。失敗を経験すれば成長速度が早まり、組織の未来も変わります。

 

例えば、ベンチャーキャピタルは、出資先となるために80社から選ばれなければなりません。こうした、奇跡にも近いチャンスを1つひとつ掴むためには、諦めずにチャレンジする姿勢が欠かせないのです。

 

挑戦しても全部が成功するとは限らないので、「決まればラッキー」というくらいに適度に力を抜きつつ、行動し続けてください。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:

大学在学中に公認会計士試験に合格。 有限責任あずさ監査法人に入所。 主に法定監査、IPO支援、 M&A等を担当。 2016年公認会計士登録。 2017年税理士登録、同年税理士法人を設立。ベンチャー企業の戦略的財務パートナーとしての税務会計ファームへ発展させ企業成長を支援。 数々の顧問先支援の中で、決算開示業務における数々のレガシー課題を再認識し、IR人材不足と課題を解決すべく、2020年8月に当社を設立、代表取締役に就任。

 

企業情報

法人名

Uniforce株式会社

HP

https://uniforce.co.jp/

設立

2020年8月13日

事業内容

SaaS事業・バックオフィス業務支援(BPO)・IPO支援・社外CFO業務・ブランディング事業・資料デザイン事業

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