株式会社ソフツー 代表取締役 鍾 勝雄
IT技術を生かし、AIを用いて電話でのコミュニケーションの効率化を図るサービスを提供する株式会社ソフツー。日本中の会社が抱える人材不足の問題に着目し、電話対応業務をAIが請け負うことで、人間にしかできない仕事に遺憾なく力を発揮できる体制づくりをサポートしています。
今回は、中国出身で、日本にて大きな挑戦をし続ける代表取締役の鍾氏へインタビューしました。昨年ローンチしたばかりの注目のミライAIサービスを始めとした事業の内容や、これまでの苦労、今後の目標などについてお話しいただきました。
社員の作業の効率化を高めるミライAIが始動
事業の内容をお聞かせください
全部で3つあります。1つ目は、コールセンター向けのクラウド型コールセンターシステムサービス事業です。創業当時から15年くらい行っており、収益の95%を占めています。
2つ目は、昨年から始めた、起業向けのオフィス電話の自動応対・取次サービスのミライAIです。
3つ目は、ホテル向けの客室電話機の輸入販売です。一時期、売上が落ちたこともありましたが、その後回復して今に至ります。
ミライAIについて詳しくお聞かせください。
ミライAIは、担当者に繋いでほしいという電話の場合に、相手の名前をヒアリングし、都合が悪いもしくは担当が席を外しているなどの状況を含めた上で、取り次ぐかどうかをAIで判断します。もし電話に出られない場合には、用件を聞いて、チャットやメールなどにメッセージを残します。電話がかかってきた際に、なるべく人と話しているかのように感じられるよう、音声にもこだわりました。
商品の説明やよくある質問への対応も可能です。電話によって、社員の仕事が中断されてしまうと非効率的でもったいないため、AIができる範囲の対応は任せていただければと考えています。
おそらく、取り次ぎをAIで対応している会社は他にないです。他社では、取り次ぎ機能がなく、AIが対応して折り返すパターンが多いのではないでしょうか。
また、取次ミスを防ぐために、部署を始めとした一人ひとりの特徴を登録できます。例えば同じ名前の従業員が複数名在籍していても、追加で部署や職種などを確認することでAIが判別することが可能です。利便性が高いとお客様からご好評いただいています。
実演動画:https://www.youtube.com/watch?v=xsZGAS2IAh8
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
中国にいる頃から、IP電話の開発をしてきました。17年前に日本に来てから約2年間は、エンジニアとしてさまざまな現場を回りました。そこで、IP電話のクラウドサービスがほとんどないことに気がついたんです。それが1つ目のきっかけです。
2つ目が、とある職場の優秀な女性が、結婚して専業主婦になるといって退職したと聞いたことがきっかけです。15年前の日本ではこのような女性が多かったですね。しかし、中国では共働きがスタンダードなので、結婚をきっかけに退職することはもったいないと感じました。
そこで、家でもなにか仕事ができると良いなと思ったんです。そこで役に立ちたいと思ったのが、事業を始めた2つ目のきっかけです。
ちなみに、私は以前に中国で2回起業しています。1回目は大学時代、2000年のインターネットバブルの頃です。20〜30人くらいの学生が集まって起業したのですが、うまくいかず。2回目は、卒業後3年目くらいに、知り合いと一緒に起業。商品はできたけれど、売り方がわかりませんでした。
今回は、3回目の起業。日本だと環境も違うので、なんとかやれるのではないかと思って、ここまでなんとかやれてきましたね。
得意な能力を生かしてスピード感を意識して動く
仕事におけるこだわりを教えてください。
仕事におけるこだわりは4つあります。
1つ目は、流行に惑わされずに、得意な分野にフォーカスすることです。たとえ小さい領域でも、本業に専念し、そこの分野でナンバー1を取れるくらいに特化することです。
2つ目は、とにかくスピードを重視すること。多くの人は、失敗したくないからという理由で慎重になると思います。しかし、我々は変化の早い時代に生きています。10年前に流行ったものの中には、今は存在しないものもあるくらいです。
たとえ、自分達が一生懸命考えたとしても、時代やお客様のニーズに合うかはわかりません。使い心地を聞いた上で、改善改良していくことで、良い製品ができあがっていきます。なので、スピードを重視し、なるべく早く試すということを意識しています。「失敗は成功の母」という言葉もある通り、失敗を恐れずにチャレンジしていくことが大切なのではないでしょうか。
3つ目は、業界の年収ナンバー1です。だからこそ、少数精鋭の筋肉質な経営を目指しています。15年間、高収益を目指してやってきて、維持できています。
最後の1つは、ITシステムを扱う会社として、社員のエンジニアの割合が50%以上、かつグローバルな会社を目指すことです。
外国出身のたくさんの優秀な人材を、積極的に採用していきます。現在は約8カ国の人が集まっています。日々、自分達の国の背景を話しながら、チームでより良い商品の開発に向けて一丸となっているんです。そうした会社の在り方は、我々の強みになっていて、たくさんの恩恵を受けていると感じます。
起業から今までの最大の壁を教えてください
社員が同じ方向を向くということが組織にとって大切ですが、自分のコミュニケーション能力が問われており、そこに壁を感じます。言葉の壁もありますし、元々コミュニケーションが不得意なので、まだ苦労している最中ですね。
工夫していることは、変えられる部分があると信じて、とにかくいろいろな人と話す場を増やすことです。
私はエンジニアとして開発に携わることが好きだったので、当初はほとんど社内にいてずっとパソコンに向かっていました。しかし、それでは人と話さないので、コミュニケーション能力は上がりません。
2、3年前に社員へ「外に出るようにする」と宣言しました。そこから、経営者が集まる会合に参加して、色々な方とお話をすることを通して、コミュニケーション能力を上げられるように努めています。もちろん、日々勉強もしています。
社員の湯澤さん:部下の私の立場からすると、本人はコミュニケーション能力が低いと言っていましたが、話を親身になって聞いてくれる素敵な上司だと感じます。上から一方的に指示を出すだけの人も世の中にはいるかと思いますが、社長は部下の話も聞いた上で、解決案を一緒に考えてくれます。相談したことに対して、的確なアドバイスをくださるので、いつもとてもありがたく感じています。
エンジニアの力で未来の可能性を広げたい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
エンジニアの力で世界を変えられるという信念がモチベーションです。パソコンやカメラなど日常生活に欠かせないあらゆるものは、エンジニアが作っているんです。
エンジニアが力をうまく発揮できれば、より良い生活や世界を生み出せます。より良いサービスを作って、それを使ってもらえればお客様を幸せにでき、我々エンジニアの心も幸せで満たされます。
また、弊社の「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、 途切れることのない研究開発をし、IT技術で社会の発展に貢献する」という経営理念の元で働いていることも、モチベーションに繋がっていますね。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
現在はミライAIに注力しているので、これを世界中に普及させて、オフィス電話の在り方を変え、新しいスタンダードを作りたいです。
「8月から、完全無料のフリープランの提供も開始しています。」課金してサービスの幅を広げることもできます。しかし、大半のスタートアップはフリープランでも十分です。
私たちは「ミライAIを世に普及させよう」というミッションを掲げ、今は売り上げを立てることよりも、できるだけ多くの方々に使っていただき、AIを活用するメリットを実感していただきたいと考えています。
年間で1万ほどの会社に使っていただき、その会社の取引先などにも知っていただくという流れで、自然と世の中に浸透していけたら良いなと思っています。最終的には、大手企業さんなどにも使っていただけるように繋げていければ良いですね。
AIサービスを活用し能力を最大限に発揮できる世の中を
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
おそらく、今後はますますAIが当たり前の存在になると考えています。
今日本が抱えている深刻な問題の1つが、人手不足。ちなみに世界を見渡しても、人口減少が問題になっている国は多いです。この流れは、おそらく変えられないのではないでしょうか。そんな社会の中で、我々が豊かな生活を送っていくにはどうしたら良いのかを考える必要があります。
これから起業しようとする方は、人手不足の問題に直面するでしょう。採用をしても、人が来なかったり、転職したりします。その1つひとつを乗り越えるためには、AIをうまく活用し、人間は人間にしかできないやりがいのある仕事に適応させることが大切です。
今後、仕事を効率的に進めようとするうちに、一気にAIを身近に感じるようになるでしょう。時間や人手を活用するために、我々はお力添えをしたいと考えています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:鍾 勝雄
企業情報
法人名 |
株式会社ソフツー(SOFTSU Co., Ltd.) |
HP |
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設立 |
平成20年7月8日 |
事業内容 |
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沿革 |
2008年 07月会社設立 08月SOFTSU PHONE 1.0 リリース 09月SOFTSU CALL CENTER SYSTEM 1.2 リリース 2009年 04月ASP型 CTI コールセンターシステム BlueBean 1.0 リリース 09月BlueBean 1.2 リリース 2010年 02月BlueBean 3.0 リリース 04月本社を日本橋本町へ移転 06月中国国際ソフトウェア・インフォメーションサービスフェアにBlueBean を出展 09月総務省に電気通信事業届出(届出番号A-22-11358) 2011年 07月BlueBean 4.0 リリース 07月Fanvil Technology製SIP・VOIP機器を IPKIKI にて販売開始 08月BlueBean 対応IP回線にコヴィア・ネットワークスのFleaLine Lightを追加 09月BlueBean のパッケージプランを改訂 2012年 03月クラウドCTIコールセンターシステムBlueBeanの料金プランに初期費用無料プランを追加 10月クラウド型コールセンターシステムBlueBeanの対応電話回線にINS1500回線を追加しマルチキャリア化 10月クラウド型CTIコールセンターシステムBlueBeanの対応IP電話機メーカーにYealinkを追加 2013年 03月BlueBean5.0をリリース 03月本社を日本橋箱崎町へ移転 06月Fanvil Technologyと日本における総代理店契約を締結 2014年 05月BlueBean6.0をリリース 06月本社を日本橋蛎殻町へ移転 07月VTech Telecommunicationsのホテル用電話機を受注販売開始 12月VTech Telecommunicationsとホテル用電話機の日本総代理店契約を締結 2015年 06月BlueBean7.0をリリース 09月資本金を2000万円に増資 2016年 03月BlueBean8.0をリリース 07月オフィスフロアを増床 09月福岡営業所を開設 2017年 02月情報セキュリティマネジメントシステム「ISMS(ISO/IEC 27001)」の認証を取得 10月本社を中央区東日本橋へ移転 2018年 01月鍾 勝雄が代表取締役に就任 07月創業10周年を迎え、記念パーティを実施 08月東芝ICTパートナープログラム「RECAIUS SIパートナー」加入 2019年 01月365日いつでも申し込めるオンラインセルフサービスCTI「BlueBean365」サービス提供開始 08月経済産業省認定「スマートSMEサポーター(情報処理支援機関)」に認定 2020年 03月感染症対策のため、自社ソリューション「BlueBean」を活用し、全社でのテレワーク業務を開始 10月経営合理化のため、本社1拠点体制とし、福岡営業所を本社に統合 2021年 06月クラウドCTIコールセンターシステム「BlueBean」バージョン9をリリース 07月クラウドCTIコールセンターシステム「BlueBean」の契約数が10,000ライセンスを突破 2022年 04月AI電話自動応答・取り次ぎサービス「ミライAI」ベータ版サービスをリリース 2023年 02月AI電話自動応答・取り次ぎサービス「ミライAI」の正式サービスを開始 03月一般社団法人 新経済連盟へ加盟 |
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