【#103】スローガンは「全ての人にオーガニックな暮らしを。」。日本で一番厳しい基準を設けて安心できる商品を届けたい|代表取締役 松浦 愛(株式会社インユー/インユーマーケット)
株式会社インユー 代表取締役 松浦 愛
株式会社インユーの創業者である松浦 愛氏は、「IN YOU MARKET(インユーマーケット)」というオーガニックマーケットプレイス(プラットフォーム)の運営を手がけ、トレーサビリティを確立して信頼性の高い商品だけを提供しています。今回はお客様のことを一番に考える株式会社インユーの松浦 愛氏に、具体的な事業内容や起業した経緯、今後の展望について伺いました。
「世界で最も消費者にとって信頼できるオーガニックマーケットプレイス」を目指して
さっそくですが、事業内容をお聞かせください。
当社は、「IN YOU MARKET」というオーガニックのメディア(マーケットプレイス)を手がけています。IN YOU MARKETにはたくさんのベンダーさんが参画しており、企業数は1,100社ほど。商品数は2000-3000個以上にのぼります。
現在は国内取引をメインとしていますが、ゆくゆくは海外向けサイトも構築していきたいと考えています。
IN YOU MARKETは”日本で一番厳しい基準”を目指しており、各商品のトレーサビリティを掲載前の段階から確認する仕組みを取り入れています。これは、栽培方法や製造工程における農薬や化学肥料の使用の有無、遺伝子組み換えの有無などをチェックして安全性に配慮するものです。
このトレーサビリティの確認によって、当社で販売している商品の約99%程度が農薬、化学肥料、遺伝子組み換え由来の成分を使わないものになっています。
取り扱っている商品は、コスメや食品、サプリメント、衣類、寝具、生活用品などです。
ちなみにIN YOU MARKETとは別に「IN YOU Journal」というメディアも運営しております。こちらは創業当初(2016年)から運営を開始したもので、IN YOU MARKETよりもさらに前から運営しています。
IN YOU Journalはオーガニック志向の一般消費者に向けたメディアで、累計7,000記事以上あり、オーガニックに精通する消費者、経営者、プロデューサー、専門家、オーガニック業界に従事する方々にも愛読されてきました。
強みは長期間発信してきた影響で、オンライン経由での認知度が比較的高い点。
オーガニック系展示会でヒアリング調査を行なったところ、約70%以上の出店者・関係者がIN YOUを知っていたり、読んでいたことがわかりました。
IN YOU MARKETのように新しいビジネスを始める際も、もともとファンだった方が定着してくれていた点も、大きな強みに感じています。
「全ての人にオーガニックな暮らしを。」というスローガンをもとにしたコンテンツを色々な場所(メディア、SNS、サイトなどで)で発信しているので、「勉強しています」「メディア時代から知っています」「生活に役立っています」という前向きなお声をいただくこともあります。
オーガニックな暮らしとは具体的にどのようなものでしょうか?
一部の方々の中には、オーガニックを「あー有機野菜のことね」「意識高い系の人のためのものでしょ?」と非常に表面的に、時には若干曲がった見方で捉えている方がいます。
ただ、本来オーガニックとは、そういう意味ではありません。
狭義では、トレーサビリティと言って、「栽培履歴」、つまり栽培の工程でどんなものを使ってきたか、どのように育ったのか、という意味があったり、あるいはもっと広い意味ですと「本質」という語源もあります。
個人的には、後者の広い意味の方を好んで使っております。
農業、食べ物だけでなく、生活、人生観、仕事、全てにおいて「心身ともにバランスをとり、違和感のない生き方をすること」がオーガニックの本当のニュアンスに、より近いのではないか、と思うのです。
オーガニックというと何か、意識が高い人が買う嗜好品、高級志向のもの、という特別なイメージを持たれがちですが、実際には健康を犠牲にした結果、重病に罹患したり、精神疾患になってしまってから慌ててオーガニックや健康法を取り入れる人も多いんです。
でも、できればそうなる前から心身ともに満たされて欲しいな、と思いますね。
穏やかな状態を当たり前にキープできるのが理想であり、食べ物だけでなく、環境・仕事・人間関係、考え方、それらのバランスが健康を左右するのだと思います。
なお、私たちは今は”モノ”をメインに取り扱い、情報発信に取り組んでいますが、最終的には心身ともにストレスを抱えて病気になってしまう方を減らすための、さらなる解決策を人々に提案したいという思いがあります。
主にどのような方が読まれていますか?
幅広い年齢層の女性ですね。
女性が85%程度を占めています。
健康志向であったり、何かしらのきっかけがあって健康や環境に配慮し、当社を利用するようになる方も多いようです。
IN YOU MARKETのスローガンに「世界で最も消費者にとって信頼できるオーガニックマーケットプレイス」と掲げられていますが、実現に向けた取り組みを教えてください。
IN YOU MARKETは厳しい基準を設けているので、どなたでも商品を掲載できるわけではありません。仮に当社の利益につながるようなうまい話があっても、消費者のことを一番に考え、「消費者が不安に思うのではないか。」と少しでも思われるような不安なポイントや懸念点があれば、取引することをやめます。
出品をしているベンダーの方々の製品は事前にオーガニックに精通した専門家がヒアリング、審査、試食、試用して、最終的には規約も締結していただいています。
農産物などにおいても、不安が残るようであれば農薬の検査を推奨し、提携機関で検査をすることも。
このように、「家族や大切な人に心から使って欲しい」と感じられ、安全性を確信できたときにのみ販売を許可しています。お互いに同じ方向を向いて進めるような方法をとっています。
商売のためだけなら、もっと間口を広げてスピーディーに掲載する手もあると思いますが、ユーザーさんにスクリーニングの手間を取らずとも買い物をしていただきたい一心で、あえてそのようなステップを省かず重要視しているのが当社の特徴です。
現在の事業を始めた経緯を教えてください。
もともと当時はIN YOU Journalというメディアを運営しておりました。(現在も運営しています。)当初世の中にオーガニックや環境、セルフケアなどにまつわる情報を発信していました。ビジネスモデルとしては当時はブランドさんからの広告収入が主力でした。
しかし、それだけですとどうしてもクライアントありきの発信になってしまったり、広告に依存することになり、「本当にやりたいことができない」という気づきがありました。
これでは「私たちらしさ」を表現できないと考え、そこからIN YOU MARKETの立ち上げと、その後、商品開発に至ります。
また、以前から「サイト内で買い物をしたい」という声が上がっていました。
さらに、無料記事をボランティア発信しているだけではリアルな話、スタッフを雇ったりすることはおろか、生活すらまともに送れません。
ですから当時は、サイトに色々な他の会社の広告を紹介していたのですが、これを続けていても結局他のサイトに飛ばれてしまうだけであり、本当はたくさんの記事を見てもらいたいのに、一体何が目的なのかわからないサイトになりかねないな、と感じ、事業の軸を移行しました。
であれば商品展開や購入の場を自分たち自身で完全プロデュースして同じブランド内で全てを完結させたいと思ったのが現在の事業に至ったきっかけです。
お客様から「この会社を応援したい」と思ってもらえるような会社へ
仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。
「お買い物してくださるお客様を一番優先すること」にこだわっています。
働く人のクレドの中にも「顧客至上主義」というものがあります。
もちろん商品のやり取りにおいて大量の取引がありますので、何かしらのエラーで、どうしても一部トラブルが起こることもあります。
そのような場合は最善策を考え、真摯に対応することはもちろん、お客様に納得していただけるよう、お詫びの形を示し、相手の立場に立ってもう一度リピートしていただけるように配慮しております。
さらに、サービス設計の時点で、お客様が最終的に嫌な思いや損をすることのないよう、配慮しています。
最近「カスハラ」と言って、行き過ぎたクレーマーが社会で問題化していると言われていますが、私どもとしては、相手がクレーマーだと決めつけるのではなく、自責の念を持ち、自分たちにも問題がないのかどうか、常に謙虚に見つめ直すようにしていますし、スタッフにもそのように伝えています。
お客様からの満足度を上げるために、社内でもその点については、クレーム対策など、こまめな指導を心がけています。
私自身も、問い合わせのメールにはほぼ全て目を通して、常に画面の向こう側にいる人たちのことを日夜忘れないようにしています。
現場の社員にも逐一どんな問題があったのかなどヒアリングを行い、何が起きているのかを瞬時に把握し、仕組み改善、システム改善に活かしたり、全員で対策を検討するなど非常に注力している分野です。
私自身オンライン、オフライン、さまざまなサービスを利用してきましたが、おかげで、良い思いも嫌な思いも経験してきました。
ですから、IN YOU MARKETのお客様には「またここで買おう」と思っていただけるように、良い思いをしてもらいたいのです。
大前提、オーガニック業界は広告収入だけで生き残るのは難しいです。
所謂パリコレに出てくる大手ファッションブランドが雑誌掲載するように、広告収益のみで生きていけるような潤沢な資金が巡る業界ではありません。
大手のクライアントに頼った運営ですと厳しいので、一般消費者にお金を使っていただいて、応援していただかないとオーガニック事業自体が持続不可能になるわけです。
これを、私は「消費者から投票されるサービス」と表現しています。
私たちに限らず、この業界は本当に消費者ありき。
お客様が少しでもお買い物をしたい、この会社を応援したいと思ってもらえるような会社でないとすぐに廃れてしまいます。
”お客様は誰なのか”を考えた時、当社の場合はベンダー様もそうですし、エンドユーザーさんの力が必要不可欠なんですね。
ビジネスの本質として、「お客様の存在」は、とても大きいので、どんなにビジネスが成長したとしても、そこをおざなりにすることは許されませんし、おざなりにしておいて、長期でうまくいく会社はないかと思います。
ですから当社のメンバーも、クレドに反する行動をとっていると思った場合は、私自らで、指摘していますし、私自身が色々な人からの投票によって運営できている、という思いを持ち、謙虚な姿勢で仕事をすることを意識しています。
起業から今までの最大の壁を教えてください。
これまで多くの壁に直面してきましたので、お伝えしきれません。
ですが、なかでも人材採用や、人の面で苦労しましたね。
例えば、採用した方に問題があってクレームが一時的に増えたり、ある時には取引先に雑に仕事をされてしまい、商品が届かないという、泣くほど悔しい事故もありました。
私自身、そのような予期せぬことに対処するため、休日や深夜まで仕事することなんて、ザラです。
けれど、一番大事なことは、「自分がいくら真摯に努力したり、対応していても関わる相手を見誤ると、絶対にうまくいかない」ということ。
けれど、悔しいですが、その背景までカスタマーには伝わりません。
何かあっても「全部IN YOU MARKETが悪い、ひいてはお前(私)が悪い。」ということになるわけです。
ですので、経営とは、単なる契約ごと、お金のやり取りや、ビジネスというよりも、取引先や採用する人材なども含めた大きな意味での「付き合う人選び」の仕事だな、とつくづく思います。
恋愛や結婚とも若干似ているかもしれませんね。
人は関わる相手で人生を左右させられます。
間違った相手と結婚したら自分が真面目に頑張っていても、結果的におかしな方向に行ってしまったり、不幸になってしまうのと同じ。
働く人や、取引先の人などお仕事で関わる相手はよく検討して選ばないと後々本当に苦労することを学びましたね。
また、創業以降、散々広告を費やして、いろんな方々を採用してきましたが「広告費を大量にかけたところで残ったものはなんだったんだろう」と、ふと疑問に思うことがあります。
残念なことに、広告で集まってきても、真剣にお仕事をされない人や、事業に向き合わない人も、過去には多数いらっしゃいました。
何事もそうですが、広告費をかけて集まってきても、それは単純にお金の効果だけで、一時的なものである可能性が高いのだと思います。
「お金をかければお客さんや、いい人材が集まる」という世の中の幻想やカラクリに騙されてしまうと、本末転倒になります。
ベンチャー企業のイメージとして、「いけいけどんどん!」といった感じに、次々と洒落たいい立地のオフィスを借りたり、内装に大金をかけたり、あまり吟味せず、数十人、100人単位で採用を進めていくこともあるかと思いますが、これも一歩間違えれば事業自体が終わってしまうなど、崖からつき落とされるほどの大事故にもつながりかねないと思うのです。
やはり、どれだけ社長さん自体や、サービスが一時的に注目されていたとしても、足元を守り、堅実に慎重にやることが非常に重要だと思っております。
ベンダー様やお客様を裏切りたくない
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私の場合は、自分一人のモチベーションでやっているのではなく、常に誰かのために、やっているのが大きいですね。
誰かのため、というのは両親、家族など狭い意味はもちろんですが、広い意味では、「関わる全てのステークホルダー」のため、ということです。
特に、起業や経営は人を巻き込む仕事。
雇っている方や、お客様もそうですし、取引しているベンダー様も当社の場合はすでに1,100を超えているので、その方々を裏切ってはいけないという責任感が、進み続ける上で、大きな理由になっています。
「あなたを信頼していたのに、ダメだったね。」と言われるのは悔しいじゃないですか。
私自身は、非常に負けず嫌いなので「困難なことがあっても絶対に何とかする」、という強い意思で創業からずっと、歩んできました。
私やサービスを信じて登録してくれるベンダー様、お客様を裏切りたくないですからね。
誠心誠意、恩返しをできるようにと謙虚な気持ちでサービスを提供することを大前提としています。
また、取り扱っている商品は自社商品のミネリーというブランドを始め、1000を超える多くのベンダーさんが心を込めて作られたものばかりで、とても自信があるので、それらを広めることで、お客様の人生が、プラスになれば良いなと思います。
社員のモチベーション維持の秘訣はありますか?
自分でモチベーションを維持できる方もいれば、何もしないと次第に落ちてしまう方もいると思うのですが、私としては自分自身でモチベーションを高めていけるような人と仕事がしたいですね。
それでも、人から受ける刺激は大事なので、例えば、人と関わることが好きな方であればその頻度を増やしたり、ちょっとしたランチ、ごはん、イベントなどに誘うようにしています。
遠隔地や何かしらの理由でお会いできない場合は、サプライズ・ギフトを交換するカルチャーもあります。
仕事をする上で疑心暗鬼ではうまくいきません。
信頼できたり、以心伝心通じ合えたりすることが、非常に大事です。
くだらない雑談で盛り上がるだけでなく、仕事のなかでも意思疎通がスムーズにできたり、「この人とは、ぶつかり合っても分かり合える」という関係性が築けていれば、意見がぶつかる場面があっても、お互いに気持ちがいいもの。
そのため、私が思ったことはきちんと伝えますし、相手も思ったことを言っても怒られたり嫌味を言われたりしないんだ、と安心して思っていただけるよう対等に議論したり、意見を聞くようにしています。
また、相手の発言を途中で遮ったり、全否定して潰したりしないようにしています。
さらに、上の人に確認するという工程が多すぎると、社員が良いと思った意見を言えなくなってしまうので、そこは私自身が謙虚な姿勢で一人ひとりに向き合うようにしています。
ですが、意思決定は1つじゃないですか。
良かれと思って相手の意見を聞きすぎると、今度は「私(松浦)の意思が見えない」と周囲に無駄に迷わせてしまうこともあるので、経営者としての最終意見と、ディスカッションして意見を交換する場とを、バランスよく融合し最終的な落とし所を考えていくことが大事だなと思います。
全員の意見を聞き取って、全部を反映することは現実的ではないケースもあるので。
ただ、誰しも間違っていることは正さなければならないので、例えばお客様が困っているような際は、厳しく指摘しますが、普段のコミュニケーションでは対等にするよう心がけています。
目指すは海外進出。ゼロからサイトの構築作業へ
今後の展望をお聞かせください。
今後は海外進出を目指す予定です。
海外の方向けとなると通貨も決済も複雑になり、アプローチも異なるため、違うサイトをゼロから作っています。
サイトを立ち上げたらいきなり全世界で利用できるわけではないので、「この国にアプローチするにはどうするか」を一国ずつ検討しています。結構な時間とコスト、労力がかかるので直近の夢は海外進出を成功させること。
でも、将来的には同じような領域でも、全然違う事業もしてみたいですね。
また、海外進出と並行して、仕組みづくりと採用にも力を入れていきたいと考えています。
採用で期待する人物像はありますか?
今後は海外進出も予定しているので、英語が使える方、または、興味がある方を考えています。国内のことだけを考えてこぢんまり仕事をしていたい方には向いていないかもしれません。
また、当社では今後はハイブリッドを予定しており、リモートワークを一部導入しています。
当社に向いている人としては、誰かに意見を聞かれるまで何も発信しない方は認識齟齬でトラブルを起こしかねないので、「積極的に自分の意見を出せる方」「透明性のある情報共有が得意な方」が望ましいです。
当社はフラットで自由に発言できる環境であり、自分の意見を我慢する必要はありません。
国籍も年齢も性別も性格も問わず個性を持っている方が多いですし、そういった社員たちの個性を潰さない会社だとも思います。
個性を活かしつつ、自分の実力で事業をスケールさせたいという高い視座の人と働きたいですね。
日本で高齢化が進むにつれて、高齢者層に向けた商品開発を進めていくのでしょうか?また、海外進出する理由は人口減少にあるのでしょうか?
今は60-70代の方もLINEを使用する時代。オーガニック商品も購入してくれています。
それに、実は、オーガニックの需要はもともとシニア世代の方々が支えてきたと言われているんです。
昔から梅干しや味噌などの伝統食材、発酵生活のように無添加生活をしているシニアの方々がいることを想像できると思うのですが、そのような方々も、当社のサービスを利用してくれています。
反対に20代前半等の方々は、収入を家賃、美容、オシャレに充てたい方が多いため、オーガニック商品をあまり購入しない傾向があるように思います。
子どもを産んだけれどその子どもがアレルギーになったことがきっかけでオーガニックに興味を持ち始めた方や、もともとオーガニックに精通していて利用していた方、また何かのきっかけで健康に目覚めた方などが、お客様の大半を占めています。
そのため、若い方だけを意識したマーケティングは特に行っておりません。
海外進出の背景については、日本人とオーガニックの相性に問題があると考えています。
「日本食はヘルシーだ」という認識があり、例えば海外から遺伝子組み換えの輸入品がきても関心がなく、ただトレンドのものや出されたものを安全だと思い、思考停止状態で食べる方も多くいらっしゃいます。
日本人は社会や政治に関心がないと言いますが、実は政治と社会と食は繋がってるんですね。つまり、関心の無さが食の面にも、顕著に表れています。
それから、いまだにベジタリアンがオーガニックだと思っている方がいたり、無添加がオーガニックと同じものだと思っている方もいて、SNSでも間違った発信をしている方をよく見かけます。
海外諸国と比較してそのあたりのリテラシーが随分、遅れているようにも思います。
ですから、正直なところ日本は根本的にオーガニックとの親和性はあまり良くないのかなと考えています。
需要が少しずつ増えていくことはあり得ますが、とはいえ海外のように「当たり前にオーガニックを購入できる場所が至る所にあり、年々需要が拡大しているレベル」まで発展するのは、なかなか難しいのではと感じております。
また、最近は日本経済よりも他の国々が力をつけ、経済格差が大きくなってきているので、海外の方々に利用してもらうという視点に切り替えないと、この先、生き残れないんじゃないかな、とも考えております。
インバウンド向けの対策は講じているのでしょうか?
インバウンドはすぐにでも、対応できます。
旅行に来ている方に翻訳などを通して購入していただくことは可能です。
ただ、全体のプライオリティの問題もあり、今すぐそこにフォーカスするかどうかは不明です。
1つの野菜が何千円もするアメリカでは当社の商品も高い印象を与えないと思うので、時代の背景を活かし、海外に発信していければいいなと考えています。
老後も美味しくて健康的なものを食べてほしい
農業・ヘルスケア・医療への方向性も考えていますか?
1つのビジネスが上手くいけばシニア事業も将来的に手がけたいと考えています。
身内が不動産経営をしていることもありその辺の事業にも、関心があります。
理想としては例えば、シニア向けの施設を建てたいですね。
老後も美味しくて健康的なものを食べたり、良い環境でリラックスして過ごしたい方が大半を占めると思うので。
ホテルまではいかなくても、老後も肩身の狭い思いをせず、豊かで健康的な暮らしのできる施設を実現することが、もともとのやりたいことでもありました。
現役世代への「モノ」の提案だけでなく、精神面が充実するような提案や、老後の世界への提案まで広げられた時、私のなかで「ビジネスとして成功できた」とはじめて言えるのではないのかなと思います。
起業しようとしている方へのメッセージをお願いします。
厳しい話、私は、「誰しもが起業家に向いている」、「起業さえすれば幸せになれる」とは決して思っていません。確実に向いていない層もいると思います。
「経営者は華やかでキラキラしてそう」、「自由で好きなようにお金を使える」などのプラスのイメージを持っている方が多いかもしれませんが、仮に、そう思っているとしたら、SNSからの洗脳と誤解だと思います。
誰よりも大変であることに加え、誰よりもリスクがあり、誰よりも自由時間が少なく、誰よりも嫌な仕事をしないといけないケースだってたくさんあります。
実際、お金と時間と自由を全て手にした人なんて、ほんのわずか。
ネガティブキャンペーンのようにはなるのですが、8割は大変なことで、1-2割は楽しいこと、良いことがあればいいほうです。
さらに自己利益だけを優先する方ですと、いずれ足元をすくわれますので、お客様第一優先、ひいてはチームメンバーのことなど、関わる人への影響まで考えて動ける方でないと、長く続けるのは難しいかと思います。
それでも本当にやりたいことがあればやったらいいと思いますが、軽はずみにやってみるようなことではないですし、誰にでもおすすめできないことは、伝えたいです。
ただ、ラクして生きることや、言われたことだけをやるだけの人生がつまらないと感じていて、かつ目指す道のためならどんなに大変でも自力で乗り越えられるという気力と体力に自信のある方は起業家人生に、向いていると思います!
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:松浦 愛氏
北海道出身。立命館大学卒業。
新卒で有名ブランドへ入社し、その後ITベンチャー数社でセールス、サービス立ち上げ、採用などを幅広く経験。その後、現在の「IN YOU journal」の先駆けとなるオーガニックWEBメディアを立ち上げ。その後、2016年に株式会社インユー設立。現在はオーガニックマーケットプレイスIN YOU MARKETの運営や自社ブランドMinery(ミネリー)をプロデュースする。
企業情報
法人名 |
株式会社インユー |
HP |
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設立 |
2016年 2月 |
事業内容 |
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