home株式会社 代表取締役 吉田 喜一

home株式会社の代表取締役である吉田 喜一 氏は、自身が離婚で苦労した経験をきっかけに、夫婦仲や離婚について相談ができる「オンライン離婚プラットフォーム」を提供しています。専門家に気軽に相談できるだけでなく、定型文によってパートナーと冷静なやり取りが可能です。今回はそんなhome株式会社の代表取締役の吉田 喜一 氏に、具体的な事業内容や事業を始めた経緯、今後の展望について伺いました。

 

気軽に専門家に相談できる「オンライン離婚プラットフォーム」を提供

さっそくですが、事業内容をお聞かせください。

当社では、「オンライン離婚プラットフォーム」を提供しています。「専門家と相談が可能」、「夫と妻の当事者間で解決することが可能」、「無料でコンテンツを利用できる」など、大きく分けて3つの機能があります。

 

専門家とは、弁護士や離婚を専門としたカウンセラー、司法書士、行政書士などを指しています。当社と業務提携している専門家の中から選んでいただき、相談者の好きな時間・場所で気軽に相談が可能です。相談する際は、ビデオ通話だけでなくチャットなども選べるため、他者との会話が苦手な方でも相談しやすくなっています。

 

また、オンライン離婚プラットフォームを利用する際は、パートナーをメールで招待し、登録をしてもらいます。お互いに登録が完了したら、オンラインで養育費を請求したり、離婚協議書を作成したりするなど、離婚に関わる書類や手続きをプラットフォーム上で行うことが可能です。

 

その際のやり取りは、定型文と自由テキスト形式から選べる「夫婦チャット」を使用します。他のトークアプリを使用する方法もあると思いますが、定型文があったほうが返事をする煩わしさを解消できます。自由テキスト形式でも、誹謗中傷・不快な言葉は送信できないようになっているため、冷静なやり取りが可能です。

離婚問題は他者に相談しづらいと思いますが、何か工夫はされていますか?

3つ目の機能として挙げた「無料のコンテンツ」を利用してもらうことで、離婚問題を他者に相談するきっかけになると考えています。離婚の原因は多岐にわたるため、適切な知識が必要なこともあります。

 

当社が提供しているサービスでは、初回30分のみ専門家への相談が無料です。実際に専門家に相談してみることで、知識の必要性を感じられるだけでなく、信頼できる相談相手も見つけやすくなるでしょう。

 

離婚以外の夫婦関係の相談もありますか?

離婚に至るまでにもいくつかフェーズがあります。基本的に、夫婦仲を改善したいという段階から、当事者間で話し合っているけど上手く進まない、そして離婚を決意する、という流れです。

 

離婚を決意した方々が「オンライン離婚プラットフォーム」を利用するイメージがあるかもしれませんが、最初の段階の「夫婦仲を改善したい」という内容でも利用されることはあります。

離婚を経験したことで、悩んでいる方を救いたいと思った

現在の事業を始めた経緯を教えてください。

僕自身の原体験がこの事業を始めたきっかけです。僕も離婚を経験したのですが、その際、誰に何を相談すべきか分からないくらい知識がありませんでした。2年ほどかかって離婚したので、僕みたいに悩んでいる方を救いたいという気持ちから起業しました。

経歴を拝見したところ外資系の会社に勤めていたようですが、そこから起業した理由はありますか?

タイミングの問題ですね。外資系コンサルティング会社で働いていたときも学んだスキルを使って、お客様の課題解決に努めてきました。しかし、「なぜ僕がやらなければならないのか」という問いに、明確に答えられませんでした。

 

そこから、「僕がこれまで経験してきたことで解決したほうがいいこと」と「今まで培ってきたスキル」を組み合わせたときに、現在の事業にたどり着いた感じです。

もともと課題解決をすることにやりがいを感じていたのでしょうか?

そうですね、課題解決というとおおげさですが、今まで僕が培ってきた経験やスキルで何かできないかなと考えていました。点と点がつながって起業をした感じです。

会社員を辞めてすぐに起業したのですか?

実は外資系コンサルティング会社を辞めたあと、フリーランスをしていました。フリーランスになる目的は特にありませんでしたが、とりあえず会社を辞めることだけ決めていました。数ヶ月ほどフリーランスを経験している間に、案件の取得方法を学んだり、ベンチャーやスタートアップを支援したりしていました。

 

しかし、またしても「なぜ僕が支援をしているのか」という疑問が生じたのです。正直なところ、僕がやらなくてもいい事業やサービスは共感しにくいと思っていました。そこから、僕にしかできないことを考えたときに、フリーランスではなく自分で会社を立ち上げる必要があると考え、フリーランスになって1年か2年ほどで起業しました。

雰囲気で操作を完結できるような日程調整ツールにする

仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。

こだわりは2つあります。1つ目は、社会にインパクトを与えられるような事業をすることです。インパクトを与えることに優先順位をつけて、事業を展開していました。目先の利益に注目するのではなく、どうしてこの事業を行うのか、どういう方を救いたいのかということを常に考えて意思決定しています。2つ目は、いかにしてチームの総合力を高められるかという点です。

現時点で社会にインパクトを与えられていると感じますか?

与えられていますと答えたいところですが創業してまだ半年なので、今後に向けて種を蒔いている段階です。想定している10分の1、あるいは100分の1にとどまりますが、お客様や関係者から良い声が届いているので、より多くの方に評価してもらえたらと思っています。

起業から今までの最大の壁を教えてください。

これまで壁に感じた経験は主に2つあります。

1つ目は先ほどもお話しましたが、フリーランスをしていた時期に「なぜ自分が行うのか」という問いに対して答えを出せない時期が苦しかったです。

 

2つ目は起業後のお話で、会社の経営資源となる「ヒト・モノ・カネ」のうち、ヒト・カネで苦労しました。

 

ヒトに関しては、最初の4、5人を誰にするかで会社の雰囲気が決まると思ったので、リファラル採用を行いました。まず僕の友人にあたってみて、断られたら友人の友人を紹介してもらう方法で、当社のビジョンに共感してくれたり、相性が良いなと感じたりした方に来ていただきました。

 

カネに関しては、僕のこれまでのキャリアがサービスをつくるもので、お金関係や営業関係に携わってこなかった分、大変でした。

進み続けるモチベーションはありますか?

かっこいいことを言いたいのですが、「やるって決めたからにはやるしかなかった」というのが正直なところです。

義務感に押しつぶされそうになりませんでしたか?

それすら考えていなかったのかもしれません(笑)。

離婚する前段階の課題解決サービスも提供したい

今後の展望をお聞かせください。

短期的にはプラットフォームと謳っているとおり、あらゆる課題を解決していきたいと考えています。現在、当社が提供している「オンライン離婚プラットフォーム」は、専門家への相談や夫婦チャット、書類作成などの機能を利用する際は都度課金です。しかし、都度課金だと使いにくいので、サブスクにして低価格での提供を行い、より多くの方に使ってもらえるサービスにしたいなと考えています。

 

中長期的には、離婚する前のフェーズにおいても課題解決できるようなサービスを提供していきたいです。離婚までの変遷を考えたときに、「付き合う」、「結婚する」、「離婚する」という具合にいくつかのフェーズがあると思います。それぞれのフェーズにおいても課題解決ができるようなサービスを提供していきたいですね。

 

離婚に至る原因は多岐にわたりますが、大きく分けると「小さな不満の積み重ねパターン」と「不倫や借金などの大きなパターン」があると思います。後者の課題解決は容易ではありませんが、前者であれば工夫や心がけで変わると考えています。後者についても何かしらの予兆やきっかけがあると思うので、そこを特定できれば解決は可能かなと思います。

 

サービス面の他に、今後は人材採用にも力を入れていく予定です。主にエンジニアとセールスができる方を探しています。

 

セールスができる方については、当社と業務委託契約をしてくれる専門家の方を見つけていただき、アプローチをしてもらいたいと考えています。アプローチの方法は、フォームへの問い合わせとテレアポが主です。

 

専門家の方に対しては、集客面で貢献できると考えています。月に3~5件相談がきたうちの10%は専門家に相談がいくので、そこを魅力的だと思ってもらえたら業務委託契約を結ぶイメージです。

 

起業家を専門にしている弁護士の方と当社が業務委託契約をするとギャップがあると思うので、民事や家事を中心に担当している弁護士の方を希望しています。

 

専門家の方と業務委託ができれば、当社のサービスに載せるための「初期費用」と「毎月の掲載料」をいただき、その代わり当社は専門家の方にユーザーを紹介する仕組みです。

 

「覚悟」が必要

起業家へのメッセージをお願いします。

僕が言うのもおこがましいですが、「覚悟」が必要だと思います。どうしてもロジックだけでなく、行動や気持ちで乗り切らなければならないこともあります。覚悟がなければ心が折れてしまいそうになるタイミングがいくつかあるので、気持ちの部分は大きいです。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:吉田喜一 氏

1992年生まれ、佐賀県出身。

今まで、広告やデジタルマーケティング、外資系コンサルティング会社でプロジェクトマネージャー(PM)などを経験。

2022年2月に独立し、上場企業からスタートアップのプロダクトマネジメント(PdM)を行う。 2023年8月にhomeを創業。

 

企業情報

法人名

home株式会社

HP

https://company.home-counseling.com/

設立

2023年8月4日

事業内容

システムの企画、開発及び運営

 

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