ミクステンド株式会社 代表取締役 北野 智大

ミクステンド株式会社の代表取締役である北野 智大 氏は、学生時代にリクルートのインターン生として日程調整ツール「調整さん」の事業開発に参加していた経歴の持ち主です。数ある事業譲渡先の1つとして公平に審査された結果、「調整さん」を譲り受ける形でミクステンド株式会社を立ち上げています。今回はそんなミクステンド株式会社の代表取締役の北野 智大 氏に、具体的な事業内容や事業を始めた経緯、今後の展望について伺いました。

 

「調整さん」や「TimeRex」などの日程調整ツールの提供

さっそくですが、事業内容をお聞かせください。

当社は「日程調整のハードルを下げ「 はじまりをもっと近くに」というミッションを掲げ、「調整さん」や「TimeRex(タイムレックス)」などの日程調整ツールを提供しています。

 

「調整さん」では、飲み会・同窓会・結婚式二次会・旅行などのプライベートな日程調整を効率化することが可能です。「全員の日程調整・出欠管理作業」をスムーズに行えます。

「TimeRex」では、今回のような取材や採用の面談、営業の商談など、ビジネスの日程調整を効率化します。普段ビジネスパーソンが使用しているGoogleカレンダーやOffice365予定表とリアルタイムに相互連携し、日程候補のリストアップから予定登録まで、煩雑な日程調整タスクを自動化してくれるのが特徴です。

「調整さん」の開発チームにインターン生として加わっていた

現在の事業を始めた経緯を教えてください。

大学生のときにリクルートのインターン生として、「調整さん」の開発チームに加わっていたことがきっかけです。私は高校時代からITやコンピュータに興味があり、自分でWebサイトをつくって公開することもありました。

 

大学時代も同様のことをしていたのですが、将来的に大きい事業を自分で立ち上げたかったので、まずは会社でチームとして事業を開発する過程を学ぼうと考えました。

 

たまたまリクルートが学生インターンを募集しているのを見つけました。募集内容は新規事業部でしたので、大きい会社のなかで伸び伸びと新しいことにチャレンジできると思い参加したのが、リクルートとの出会いでした。

 

その後、4年ほど中心となって「調整さん」の開発チームに加わっていましたが、あるとき「調整さん」の事業売却の話が出てきました。

 

私はこれまで「調整さん」の開発に長く関わってきたので、自分で手掛けたいという気持ちが強くありました。

 

数ある事業譲渡先の1つとして公平に審査された結果、「調整さん」を譲り受ける形でミクステンド株式会社を立ち上げています。

 

コンピュータに興味を持ったきっかけはありますか?

学生時代の読書感想文がきっかけです。私はもともと勉強が苦手で、夏休みの課題も最終日が近づいてから手を付けていました。その課題のなかでも読書感想文が苦手で、少しでも面白く取り組めないだろうかと考え、Wordで作成することにしました。

 

当然ですが、原稿用紙に書いていて間違えたら消しゴムで消さなければいけませんが、Wordであれば簡単に削除ができます。また、書き足したいときにも気軽に文章を追記できたので、そこで可能性を感じてコンピュータに興味を持ちました。

雰囲気で操作を完結できるような日程調整ツールにする

仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。

日程調整ツールは非常にたくさんの方々に使っていただいているサービスです。そのため、新しい機能を追加することも欠かせません。しかし、長く使用しているユーザーが日程調整ツールを開いたときに、機能が追加されすぎて使いにくくなってしまっては本末転倒です。

 

そうならないためにも、「何も意識せずに使えるシンプルなもの」を心掛けています。そのうえで、いかに新しい価値をプラスしていけるかにこだわっています。

ユーザー目線に立つときに意識していることは何でしょうか?

「画面上の文字を読まなくても、雰囲気で操作を完結できるような日程調整ツールにする」と、社内でよく話しています。

 

「調整さん」や「TimeRex」などは、日程調整を効率化したい方や、URLをその場で渡されてすぐに日程調整しなければならない方が使ってくれています。そのため、日程調整ツールの操作が複雑であるほど、使う価値がなくなってしまいます。

 

長く使ってもらうためにも、意識せずに雰囲気で操作を完結できるようなツールを提供するよう意識しています。

起業から今までの最大の壁を教えてください。

最大の壁は、新型コロナウイルス感染症の拡大でした。当時はちょうど「TimeRex」が立ち上がったばかりで売上はたっていませんでした。また、もともとあった「調整さん」は飲み会や旅行などの日程調整ツールなので、コロナ禍で売上を伸ばすのは困難を極めていました。

 

当然のように「調整さん」の利用率は激減し、当社から利用を促すこともできず、売上は80%近く減りました。飲食店と同じような悩みを抱え、いつコロナが落ち着くのかも見通しがたっていなかったことが辛かったです。

 

しかし、プライベートな日程調整ツールである「調整さん」とは異なり、ビジネス用だった「TimeRex」はコロナ禍で利用者数を伸ばしました。コロナ禍で働き方を効率化する必要性が生じたり、会えないなかでもコミュニケーションをとったりする機会が増えたりしたことで、オンライン会議の需要が高まり「TimeRex」は使用される場面が増えました。

 

ものづくりの楽しさと、それを使ってもらえる嬉しさ

進み続けるモチベーションはどのようなことですか?

私が進み続けるモチベーションは、自分がつくったサービスをたくさんの方々に使用してもらえている嬉しさです。高校時代にWebサイトをつくるほど物作りが好きで、将来的にはものづくりをきっかけに自分で事業を立ち上げたいと考えていました。

 

そして、リクルートのインターン生として参加した事業を最終的に譲渡してもらい、そこで社長をするというストーリーはまったくもって予想していませんでした。しかし、結果的に意外な形でも夢を実現することができました。

 

ものづくりをしてうれしかった出来事はどんなものがありますか?

当時70歳の祖母にiPadをプレゼントしたのですが、ただ渡すのは面白くないので私がつくった脳トレアプリをいれました。ユーザーは祖母1人のみでしたが、日々使ってくれているのを見ると嬉しかったです。

 

現在も日程調整ツールというサービスをたくさんの方々が使ってくれているのが嬉しく、それがモチベーションになっています。

社員のみなさんの存在はモチベーションに大きく関わっていますか?

私1人でサービスをつくっていたときは限界を感じていました。そのため、デザインやビジネスなどさまざまな分野を得意とした仲間と切磋琢磨しながら作業したことで、最終的にサービスの提供が実現できました。

 

当たり前ではありますが、改めて考えると仲間の存在はモチベーションにも大きく関わりますね。

創業時は1人で作業していたとのことですが、最初の1人を採用した経緯をお聞かせください。

私がリクルートから独立したあとの約1年間は、事業の方向性を考えていました。そのなかで、事業を加速していくためには仲間がいると考えました。とはいえ、社長1人がやっているベンチャー企業に入ろうと思ってくれる方は少ないので、最初の1人目を採用するのはハードルが非常に高いことでした。

 

そのようなときに、昔一緒に「調整さん」の事業開発に携わっていたエンジニアの方で、転職を考えていそうな方がいました。私はその方に「調整さんの進捗を共有したいので話しませんか?あなたとなら一緒に成長していけると思います」ということで、ランチに3回ほど誘いました。

 

そこからその方が入ってくれたおかげで、外部の方から見ても社長以外に1人はエンジニアがいる、事業もきちんとしているということで、2人目からは採用のハードルが格段に下がりました。

日程調整は、社会がより豊かになる手段の1つ

今後の展望をお聞かせください。

当社は現在「調整さん」や「TimeRex」などの日程調整ツールを提供しており、日本国内のたくさんの方々に使用してもらっています。メインは日程調整ですが、意外とその周りの管理が煩わしくなることは少なくありません。

 

例えば、「日程調整したあとの予定の管理をどうするか」、「旅行に行く日付を決めたあと、一泊目にどこに泊まるのかを細かく決める」などが挙げられます。現在は他のツールを使用して管理しているところまでを、一括して当社の日程調整ツールで管理できるようにしたいと考えています。

 

つまり、当社の提供するサービスが、使用者のアシスタントのように動いてくれるものを目指しているわけです。

 

また、会いたいと思った相手と自動的に日程が組めるような、さらなる自動化も目指していきたいと考えています。例えば、飲みにいく約束をしても日程調整が面倒で、結局会わないこともあると思います。

 

その面倒さを当社の技術によってハードルを下げることができれば、人と人がより会いやすくなると考えています。日程調整の効率化はビジネスにおける業務改善だけでなく、社会がより豊かになる手段の1つになると期待しています。

1つのことに軸を絞って日々継続することが大事

起業家へのメッセージをお願いします。

私はITやコンピュータに関わるものづくりに興味を持って、探求し続けてきました。この1つの軸に絞って4年間継続してきたからこそ、実力を認められて事業譲渡していただけました。

 

このことから、1つのことに軸を絞って日々継続することが大事なのだと思います。そうすると、突然チャンスが現れたときにものにできる可能性が高まります。

 

起業は手段なので、人生でやりたいことがあるときに、それを実現できる状態になっておくことが重要です。その状態にたどり着くまで、何か1つの軸を日々継続していただきたいなと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:北野 智大 氏

大学4年時にリクルートのインターンとして「調整さん」の開発チームに加わる。

2年間のインターン経験後、大学を中退。フリーランスのエンジニアとして同事業に携わる。

2018年2月に起業し、翌月リクルートから「調整さん」を事業譲受。

 

採用ページはこちら

https://mixtend.com/careers/

 

企業情報

 

法人名

ミクステンド株式会社

HP

https://mixtend.com/

設立

2018年2月13日

事業内容

「調整さん」「TimeRex」など日程調整ツールの提供

沿革

2018年2月 ミクステンド株式会社 設立

2018年3月 調整さん関連事業を事業譲受

2019年10月 調整さん 会員数25万人を突破

2020年1月 日程調整自動化サービス「TimeRex」提供開始

2022年7月 TimeRex 日程調整回数100万回を突破

2023年10月 TimeRex 累計登録者数20万人を突破

2023年10月 調整さん アプリ提供開始

 

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