Do&Do. 株式会社 代表取締役 菊池 佑太
「Do&Do. 株式会社」は健康管理意識定着と改善の機会の創出のため、運動イベントの実施や健康データを定期的に自分たちで記録し、データから健康状況を振り返るという活動を行っています。
代表取締役を務める菊池 佑太氏は、マネジメントの経験から「とにかく行動する」ことを最重要視しています。今回は事業内容や起業の経緯、今後のビジョンについて詳しくお伺いしました。
「行動を起こすことの大切さ」を提唱していく
事業の内容をお聞かせください
事業の展開領域は健康・美容になります。一般向け、法人向けの両方をサービスとして展開しており、法人向けの方がより健康経営の取り組みに対するお悩みを一緒に解決させていただくようなエンタープライズのサービスとなっております。
具体的には「Do」という行動を起こすことを称賛し、次の行動へのモチベーションをブーストするサービスを提供しています。これを実現する仕組みとして、対面型かつライブでの運動プログラム、そのプログラム後に「Do note」というシステムを用いて、ご自身の体調、睡眠、食事、メンタルの健康に関する内容とDoへのアンケートを記録し、改善すべきポイントの振り返りを行うとリアルタイムで謝礼がもらえるシステムを提供しています。またGoogle Fit APIと連携し、お客様の歩行スピードのデータをもとに、健康な状態を目指した最適な行動改善プランを提示する機能もあります。
世の中に健康サービスはたくさんありますが、我々が特に重要視しているのが、「行動を起こすことの大切さ」を仕組みとして取り入れており、また自分のために行動するという意識から社会に貢献するという意識に繋げることをサービスの中で行っています。
統計を取ると、約8割の人は行動を起こしていないことがわかり、残りの2割の人は行動を起こすという結果になります。その行動を起こした2割の人の中で、継続ができる人は、ごくわずかです。皆さん健康になりたい、綺麗になりたいという願望は持っていますが、やはり8割の人は実際に行動に移していません。
そこで我々は行動を喚起できるような仕組みを提供し、行動できない矛盾をデータから打破したいと考えています。
「行動を起こすことの大切さ」に着目した理由は何でしょうか?
世の中に行動を起こす動機づけになるサービスがほとんどなかったことがきっかけです。我々の社名「Do&Do」は、「1回行動し、継続して2回行動を起こしてほしい」という意味が込められています。2回行動すれば健康や美容への改善の動きが定着できると思っています。
そして2回行動を取るためには、1回実行をした時のサービスの質の高さが非常に求められます。1回目の時に、体験者の方々が「あっ!」と感じるようなサービスを提供しない限りは、2回目に繋がらないと考えています。
そのため1回目の品質をどれだけ上げられるかに力を入れて挑戦しています。例えば少人数の対面型フィットネスイベントの実施です。10名ぐらいの方に来ていただき、ヨガやランニング、筋トレをしています。その先生方の指導が行き届く範囲の人数に絞って運動を行い、アンケートから分かるサービス改善を行うことでお客様の満足度を上げています。
そして運動を実施するだけではなく、運動後に健康の振り返りをデータで取っています。この運動の実施と健康の振り返りという、1セットを一度体験すると、終了後にデジタルギフト券の謝礼をその方々にリアルタイムでお渡ししています。
また我々のプログラムの中の一つの特徴は、安価にフィットネスを受けられることです。世の中にあるジムは安くて約3,000〜4,000円のところ、弊社は1,000円にまで価格を下げています。謝礼と低価格を売りにして、いかにサービスを受けた人たちが行動に対する怠け癖を排除し、継続できるかが我々の目標でもあり、そこからが新しいビジネスモデルのスタートになると考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
さきほどお話した「世の中に行動を起こすきっかけになるサービスがほとんどなかったこと」の他に、会社のマネージメントの人たちを支えたいという経緯があります。
前職で社員130名ぐらいのマネジメントをしていました。その任務の中で一番やるべきことは社員がしっかりと自立しパフォーマンスを発揮できるようにすることです。しかしマネジメントしていく中で、社員がとても優秀に育っていく一方で、その人の体やメンタルの状態が下がっていくことがありました。
そのような状態をいろいろ調べた結果、高い成果を出すことだけに注力するのではなく、社員のやりがいやモチベーションがとても大切だということがわかりました。そこで体の状態と仕事における高いパフォーマンスのギャップをどう縮めようかと常に悩んでいました。
私の与えられた仕事としては、とにかく仕事のパフォーマンスを上げてもらうために、エンバーマネジメントをしなければなりません。しかし私の知識や経験では社員たちの人としての生きがいを持つやる気やモチベーションに関して、マネジメントするのが非常に難しいのが現状でした。
自分が経験してきた視点からみると、健康やメンタルケアに関しては専門的な方にマネジメントしてほしいのが本音です。私はそこに着目しました。そして、社員の健康やメンタルをマネジメントできるようなサービスが外部にあるといいなと思うようになりました。おそらく多くの会社でトップマネジメントや中間マネジメントをしている方は、同じような悩みを抱えているので、サービスとして役に立つのではないかと考えました。
世の中にある仕組みとして産業医などの健康やメンタル相談ができるものもありますが、もう少し身近なスタンスで相談ができる仕組み、更には行動改善ができるサービスがあるべきだなと思いました。
このようなマネジメントの経験がきっかけで「行動を変える」というサービスをはじめました。
行動しながら意識を変えていくプロセスにこだわり
事業において意識していることやこだわりを教えてください
大切にしているこだわりはやはり「行動を2回以上とってもらう」ことです。人が行動するには2パターンあります。1つ目は正しい知識を持った上で行動するというパターンで、2つ目が行動しながら、正しい知識を得て良いベクトルに向かっていくパターンです。
1つ目は「計画行動理論」と言い、知識をちゃんと持った上で行動するパターンで、世の中の大半がこちらです。しかし私はその逆である2つ目のとにかく行動が先で、行動の後に持つ知識を正しくしていくパターンを我々は推進しています。
先ほどお話したように、8割の方が行動しないのは、知識を身につけて終わってる方が多いのではないかと思っています。知識を身につけた後に、面倒くさいなど様々な感情が湧いてきて、行動に移さずに終わってしまっていると考えています。
しかし我々の考えはとにかく1回動いてほしいというサービスです。1回行動した後で、健康に対する知識を身につけてもらえばいいので、とにかく行動して定着しながら意識を変えていくプロセスにこだわりを持っています。
例えば弊社の運動トレーナー以外にも、メンタルや管理栄養士さんのサポートが受けられます。受講者が行動を起こした後に様々な形でアドバイスができるように仕組みを整えて、行動しながら意識を変えていくプロセスにつなげていきたいです。
起業から今までの最大の壁を教えてください
一番精神的に辛くなることは、「安価でしかも謝礼がもらえるサービスなんて怪しい」と言われることです。お客様のほとんどは、質が良く価格が安いことに対して喜んでくれています。しかし一方で「こんなサービス展開ができるわけない。絶対に裏で怪しいことをしている」と思う人もいます。
もちろん怪しいことは全くしておらず、スポンサーを入れたり、法人向けのサービスの方で、利益を出しています。よって個人の方からお金をいただくことで収益化はしておらず、プロテインや炭酸飲料などのスポンサー企業様を運動プログラムの中で紹介する形でお金をいただいています。
ただこの仕組みを知らずにごく一部のお客様に「怪しい」と言われてしまいます。例えばオンラインで100人の方が参加しているプログラム中に、誰かが「このプログラムは怪しい」と書いたメッセージを流されてしまうこともあります。またデータの記録をする形式なので、そのデータを裏でなにか別なことに使っていると怪しまれることもあります。
そのように不審に思っている部分を丁寧に説明し理解を得ることが、精神的にとても大変です。どうやったらその消費者の方々に弊社のサービスが健全であることを手間無くうまく伝えるかが、今一番の壁になっています。
「自分としての正解」を作っていきたい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
やはり「行動を起こし継続ができる人」を増やしていくことがモチベーションです。先ほどお話ししたように、サービスに対して一部消費者の方々から懐疑的な意見を持たれています。しかし様々な意見を言われようが、我々は前進あるのみです。
弊社は今非常にリスクを取っているような事業です。そのせいか、事業に対してネガティブな意見も言われることもありますが、それでも正解は自分で定義するしかないと思っています。とにかく賛同いただいている消費者の方々やスポンサー企業様と共に、一緒にチームを組んで突き進みたいです。
そしてこの事業の素晴らしさを感じてもらい、成功することを自分としての正解としたいと思っています。正解レベルを点数化すると、多分今は5点ぐらいです。しかし今後50点ぐらいになれば、世の中の見え方も変わるはずです。
この先は5点の部分をいかに認めてもらうかということに挑戦しつつ、より多くの方々が行動を起こせるサービスを作っていくことに力を注いでいきます。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
我々の提供している健康プログラムも含めて、世の中にあるプログラムにまだまだワクワク感が足りないと思っています。ですのでワクワク感を生み出すようなゲーム感覚をプログラムに取り入れたいなと考えています。
例えばフィットネスジムに通っている方は、運動好きな人であれば当然ワクワクしてワークアウトしていますが、人によってはダイエットなどが辛いと感じてしまい、なかなかワクワク感を持つことが難しいと思います。そこで健康活動をゲームのシナリオのようにして、楽しみながら行動できる形に変えていきたいです。
まだ構想中ですが、健康ジャーニーマップのようなものを一個ずつ作って、それに対してシナリオを当てはめていき、クリアしていくと良いインセンティブがもらえるイメージです。あとはそのインセンティブを社会貢献につなげていき、自分にも社会にもリターンできる状態のものを作ろうとしています。
ただ全てデジタルで完結するサービスではなく、人のぬくもりを感じるものを提供したいです。本当に人間が最後に大事にしたいのは、やはり人と人の繋がりだと思います。人間同士がリアルの場でしかできないことが絶対にあるので、そのゲームの中に人が登場し対面もしくはライブで接することができる状況を考えています。AI時代と逆行しているかもしれませんが、リアルな体験は本当に重要だと思っています。
ビジネスのプロセスを身につけよう
起業しようとしている方へのメッセージをお願いします
起業はあくまで手段だという考えです。ですので、前もってビジネスのプロセスを身につけてから起業することをおすすめします。いきなりやりたいことだけで起業するのは結構ハードルが高いので一回就職してからでもいいと思います。
もちろん学生で起業することは、素晴らしいことです。一方リスクがあるので、就職すべきかどうかで悩むこともありますが、私はどちらを取ってもいいと思っています。ただ、悩む中で、もしそのビジネスのプロセスや構築方法がわからないのであれば、一回就職して企業の中で仕事の流れだったり、事業の仕組みだったりを体験することをおすすめします。
この点がわかってくると、ビジネスの成り立ちの部分はどこにいても再現可能だと思っています。どんなに会社に入って、どんな事業をやろうとしても、必ずそのプロセスは必要になります。
起業希望の学生と話すと、営業マーケしてお客様のリストを作って、そこから営業をかけて受注してというプロセスがわからない人が多いと感じています。お客様を集める方法を聞くと、大体の解答が広告を出すだけと答えますが、実は広告以外にも手段はいろんな形があります。
このビジネスプロセスは、実際に経験してみないと本当にわかりません。すぐにビジネスが形になりそうもないなら、起業にこだわらずに一回就職して、そこで経験を一年積んだ方がいいです。私自身もそうだったので、就職を経験してから起業をしても全く問題はないと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:菊池 佑太 氏
1983年生まれ。新潟県出身。東京学芸大学大学院卒。ヤフー、フリークアウトでインターネット広告におけるユーザー行動データの解析基盤を開発。また広告掲載のランキングアルゴリズムの研究開発におけるプロダクトマネジメントに従事した後、ABEJAなど複数のAIスタートアップにて取締役兼最高技術・製品責任者を担当。
その後、自身で2社起業し、2022年1月よりab3株式会社を共同創業、取締役CPOとして就任。ab3と並行して、2022年8月よりDo&Do. 株式会社の代表取締役として就任。
企業情報
法人名 |
Do&Do. 株式会社 |
HP |
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設立 |
2022年8月8日 |
事業内容 |
健康DX |
沿革 |
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【サービス情報】
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