株式会社ゼロワンブースター ミストサプリメント事業代表 長田 知也

ミストタイプのサプリメント「IN MIST」の開発や製造、販売を行う株式会社ゼロワンブースター。サントリーのイントレプレナー制度を利用して、長田氏が同社に出向し、新規事業として立ち上げました。手軽に、スタイリッシュに必要な栄養素を楽しく摂取できるサプリメントを開発し、3種類の商品を展開しています。

 

今回は、商品の内容はもちろん、サントリーのいち社員であった長田氏が、共同創業者の八木氏と出会い、イントレプレナー制度を活用して商品を開発した経緯や最大の壁、今度の展望などを話してくれました。

栄養補給を手軽に楽しく。ミスト型サプリメント「IN MIST」

事業の内容をお聞かせください。

長田氏:

INMISTとは、スプレーボトルに液体サプリメントを入れた商品です。口に加えてプッシュするとシュッとミストが出て、手軽に美味しく栄養を摂取できます。

 

せっかくサプリメントを購入しても、飲み忘れてしまう方は多いかと思います。また、錠剤が苦手で敬遠してしまう方のお悩みもよく耳にします。

 

サプリメントをミストにしたメリットは、3つあります。

1つ目は、飲むシーンが限定されにくいことです。水が不要であり、座っていても、立っていてもシュッとひと吹きで栄養を摂取でき、飲み忘れを防ぎます。

 

私は仕事中に摂取することも日常茶飯事です。例えば、ビタミンは定期的に摂取すると良いため、職場などの身近にIN MISTを置いておくのもおすすめです。

 

2つ目は、液体にしていることで、栄養素の吸収スピードが高まることです。ビタミンは口腔内からも吸収されるため、ミスト型のサプリメントは理にかなっています。

 

3つ目は、栄養補給に加えて、おいしさという付加価値があることです。商品ごとに、味を分けているので、複数の味を楽しんでいただけます。リフレッシュできるという側面もあり、気分転換にも役立ちます。

 

八木氏:

レモン、ミックスフルーツ、ジャスミン味の3種類があります。サントリーの商品開発経験者が作っているので、味は間違いありません。

 

成分が商品ごとに違うため、目的に応じて取り入れていただくのも良いと考えています。例えば、寝る前のリラックスや、日中の口の渇きを潤すためなど、目的はさまざまです。美容に興味のある女性はもちろん、味が好きで取り入れていただいているお客様も多いです。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

長田氏:

 

5年前に、サントリーで新規事業アイデアをコンペ形式でを募集したところ、八木氏がミストタイプの飲料のアイデアを送ってきてくれたことが、事業の出発点です。八木氏は、一般の応募者としてアイデアを送ってましたが、これが私たちの出会いのきっかけです。

 

当時、アイディアに感動したのですが、事業化には至りませんでした。しかし、時期を狙っていて、社内ベンチャー制度ができたタイミングで実現できました。

 

紆余曲折ありましたが、サプリメントと掛け合わせて、現在の商品が完成しました。

 

 

八木氏:

サントリーの企画がとても面白そうだと感じて応募しました。当時は、まだ電通で働いていましたが、初対面の人と事業をすることに対しては、特に不安はなかったです。

 

アイデアに対して愛があり、世に出したいという情熱があったため、ワクワクや前進したいという意気込みでいっぱいでした。

 

健康習慣の入り口になれるよう、考え抜き決断する。

仕事におけるこだわりを教えてください。

長田氏:

自分の軸を、これまで以上にしっかり持つことです。

 

私は、いちサラリーマンから、社内起業家になりました。これまでは、自分以外の人が動いてくれて、仕事が進むこともありました。しかし、起業後は、私が意思決定しなければ何も進まなくなり、状況は一変しました。

 

今は、失敗したとしたら、全て自分に原因があります。起業家として、これまでとは意識を変えて、自分の頭で常に考え抜き慎重に意思決定することや、自分軸を持つことにこだわっています。

 

 

八木氏:

とにかくユーザーのことを考え抜くことです。二人でお客様にインタビューをして、改善点を洗い出すことを定期的に行っています。

 

IN MISTは、手軽に健康習慣を取り入れられることをコンセプトとしています。ボトルのデザインをシンプルにしたのも、そのためです。

 

しかし、健康に良いとされる習慣も、継続しなければ意味がありません。習慣化は簡単ではないため、なるべく手軽な方法をご提案できるよう模索しています。

 

もし、サプリメントの摂取が習慣化されたら、ランニングなどの運動を取り入れたり、食事を変えたりなど、他の健康習慣も始められるかもしれません。我々のサプリメントが、お客様の健康習慣の入り口として役立てるよう、今後もユーザーの声を参考にブラッシュアップしていきます。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください。

まずは、コンセプト設計の段階で、壁を感じました。ミストタイプの飲料が、いかに必要な商品と認知してもらえるのか、当時はたくさん考えました。

 

「画期的!」と感動してもらえるように、試作やインタビューを繰り返しました。

 

次に、実現させるところでも壁がありました。味作りは自社でできたものの、ものづくりの面でとにかく苦労しました。スプレーボトルに飲料を入れて販売した実績は過去に見当たらなかったため、メーカーさんと出会うまでや容器の試行錯誤が大変でした。

 

しかし、幸運にも、「三谷バルブ様やルミカ様といった」コンセプトに共感してくれる会社と出会えて、実際に商品化することが叶いました。また、従来は何年もかかるはずの設計から製造の過程を、半年に短縮することができたことも、とてもありがたかったです。

 

八木氏:

 「ミストを飲む」という前例のないことに挑戦したことです。

 

新しいことに対しては、拒否反応を示す方が多いかと思います。そこのハードルを突破することが課題でした。これまでなかった商品を、いかにお客様の生活に溶け込ませられるのか、というところに大変さがありました。

 

商品の使い方と合わせて魅力をしっかりお伝えすることで、お客様に理解していただけていると感じます。

 

お客様からの喜びの声がモチベーションに

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

長田氏:

 

お客様にご満足いただいていること、そして自分自身が一人の愛用者としてプロダクトに満足していることから、商品への自信を心から持てていることが、モチベーションの源泉です。

 

特に、お客様から実際にお喜びの声をいただいたり、具体的なフィードバックをいただいたりすることは、とてもありがたく思います。

 

八木氏:

仕事をすること自体が「楽しい」と思えているため、モチベーションを保ち続けられています。

 

もちろん、全てがとんとん拍子にうまく進んだわけではありません。二人で考えた商品が、実際に世に出回るまでや、その後にお客様に手にとっていただくまでの過程も、苦労は多かったです。しかし、大変さがありながらもとても楽しく、充実して仕事と向き合えていたため、モチベーションは保ち続けられていました。

今後やりたいことや展望をお聞かせください。

長田氏:

我々の商品を、世界中のお客様に使っていただきたく考えています。ぜひ、手軽に健康習慣を取り入れていただきたいです。

 

また、私はイントレプレナーであり、会社を1から作った経験はありません。そのため、まずは今の事業を育てて独り立ちをして、二人で切磋琢磨し、プロダクトを世に広げていきたいです。

  

八木氏:

多くの人の健康の入り口として認知されることを目指します。忙しい日々の中で、なかなか得難かった健康習慣を取り入れられる代表的なツールとして選んでいただけたら嬉しいです。

 

また、サプリメントを通じた「楽しい」や「美味しい」という新しい体験も提供していきます。

 

今後も、商品を増やしていき、さまざまな悩みの解決に役立てるように精進します。

 

新しいことに対して、ぜひ段階を踏んで挑戦を。

新しい事業をしようとしている方や、新天地で活躍したい人へのアドバイスをお願いします。

 

長田氏:

もしチャンスがあるなら、ぜひ新しいことへ挑戦してみて欲しいと思います。

 

私自身、事業を始めてから人生観が変わりました。毎日新しいことに取り組んでおり、ワクワクしています。

 

サントリーで仕事をしていたときも、もちろん楽しさはありました。しかし、「やってみたい」と思ったタイミングで思い切って挑戦してみて、本当に良かったです。

 

やらない後悔より、やった後悔の方が良いと考えています。失敗したら、戻ってやり直せば良いと思います。人生を楽しむためにも、ぜひ前向きに考えていただきたいです。

 

八木氏:

とにかく、小さく始めてみることが良いと思います。最初からハードルを上げすぎてしまうと、踏みとどまってしまい、現状維持を選択することになりかねません。

 

最初は、小さく、次は中くらい、そこで手応えを感じたら大きく始める、というように、段階を踏んで挑戦してみるという方法も、ありだと考えています。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:長田 知也 氏 八木薫郎 氏

東京大学大学院農学生命科学研究科卒。同大学にて食品科学、分子生物学を専攻。サントリーに入社し、”GREEN DAKARA”や”角ハイボール缶”など、飲料/酒類の品質保証やR&D戦略企画、新規事業開発を経験。

サプリメントユーザーであったが、既存サプリメントの吸収効率や続けにくさに課題を感じ、新規形状のサプリメント開発を思い立つ。サントリーの社内ベンチャー制度で採択され、ゼロワンブースターへ出向し、INMIST事業を立ち上げる。JAPAN MENSA会員。

企業情報

法人名

株式会社ゼロワンブースター

HP

https://shop.inmist.jp/

設立

2012年3月22日

事業内容

起業家向けシェアオフィス、コーポレートアクセラレーター・イントラプレナーアクセラレータープログラム企画運営、企業内起業人材研修、投資および資金調達支援、事業創造コンサルティング、M&A仲介サポート等

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