トライズ株式会社 取締役 武隈 知世

トライズ株式会社は、英語を話せる方を日本に増やしていくことで日本社会のグローバル化や経済社会の発展に貢献している英会話スクールです。今回インタビューさせていただいた武隈 知世氏はトライズ株式会社の取締役であり、一つひとつのプログラムやサービスが受講生のためになるのかどうかを常に見極めています。今回はそんな熱い思いを持ったトライズ株式会社の取締役である武隈 知世氏に、具体的な事業内容や取締役に就任した経緯、今後の展望について伺いました。

 

英語を話せるようになりたい方に「英語コーチング」を提供

さっそくですが、事業内容をお聞かせください。

当社は、英語を話せるようになりたいと思っていらっしゃる一人ひとりに対して、「英語コーチング」を提供しています。マンツーマンの英語コーチング自体は2015年から当社が始めており、先駆けの一社とも言われています。

 

TORAIZの英語コーチングは、個別最適化された内容になっているのが特徴です。個々人が目標とする「英語を話せる自分像」に対してヒアリングをさせていただき、現状分析をして、目標と現状のギャップを把握します。

 

そのギャップの部分を第二言語習得研究の各理論や学習工学に基づく手法なども用いながら埋めていき、その方の目標やゴールに近づけていきます。コーチングの際は、当社から受講生様に専属のコンサルタントとネイティブのコーチが必ずつきます。これが一番の特徴です。

 

競合他社にも負けない強みや差別化しているところはありますか?

差別化ポイントは3つあります。1つ目は個別最適化、2つ目は専任制のネイティブコーチとの発話、3つ目はそこを繋げるためのデータをしっかりと使っているところです。

 

英語コーチングはここ10年で驚くほどに増えましたが、それだけニーズがあるということが分かりますよね。

 

まず、個別最適化について説明します。当社は、オリジナルのテキストブックを作っていません。他の英会話教室であれば、初級者・中級者・上級者に合わせたテキストを制作し、それぞれ購入していただき、そちらを使用して学習していく方法が主流です。しかし、当社ではゴールに沿った目的志向で耳と口をしっかりと鍛えていくことを大切にしています。

 

英語と日本語の文章があり、音源があれば、世界中のどのようなものでもモデリングになり得ます。それはイコール、その方がどのような業種でどのような会社でどのような職務をされているのかということに対して、個別最適化された価値を提供できるようになります。今年の6月には事業として10年目に入るのですが、この方法を10年間曲げずに続けています。

 

どのような方が受講されていますか?また受講期間やコースなども教えていただけますか?

受講生様の中には大企業で役員を務めている方もいますし、学生さんもいらっしゃいます。英語レベルで言うと、極端な話、「TOEICは990点取れているけれど喋れません」という方や、「中学英語も危ういです」という方もいらっしゃいます。

 

このように受講生様の職業や年齢、英語レベルはさまざまで、英語を話せるようになりたい方々が来てくださっています。とはいえ今一番ボリュームゾーンになっているのは30代後半から40代の方です。「英語を話せないと仕事がうまく回せない」と真剣に困っていらっしゃる方が多い印象ですね。

 

ベンチャー企業から大手企業までの経験を経て取締役へ

取締役(CCSO)に就任するまでの経緯を教えてください。

私はリクルート系求人広告の営業会社に新卒で入社し、そこで2年半〜3年間ほど働きました。その後、求人広告のときのお客様の会社に転職をしました。飲食系のベンチャー企業でしたが、そこで2年間ほど品質管理や人事採用、広報などを経験しました。

 

そこは急成長したベンチャー企業でしたが、ベンチャー企業ならではの楽しさや苦労を知りました。入社時の従業員数は50人ほどでしたが、1年後には200〜250人ほどに増え、急成長しました。

 

少ない予算内で200人を超える従業員を採用するというのは、まさにベンチャー企業という感じで大変でしたね。英語が話せたので、シンガポールや香港などに店舗を立ち上げるために、現地に行くこともありました。

 

その際、食材を扱う日本の企業がたくさん海外に進出すればいいなと考え、英語を話せる人を増やしたいと意識し始めるようになりました。そこから2017年に転職をし、最初の1年半ほどコンサルタントとして、トライズの大阪梅田センターで受講生様のサポートをしました。

 

そこから当社代表の三木にわがままを言いまして、勉強のために2ヶ月ほど休みをもらってニューヨークに行きました。その当時、私のわがままに対して即答で「いいよ」と許可をして、30分後には社内の仕組として自己研鑽の休暇制度を作っていたので驚きましたね。

 

日本に戻ってきたあとは、東京の本社に異動となり、営業部長としてノウハウの指導をしたり、法人営業を立ち上げたりしました。

 

センターマネージャーなどの管理職を経ずにいきなり営業部長にステップアップしたので周囲からも驚かれましたが、そこからさまざまなことを私自身、学ばせてもらいました。

 

英語コーチングでは現在も6ヶ月や12ヶ月というように期間を設けて英語を話せるようにすることがメインなのですが、一方でTOEICのスコアも伸ばしたいという受講生様も結構いらっしゃいます。そういった受講生様のお声に応えるため、TOEICのスコアを伸ばすための短期プログラムなども整えました。

 

法人営業が順調に伸びていたので、2021年には執行役員に就かないかという話をいただきました。しかし、私としてはこのままベンチャー規模の会社に居続けるべきか悩みました。「大きい会社で働いたら私はどのような感じになるのだろう」と考えるきっかけにもなりました。

 

ご縁があり、アマゾンジャパンの面接に通りまして、それもまた三木に相談しました。

 

そこでも三木は、「行ってきたら?気が済んだら帰ってきたらいい」と言ってくれました。そのため、私は実際にアマゾンジャパンで1年半ほど働きました。その間に三木とランチをする機会があり、三木から「もうそろそろ戻ってきてもいい頃合いではないか?やり残してきたことあるのでは?」と言われました。

 

私は1年半という短い期間だったにも関わらず、自身の成長を感じられましたし、やり残していることがあると思ったので、戻ることにしました。そしてそのタイミングで取締役を任せていただきました。

 

大企業ではなくベンチャー企業を選んだ理由はありますか?

小規模の会社で働いていた経験があったことも理由の一つにあると思いますが、やはり大きい会社にいるとone of them(大勢のうちの1人)なのです。

 

ベンチャー企業で仕事をしていると、「自分でやっている」というやりがいのようなものが、ダイレクトに感じられます。大手とベンチャー企業の良し悪しを知っている私だからこそできることもありますし、ベンチャー企業だからこそやりたいことが見つかりやすいという部分もありますね。

 

本当に受講生様のためになるのかどうかが大事

仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。

私が一番大事にしているのは、一つひとつのプログラムや提供サービスが受講生様のためになるのかどうかを見極めることです。先ほどお話したような、お一人おひとりの受講生様に、無限の最適化が可能ななかで本当に有効なプログラムを提供できているのか、というところから経営判断までのすべてにいえます。

 

それ自体はアマゾンジャパンで働いているときに学びました。私が所属していた部署のトップの方が、経営判断を下すときにも利益や売上より顧客目線に立っているかどうか、という疑問をチーム全体によく投げかけていました。

 

私にとってそれがとても印象的でしたし、アマゾン社が大きくなった理由の一つだろうなと思います。私が「受講生様のためになっているのか」にこだわるのは、受講生様の思いを預かる仕事だからこそという気持ちもありますし、アマゾンジャパンで得た体験からでもあります。

 

必要以上に自分を卑下したり謙遜したりする言葉は使わない

最年少取締役として何か意識していることはありますか?

当社では確かに最年少なのですが、34歳で取締役というとそれこそ同世代で会社を立ち上げていらっしゃる方も世の中にはたくさんいますし、若いかというと絶妙なラインですよね。したがって難しいのですが、強いて言うなら何でしょうね。

 

自分を卑下するような発言や、必要以上に謙遜したりする発言はしないように意識しています。なぜなら、信頼して任せていただいたにも関わらず、私が卑下したり謙遜したりすると、任せてくださった方々への裏切りになると思ったからです。

 

私が営業部長になったときも、基本的に部下になる方は年上の方でした。そうすると、「私なんかまだまだ」などといった言葉を言ってしまいそうになるのですが、良くないと感じたのです。

 

社員時代も成果にこだわっていたので、そういう実績があって選んでいただいているということを、後に続くさらに若い社員が出てくるように、自分の中で強く持って、謙遜しすぎないように今でも気をつけています。

 

取締役に就任してからいままでの最大の壁を教えてください。

正直言うと毎日壁に直面しています。なぜなら、ベンチャー企業はフットワークが軽いので、毎日やることが増えていくからです。代表の三木が「最短最速」を大事にしていて、常にPDCAをすばやく回しています。

 

以前、社内の幹部研修のときに、当社の強みを付箋に書いて貼り出す企画を実施しました。そのとき、「PDCAが速すぎる」という意見が出たのが印象的でした。そのくらい日々多くのデータを数値化して、それをどんどん回していくスタイルなので、毎日が乗り越えるべき壁となっています。

 

直近1年での一番大きな壁は、昨年秋に開催したイベントの運営です。色々なことをこなさなければいけないなか、タイムマネジメントや、自分が詰まることの責任の重さを改めて実感しました。

 

進み続けるモチベーションはありますか?

トライズ自体はこれまで10,000名を超える受講生様に利用していただきました。これは言い換えると、それだけ英語を話せる方が日本に増えたという数字でもあります。

 

今後も英語を話せる方を増やし続けることで、海外に進出する方や海外から来てくださる方が増えると思います。そうなれば日本で英語に触れる機会も増えると思うので、事業としては受講生様の増加にもつながりますし、結果として英語を話せる方がさらに増えていくというようにすべて直結していることがモチベーションになっています。

 

人の言葉や思いを汲み取れるのはAIではなく人

今後の展望をお聞かせください。

AIがとても発達しているので、「本当に英語を話せるようになる必要はあるの?」という議論がよく見られます。しかし、コミュニケーションの9割は非言語(non-verbal)、1割が言語(verbal)です。恐らく現時点で非言語の部分はAIでも太刀打ちできないと思います。

 

結局9割の非言語と1割の言語を合わせてコミュニケーションです。人の言葉や思いを汲み取れるのは人なので、英語コーチングというビジネスは今後も続けるべきだと考えています。

 

サービス(英語コーチングプログラム・英語研修プログラム)を利用しようとしている方へメッセージをお願いします。

自分の耳で話を聞いて自分の口で思いを伝えるというのは、「AIが発達したから日本語を話せなくてもいい」とはならないことと同じだと思います。

 

英語を話せるようになりたいという受講生様の思いを、当社では日本人のコンサルタントと、ネイティブのコーチのマンツーマンでサポートしている点もこだわりですし、ぜひ選んでいただきたいスクールだと、事業者としても、一回外に出た一個人としても思っています。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

取締役データ:武隈 知世 氏

2017年3月 トライズ株式会社入社

2019年1月 事業本部営業部長

2019年11月 事業本部コーポレートソリューション部長

2021年5月 執行役員マーケティング・セールス部長

2021年8月 アマゾンジャパン合同会社入社

2023年2月 トライズ株式会社取締役CCSOコーポレート担当

 

企業情報

法人名

トライズ株式会社(TORAIZ Inc.)

HP

https://toraiz.co.jp/

設立

2006年12月20日

事業内容

語学教育事業、デジタル教育事業

 

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