CPAエクセレントパートナーズ株式会社 代表取締役 国見 健介
公認会計士資格スクールである「CPA会計学院」や、完全無料で簿記や会計を学べる「CPAラーニング」をはじめ、教育・キャリア・人材交流支援事業を展開するCPAエクセレントパートナーズ株式会社。人の可能性を広げること、人生を豊かにすることを目的として、会計人材に貢献するインフラ企業となることをコーポレートミッションに掲げています。今回は代表取締役の国見健介氏に、事業内容や仕事のこだわりを詳しくお伺いしました。
サービスを「線」で提供することで、会計人材の生涯支援を支えるインフラ企業になる
事業の内容をお聞かせください。
当社は、大きく分けて3つの事業を軸としています。まず1つ目が学びの支援です。「CPA会計学院」というスクールを母体とする当社では、日本の公認会計士の資格はもちろん、アメリカの公認会計士(USCPA)の資格を取得するための講座も用意しています。2023年には、日本の公認会計士試験合格者の過半数以上の合格者を輩出しました。
また、「CPAラーニング」というeラーニングのプラットフォームを展開しております。検定試験のための勉強となると、どうしても実務から少し外れてしまう部分があるのですが、簿記検定をはじめ、経理やIPO、M&Aや税務といった実務的な内容までカバーできるような内容となっています。現在、1,000本以上の講座を無料で提供しており、45万人ほどの会員の方々にご登録いただいております。教材や講義のクオリティにはもちろんこだわっていますが、勉強中はモチベーションの維持もとても大事ですので、受講生同士のコミュニケーションを促し、共に学ぶ仲間と気軽に繋がれる環境作りを意識しています。
2つ目が、イベントを通じた交流の支援です。当社のオフィスの6階にあるラウンジスペースを利用して、CFOの方々を対象とした100名規模の交流会や、将来CFOを目指す若手会計士が現役CFOと接点を持てるようなイベントを開催しています。こうした集まりは、経営者間で新たなビジネスチャンスを創出しやすくするだけでなく、若手の方には経験豊富な先輩からの貴重なアドバイスを受けられる場としても機能します。我々が人と人を繋ぐ場を設けることで、参加者が新しい知見を得たり世界観を広げたりするきっかけになれば嬉しいです。
3つ目が、採用や転職といったキャリア支援です。会計はどの企業や組織にとっても不可欠な部門であるのと同時に、会計人材にとってはキャリアアップが非常に重要です。そのため、優秀な人材を必要とする企業と、スキルアップを目指す会計人材を我々が結び付け、業界全体の発展に貢献したいと考えています。
これらの学び・交流・キャリア支援の3つの柱を軸に、会計人材が社会に与える影響を2倍、3倍へと高めていくことで、間接的に日本中の企業に貢献していくことが当社の事業コンセプトです。いずれの事業も会計人材を生涯に渡って支えるために必要不可欠な要素ですので、彼ら・彼女らの可能性を広げ、人生を豊かにするためのインフラ企業となるためにグループ全体で取り組んでいます。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
実家が家業を営んでいたため、将来自分も経営者になるというイメージを昔から持っていました。親から「経営者になるための準備として、公認会計士の資格を取りなさい」と言われて勉強を始めたところ、大学生の時に合格することが出来ました。
当時、公認会計士のような難関資格を目指す過程で、合否によって受験者の運命が大きく分かれることを実感しました。しかし、合格者と不合格者との間に実質的な差はほとんどないことにも気づきました。このことは、一緒に勉強した友人や、私が資格取得後に公認会計士の育成を担うチューターとして指導した後輩たちを見ていても同じように感じました。
ただ、たまたま良い先生に出会えた、良い勉強仲間に出会えた、モチベーションを高くキープできたなどの些細な要因で合否の明暗が分かれてしまうと実感しました。それによって、合格者が自信を持って次のステージに進む一方で、合格できずに自信を失い、負のサイクルに陥ってしまう方もいます。資格試験や大学入試、仕事のプロジェクトもそうですが、後から振り返ってみれば1つの出来事で人生の明暗が大きく分かれてしまう訳ではないと分かります。しかし夢中で取り組んでいる時は、なかなか上手く切り替えられないものです。
そんな中で、日本の大学入試の予備校や資格試験の学校について考えてみたときに、合格までは受講生にコミットしているのに、その後のことにはあまり興味が無いような印象を受けたんです。転職エージェントも同様で、転職活動そのものにはビジネスとしてコミットするものの、その前後の段階では転職者に深く関わっていないように感じます。どちらに関しても、提供されるサービスが「点」としてのみ存在していて、とてももったいなく感じました。
各段階を「線」で結んでいくことが出来れば、人の可能性をさらに広げられるはずです。この気付きから日本一の会計スクールを作り、生涯にわたる支援を行っていこうと考え、会社を興しました。
ミッション・ビジョンの共有が、理想に近づくための大きな力を生む
仕事におけるこだわりを教えてください。
出来るだけ多くの人に貢献すること、そしてその質を高めていくことが何よりも譲れない軸です。そのためにも多くの人とミッションやビジョンを共有し、共に進んでいくことを大切にしています。
やはり、一人で出来ることはどうしても限られてしまいます。仮に今の私に50の力があるとしても、どれだけ頑張っても100や150にするのが限界です。しかし、同じ50の力を持つ仲間が1,000人集まれば、それだけで50,000もの力を生み出すことができます。
「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいなら皆で行け」という言葉がありますが、多くの人と協力しながら進むからこそより多くの人に貢献でき、その質を高めていけると考えています。そのためにも、ミッションやビジョンを明確なイメージとして共有できているかどうかは重要なポイントです。どれだけ多くの人を集めても、目的が同じでなければ大きな力は発揮されません。
ラグビーのスクラムでも、同じ方向に向かうからこそ大きな力が生み出されますが、いくら一人ひとりに実力があっても、バラバラの方向を向いてしまっていては本来の力を発揮できなくなってしまいます。
したがって、組織が目指す10年後、20年後の未来に対するミッションやビジョンを明確な絵として描き、その絵を仲間に共有し、一緒に実現させていくことを非常に重視しています。
また、共に働く仲間が充実感を得られる環境を作ることも大切にしています。私は、お客さまや業界関係者だけでなく、一緒に働くメンバーに対しても同じように貢献したいという気持ちを持っています。
私を含め、全ての人にとって自分が主人公である人生において、誰しもが自分自身が幸せになるために生きていると思うので、個人のキャリアや経験、収入に対して良い影響を与えられる組織であり続けたいと思っています。日々の業務にやりがいを感じてもらうべく、私自身がもしメンバーの立場だったらという視点で、今のこの組織に対して「ここで働き続けたい」と思えるかどうかを常に考えています。
どんなに明確なミッションやビジョンがあっても、個人の幸せを満たすことが出来なければ別のコミュニティへの流出を促してしまいますので、描いた絵を実現していく過程で周りの人にも理想に近づいていることを実感してもらいながら、個人の人生の充実度にも寄与していきたいと思っています。
起業から今までの最大の壁を教えてください。
資金繰りが最も大きな壁でした。人は食べなければ生きていけませんが、食事だけが生活の全てではありません。会社も同様で、お金を稼ぐことだけが存在理由ではないものの資金が尽きれば存続できません。
創業初期は何も持っておらず、限られた資金の中でも自分の理想を追求しながら採算を取る方法を模索しなければなりませんでした。
実際、資金があれば9割の問題はどうにか解決できるでしょう。従業員の給料を倍にしたり、広告宣伝費を3倍、5倍に増やしたりすることも可能です。しかし、資金が限られていた時期はいかにして少ない予算で満足のいく成果を出すのか、その葛藤が絶えずありました。
自分自身のレベルを上げることで、人々の人生も自分の人生も豊かにする
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
綺麗事を言うつもりはないのですが、私と関わってくださる人の人生を豊かにしたいという思いと同じように、私自身の人生をどれだけ充実させられるかを常に考えています。
人生はロールプレイングゲームに似ています。レベル3の自分がレべル3の課題をこなす苦労と、レべル50の自分がレベル50の課題をこなす苦労は変わらないのに、自分がレベル50になればレベル30の課題を簡単にこなせるようになるものです。力をつけるほど得られるものが大きくなる上に、自分がレべル50になることで同等の力を持つ人と協力関係を築けるようになり、出来ることが加速度的に増えていきます。自分が人に貢献できることを増やしていけば、周りからの感謝や信頼にも繋がりますし、その信頼関係は私が次に実現したい目標に向かうための、力をもたらしてくれると考えています。シンプルな原理原則ではありますが、お互いがお互いのために貢献し合うことで好循環が生まれ、自分自身も周りの人もハッピーにできると思っています。
例えば、一日を70%の力で過ごしているか、100%を出し切っているかというのは、周りからは気づかれにくい違いかもしれませんが、それを365日積み重ねたときに到達できる地点は圧倒的に変わってくるはずです。
一度きりの人生において、手を抜いてしまうことはリスクであると同時にもったいないことなので、自分自身がやりがいを感じられる選択肢や、充実感を得られる道を選ぶことを意識しています。とはいえ、人間は弱い生き物なのです。毎回ベストな選択肢を選べるわけではないのですが、それでも100回の岐路があったときに、10回しか選べないよりも80回選べた方がより高く、より遠くへ到達できるだろうと考えています。
また、社内に3人の同級生と多くの元教え子がいるということも、私にとって大きなモチベーションになっています。彼ら・彼女らは他のキャリアも選べる選択肢と、どこにいても活躍できる能力を持っています。そうした優秀な仲間が現役を引退した際に「CPAを選んだのは失敗だった」と感じることがないよう、私も努力を続けています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください。
今後は、周りの人への貢献度をさらに高めたいと考えています。関わる人の数を増やすと同時に、貢献の質も向上させることが理想です。
まずは日本全国にいる約100万人から150万人の会計人材に対して、どう貢献できるかの策を練っています。具体的には、彼ら・彼女らの給与を2倍、3倍に増やす方法を検討しています。給料が上がると自ずと会計人材の社会的な価値も向上し、日本中の組織にもプラスの影響を与えることができると信じています。
我々が経済的にも精神的にも成長し続けることが、人々の生活の充実感や幸福感に直接的な影響を及ぼし、その波及効果が社会全体に広がっていくと考えています。日本が過去30年間で経験した経済的な衰退を踏まえ、かつて世界のGDPの18%を占めた国としての地位を取り戻すためには「自分さえよければいい」という個人主義から脱却し、より広い視野で社会や業界の改善に取り組む姿勢が必要です。
明治維新以降、社会全体を良くしようと努力した数々のリーダーがいてくれたお陰で、食べ物に困らない今日の豊かな生活があります。我々の世代も自分たちだけでなく、子どもや孫たちが充実して暮らせるような社会の基盤を築く努力が必要なのではないでしょうか。「自分が幸せなら良い」「自分の会社だけが儲かればいい」という視野の狭い考え方ではなく、社会全体への貢献を目指す人が増えて欲しいと願っています。そのためにはまず、我々が主導しながら会計業界にそうした考え方を広げていきたいと考えています。このビジョンに真摯に取り組み、その成果を次世代に引き継いでいくことが我々の責任であり、展望です。
自分の描く理想を多くの人の志に重ね合わせることが成功のカギ
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします。
何か成し遂げたいことがあるからこそ起業を考えていると思うので、まずはそれに向かってぜひ全力でチャレンジしてみてください。そして、ご自身が目指す夢や目標を実現したときに、関わってくれた周りの人が幸せになっているかどうかという視点も大事にして欲しいと思います。
叶えたい夢や目標が独りよがりの願望になってしまうと、周りからの協力は得られませんし、きっと孤立してしまいます。起業したいという熱い気持ちはとても素晴らしいことなので、自分が描く理想を多くの人にとっての志や公的な目標と重ね合わせていくことができれば、組織として大きく伸びていくのではないかと思います。
そして起業した10年後、20年後も、起業当初の熱い気持ちをぜひ大事にしてください。多くの人が最初の熱い思いをずっと持っているとは思いますが、会社を経営していく中で現実的な問題が起きていくと、いつの間にか最初の思いを忘れてしまいがちです。どうか、成し遂げたいと思った熱い気持ちを大事に持ち続けて、初心を忘れないでいただきたいです。
■ 採用情報
CPAエクセレントパートナーズ株式会社では一緒に働く仲間を募集しています。ご興味のある方はぜひ下記のページをご確認ください。
https://cpa-excellent-partners.co.jp/recruit/
■ 「CPAラーニング」
「CPAラーニング」は簿記や会計をどなたでも無料で学べます。ぜひご活用ください。
https://www.cpa-learning.com/
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:国見健介氏
1999年10月 公認会計士論文式試験合格
2001年 3月 慶應義塾大学経済学部卒業
2001年 9月 CPAエクセレントパートナーズ株式 会社設立 代表取締役就任
2003年 1月 公認会計士登録
2015年 4月 CPAキャリアサポート株式会社設立
2022年 4月 ESネクスト有限責任監査法人社外ガバナンス委員就任
2023年 10月 ライフイズテック株式会社社外監査役就任
2024年 1月 株式会社Grand Central社外監査役就任
企業情報
法人名 |
CPAエクセレントパートナーズ株式会社 |
HP |
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設立 |
2001年9月 |
事業内容 |
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沿革 |
2001年9月 CPAエクセレントパートナーズ株式会社 設立 学校法人髙橋学園 東京CPA会計学院から国見健介が公認会計士講座を引き継ぎ、CPA横浜日吉校がスタート 2007年8月 CPA早稲田校 開校 2015年4月 CPAキャリアサポート株式会社 設立 2017年5月 CPA水道橋校 開校 2018年10月 CPA大阪梅田校 開校 2020年3月 国立ラウンジ(自習室) 開設 10月 京都ラウンジ(自習室) 開設 CPAラーニング事業スタート 2021年4月 CPAキャリアサポート株式会社 有料職業紹介事業免許 取得 5月 CPASS、CPASSキャリア、OB・OGアルムナイWEBサイト開設 6月 CPA新宿校 開校 10月 横浜ラウンジ(自習室)開設 11月 CPASSラウンジオープン 神戸ラウンジ(自習室)開設 2022年1月 難波ラウンジ(自習室)開設 9月 渋谷ラウンジ(自習室)開設 11月 博多ラウンジ(自習室)開設 2023年4月 「CPA Jobs」リリース 8月 大宮ラウンジ(自習室)開設 10月 津田沼ラウンジ(自習室)開設 2024年1月 名古屋ラウンジ(自習室)開設 |
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