ストリーツ株式会社 代表取締役 田島 将太

情報の効率化による豊かな社会とユニークな文化の育成を目指すストリーツ株式会社。まちの情報アプリ「Streets」とコンテンツ編集支援サービス「apnea」を通じた地域社会の活性化を図っています。今回は、同社の代表取締役を務める田島将太氏に事業内容や今後の展望などを伺いました。

 

生成AIを活用し、コンテンツ制作を支援するSaaSツール「apnea」を提供

事業の内容をお聞かせください

弊社では現在2つの事業を行っています。

 

1つ目はコンテンツ制作を支援するSaaSツール「apnea」の提供です。主にテレビ、新聞、出版、ウェブメディア、その他媒体社を対象としており、生成AIを用いてコンテンツ制作を効率化し、コストを抑えつつ高品質なものを作り出すことを目指しています。

 

2つ目がまちの情報アプリ「Streets」の運営です。頻繁に行くお店の新商品情報やイベント情報など、まだ紙のチラシベースで流通していることが多いローカルな情報をアプリで届けることで、まちの暮らしをより楽しくできると考えています。

 

apneaを使う際のコツなどがあれば教えてください。

生成AIを使うときは、前提条件や方針、求める成果物を具体的に伝えないと、良い結果は返ってきません。AIに細かく指示を出し、完璧な結果を求めないことを意識する必要があります。

 

最近は生成AIに対する過度な期待があると感じています。簡単な言葉を入れたらすぐに欲しい結果が返ってくると思われがちですが、実際はもっと手間をかけて使いこなす必要があります。しっかり編集方針を指示しなければ、求めるものは得られません。その点を理解している人は、生成AIをうまく活用できると思います。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私はずっと情報流通に関わるキャリアを歩んできました。最初に入社した会社はスマートニュースというニュースアプリの会社で、独立してからも大手メディアのウェブ戦略の支援をしてきました。

 

その中で、大手ニュースアプリやウェブメディアができていない領域として「まちの情報」に着目しました。GoogleマップやInstagramにもローカルな情報はあるのですが、自分が求めている使い方ができないと感じ、それを解決するために会社を立ち上げました。

 

ただ、まちの情報を流通させる実験をしていく中で、そもそも店側が記事や動画といったウェブ上のコンテンツをまだ十分に作成できていないことに気づきました。情報を発信するだけでなく、作る段階からサポートする必要があると考え、apnea事業を始めました。

 

まちの情報収集で難しい点は何かありますか?

まちの情報で難しいのは、網羅性よりもリアルタイム性の方だと感じています。

 

なぜならば、網羅性であればGoogleマップに勝るものはないですが、お店の新商品情報やイベント情報など、リアルタイムの情報は結局お店の人しか知らないことが多いからです。

 

お店の人が積極的に発信してくれれば良いのですが、情報発信はお店の主たる業務ではないため、それを期待するのは難しいです。むしろお店の周りにいる人たちが情報を引き出していく方が現実的なのかもしれません。

 

ただ、将来的にはStreetsのようなサービスが普及し、お店の人も気軽に情報を発信できる環境ができれば、状況は変わるかもしれません。今はまだ模索中の段階で、どうすればまちの情報を効果的に集められるのか試行錯誤しているところです。

 

情報流通をより良いものに。

仕事におけるこだわりを教えてください。

一つ目は、情報流通に関わることをすることです。これは私のライフワークでもあります。

 

情報は人間が生きていく上で重要な役割を果たしており、上手く使いこなせれば豊かな人生につながる一方で、情報流通のあり方次第では不幸にもなりかねません。だからこそ、情報を適切に扱える環境を作っていきたいと思っています。

 

二つ目は、まずは自分でやってみることです。

 

事業アイデアを思いついても、自分で手を動かさないと本当の課題が見えてこないことが多いです。例えばapnea事業でも、私は元々エンジニアではないのですが、実際に手を動かしてコードを書いてみることで、サービス開発の難しさや面白さを肌で感じることができました。

 

三つ目は、顧客の課題を常に探り、価値提供を追求することです。日々状況が変化する中で、お客様が何を求めているのかを常にアンテナを張って察知し、サービスに反映していく。その繰り返しが、事業を前に進めていく原動力になっています。

 

顧客ニーズを探り、使いやすいサービス作りに注力

起業から今までの最大の壁を教えてください

スタートアップは人が資本なので、チームをどう作っていくかが大きな壁です。一緒に働き始めたけれど方向性が合わないこともあり、どうやって同じ方向を向いてもらうのかを考えることが多々ありました。

 

また、顧客が何に課題を感じ、どんな時に価値を感じてくれるのかを探るのも大変だと現在も感じています。できるだけ顧客に会って、顧客の反応を見るということを繰り返しています。ただ話をしているだけだと具体的なニーズが見えてこないので、とにかく見てもらうことが大事だと感じています。

 

情報流通の課題解決が原動力に

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

今の社会の情報流通状況に満足しておらず、何とかしたいという思いがモチベーションになっています。

 

たとえばGoogleによる情報流通にも、もっと自分に合った情報が欲しいなど気になるところがたくさんあります。それに対して今までと異なるアプローチで何かできる可能性があるなら、挑戦したいというのが一番大きいモチベーションです。

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

まずはapnea事業を軌道に乗せることが第一歩と考えており、そこからapneaとStreetsをうまく連携させたいと思っています。

 

apneaでコンテンツを低コストかつ高品質に作れるようにし、それを使ってお店の情報をまちの人と一緒にたくさん作っていきたいです。コンテンツを増やし、Streetsで位置情報を使ってすぐ近くの良い情報が出てくるようにつなげるのが理想です。

 

最終的には、apneaを使ってStreets事業でまちの情報流通が活性化し、暮らすのがより楽しくなったと実感できるところまで持っていきたいです。

 

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

自分でやりたいことがあり、もっと成長したいと思う人は起業してみるのも良いかもしれません。どんな結果になっても、チャレンジすること自体が楽しいと思います。

 

ただ、自分で全て決められることは楽でもあり、苦しくもあります。アドバイスとしては、今すぐ会社を畳んでも次の日から生活できるだけのスキルや基盤は身に着けておくことです。そうすれば、起業して何かあっても乗り越えられる余裕が生まれるからです。

 

また、最初のうちは自分の苦手分野も自分でやってみることがおすすめです。全て手を出すのは大変ですが、自分が関わる業務を肌感覚で理解しておくことは重要だと思います。事業が軌道に乗ってきたら、専門家に任せることも必要になってきますが、最初は自分で手を動かしてみるのが良いです。

 

失敗を恐れずにチャレンジを楽しむ姿勢と、スキルと基盤づくりの大切さ、そして自分の手を動かすことを忘れずに行動して欲しいと思います。

 

皆さんお気づきになられたでしょうか?

実は、今回の記事作成にはapneaを使っています。取材対象のリサーチ、録音素材の文字化、原稿作成、タイトル付けなどをapneaがすべて行ってくれています。

 

通常、この記事はプロのライターに依頼していますが、今回はインターン生一人で作成しています。通常、記事完成まで一か月ほどかかるところを一週間かからず記事が出来上がりました。人間による校正は必要不可欠ですが、非常に効率的に作成することができるツールだと思います。

 

気になった方は是非こちらから▼

https://streets.jp/service/apnea

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

起業家データ:田島将太 氏

2016年東京大学卒業。同年スマートニュース株式会社に入社し、メディア事業開発を担当。 2019年に独立し、コンサルティングチームapneaを率いて多数のWebメディアの成長支援を行う。2021年にヘイ株式会社に入社し、データアナリストとして分析業務を行う。 2022年にストリーツ株式会社を共同創業し、地域の情報流通の課題解決を目指す。

 

企業情報

法人名

ストリーツ株式会社

HP

https://streets.jp/

設立

2022年4月

事業内容

インターネットビジネスの企画・開発・運営

 

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