株式会社REGAL CORE 代表取締役 田之上 隼人
株式会社REGAL COREは、広告代理店や健康食品・化粧品のネット通販事業者、アドネットワーク事業者などを対象に、広告審査代行サービスを展開しています。薬機法に強みを持ち、顧客ニーズに合わせた提案を得意とする同社は2021年に前身の株式会社薬機チェックを設立した後、2023年に名称を株式会社REGAL COREに変更。2024年には薬機法・景表法に特化した広告審査代行サービス「Legal Core」をローンチしています。「正直者が馬鹿を見ない世界を実現する」をミッションに掲げ、広告業界全体の健全化を図る同社の代表取締役、田之上 隼人氏に事業内容や今後の展望などを伺いました。
知識を味方につければ行動の自由度が上がる。日本企業のサービスが勝てる状況を作りたい
早速ですが、事業の内容をお聞かせください
当社のサービスは大きく三つに分かれています。
一つ目は広告審査の受託業務です。
二つ目は最近リリースしたSaaSプロダクトの「Legal Core」です。こちらはURLやPDFで広告テキストを読み込むと自動で薬機法のチェックができるツールで、低価格な点が特長です。活用法としては、事業主や広告代理店の担当者が入稿予定の広告物に対し薬機法・景表法に違反していないかをセルフチェックしたうえで安全に広告運用を推進することが可能です。
2023年の弁護士法72条の改正により、ITを活用して法務業務を効率化するリーガルテックは一定の弁護士監修下であれば合法となり、リーガルSaaSが解禁されたことがきっかけで、このサービスを始めました。
またサービスのローンチに伴い、当社ではこの1年間アドネットワークなどから配信される広告を中心に、薬機法や景表法に抵触する表現を調査してきました。その結果を調査リリースとしてまとめ、コーポレートサイトに掲載しています。少しずつですがアドネットワーク事業者が健全化されてきていると感じます。
三つ目は広告審査のガイドラインを整備し、そのガイドラインに基づいたデータベースを構築し、各社向けのレギュレーションを整備するサービスです。
営業開始から1年8カ月余りの新しい会社ですが、現在累計70社を超える取引実績があります。薬機法(旧薬事法)の専門家集団として、主に化粧品や健康食品などの広告審査を強みとして事業を展開しています。当社は弁護士を抱えていて、ちょうど弁護士事務所とBPO事業者の中間のポジションです。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
当社は元々、株式会社Nextrustという幅広い事業の立ち上げや、出資を多角的に展開する会社の一事業でした。その中で私は新規事業を担当する役員として様々な事業を立ち上げていました。
その中でも薬機法・景表法などのリーガルチェックに関する分野はマーケット自体がブルーオーシャンだと捉え、将来的に上場の見込みもあると考え至ったことから分社化を決意しました。当初はNextrustの代表であり、当社の共同創業者である餌取が責任者だったのですが、ある日「このサービスを本気で攻めたい」と言われました。
その後、ファイナンスを行い、2022年から私がこの会社の代表として事業を展開することになったのです。
行動は質より量。多様な価値観を学び、評価軸を見極める
仕事におけるこだわりを教えてください
私個人のこだわりとしては「質より量」を重視しています。とにかく全てにおいて行動量が大切だと感じています。そのため出来るだけ多くの人と会うために、1日に13件ものアポを入れることも珍しくありません。
事業立ち上げ当初は、約40社に無料で薬機法勉強会を開催し、そこで得られたニーズを基にアイデアを広げ、事業の適合性を検討しつつサービスを設計しました。仕事の質を評価する基準はさまざまですが、私は自身の意見が適切かどうかを判断するために、出来るだけ多くの方と意見交換をするようにしています。その上で、「社会、顧客、仲間」の3軸で自分の意見を俯瞰することを心掛けています。
また、事業を立ち上げる際は、新たなトレンドの中で自分たちのアイデンティティをどう発揮するかにもこだわっています。たとえば、薬機法事業を立ち上げた当初は規制が緩かったのですが、その後厳罰化され、法改正も相次いでいます。そこに、我々の付加価値をどう提供していくかという点が大切だと考えます。
私は元々マーケティングに携わっていたため、当社のサービスではマーケティングを軸とした広告審査代行をできる点が他社との違いだと考えています。法律を守りつつ、マーケティングの文脈も理解しながら、その会社が攻めるための環境を整備できることが我々の強みです。
海外展開し、世界中に日本人の雇用を創出したい
起業してからこれまでの最大の壁を教えていただけますか?
最初に感じた壁は、そもそもニーズが顕在化していないマーケットに我々が事業展開したことで生じました。
最初はアフィリエイト事業者をターゲットにしていたのですが、そうした事業者の多くは薬機法や景品表示法の規制を守る意識が低く、守らない方が利益になるケースもあるほどでした。サービスが全くマーケットに刺さらなかったのです。
そこで、メインターゲットを上場企業の事業者に変更し営業を始めました。しかし、我々のような未上場企業は上場企業との繋がりがほとんどなかったため、ゼロイチで全て開拓しなければなりません。
「質より量」の話に繋がりますが、当時は大型イベントに参加し、1日で120人もの方々にお会いしたこともありました。それから、Facebook上の共通の知人を介して、人を紹介していただくといった地道な営業活動もしました。
そうした行動を通じて、我々のサービスの正当性をアピールしながら味方を少しずつ増やしていきました。知り合った人全員に理解してもらえなくても、3,000人に声を掛けて1%でも支持していただける方がいたら、30人になります。その人たちを大事にするという戦略で、人脈作りをしていました。
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私がいま一番やりたいと考えているのは、海外で日本人の雇用を創出することです。私自身、海外での経験がキャリアの大きな分岐点となりました。
海外での仕事を経て感じたのは、日本人のプレゼンスが低下してきているということです。
今は世界経済の潮目が変わりつつあります。中国でデフレが始まり米国株も下がり、海外の機関投資家がこれまでとは違う視点で投資を始めています。この状況を踏まえ、今のうちに日本企業が海外で雇用を創出できる環境を整えることが重要だと考えています。そうした思いもあり、我々は先日イギリスに支社を立ち上げました。
法律は国を問わずどこにでも存在するため、ビジネスバリューチェーンを広げやすいと考えています。現在「Legal Core」で提供しているサービスは広告審査が中心ですが、それ以外でも法律を軸にサービスを展開できるのではないかと考えています。
今後の展望をお聞かせください
目標は、日本全体のコンプライアンス意識を高めることです。我々は「SMART COMPLIANCE(スマートコンプライアンス)」と謳っているのですが、法律やコンプライアンスは行動を縛るものではなく、正しく知ることで行動の自由度を上げられるものだと考えています。
企業のコンプライアンス意識を高めていくことで、日本企業のサービスが世界で勝てる状況を作りたいというのが、我々の野望です。 そして私の個人的な野望として、前述した海外での日本人雇用拡充をベースとして、最近は10代や20代前半で起業する若者が増えているため、国内外を問わず、そうした若い世代に機会を提供したいと考えています。
量を積めば結果はついてくる。やり抜く姿勢を大切に
今後起業しようとしている方へアドバイスをお願いします
私が伝えたい事はシンプルで、「思ったことを最後までやり切る」という点です。
これは自戒の念も込めていますが、例えば上場を目指すなら上場までやり切る。その道中で予期せぬ問題が発生し経営不振に陥ってしまった場合は別ですが、一度目指す先を決めたのならばその目標を達成するまで逃げずにやり切って欲しいと思います。
全ての人に共通することとして「時間は平等」です。年齢が違っても、同じ時間の中を生きて、考え、行動している。それは皆、一緒です。ですから、限られた時間の中で圧倒的な行動力により経験を重ね、質を高めることで、物事はある程度うまくいくのではないかと思います。
一つ決めたらやり抜く、その点を意識しながら動いて欲しいです。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:田之上 隼人 氏
2009年 大学卒業後アパレル メーカーに入社。
2013年 デジタル広告の代理店に入社。
営業・新規事業開発のプロジェクトに参加。
2015年 その後外資系アパレルEC企業に入社。
APAC領域の マーケティング・事業開発・推進。
2020年8月 株式会社Nextrust 取締役に就任
2021年4月 株式会社REGAL CORE代表取締役就任
企業情報
法人名 |
株式会社REGAL CORE |
HP |
|
設立 |
2021年4月 |
事業内容 |
コンプライアンスチェック事業 |
沿革 |
2021年4月 株式会社薬機チェック設立 2022年9月 弁護士監修 薬機チェックサービスの提供を開始 2023年3月 株式会社REGAL COREに社名変更 2023年2月 薬機チェックサービスに付帯する課徴金補償サービスの提供を開始 2024年4月 薬機法・景表法に特化したリーガルチェックツール「Legal Core」をローンチ |
関連記事
RANKING 注目記事ランキング
- 【#063】すべての人に目標達成の喜びを伝えたい|代表取締役 李 佑記(イ・ウギ)(株式会社Humans)起業家インタビューインタビュー
- 【#055】顧客満足度世界NO.1の営業支援会社となる|代表取締役社長 鈴木 徹(株式会社アイランド・ブレイン)インタビューその他 インタビュー
- 【#176】継承と革新―給食サービスの家業を守り、進化させる3代目の挑戦|専務取締役 荻久保 瑞穂(株式会社東洋食品)インタビューその他 インタビュー
- 【#056】カットをもっと手軽にしたい。男性専用美容室にサブスク導入|代表取締役 大谷 優太(株式会社EN)起業家インタビューインタビュー
- 【#197】人財を大切に、介護業界で1兆円規模の企業を創る|代表取締役 山下 和洋 (株式会社ヤマシタ)起業家インタビューインタビュー