株式会社ジョシュ 代表取締役 山﨑 康平(左)/永島 匡(右)

株式会社ジョシュは、2024年5月に医療介護従事者が利用できるクラウド型の情報連携サービスをスタートさせました。事業の立ち上げ経験や、医療介護業界でのキャリアを持つ山﨑氏と、作業療法士の資格を持つ永島氏が共同で運営しています。現在は医療介護業界を中心にサービスを展開しています。今回、事業内容や仕事のこだわりを詳しく伺いました。

 

相手に合わせて情報共有できるサービスをスタート

事業の内容をお聞かせください

山﨑氏:

私たちは、医療介護従事者の方に向けて、クラウド型の情報連携サービス「連携ジョシュ」を展開しています。

 

医療介護業界は、訪問診療や訪問看護、ケアマネージャーさんがいる居宅介護支援事業所、病院や施設など、幅広い職種の方が関わってきます。

 

様々な業種の方が関わっているので、おのずと患者様や利用者様に関する情報量も日々増えていきます。そこで業種や職種の壁を超えて、情報連携をスムーズにするために、クラウド型サービス「連携ジョシュ」をスタートさせました。

 

「連携ジョシュ」は、情報を相手に合わせた媒体でやり取りできるようになります。例えば、FAXでほしい病院はFAXで、郵送でほしい事業所は郵送で、というように相手に合わせて情報共有が可能になります。

 

また、PDFのデータをアップロードするだけでシステム連携により、郵送代行がかけられるようになるので、訪問看護ステーションなどで毎月行われる請求書・報告書の印刷、郵送業務をなくすことができます。

 

毎月やらなければならない膨大な作業をゼロにできる点が、「連携ジョシュ」を導入する最大のメリットと言えるでしょう。

 

「連携ジョシュ」は、現在医療や介護福祉などの領域で幅広くご利用いただいています。特に、情報連携の発端になる訪問診療や訪問看護、ケアマネージャーさんがいる居宅介護支援事業所などに同サービスを検討していただくケースが多いです。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

山﨑氏:

私は前職では日本酒の営業職やメーカーでの新規事業立ち上げ、医療介護業界での人材紹介業を経て、直近では看護師や介護職の方が外出に困難のある方をサポートできるようなマッチング事業に携わっていました。

 

外出することに課題がある方に対して、ケア情報やお出かけ手段の情報提供を増やせればいいのではと考え、利用者の外出機会増加につながるプラットフォーム構築の取り組みを東京都町田市で始めました。

 

最初はウェブ上でサービスを展開していたのですが、ウェブ上での展開になると高齢者の方々はアクセスが難しいという課題が生じました。そこでいかに受け取り手が利用しやすく、なおかつ必要としているものを届けるようなサービスができないかと視点を変え、現在のサービスの着想に至りました。

 

永島氏:

私は、作業療法士として医療機関に勤めながら、直近は訪問看護ステーションやデイサービスを運営している会社で働いていました。地域連携室という部署にも所属しており、地域住民の方や地域医療介護事業者、自治体と協業する取り組みも行っていました。

 

作業療法士の専門分野の中には「車の運転のリハビリテーション」というものがあります。障害がある方や認知症の疑いがある方が、車の運転を続けられるかどうかを主治医と一緒にジャッジし、診断書のアシストをする取り組みです。

 

このリハビリを進めていくうちに、日常生活で車の運転が必要でも車の運転を続けられないと診断される方が出てきてしまいます。そのため、地域で運転できなくなってしまった方々(外出難民や、買い物難民といわれてる方)がどうしたら外出できるかを考えていく中で、町田市が進めていた外出支援の取り組みに参画しました。

 

現場を経験してきたからこそ分かる課題として、アナログでのやり取りや情報連携の煩雑さ、医療から介護への切り替わるフェーズでの連携の難しさなどに課題を感じていました。そこで町田市の外出プラットフォームの取り組みを共に構築していた山﨑と、同じ思いのもとこの事業を始めました。

 

まずは目の前の1人の「助手」として。ゆくゆくは国や社会から寄り添う姿勢が評価されるサービスに

仕事におけるこだわりを教えてください。

山﨑氏:

顧客の方と対面の関係性でやり取りをしない、ということです。

 

対面ではなく、必ず顧客に我々が横に寄り添って、当事者目線で課題や解決策を考えることを意識しています。

 

寄り添う相手は直接我々とやり取りする事業所だけではありません。利用者さん、ご家族などにも寄り添っていかなければならないと考えています。現在は永島と2人で運営していますが、今後社員が増えた際には、社員1人1人に寄り添うことも大事だと思います。

 

最終的には国や社会、自治体からその姿勢を評価していただき、結果として皆さんに寄り添えるような存在になれればと思っています。社名の「ジョシュ」も、「助手」のように皆さんに寄り添いたいという思いを込めました。

 

永島氏:

大切にしているのは、何事も目の前にいる方の課題からスタートさせることです。1つの課題を解決し、徐々に社会課題の解決に繋げていければと思っています。

 

事業を進める上で障壁となったことはありますか?

山﨑氏:

医療介護業界とひと言で言っても、その中には「業界の壁」「職種の壁」「法人の壁」「事業所の壁」など、多くの壁があります。何か新しいことをするには、この壁を1つずつクリアしていかなければならないと考えています。

 

具体的には、ファンを作るイメージを持ってやっています。事業所や法人の中、さらには地域の中で我々のサービスを魅力的に感じてくださり、ファンになっていただけるように意識しています。

 

そこで我々としては、「連携ジョシュ」を取り入れると業務効率の改善につながるメリットがあることを第一に伝えつつ、それに加えてどんな人でも使いやすいという点も強くアピールしています。

 

永島氏:

医療介護業界では、まだまだ病院や事業所ごとのITリテラシーの格差が大きく存在しています。これは業界に横たわる大きな問題ではありますが、私は作業療法士のバックグラウンドを活かして、現場の声を元にサービスを構築してきました。今後も外側からだけでなく内側からも壁を崩し、現場を知っているからこそ提供できるサービスを展開していければと思っています。

 

「連携ジョシュ」からセレンディピティを起こしていきたい

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

山﨑氏:

よく永島とは「最後のひとときまでつながり合える世界を作っていきたい」という究極の世界観の話をしています。とはいえビジネスをしている手前、小規模では実現できても、規模感が大きくなればなるほど、そう簡単にはいきません。

 

そこで強い意志として持っているのが、会社を大きくするという意識です。今後7年以内でIPOを目指し、社会、特に医療介護のインフラとなりうる存在となり、最終的には多くの受益者の方に価値を感じていただける社会を目指しています。

 

この思いから逆算して、目先の課題を1つずつクリアにしているのが現在の状況です。目先にフォーカスしすぎると辛いことも出てきますが、我々の場合は目指すべき姿があり、そこから逆引きしてやるべきことを洗い出しています。はっきりとした理想が自分を鼓舞し、モチベーションの源泉になっているのだと思います。

 

永島氏:

私が大事にしている言葉の一つに「セレンディピティ」という言葉があります。これは偶然、幸運な出会いという意味を持っており、私自身もいろんな仕事を経験する中で得てきたものだと思っています。

 

そして現在、弊社には研究やコンテンツづくりで手伝ってくださる人たちも加わり、まさに今までの出会いの中からセレンディピティが起こっている状況です。

 

会社を大きくしたいという目標もモチベーションになっていますが、弊社から関わる方々に向けたセレンディピティを起こしていきたいという思いも、自分を突き動かす原動力になっていると思います。

 

現在、人材を募集されていますよね。どのような経験やマインドを持った方を募集しているのでしょうか。

山﨑氏:

ポジションで言うと、エンジニアを募集中です。

 

マインド面では、目の前にいる方のお話をしっかりと聞き、徹底的に課題に寄り添っていただける人材を探しています。実際に現場に足を運んだり、現場の課題に寄り添ったりと、アグレッシブで臨機応変な対応をしていただけると嬉しいです。

 

また、我々も環境づくりには注力していくのですが、課題を部署内で留めず、オープンに話してくれる方だとありがたいです。

 

募集職種の詳しい情報はこちら
https://zyoshu.co.jp/recruit/

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

山﨑氏:

日本は医療介護において、課題先進国に該当します。もし日本で「連携ジョシュ」のモデルがうまく進めば、きっと世界を相手にしてもうまくいくのではないかと考えています。

 

まずは目先の1人の悩みを解決させるところからですが、将来的には世界を舞台にサービスを広げられたら良いなと思っています。

 

永島氏:

「連携ジョシュ」は、人材やデータ管理などの分野にも活用できる可能性もあり、今後は情報連携サービスだけにとどまらず、拡張性を持った事業展開をしていければと考えています。

 

ただどれだけ事業を拡大しても、大切にしていきたいのは現場の声です。現在は医療介護従事者さんの声を1つずつ解決していますが、サービス展開する業界や職種が変わってもこの姿勢は大事にしていきたいと思います。

 

起業サポートが整ってきた今がチャンス!

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

山﨑氏:

今は昔に比べてスタートアップへの投資や融資の金額が増えていたり、沢山チャレンジできる環境が整ってきたりしていると思います。もしチャレンジし、失敗してしまった場合でも勤め先として受け入れてくれる会社もたくさんあるので、経験を得るために起業するという選択は間違いではないことを伝えたいです。

 

そしてわたし自身、起業したからこそ見えてくるものが沢山ありました。給料がもらえることが当たり前ではないことや、仕事の裏では給料以上の労力が動いていることを目の当たりにしました。我々は40歳になるタイミングで起業を選びましたが、今は何かに挑戦することに年齢は関係ないと思っています。

 

永島氏:

ビジネスやアイディアの種は、自分の身近なところにあると思います。まずは目の前にいる人の声を大切にして、1つの課題を解決するところから始めると、起業へと近づくのではないかと思います。

 

山﨑も言っているように、現在は起業支援のプログラムが充実していたり、補助金や助成金が受けやすくなったりと、起業のサポートが手厚くなってきています。

 

確実に10年20年前よりも気軽に起業の選択肢を増やせる世の中になってきているので、起業に積極的にチャレンジすることをおすすめします。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

起業家データ:
  • 代表取締役 山﨑康平 氏

dysonでの新規カテゴリ立ち上げ、M3キャリアでの人材マネジメント、医療介護系ベンチャーにて移動支援領域の医療介護マッチングサービス開発を経て、本事業を立ち上げ。

 

  • 代表取締役 永島匡

作業療法士として、医療機関、在宅医療での経営企画、地域連携、介護予防や医療MaaS関連の新規事業構築への関与を経て、本事業を立ち上げ。

 

企業情報

法人名

株式会社ジョシュ

HP

https://zyoshu.co.jp/

設立

2024年5月1日

事業内容

医療介護領域における情報連携システム開発、運用・販売

 

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