株式会社Colorkrew 代表取締役 中村 圭志
最先端技術を活用し企業向けに特化したSaaSプロダクトの開発をおこなう株式会社Colorkrew。日本国内のみならず、海外への展開を積極的におこなっています。同社がめざすのは単なる業務効率化を超え、個々の社員の創造性を開花させ、仕事を楽しむ文化の形成にあります。日本に拠点を置きながら世界での存在感を着実に高めている代表取締役の中村圭志氏に、事業内容や今後の展望なども含めて、詳しくお聞きしました。
企業向けSaaSプロダクトで大幅な業務削減を達成
事業の内容をお聞かせください。
当社の事業は「Work SaaS」という、働くことに焦点を当てた企業向けのオンラインプロダクトの開発と提供をおこなっています。スマートフォンのアプリケーションやウェブのアプリケーションを通じて利用いただけます。
さらにもう1つの柱がありまして、約25年の歴史を持つ企業向けサービスです。他社のプロダクトのサポート開発や、クラウドシステムの設計から導入、そして安全性を確保するためのセキュリティ運用などをおこなっています。
当社の強みは、長年の企業向けサービスの経験により、マーケットのニーズを的確に把握し、プロダクトに反映できる点にあります。1つのサービスに特化するのではなく、豊富な経験と知見を持つことで総合的な解決策を提供しています。
その中でも、特に優れているのがセキュリティ面です。最近、動くプロダクトをつくることはどの会社もできるようになってきましたが、セキュリティの問題は依然として大きな課題があります。
この課題に対し、当社は独自のアプローチを取っています。具体的には、アプリケーション開発だけでなく、バックグラウンドにあるクラウドセキュリティや基盤の構築まで自社で取り組んでいます。
SaaSプロダクトを展開しながらセキュリティ事業もおこなう企業は他にありません。この両立が当社の大きな強みとなっています。
このように、「企業向けサービスの長い経験」と「自社プロダクト開発」の両方を持ち合わせていること、そしてセキュリティやクラウドの基盤に関する専門知識を活かした事業をおこなっています。
「Work SaaS」で最も支持されている製品は何でしょうか?
「Colorkrew Biz(カラクルビズ)」という製品です。これは既に約800社に導入されており、当社のプロダクトの中で最も世の中に出回っています。
「Colorkrew Biz」は、オフィス内でのさまざまな活動をサポートするアプリケーションです。例えば、QRコードを読み取ることで会議に参加できたり、PCで誰がオフィスのどこにいるかをマッピングして確認できたりします。
他にも、プロジェクターやスピーカー、マイクなどの備品の貸し借りもQRコードでの管理が可能です。
このプロダクトは特にここ4年ほど、コロナ禍でリモートワークが増えた状況下で重宝されています。オフィスに必ず出社する必要がなくなり、在宅勤務も増えた中で、誰がどこで何をしているのかわかりにくくなり、連絡も取りづらくなりました。
そういった働く環境の分断を解消し、再びユナイトすることがこのプロダクトの大きな目的です。
また、当社はゲーム業界にいたこともあり、単に便利なだけでなく、使っていて少し面白さを感じられ「働くことがレベルアップ」するプロダクトをめざしています。「Colorkrew Biz」にも、そういった要素を取り入れています。
どのような企業で活用されているか教えてください。
さまざまな規模の企業に導入されていますが、大企業と中小企業が半々くらいです。その中でも、ハイブリッドワークを導入している大企業での利用が多いです。
最近特に多いのが、50名規模でこれから上場をめざすスタートアップ企業です。事業の成長スピードに社内の体制整備が追いついていない場合、当社の製品を導入することで、QRコードを読めば全てが進められるような共通ルールを作成できます。
当社のサービスは、自社の課題解決がきっかけで開発されたものが多いです。そのため、ハイブリッドワークを推進したい企業には、単に導入事例を紹介するだけでなく、どのような順序で進めていけばいいかなど、私たちの経験に基づいたアドバイスもできます。
今までのやり方を変えたい、経営課題を解決したいといった思いを持つ企業に、特に参考になる話ができます。そういった企業の方々にぜひ活用していただきたいと思っています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私は大学卒業後、豊田通商に入社しハードウェア系のIT販売をしてました。転機となったのは、今から14年前です。勤務していた豊田通商が当社を買収することになり、その際に私が新たな代表として指名されたのです。
当社は、大手ゲーム機メーカー向けのインターネットサービスを提供する会社としてスタートしました。そのゲーム機メーカーがハードウェア事業から撤退した後は、ゲーム業界に特化したIT企業として活動を続けていました。
その後、徐々にエンタープライズ向けのビジネスへと転換し、さらに自社プロダクトの開発・販売にも注力するようになりました。2019年には大きな転機を迎え、豊田通商から独立し、社名も変更しました。
「働くことを進化させる」という新たなビジョンのもと、私たちは挑戦を続けています。私自身もハードウェア販売からソフトウェアサービスといった全く経験のない業界へ転身し、会社の変遷とともに成長してきました。予想外の道のりでしたが、同時に貴重な経験となっています。
逆境に負けない信念とやり抜く力を持つ
仕事におけるこだわりを教えてください。
明確なビジョンを持ち、それに向かって粘り強く取り組むことです。
日々の業務をこなすだけでなく、中長期的な目標や到達したいことを常に意識しています。ビジョンに向かって、時々立ち止まって進捗を確認し、必要に応じて短期的な計画を調整します。これにより、一貫性を保ちながら前に進めると考えています。
また、組織や個人としても、やると決めたのならば、できるまで必ずやり抜くことを重視しています。この姿勢は「やり続ければ何とかなる」といった成功体験を積み重ねる中で、培われていきました。
起業から今までの最大の壁を教えてください
直面した最大の壁は、社員から信頼を得ることでした。
2010年に私が着任したときは経営状況は厳しく、最大のミッションは黒字化することでした。そのために、事業の一部を停止したり人材を抜擢したりと、大胆な改革を実施しました。
当時の私はまるで転校生のような立場でした。その理由はいくつかあります。まず、私が当時の幹部全員より年下でした。そして、私が10人目の代表だったことです。それまでの約10年間、毎年親会社から代表が来ては、その度に方針を変え、中途半端な状態で去っていくといった状況が続いていました。
そのため、社員は基本的に代表を信用していなかったのです。「また新しいやつが来た。今度は若造か」といった空気が漂っていました。
その中で信頼を得るため、私は宣言したことを必ずやり遂げました。この一貫した姿勢によって、徐々に信頼してくれる人も増えました。不信感を抱いていた人たちも、私が本気で取り組んでいると認識を改めてくれたように思います。
チーム一丸となり世界にインパクトを与える
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
世界に大きなインパクトを与える仕事を、今のチームで成し遂げることです。
最初に比べると、チームの様子も随分変わりました。新しい人や若い人も増えましたし、インターナショナルなチームになっています。
このチームと一緒に本当に意味のある、世界に大きなインパクトを与える仕事を成し遂げたいといった気持ちが強いです。自分たちのやっていることが、世の中にとって意味があり、重要だと証明していきたいと思っています。
その中では、新しい課題が出てきますし、会社も変わります。私自身も、過去の自分のままではいられません。むしろ、チームに置いていかれないように、自分も進化し続けなければと頑張り続けています。
そのため、「もうダメだ」と思うまでチャレンジし続けたいです。それが私の仕事に対する姿勢でもあります。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
世界規模で影響力を持つ強力なチームを構築することです。
具体的に言えば、「能力密度を上げる」ことに注力しています。つまり、一人ひとりが高い能力を持ち、かつインターナショナルな環境で活躍できるチームをつくり上げることです。
私たちがめざすのは、日本だけでなく世界で通用し、本当の意味でインパクトのあるビジネスを展開することです。これが私たちの最大の目標であり、やりたいことです。
日本は長い間、閉塞感に悩まされてきました。しかし、当社は日本を拠点にしながらも、グローバルに活躍し続けています。他の日本企業にとって「こういうやり方もあるんだ」と参考にされる存在になりたいと考えています。
安定を捨て挑戦し続ける道を選ぶ
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
何かやりたいことがあるなら、ぜひ積極的に挑戦してください。
安定したポジションに就くことだけが選択肢ではありません。大企業への就職や公務員になることも素晴らしい選択ですが、それ以外の道も大いにあります。
むしろ、野望を持って起業にチャレンジしてください。起業家がもっと増えることを願っています。
また、視野を日本国内だけでなく、世界に広げることをおすすめします。将来的には、世界のマーケットで一緒に戦っていける起業家にぜひなってください。
採用を強化されているそうですね。どのような人材を求めていますか?
当社が求めているのは、事業への情熱を持った人材です。エンジニアであれ、営業であれ、ビジネスのどの分野でも、「自分で事業をつくりたい」といった意志を持つ方を歓迎します。
当社では「猛烈な成長環境」を提供しています。自己成長に貪欲な方は、ぜひ門を叩いてください。
そして、「世界市場で勝負する会社で働きたい」といった思いを持つ方を求めています。実際、社内の全体ミーティングは英語でおこなわれ、プレゼンテーションも全て英語です。英語を使って仕事をしたい方には、うってつけの環境です。
現在、社員の約3割が海外出身者です。しかし、日本での事業がまだまだ中心にあるため、優秀な日本の人材を求めています。特に意欲的な若手人材を歓迎しています。
株式会社Colorkrew 採用サイト【新卒・第二新卒・中途・通年採用】
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:中村 圭志氏
企業情報
法人名 |
株式会社Colorkrew |
HP |
|
設立 |
2020年3月24日 |
事業内容 |
企業向け自社ブランドのプロダクト開発と提供 ソフトウェア設計・開発・運用の業務受託 クラウド環境やセキュリティシステムの設計・構築・運用の業務受託 |
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