株式会社コドミー 代表取締役社長 内山 和也

子育て家庭向けに支援サービスを提供している「株式会社コドミー」。代表取締役社長の内山和也氏は、3人の子供を持つ親であり、実際に子育て中に感じた課題を解決するために事業を立ち上げました。内山氏は大学院卒業後はアクセンチュア株式会社に入社し、経営コンサルタントとしてのキャリアを磨いてきました。このスキルを活用しながら、本当に挑戦したいと思える“子育て支援事業”を展開すべく、2024年1月に同社を設立。現在は保育園・保護者の代わりに衣服を洗濯して保育園に直接返すランドリーサービス「コドミーランドリー」を展開しています。「子育ての大変な部分を減らし、より子育てが楽しくなるようにしたい」と語る内山氏に、事業内容や今後の展望などを伺いました。

 

実体験を元に、子育てが少しでも楽になるサービスを展開

事業の内容をお聞かせください。

保育園から子供の洋服を直接預かり、洗濯を行い、保育園にお返しする月額制サービス「コドミーランドリー」を展開しています。サービスの目的は、親が手ぶらで保育園に送迎できることです。送迎時の荷物がなくなることで、親も子供も快適に過ごせるようになります。朝は子どもをご飯と着替えさせて連れて行くだけですし、帰り道は寄り道もしやすく、週末はそのまま旅行にだって行けます。

 

このサービスを実現するにあたって留意したのは、保育園側の負担です。保護者向けのサービスを展開する上で、保育園や保育士にしわ寄せがいくことは避けようと思いました。そこで保育園が洗っている洗濯物も私たちが請け負うことで、保育士が子供と向き合う時間を増やそうと考えたのです。保護者の負担をなくすと同時に、保育士の負担も減らせることが、もう一つの特徴といえます。

 

ターゲット層は、共働きで忙しく、子供との時間にゆとりが欲しいと思っている保護者と、業務の負担を減らすために新しい取り組みを積極的に導入している保育園経営者です。

 

いくつかのプランを用意していますが、月額3000円台からご利用いただけます。2024年1月に設立した当社ですが、すでに11箇所の保育園と300以上の家庭に利用していただいています(2024年9月時点)。ユーザーの皆様からは「朝は着替えさせて連れて行くだけになったのでとても助かっている」、「“洗濯しなきゃ!”から解放されて、精神的に楽になった」といった喜びの声をいただいています。

 

基本的にエンドユーザーである保護者は保育園経由で私たちのサービスを知ります。一方で保育園側の開拓は営業のみです。直接電話をかけたり、私自身でつてをたどって経営者を紹介してもらったりと、地道にお客様を増やしています。

 

また、子供の洗濯物を扱うため、使用する洗剤には気を使っています。当社では、子供の肌にも環境にも優しい100%植物由来の液体石鹸とリンス剤「SOMALI」を使用しています。洗濯方法や洗剤の選定、汚れ落ちの確認には、業務提携先のCoL社の工場で実験と検証を重ねました。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

「子供との時間を大切にしたい」、そして「本当にやりたいことに挑戦したい」と思い、子育て関連事業を立ち上げました。20代の頃はアクセンチュアでコンサルタントとして働き詰めでした。コンサルタントのキャリアを数年積むと、次はスキルを磨くよりもいかに昇進していくかといったフェーズに入っていきます。もともと大学時代から自分で事業を立ち上げたいと思っていたこと、そして妻と世界一周旅行に行きたいねと話していたことが重なり、入社から5年で退職を決意しました。

 

帰国後、これまでのキャリアを活かして2016年にコンサルティングを手掛ける株式会社ミチノバを設立しました。そして同社の経営を続けつつ、2019年に法人向けのギフトサービス及び福利厚生サービスを展開するAoyamaLabを共同創業しました。3年ほど代表を務める中で事業を一定の軌道に乗せたうえで代表を退任しました。その頃は第三子が1歳になったばかりで、子供と過ごす時間が増えたのですが、楽しい半面改めて3人の子育てに大変さも痛感しました。

 

現代の日本は子供の数が急速に減少し続けています。私が生まれた1984年は150万人だった出生数は、2024年は70万人を切ることが確実視されており、半分以下です。今後我々の子供達が大人になったころの未来がどうなっているのか恐怖すら感じます。少子化問題はこどもたちの未来のために対策しないといけない問題ですし、子供3人を育てる身からすると自分事として解決しなければいけないと思うようになり、当社を設立しました。

 

私たちはランドリー業務を足掛かりにはしていますが、あくまで子育ての課題が解決できるサービスを展開したいと考えています。私の実体験を活かしながら、今後も子育てしている家庭が少しでも楽しくなるサービスを提供していく予定です。

 

プロダクトに関わる全員が心地良く仕事してほしい

仕事におけるこだわりを教えてください。

できる限りどこにも無理を生じさせないことを大切にしています。例えば、良いプロダクトを生み出していたとしても、それと同時に社内のスタッフや取引先が疲弊してしまっては持続性がありません。どこかに無理を押し付けている状態で成し遂げたとしても、何か大事なものを失っていると私は考えています。

 

一箇所に負担が集中しないようにバランスを取ることは難しいですが、プロダクトに関わる全員が心地良く仕事ができて、ユーザーも幸せになるサービスを生み出すことが理想です。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください。

全く新しいサービスである「コドミーランドリー」は、ユーザーがその価値を理解し、お金を払うことに慣れていない点が最大の壁でした。例えば、新聞購読は月約4000円、コーヒーは1杯約400円といったように、一般的に価格が浸透しているモノやサービスは、冷静に考えると高く感じてもお金を出して利用されていますが、私たちのサービスには比較対象がありません。「コドミーランドリー」を使うことで便利になることは理解していただきやすいのですが、月額3000円台=1日当たり約160円の対価を払うことに抵抗を感じるユーザーが多いのです。実際に試していただければその価値を感じてもらえるため、現在は初月半額キャンペーンなどを実施してユーザーを増やしています。

 

「子育ての幸福度を向上させる」ことが使命

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

子育ての大変な部分を減らし、みんなが幸せになる世界を実現させることがモチベーションになっています。実際に子育てしている方々にアンケートを取ると、子育ては楽しい半面大変と答える方が非常に多くいらっしゃいます。つまり大変なことを減らせば、子育ての幸福度がより増すのではないでしょうか。

 

ベンチャー企業を立ち上げるのは若い世代が多いですが、子育て支援事業を成功させるためには、実際に子育てを通じて課題を感じた世代でなければ難しいと思います。また、私はこれまでのコンサル経験で多くのビジネスを見てきており、それを通じて汎用的なスキルを身につけてきたと思います。私たちの事業は、オペレーション・物流・マーケティング・営業と多岐にわたる業務を行う必要があるため、これらをやれる、かつやりたい人材は少ないのではないでしょうか。それならば私がやるべきだと感じ、当社を設立しました。この使命感もモチベーションの一つになっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください。

都内の保育園密集エリアにサービスを拡大していきたいと考えています。現在は東京の西側と川崎・横浜で展開しているのですが、数年以内には500、1000箇所まで増やしていく計画です。

 

また、共働き家庭では親が病気になった時の子供の居場所や、習い事への送迎についての課題など、まだまだたくさんあります。次のステップとして、親が安心して預けられる環境や、送迎を任せられるサービスに取り組みたいと考えています。

 

これらに共通するのは、子育ての負担を減らして、快適な環境を作りたいという想いです。「コドミーランドリー」を筆頭に、子育て支援にまつわる幅広いサービスを展開していきたいと思っています。

 

とりあえず“やってみる”ことが大切

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

とりあえずやってみることが大切です。経営者になると、すべて自分が責任を持つことになるので大変ですが、学習しながら徐々にできるようになります。自分で手がけるほうがやりがいを感じやすいですし、自由度も高いので、ぜひ恐れずに挑戦していってほしいと思います。

 

◆導入園募集

「株式会社コドミー」では、保育園・保護者の代わりに衣服を洗濯して保育園に直接返すランドリーサービス「コドミーランドリー」を導入していただける保育園を募集しています。保育士の方々への負担は一切なく、さらに保育園で洗っていた洗濯物も私たちが請け負います。

 

◆キッズデザイン賞受賞!

「コドミーランドリー」が、第18回キッズデザイン賞(主催:特定非営利活動法人キッズデザイン協議会、後援:経済産業省、内閣府、消費者庁、子ども家庭庁)を、「子どもたちを生み育てやすいデザイン部門」で受賞しました。

 

<プレスリリース>

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000139447.html

詳しいサービス内容は下記にてご確認ください。

https://kodomii.jp/

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:内山和也氏

慶応義塾大学卒業後、慶応義塾大学大学院に入学し、物理工学を研究。大学院卒業後はアクセンチュアに入社。2016年にコンサルティング会社ミチノバを設立。2019年にAoyamaLab(アオヤマラボ)を共同創業し3年ほど代表を務めた後2023年7月に退任。同年10月頃から現在の事業の検討を開始。

 

企業情報

法人名

株式会社コドミー

HP

https://kodomii.jp/

設立

2024年1月4日

事業内容

子育て支援事業

沿革

2024年1月 設立

同年3月 コドミーランドリーのモニター展開を開始

同年6月 同サービス本展開を開始

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