株式会社LOOV 代表取締役 内田雅人

「デジタルコミュニケーションにパラダイムシフトを」をパーパスに掲げる株式会社LOOVは、SaaSを活用した営業活動支援のパイオニアとして、大きな注目を集めています。同社の主力製品「LOOV(ルーブ)」は、対話型動画の作成ツールです。驚くべきことに、このツールを使えば最短15分で効果的な営業用動画を作成できます。

 

今回は代表取締役の内田雅人氏に、事業内容や今後の展望などについて詳しくお聞きしました。

 

営業の業務効率化と成果向上を実現する「対話型動画」

事業の内容をお聞かせください

当社は、セールスとマーケティングの領域に特化したSaaSの開発・提供をおこなっています。

 

主力製品は、プレゼン動画の内容を視聴相手に合わせて自動的に最適化することができるインタラクティブ動画(対話型動画)を簡単に作成できるツール「LOOV」です。これにより、サービス資料やサービスサイトだけでは伝わらない情報を、担当者に代わりプレゼン動画が的確にお客様に伝えることを実現します。

 

「LOOV」の特徴は、使いやすさと柔軟性にあります。従来のインタラクティブ動画制作では、1本制作するのに数百万円もかかり、修正や作り直しが簡単にできませんでした。しかし「LOOV」を使えば、誰でも簡単に動画を作成でき、「ちょっと違うな」と思ったらすぐに修正できます。このカジュアルさが、多くのお客様から高い評価を得ている理由の一つです。加えて、プレゼンに特化しているので操作も非常に簡単です。

 

現在、「マーケティング向け」と「セールス向け」の各サービスを提供していますが、特に需要が高いのはセールス向けのサービスです。今まで困難であった“ヒューマンリソースの多くをデジタルに代替する”ことができるので、セールス領域の方がよりマストハブに近いです。


その理由は、多くの営業担当者が、毎日同じような説明を繰り返しおこなっている現状があるからです。私自身も営業出身ですが、月に40件、50件と商談をこなす中で、8割は同じ内容の話をしており「これ何件目の商談だっけ?」と混乱することもありました。

 

その内に、説明は録画でもいいのでは?と思うようになりました。ただ、お客様の課題によっては、言い回しやストーリーラインを柔軟に変える仕組みも必要だと感じました。

 

この悩みは、今も多くの営業担当者が抱えています。「LOOV」は、まさにこの課題を解決することができます。お客様のニーズに合わせて柔軟に対応できるツールを提供することで、セールスの現場の効率化と成果の向上を同時に実現することを目指しています。

 

また、さまざまなSaaSのサービスがありますが、「LOOV」のように、情報の管理やビジュアル化ではなく、営業活動そのものをフォローするためのツールは、国内にはほとんどありません。この点で、当社の「LOOV」は独自の地位を獲得しています。

 

ITに抵抗がある営業担当者でも簡単に利用できますか?

営業担当者が簡単に利用できるよう、主に2つの工夫をしています。

 

一つ目は、UIを極限までシンプルにしていることです。

 

営業の方々は他の職種に比べて、デジタルツールの利用に抵抗感が強い傾向にあります。ですので、ひと目見ただけでパワーポイントのように直感的に使えるようにしています。

 

二つ目は、導入時の徹底的なサポートです。

 

具体的には、1番業績の良い営業担当者のノウハウやテクニックを、いわば「パンドラの箱」を開けるように私たちが掘り起こします。そのエッセンスを当社のツールに落とし込んで、ノウハウとして提供しています。

 

営業担当者自身が複雑な操作をする必要は、ほとんどありません。基本的には、一番成績の良い人の営業トークを録画したものをベースとして、皆で使う形になります。

 

もちろん、個々の案件や顧客に応じて、言い回しを変えたり、内容を調整したりすることもできます。つまり、何パターンも、何十パターンもつくれる柔軟性のあるツールなのです。

 

また、導入時には、お客様と一緒に最適なパターンを何本か作成します。そこから、足し引きは自由にしていただけますし、チーム全体で使って改善していくという形でサポートしています。

 

このアプローチにより、デジタルツールに苦手意識のある営業担当者でも、抵抗なく当社のサービスを活用していただいています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私が事業を始めたきっかけは、前職での経験が大きく影響しています。

 

以前は、ある上場企業で役員を務めていました。その会社は約1,500社の営業支援を行っていたのですが、その過程で営業の仕事が未だに驚くほど非効率的だと気づきました。

 

多くの営業担当者のデジタルリテラシーが乏しく、YouTubeに動画をアップロードするような基本的なことができない人がほとんどでした。そのため、同じ内容を毎日同じように提案し続けるといった非効率な状況が続いていたのです。

 

私自身、売る立場も買う立場も経験していますが、どちらの視点から見ても、明らかにプロセスが非効率的でした。必ずしも人間がおこなう必要のないタスクが組み込まれていて、ビデオやインタラクティブ動画、さらには生成AIで代替できるのではないかと考えました。

 

こういった営業の非効率な業務を改善したいという思いが、起業のきっかけとなりました。

 

また、安定した役員のポジションを離れることへの迷いはありませんでした。サラリーマン時代から、ある程度落ち着いたら次のステップに進むことを繰り返してきました。その結果、役員になり、もう上に進めなくなってしまったのです。

 

そこで、次のステップとして起業を選択しました。安定を求めるのではなく、常に新しい挑戦を続ける選択を積み重ねた結果、今に至ります。

 

自分がかっこいいと思える選択をする

仕事におけるこだわりを教えてください。

仕事でのこだわりは「かっこ悪いことはしない」です。

 

仕事をしていると、意思決定が必要な場面にたくさん遭遇しますが、かっこ悪いと思うことは選択しません。例えば、利益率が80倍になると言われても、私や仲間たちの理念に反することであれば、その判断はしません。

 

結局のところ、自分の価値観に基づいて独自の道を切り開いていくことが、仕事をする上での軸になっています。利益だけでなく、自分が誇りに思える、かっこいいと思える仕事をし続けたいと思っています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

起業してうまくいくことは、実際ほとんどありません。この現実を受け入れ、適切に対処することで、壁を乗り越えることができると考えています。

 

だからこそ、私は最初から120〜130%の目標を立てています。つまり、20〜30%は余分に頑張る覚悟を持っているのです。そうすればビハインドが出ても、最終的な結果の帳尻が合います。

 

最初からうまくいく前提で考えると、ストレスになります。だからこそ「結果的に全部はうまくいかないけど、そんなもんだろう」と最初から思っている方がいいですし、全てがゲームだと思えば気が楽になります。

 

ただ、失敗の捉え方は人それぞれだと思います。同じ出来事でも、失敗と捉える人と捉えない人がいます。起業家のマインドセットとして、失敗を失敗と捉えない人は確かに多いですが、私自身は失敗したと思うタイプです。だからこそ、「次はこうしよう」「この準備をしておこう」と考えて対策ができます。

 

壁にぶつかるのは当たり前のことです。それを想定した上で、どう乗り越えていくか、どう学んでいくかが大事だと考えています。

 

新しい施策や事業に積極的に取り組む

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

知的好奇心が私のモチベーションです。知らないことを知ることが、一番の醍醐味だと思っています。

 

例えば、起業をするまで経験をしたことがなかったロールもたくさんあります。起業早期には良くも悪くも、バックオフィス等の業務も自分でこなす必要がありますが、それも楽しい経験でした。また、当社のターゲット市場は国内でまだ明確には存在していません。市場自体を組成していくというのも、初めての経験です。

 

このような知らないことを知ることや、まだ誰も実現していないことを実現することが、私にとって一番ワクワクすることです。

 

基本的に、新しいものには何でも挑戦してみようと思っています。例えば、マネジメントの分野で「ティール組織」が注目されたときも、できそうなことから小さく取り入れました。

 

プロダクト、人、組織、全てに関して新しいことが好きです。それで皆がハッピーになれるなら、先進的なものもできる限り取り入れていきたいと思っています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

会社としては、エクイティで調達もしているので、IPOを含めたイグジットを目指しています。でも、上場すること自体が目的やゴールだとは思っていません。

 

社会に貢献しながらも、自分自身がワクワクし続けられる道を歩んでいきたいですし、その過程でかっこいいと思えることを追求し続けたい。それが私の今後の展望です。

 

迷っているなら即行動を

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業に対して二の足を踏んでる人が私の周りにもいますが、迷っているなら思い切って一歩を踏み出してみることをおすすめします。

 

正直言って、起業したからといって命に関わるようなリスクはありません。私たちは恵まれた環境に生まれ、食べ物も豊富にある国に住んでいます。最悪の場合でも生きていけるのですから、思い切ってチャレンジしてみる価値は十分にあるでしょう。

 

また、今は変化のスピードが速い時代です。今思いついたアイデアを「1年後に実行しよう」と考えていると、その頃には世界が変わってしまっているかもしれません。だからこそ、できるだけ早く行動に移すことが大切だと私は考えています。

 

貴社のサービスに興味がある企業へのメッセージをお願いします

「営業の生産性を上げたい」「人材の採用に苦戦している」この2つに対しては確実にサポートすることができます。

 

私たちがよくお客様にお伝えしているのは、例えば10人の営業チームがあったとして、新たに1人採用するよりも、当社のツールを導入した方が絶対にチームのパフォーマンスが上がるということです。

 

残念ながら無料トライアルは用意してませんが、お問い合わせいただければ、詳しい説明とお客様の状況に応じた具体的な活用方法をご提案いたします。営業力の強化や採用に悩んでいる企業の担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。

 

▼詳細はこちらからご確認いただけます。

https://loov-video.com/

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:内田雅人氏

新卒にて、B2Bマーケティング支援会社に入社。IT製品比較サイトの事業責任者を経て同社の執行役員、及び子会社の取締役を歴任。2016年には、同社のIPOも経験。その後は新規事業開発にも従事し、SaaSプロダクト事業やプラットフォームサービス事業の立上げを0から行う。その後、株式会社LOOVを創業。

 

企業情報

法人名

株式会社LOOV(LOOV.inc)

HP

https://www.loov.co.jp/

設立

2022年4月

事業内容

SaaSの開発 / 提供

 

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