モビスペース株式会社 代表取締役CEO  片山 将


モビスペース株式会社は、3Dパノラマ画像解析技術を活用して住宅や道路の隅にある「マイクロスペース」を高速で発見し、電動キックボードやEVスタンド・自動販売機の事業者などへ情報を提供しています。同社の代表取締役CEO・片山将氏が大学在学中に感じた「不便さ」から、この事業が生まれました。現在は3年以内の上場を目指し、多国籍なメンバーと共に事業拡大を推し進めています。今回は事業内容や仕事のこだわり、片山氏が特に大切にしていると話すチームビルディングについて伺いました。

 

日常で感じた‟不便さ”から、ビジネスアイデアが誕生

早速ですが事業内容を詳しく教えてください

我々は3Dパノラマ画像を解析する技術を用いて「マイクロスペース」と呼ばれる土地を発見し、企業へ仲介するサービスを提供しています。おもなクライアントは電動キックボードなどのシェアモビリティやEVスタンド、自動販売機の事業者などです。

「マイクロスペース」のみを扱っている企業は他になく、独自性の高いサービスであると自負しています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

この会社を立ち上げる前は、友人や家族と位置情報を共有できるアプリを運営していました。学生時代に友達と三人で立ち上げた事業ですが、収益化がうまくいかず悔しい結果に終わってしまいました。

 

しかし、位置情報やモビリティの分野に大きな可能性を感じ「自分にもっとできることはないか?」と模索した結果、「マイクロスペース」のアイデアが浮かびました。そこからビジネスの授業やプログラムで「凄いな」「賢いな」と思う学生に出会うと、自分から積極的に声をかけて仲間を集めていきました。

 

事業の方向性を決める際のヒントとなったのは、私自身が日常生活で感じていた「不便さ」でした。その頃、新宿駅から早稲田大学までLUUPで通学していたのですが、返却ポートが空いていない場合は返却ができず、不便に感じることがありました。「もっと快適に利用できるようにするには、どうしたらいいんだろう」と考え始めたものの、業界のことが何もわかりませんでした。



そこで、Facebookを通じて複数のシェアモビリティ関連事業の社長さんにDMを送ってみたところ「君、面白いね」と一件の返信があり、インタビューの機会を得ることができました。お話を伺う中で「マイクロスペースを発見するのが難しいが故に、返却する場所を増やせない」という課題が生じているのだとわかりました。そのため「私がこの課題を解決します」とその場で社長に宣言し、そこから事業化を進めていきました。

 

3年以内に上場。偉大な起業家になる夢が前進する力に

仕事におけるこだわりを教えてください            

「3年以内に上場」これが譲れない軸です。そのために人生を懸けて全集中しています。

 

私は現在26歳で、将来はTikTokのCEO 周受資氏のような偉大な起業家になる夢があります。周氏はTikTok創業前にハーバード大学のMBAを取得しています。私も20代のうちにスタンフォード大学かハーバード大学に留学してMBAを取得したいと考えています。そうした目標や今後の人生設計を意識すると、あと3年以内に上場しなければなりません。

 

「今ここで折れたら達成できない。今、頑張らなきゃ」という想いを胸に進み続けています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

壁と感じた出来事は今のところありません。目の前のやるべきことに取り組むことに夢中で、大変なことが起きてもそれを壁とは感じない、というのが正直な感想です。



ただし、今後壁になり得ると感じているのはチームビルディングです。当社は私以外のメンバー全員が外国人という、多国籍チームです。そのため、今後もコミュニケーションには特に配慮が必要だと感じています。国によってコミュニケーションスタイルが異なるため、直接的なコミュニケーションを好むメンバーもいれば、慎重に言葉を選ぶメンバーもいます。

 

例えば、直接的な言葉は相手の気持ちに配慮したコミュニケーションを重んじるメンバーにとっては「失礼だ」と感じられてしまうこともあるのです。現在は良好な関係を築いていますが、そうした違いからチーム間での関係に亀裂が入ってしまわないよう、気をつける必要があると感じています。



実は学生時代に立ち上げたアプリ事業は、最終的に仲間と喧嘩別れで終わってしまいました。いま振り返ると、原因はチームビルディングが上手くできていなかったためだと感じています。同じような悲しい結果にならないよう、現在の事業ではチームビルディングを大事にしています。

 

チームビルディングのために社内で工夫している点を教えていただけますか? 

我々のようなシード期では、対人間のコミュニケーションが非常に大切だと思っています。そのため、まず大前提としてメンバーを深く知ることを大切にしています。私は普段からメモ帳に「メンバーに聞きたいことリスト」を作り、聞いた情報は必ずメモするようにしています。休日の過ごし方や趣味などのプライベートなこともメモしていて、そのメンバーが大切にしていることを理解した上で、コミュニケーションを取るよう意識しています。

 

また、チャットの場合においても、送信内容を相手がどのように捉えるかを考えながら、一文字一文字にこだわってメッセージを送っています。さらに、対面ミーティング終了後には、ミーティングに参加してくれたお礼とネクストステップを含めたメッセージを必ず相手に送るようにしています。

 

コンピュータービジョン事業も手掛け、上場を目指す

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

現在はシェアサイクルやEVスタンドなどモビリティ関連を中心に展開していますが、マイクロスペース市場全体を見ると、餃子やもつ鍋などの食品自動販売機の設置にも需要があります。今後はモビリティ以外の領域にも挑戦し、マイクロスペース事業を安定的に推進していきたいと考えています。



また、当社には英語を話せるグローバルなメンバーが揃っているため、その言語力を活かして海外市場への進出も視野に入れています。例えば、韓国やマンハッタンなどの人口密度が高く、かつ建物が細分化されて隙間が多い場所は、マイクロスペースの需要が高いと予測しています。

 

一方、上場を目指すにはマイクロスペース事業だけではなく、他分野にもチャレンジし規模の拡大を目指す必要があります。現在構想しているのは、アメリカで流行している「コンピュータービジョン」の技術を日本に輸入し、事業を立ち上げることです。コンピュータービジョンとは、コンピューターが画像や動画などの入力データから情報を引き出すことを可能にする、人工知能(AI)の研究分野を指します。顔認証もその一例ですが、日本でコンピュータービジョン関連の事業を手掛ける会社は現状1社のみです。

 

大きなポテンシャルを秘めたコンピュータービジョン領域に参入し、収益をあげることで会社全体の売上を伸ばし、上場の準備を進めていきたいと考えています。

 

他人に流されず、常に自分に問いを立てることが大切

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします     

私の場合、7年間をかけて今の事業に辿り着きました。周りの人に流されていたら、多分大学を卒業して、どこかの企業に就職していたと思います。周りに流されず「本当にそれでいいのか?」と常に自分に問いを立てることが大切だと思います。

 

 また、私にとっては「3年以内に上場する」という目標が、起業家として生きるモチベーションにもなっています。上場だけをゴールにするのでなく、留学してMBAを取得したり、誰も行かないような国へ行く「旅人」として生きる機会を増やしたりなど、いくつかの目標があります。皆さんも起業だけをゴールにするのではなく、その先にも明確な他の目標があると、大変な時にも前に進む力になると思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:片山 将氏
企業情報

法人名

モビスペース株式会社

HP

mobispace.jp

設立

2024年2月15日

事業内容

3Dパノラマ画像を解析する技術による、マイクロスペースの高速発見・マッチングサービス

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