LongWave株式会社 代表取締役 古賀 勇輝

クライアント企業と優秀なエンジニアを繋ぐLongWave株式会社は、エンジニアに特化した採用支援事業を手掛けています。日本人のほか外国籍のエンジニアも紹介し、新たな顧客管理システムの構築や海外展開も計画中の同社で、成長し続ける秘訣など詳しく伺いました。

 

グローバルなエンジニアの採用支援で人材不足問題を解消

事業の内容をお聞かせください

当社は、スタートアップ向けにハイレイヤーのエンジニア人材を紹介する採用支援を行っています。

 

世の中にはエンジニアの採用支援を行っている会社が多々ありますが、私たちは日本人だけでなく、外国籍の人材にも力を入れることで他社との差別化を図っています。社員は全員バイリンガルで、社内では日本語と英語が飛び交うグローバルな環境です。

 

スタートアップでは事業・組織拡大のスピードがはやいため、即戦力エンジニア採用にニーズは常に顕在しています。

 

そこで、日本での就労経験がある外国籍エンジニアをスタートアップ企業に紹介することでスタートアップの成長を支援しています。

 

現在の取引者数は60社前後で、一般的に使われている大手スカウト媒体は使用せず自社での集客やリファラルを強化しています。

 

人材業界は、KPIを達成するための数字を求められることが多いので、ノルマが厳しく離職率が高い現状です。そのため、私たちは、KPIにコミットするよりも本人が持つ力を引き出す方に焦点を当てたチーム作りを意識しています。

 

当社ではリクルーターが採用職種ごとに専門性をもっています。。たとえば、モバイルに特化したリクルーターの場合はiOS、Android、Flutter、ReactNativeの経験を持つ候補者の転職を支援し、該当する求人を担当します。セグメントを職種に分けることで、深い理解が必要なエンジニア職種においても候補者、クライアント双方と深い理解をもって進めることで、専門性の高い人材紹介ができる仕組みです。

 

直近で当社がクライアント企業に紹介した人は、求人に該当する2人の候補者を紹介し、3回の面接を経てオファーを頂きました。先方の担当者によると、これまでに最終面接まで到達した人はいなかったので2人の候補者を紹介いただき1人採用できることに驚かれていました。求めているスキルに見合う人材を見極めるのは難しいので、当社の強みはピンポイントで企業の欲しい人材にアプローチできる面だと思います。

 

また、スタートアップ向けエンジニア採用と合わせて中小企業向けの採用支援にも力を入れています。クライアントの課題の合わせて様々な採用ソリューションを提供しています。うち1つの高卒採用の話をすると、ポテンシャルの高い高校生を採用したい企業は多いのですが、直接企業に応募ができないなど高校生ならではの事情があります。高卒を採用したい企業には採用の手順などをお伝えし、採用活動の一部を支援しています。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

元々私の父親が会社を経営しており、小さい頃から父親の背中を見て育ちました。起業家の働き方を幼少の頃から見てきたので、自分も大人になったら父と同じ起業をするだろうと考えていたと思います。

 

新卒で楽天株式会社に入社し退社後はフリーランスとなり、人材や教育などの領域で事業を立ち上げる業務に携わりました。

 

独立当初はエンジニアに特化した採用支援の事業形態でなく、バックオフィスに特化した人材紹介を行っていましたが、現在の事業責任者であるパートナーとの出会いをきっかけに、今の事業形態に変わりました。

 

当時、彼は英語の先生をしながら、私と一緒に新たな事業計画の壁打ちを行っていたんです。アメリカでITエンジニアのヘッドハンティング経験もある彼のアイデアと経験を活かし、エンジニアの採用支援事業を立ち上げました。

 

ゼロからイチを達成するために、事業をより堅実に考えなくてはいけない苦労もありましたが、海外の力を日本に導入し、もっと日本をよくしたい想いと、日本の力を海外に展開していきたいという2つの強い想いでここまで来れました。

 

相手にとっての最善を尽くすマインド×スタンス

仕事におけるこだわりを教えてください。

仕事をしていてさまざまな提案をしても「ノー」と断られてしまうことが多いのが現状です。私は「ノー」と言われるほど燃える気持ちが湧いてきます。

 

断られてもすぐに諦めるのではなく、「どうしたらイエスに変わるのか」を考え、行動するようにしています。相手の立場になって考えることで、どのようにすれば相手にとってプラスになるかを大切にしているのです。

 

楽天株式会社から独立した直後は、コロナ禍の影響で取引先との契約が次々と打ち切られ、苦しい日々を過ごしました。当時は収入がない中、税金が引かれて貯金が減っていく日々が続き、不安を感じながら過ごしていたと思います。

 

しかし、悩んでいるだけでは前に進めないと気付き、自分にできることを模索し始めました。その結果、手伝えることは何でも取り組み、次第に多くの人に応援されるようになり、信頼を得られたと感じています。

 

エンジニア採用業界においては、現場と人事の間で認識や感覚のずれが生じることも少なくありません。たとえば、現場が求める人材であっても書類選考をする人に要件が伝わっておらず、結果として適切な人材が書類選考で止まってしまうケースがあります。

 

このもったいない状況を避けるために、当社ではできるだけ現場やエンジニア責任者と直接話し、専門性を持った対応を心掛けています。こうした経験を通して、常に相手にとって最善の解決策を追求する姿勢が築かれたのかもしれません。

起業から今までの最大の壁を教えてください

最大の壁は当社で第一号の社員となったパートナーとの距離感だったと思います。

 

入社するまでに約1年一緒に働いていましたが、対面で会うのは当時週に1回だったので、彼とはそこまで深い関係性ではありませんでした。

 

彼を1人目の正社員として受け入れる際に、いくら顔見知りでも毎日顔を合わすわけでもない人を正社員にするには、それなりの覚悟が必要でした。彼は日本語を話せるので、日本語でコミュニケーションを取ることが多いのですが、最初はどうしても価値観が合わない場面もありました。

 

エンジニアの採用支援事業が決まっても、半年から1年は事業方針や様々な意思決定をするなかで、彼とぶつかることが多かったと思います。

 

私はどちらかというと温厚なタイプで怒ることはほとんどないですが、マイケルは意見をしっかり言うタイプで怒ることもあります。お互いに個性が違うからこそ、なんでそんなに怒ってるのか、もしくは温厚なのかが理解できませんでした。

 

紆余曲折ありましたが、今はお互いに信頼し合い、彼に任せられることは任せるなど良き関係性を築いています。彼が事業を統括してくれていることで、私は新しいことに挑戦できています。彼は必要不可欠な存在です。

 

自己規律で自分を奮い立たせる

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

モチベーションはありますが、実はそこまでモチベーションに頼っていません。

 

社会によい影響を与えていきたい思いや、売上を何百億円達成したい想いはもちろんあります。ただ、モチベーションはジェットコースターのように起伏が激しいので、考えや行動に自らけじめをつけるといった、自己規律を大事にしています。

 

私も人間なので、やる気が沸かなかったり疲れを感じたりすることもありますが、自分がネガティブな気持ちになったときは、今何をすべきか考え、自分を奮い立たせています。1つずつ目標を達成しながら、物事が進んでいる過程を楽しむことも自己規律の1つです。

 

個人的な趣味でサウナが好きなのですが、なぜサウナの暑さに耐えられるかと言うと、その後に水風呂に入って整う過程があるからだと思っています。

 

事業も同じで、仕事がうまくいかず苦しいフェーズが来ても、これを乗り越えれば明るい未来が来ると信じているからこそ、進み続けられるのかもしれません。

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

ここ最近の日本では外国籍の人が増加中です。そのため、もっと外国籍の人が日本で活躍できる機会を創出していきたいと考えています。

 

当社では、9割以上のクライアントがスタートアップ企業で、その多くが外国籍の人材を採用しています。外国籍の人材がこのまま増えていけば、日本の競争力が海外でも高まっていくのではと確信しています。

 

現在、当社は日本に本社と東京支社、福岡支社を構えていますが、将来的には海外にも支社を展開していく予定です。具体的には、韓国、台湾、オーストラリアを候補地としており、実力を身に付けたメンバーに海外支社の展開を任せていきたいと構想を練っています。

 

また、人材採用業務に欠かせない顧客管理システムについて、現在海外製のものを使用していますが、海外製であるが故に完全に適しておらず、使いにくさを感じることも少なくありません。現状、日本市場向けの代替システムがないため、今後は自社で顧客管理システムを開発し、それを日本市場に提供することも計画中です。自社のシステムが軌道に乗った際は、世界市場への展開も視野に入れています。

 

まずはスモールステップで行動を

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業と聞くと怖い、大変などネガティブなイメージを抱く人が多いかもしれませんが、失敗しても次挑戦できる状態であれば大丈夫です。(再起不能になるのはもちろんNG)失敗を恐れるより1歩踏み出すことがとても大事なので、起業を考えている人はスモールステップで始めてみてはいかがでしょうか。

 

少しでも行動した人と、何も行動しないでずっと考えている人では大きな差が生まれています。ぜひ失敗しても大丈夫なフェーズから行動してみてください。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:​​古賀勇輝

学生時代に教材販売のフルコミッション営業、AIスタートアップにてマーケティングに従事。新卒で楽天株式会社に入社しモバイル事業の営業を経験後、独立。フリーランスとして人材、教育領域で0⇒1の事業立ち上げを行った後、LongWave株式会社を創業。現在は採用を軸に即戦力エンジニアの紹介事業と中小企業向けの採用支援事業の2つを展開。

企業情報

 

法人名

LongWave株式会社

HP

https://longwave.co.jp/

設立

2022年2月18日

事業内容

即戦力エンジニア採用支援事業、中小企業向け採用支援事業

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