株式会社var 代表取締役 古里 栄識

 

株式会社varは、希少価値の高いエンジニア育成専門のITスクール「RareTECH(レアテック)」の運営を主力事業とするIT教育会社です。他のスクールとは一線を画す、2年という長期カリキュラムと徹底したメンタルサポートにより、高度な技術力と強靭な精神力を兼ね備えた「希少型エンジニア」を輩出しています。


代表取締役の古里 栄識氏に、事業内容や今後の展望なども含めて、詳しくお聞きしました。

 

AI時代を勝ち抜く「希少型エンジニア」を育成

 

 

事業の内容をお聞かせください

当社の主力事業は、プログラミングスクール「RareTECH」の運営です。個人向けには転職を目指す方や学生さんに提供しており、法人向けには企業のエンジニア研修として導入いただいています。


他にもいくつかサービスを展開しています。一つは「エンベーダー」というサービスで、エンジニア向けのeラーニング学習サイトです。


もう一つは「rireki(リレキ)」という履歴書管理アプリで、エンジニアや学生さんに使っていただくサービスです。


これらのサービスを運営する理由は、IT教育の会社として、私たち自身も常に勉強し続ける必要があると考えているからです。「エンベーダー」や「rireki」の運用は、私たちにとっても貴重な勉強の機会になっています。


さらに、システムアプリケーション開発も手がけています。企業のウェブサイト制作や、スタートアップ企業の開発部門を丸ごと請け負うこともしています。

 

 

他のITスクールとの違いを教えてください

当社のプログラミングスクールの最大の特徴は、カリキュラムの期間が2年間あることです。他のスクールの多くが3ヶ月から1年程度なのに比べて、かなり長いです。


期間が長い理由は、エンジニアになるのに3ヶ月で十分だったら、今頃誰もがエンジニアになってるはずだと私が思っているからです。実際、私自身も3ヶ月では無理でしたし、他の方からも3ヶ月じゃ足りなかったとよくお聞きします。


そのような経験から、2〜3年は絶対に必要だと思いました。そこで、専門学校のような形で2年間のカリキュラムをつくったのです。


また当社では「希少型エンジニア」という言葉で商標を取り、使用しています。これは量産型ではなく、本当に価値のある人材を育てたいとの思いから名付けました。


エンジニアの世界は、スポーツ選手と似ています。日本人メジャーリーガーのようなスーパースターもいれば、仕事がなくて困っている人もいます。


また、給与面では新卒エンジニア10人分の給料を払うなら、熟練エンジニア1人に高給を払った方が効率的です。なぜこのような差が生まれるかと言うと「スキルの差」があるからです。


だからこそ、今からエンジニアを目指すならしっかり勉強しないと意味がありません。ちょっとしたスキルでは通用しないのです。アプリを1人でつくれるとか、複雑な連携が必要なシステムを説明できるレベルでないと生き残れないのが現状です。


当社のプログラミングスクールは、転職するためやフリーランスを目指すためのスクールではありません。スキルさえあれば何でもできる、そのような力のあるエンジニアを育てるためのスクールなのです。


他のスクールが3ヶ月や6ヶ月で転職を目指すのに対して、当社では最初の1年で転職し、次の1年でさらにキャリアアップを目指します。また、副業を考えているママさんにも対応できます。副業は高いレベルが求められますが、そこまで到達するまでのステップを全て用意しています。


「希少型エンジニア」を目指したいなら、当社のスクールを選んでもらえたらと思います。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

2020年に創業したのですが、その道のりは少し変わっています。


元々は大学院を中退して、フリーランスで活動していました。その中で、漠然と「社長になりたい」との思いがあって、法人を立ち上げました。


その後、オンラインサロンを運営しながら、AWS(アマゾン ウェブ サービスジャパン)に入社しました。ですが、将来やりたいことは、ひたすらプログラムを書くことではなく、経営や事業をつくりたいといった思いがありました。


その中で「このままエンジニアでいいのだろうか」と何度も考えました。その中で、技術さえあれば40歳から再度やり直しても、きっと何とかなるだろうと思ったのです。


そこで「今しかできないことをやってみよう」と思い、会社を立ち上げました。会社名の「var(ヴァー)」は、変数(Variable)の意味があります。最初はやりたいことが決まっていなかったため、何でも対応できるようにとの思いを込めています。


個人事業主での事業をそのまま法人化する際には、「する必要がない」「手続きが大変だ」と多くの人に止められましたが、「そういうことじゃない。これがやりたいんだ」といって起業したのが、今の事業の始まりです。

 

本気で人生を変えるサポートをする

仕事におけるこだわりを教えてください。

当社のプログラミングスクールは、単なるITスキルを教える場所ではありません。技術だけじゃなく、メンタル面も鍛えることが私たちのこだわりの一つです。


受講生の人生を本気で変えようとしていますし、社員も当社を通して人生を変えるわけですから、半端な気持ちではできません。そのため、ハードワークやスパルタ的な要素は大切にしています。


「200時間働いて時間が足りないなら、250時間働けばいい」と、私は本気で思っています。時代に逆行しているかもしれませんが、それぐらいの熱意と時間をかけないと、人生は変わらないのです。


プログラミングの技術だけじゃなく、身だしなみや履歴書の書き方、自己アピールの仕方、お礼の仕方、レスの速さなど、ソフトスキルも徹底的に鍛えます。


そして、全てのクオリティにこだわっています。当社のロゴ一つをとっても、いろいろな思いを込めています。ホームページも綺麗につくり込み、パワーポイントで適当につくった資料は一つもありません。必ずデザイナーの目を通して、一つひとつのクオリティを高めています。

 

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

最大の壁は「組織づくり」でした。


私は24歳で起業したのですが、それまで部下を持ったこともなく、人をマネジメントする経験が全くありませんでした。全てが自分基準で、「自分ができるなら、あなたもできるでしょ」や、逆に「自分ができないことは、あなたもできないでしょ」くらいの感覚でした。


ですが、実際に人を雇ってみると、デザイナーがつくるロゴへの思いやコメントが素晴らしかったりと、自分よりはるかに優れたスキルを持つ人たちがいることに気づきました。そこで「自分の基準が正しいとは限らない」と思えるようになりました。


ミッション、ビジョン、バリューについても、最初は「つくればいいのかな」くらいの軽い気持ちでした。しかし、そのような姿勢で組織を動かそうとしたら、限りなく崩壊に近い状態になりました。つまり、給料以外で人を引っ張る力が全くなかったのです。


当時は業務委託が40人、正社員が2人の体制でしたが、誰も正社員転換してくれず、私についてきてくれている実感がありませんでした。気付いたら、誰かの陰口が聞こえてくるような、良くない雰囲気になっていました。


そこで、組織づくりに真剣に向き合いました。先輩に相談したり、経営塾にも参加して、必死に情報を収集しました。今思えば、あの時期に組織の課題と向き合えて良かったと思います。


結局のところ、自分基準で人を見ていたのが最大の問題でした。特にエンジニアは、特定の技術に非常に秀でている人が多く、その強みを活かす方向で活躍させてあげれば良かったのです。自分のコピーをつくろうとしていた自分が、今になれば恥ずかしく感じています。

 

ITの枠を超え大規模な事業に挑戦したい

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

RareTECHを日本一のプログラミングスクールにすることです。あと2年以内にこの目標を達成したいと考えています。


プログラミングスクールの市場は、英会話スクールと同じように競争が激しいです。だからこそ、勝ち抜く技術力、経営力、マーケティング力を身につければ、どの分野でも通用するのではと、仮説を立てています。


正直、今すぐ何百億稼いで豪遊しようといった考えは全くありません。今は勝ち抜くために努力を重ねること、それ自体が私のモチベーションになっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

ITの分野を超えて、観光業やエンターテインメント、スポーツの分野に挑戦したいと考えています。


実は、私はもともとサッカーをやっていて、プログラミングを始めたのは大学4年生からでした。ゲームや漫画、アニメにはあまり興味がなく、旅行したり、みんなでサッカーをしたり、飲み会に行ったりする方が好きです。


そういった分野の事業を将来的にはやりたいと思っています。しかしそのためには、莫大な資金が必要です。ホテル1つをつくるにしても何十億とかかります。また、今の私には、まだ大規模な資金を運用し成功に導くスキルがないと感じています。


だからこそ、今はITの分野で力をつけて、将来的にはもっと大きな規模の事業を扱えるキャパシティを身につけたいです。今のITスクール事業での成功は、その準備段階だと考えています。

 

起業したいなら今すぐ行動を

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

今すぐ起業してください。


起業は、やってみないと本当のことはわかりません。起業に関する本をたくさん読んでも、起業せずに組織づくりも学んでも、実際の力は身につきません。起業したいと思ったら、早く始めた方がいいと私は考えています。


失敗しても命に関わることはありません。その経験を次に活かせばいいですし、就職することもできます。気楽に考えてみてはどうでしょうか。


ただし、正直に言うと、起業の道は決して楽ではありません。私が起業したての頃、ある先輩経営者から「ようこそ茨の道へ」と言われたことを覚えています。当時の私は、普通に働くより稼げるし、時間も自由だし、好きなときに休めて、海外旅行にも行けて、最高じゃないかと思っていました。


ですが今、起業して5年目に差し掛かる中で、やっと言葉の意味がわかってきました。本当に大変です。それでも、挑戦する価値は十分にあると思います。

 

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:​​古里 栄識氏

慶應義塾大学理工学研究科中退。個人事業主のエンジニアとして活動後、AWS Japanに入社。その後、株式会社varを設立し、代表取締役に就任。AWS認定講師(AAI)。

 

企業情報

法人名

株式会社var

HP

https://var.co.jp/home

設立

2020年11月13日

事業内容

エンジニア研修・システム開発・メディア運営・ITコンサルティング・システム監査

 

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