株式会社FREAK 代表取締役 岡村 彩乃

株式会社FREAKは、専門的な知識や技術を有する理系学生を対象とした採用支援サービスを展開しています。代表取締役を務める岡村 彩乃氏は、筑波大学中にハイブリッドロケット開発プロジェクトへの参画や、同大学初となる超小型人工衛星開発プロジェクトを立ち上げた経験を持ちます。自身のバックグラウンドを活かして2度目となる起業に挑戦した岡村氏に、事業内容や今後の展望をお聞きしました。

 

理系学生とスポンサー企業のマッチングによる採用支援

事業の内容をお聞かせください                 

主な事業として、理系学生のキャリア支援を行っています。しかし、他企業が行う採用支援と一線を画しているのが当社サービスの特徴です。



現在、約30の大学で1,000名ほどの学生がロケットや人工衛星などのプロジェクトに取り組んでいます。しかし、これらの学生たちは研究で忙しく、アルバイトをする時間も限られているため、資金面での課題に直面することも少なくありません。

 

そこで、当社は優秀な理系学生とスポンサー企業をマッチングするサービスを立ち上げました。我々のサービスは単なる採用支援に留まらず、企業がスポンサーとして資金を提供し、学生の研究やプロジェクトを支えることにより、学生の成長を見守り、優秀な人材の採用に繋げることができる仕組みです。

 

というのも、理系学生は就職活動を始めるタイミングが遅れがちで、自ら積極的に外に出る人も少ないため、企業と長期的な関係を構築できる機会は学生にとっても非常に価値があります。また、学生はスポンサー企業に対して、進行中のプロジェクトの内容や身につけたスキル、次の目標などを定期的に報告し、その過程で企業からのフィードバックを受けます。継続的に企業と関わりを持つことで、実際のビジネス環境に近い経験を積むことができ、効果的な就職活動に繋げられるのです。

 

このように、当社のサービスは学生と企業の双方にとって有益な関係を築ける場となっています。現在は、私が宇宙開発のバックグラウンドを持っていることもあり、同じ分野の学生を対象にしていますが、今後はロボコンや鳥人間などの異なる領域の「ものづくり」に励む学生も支援していく予定です。また、現在は新卒の採用支援がメインですが、将来的には中途の採用支援サービスも考えています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は大学時代に宇宙開発の勉強をしていたのですが、その時に自分は技術者よりも、チームをまとめるディレクターのような役割の方が向いていると感じました。正直なところ、学生時代は周りの優秀な学生に技術面でついていけず、研究者としての道は選択肢になかったと言ったほうが正しいかもしれません。

 

そこで一度、宇宙の勉強から離れてビジネスの基礎を学ぶために大学院でMBAを専攻しました。しかし、知識を学ぶだけでは不十分だと感じ、実践経験を積むために大学院を中退して人材関連の会社を立ち上げることにしました。

 

紆余曲折を経て、その会社の役員を退くことになったタイミングで、大学時代の教授や後輩との繋がりを活かして、現在の理系学生を対象とした人材事業を立ち上げました。私のように宇宙開発のバックグラウンドを持ちながら、人材領域でキャリアを積んだ人は少ないため、その2つを掛け合わせた独自性のある事業を生み出せると思ったのです。

 

1社目の経験から、採用領域での数多くの課題を目の当たりにしましたが、中でもベンチャー企業の採用が困難であることを強く感じました。ベンチャーの多くは、どれだけ事業内容が素晴らしくても、学生の間での認知度が低く、採用に課題を抱えています。

 

その時の気付きが、採用の時だけ企業と学生が接点を持つのではなく、双方が長期的な関係を構築できる現在のビジネスモデルに繋がっています。

 

スピードを重視した即決即断の経営

仕事におけるこだわりを教えてください            

仕事で意識しているのは、即断即決です。

 

私はせっかちな性格で、普段から「今できることはすぐにやる」ようにしていますが、仕事では行動のスピードをさらに速くしています。

 

相手を待たせてしまう場合は、尚更です。たとえば、経営者同士の集まりやセミナーなどのお誘いを受けた際には、保留せず「行くか行かないか」「やるかやらないか」をすぐに決めるようにしています。このように即断即決を繰り返すことで、より有意義な時間の使い方ができると思っています。

 

1度目の起業、または今回の起業で直面した壁を教えてください

当社は設立して日が浅いため、まだ大きな壁に直面したことはありませんが、過去に立ち上げた会社では人材マネジメントに苦労しました。

 

私は物事をロジカルに考える傾向が強く、「こうしたらこうするものだ」といった一方的な考え方をしてしまいがちです。当時はそのことに気づいておらず、相手の異なる価値観や考え方を十分に考慮できておらず、株主からは「人はロボットじゃない」と指摘されたこともあります。自分ではそのつもりはなかったのですが、周囲にはそう見えていたと知って、反省しました。

 

この経験を通じて、どうすれば相手が自発的に動いてくれるか、皆に気持ちよく働いてもらうにはどうすべきかという点を意識するようになり、今はその教訓をマネジメントに活かしています。

 

皆が快適に過ごせる環境作りを意識

進み続けるモチベーションは何でしょうか?          

モチベーションになっているのは、家族や周りの大切な人たちにとって、より良い環境を作りたいという想いです。

 

私には9歳の息子がいるのですが、私がどのような環境でどのような人と働いているかが、息子にも少なからず影響します。20代前半は「稼ぎたい」「こういう暮らしがしたい」といった自己実現のために仕事をしていましたが、今は息子と家族、そして今後さらに出会う大事な仲間たちのために、より良い環境を作れるよう意識しています。

 

そのための選択肢を広げる手段として、お金を稼ぐことも重要だと考えています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

現在は大学生のキャリア支援にフォーカスしていますが、今後はさらに年齢層を下げて、才能ある子供たちの発掘や支援も行っていきたいと考えています。

 

すべての子供が大学に進学できるとは限りません。さまざまな理由から進学の機会を得られない子にも、才能や可能性が秘められているはずです。そのため、多くの子供たちが自分の才能を最大限に活かせるよう、支援できる事業を展開したいと考えています。

 

自分の殻を破り、新しい考え方を取り入れる

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします     

起業の第一歩を踏み出す段階でのアドバイスは1つあります。それは、「これまでの自分とは全く異なることに挑戦する」ということです。

 

起業する時は多くの迷いや考えが浮かびますが、自分の頭だけで考えていると、どうしても過去の自分と同じような考えや行動になりがちです。それよりも、さまざまな人の意見を取り入れて、今までの自分では考えつかなかったことに挑戦することが大切です。そうすることで、自分の殻を破り、新しいステージに進むことができると思います。

 

私も最初に起業した際は、人の意見を取り入れ、これまでの自分では考えつかなかったことに積極的に挑戦するようにしていました。未知の領域に飛び込む勇気を持つことが、起業の第一歩だと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:岡村 彩乃氏

2012年、筑波大学卒業。在学中ハイブリッドロケット開発プロジェクトへの参画経験あり。筑波大学初の超小型人工衛星開発プロジェクトを立ち上げ、JAXA相乗りプログラムに採択される。卒業後2014年には人材紹介・人材派遣業・教育事業などを軸とするベンチャー企業を創業、代表取締役として従事。2022年、同企業の役員を退任し個人事業主として外資コンサルティングファーム、大手リテール企業、飲食企業、ITスタートアップなど幅広い業界に対し採用コンサルティング、採用代行、組織マネジメントについて支援実績がある。2024年 株式会社FREAK創業。

 

企業情報

法人名

株式会社FREAK

HP

https://www.freakinc.biz/

設立

2024年 07月17日

事業内容

  • 理系学生のスポンサー事業
  • 採⽤コンサルティング・採⽤イベント事業
  • 人材紹介業(免許取得予定)

 

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