株式会社風土テック 代表 柴田 亮太

株式会社風土テックは、企業の風土づくりに特化した人材・組織コンサルティングの企業です。離島や遠隔地など、採用が困難とされる地域でも高い実績を残し、多くの企業から厚い信頼を獲得しています。代表の柴田亮太氏に、詳しい事業内容や今後の展望をお聞きしました。

 

「早く社会に出たい」と思わせる魅力溢れる企業を増やす

事業の内容をお聞かせください


当社の事業は、企業の文化や風土づくりを中心に展開しています。具体的には、理念・ミッション・ビジョンの策定、採用コンサルティング、新人向け研修、そして風土分析といった4つの柱で構成されています。


「ここにしかない誇りで選ばれる会社をつくる」というミッションを当社では掲げており、各企業の独自の文化や風土こそが、企業の誇りの源になると考えています。


具体的には、企業理念の策定からインナーブランディング、そして採用活動までを一貫してサポートしています。特に採用面では、コロナ禍で従来の採用手法が通用しにくくなった現状を踏まえ、独自の学生集客から企業とのマッチングまでをおこなっています。


当社のサービスは主に、人材の採用や定着に困っている企業向けです。現在の従業員の成長支援と、新たな人材の獲得・戦力化の両面からアプローチしています。


この事業にこだわる理由は、私自身の経験に基づいています。就職活動中、社会の歯車になり働くことへの不安を感じていました。憂鬱なまま電車に乗り、会社に向かうイメージだったのです。しかし、実際には目的を持って、いきいきと働く人たちがいることに気づきました。


そのように自分の仕事に誇りを持ち、やりがいを感じる社会人を増やしたいとの思いが、この事業の原動力になっています。最終的には、若者が「早く社会に出たい」と思えるような、魅力的な企業や職場を増やしていきたいです。企業の文化や風土を大切にすることで、そこで働く人々が誇りを持てる職場づくりを支援していきたいと考えています。

 

ミッションやバリューを設定する際に重要な点を教えてください


ミッション、ビジョン、バリューの設定は、それぞれアプローチが異なります。


ミッションは経営者とつくります。経営者の人生を棚卸しして、大切にしてきた価値観を言語化します。これが会社の軸になります。


ビジョンは経営幹部層4〜5人で決めます。どの山に登るか、どこまで行くのか、未来の方向性を1つにまとめるイメージです。


バリューは社員と一緒につくります。ミッションとビジョンを実現するために、日々どのような価値観を大切にすべきか、ワークショップなどを活用し決めていきます。これらを社員全体に伝えるときには、なぜこれらが大切なのか、なぜ今つくり直すのか、といった背景をしっかり伝えることが大事です。


社員にとっては、自分の生活がどう変わるかが一番の関心事です。単なる思いだけでは納得してもらえません。そのため、ミッション、ビジョン、バリューによって、具体的に何が変わるのか、給料や仕事にどう影響するのかを示すことが大切です。

競争が激しいHR事業で選ばれる理由を教えてください


当社の強みは、厳しい採用環境下での実績にあります。離島や熊本の市内から車で3時間かかるような遠隔地など、従来採用が困難だった地域や、大卒採用実績のなかった企業でも継続的な採用を実現してきました。


現在約15社を支援していますが、支援した全ての企業で具体的な採用成果を上げており、100%の成功率を誇ります。各企業の独自の状況や課題に合わせたブランディングと採用戦略を構築することで、従来の手法では難しかった企業や地域でも効果的な人材獲得を可能にしています。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?


学生時代から起業したいと思っていました。その理由は、就活をしていたときに自分の過去を振り返ってみると、リーダーとしての自分が一番心地良かったからです。また、当時は「社会の歯車になる」ことへの恐怖心もあって、自分で責任を持って仕事をしたい、自分の責任で生きたいといった思いが強かったです。


そのような思いから、起業しやすい会社を探していました。偶然にもベンチャーのコンサルティング会社に入社し、この仕事に出会いました。


特に印象深い経験は、入社3年目に福岡の拠点長として単身で赴任したことです。当時、コンサルティングの仕事自体も2年ほどしかしていない状態で、実力もありませんでした。大阪で働いていたので、福岡でのお客様とのつながりもなかったです。その中で、高付加価値、高単価のコンサルティングサービスを販売することになったのですが、最初は全く売れませんでした。


会社からは特に指示もなく、アドバイスもありません。今思えば意図的だったのかもしれませんが、完全な放置状態でした。半年かけてようやく1社と契約できて、そこからは一気に増えていったのです。


この経験は、今の自分に近いものがあります。自分で考えて自分で動くことの難しさ、大変さを痛感しました。ですが、自分で行くと決めたからこそ頑張れましたし、負けて終われないと思っていました。


福岡での経験が、今の事業につながっています。自分の責任で仕事をし、生きていくといった学生時代からの思いを、今まさに実現できています。

 

対等な関係の中でより良い成果を出す

仕事におけるこだわりを教えてください。


最も大切にしているのは、ビジネスにおける「対等性」です。特に顧客との関係性において、対等な立ち位置を非常に重視しています。


コンサルティング業務は、私たちがお願いして取り組むものではありません。以前は「理念をつくって欲しい」と言われ、その会社の理念をつくることもありましたが、そのようなアプローチでは本当に良い理念は生まれません。なぜなら、顧客が他人任せになってしまうからです。


理念は、その会社自身が本当に大切だと思うタイミングでつくるべきものです。そのため私たちは、営業のときも顧客に対して下から接することも、逆に「先生」のような態度で上から目線になることもありません。



コンサルティング中も、常にフラットで対等な関係性を保つことを心がけています。単なる接し方の問題ではなく、より良い成果を出すための重要な要素だと考えています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください


現時点では、それほど大きな壁には直面していません。


ただ、これから先のことを考えると、いくつか予想される課題はあります。例えば、人が増えてきたときの組織づくりです。僕自身、組織づくりの専門家ではありますが、自社の組織づくりは初めての経験になるので、一つの壁になるかもしれません。


具体的には、創業メンバーと新しく入ってくる人たちとの融和や、中途採用と新卒採用の人たちの間の壁をどう乗り越えていくかといった課題が出てくると思います。

 

業界でトップになれる事業を創造する

進み続けるモチベーションは何でしょうか?


「生まれたからには大きいことをやりたい」といった思いが根底にあります。高尚な思いは特になく、面白い人生にしたいと思っています。


従業員としての人生も十分面白いものになり得ると思います。ですが、私の場合は、敷かれていないレールを歩くことに一番面白みを感じます。昔から、トップ以外のポジションではあまり面白さを感じませんでした。


結局のところ、自分の人生を自分らしく、面白く生きたいといった思いがモチベーションになっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 


スキマバイトを通じた採用支援に大きな可能性を感じています。


この分野で新しい市場を開拓中です。例えば、既存の就活プラットフォームなどを活用して、企業と求職者の接点をつくり、面接の機会を提供しながら、同時に採用もおこなうといった新しいアプローチです。


この方法は、非常に良い結果を出しています。採用支援をこのような形でおこなっている会社は、まだほとんどありません。だからこそ、このスキマバイトの採用支援業界で、トップになれる可能性があると考えています。


当社のバリューの一つに「2番目は敗北である」があります。やはり1番を目指したいですし、2番では面白くないと思っています。「自分たちにしかできない仕事は何か」を創業時から考え続けてきましたが、ようやく見つかり始めていると感じています。


現在、8社ほどの企業と採用支援の取り組みをおこなっています。今後はさらなる拡大を目指します。

 

今の会社で1番になってから起業するべき

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします


起業するなら、「プロになること」が不可欠です。


その理由は、企業を成長させ、10名、20名、100名といった組織をつくっていく上で、経営者には強いリーダーシップが求められるからです。「この人についていきたい」「この人と働きたい」と思わせる魅力が必要です。そのためには、何かの分野でプロになる必要があります。


プロとして起業するのと、アマチュアとして起業するのでは、売上や社員に対するリーダーシップの面で大きな差が出ます。確かに、起業すれば経営者としての経験は積めます。しかし、起業したての頃は資金もありませんし、質の良くない仕事を安く請け負わざるを得ないこともあります。


それよりも、会社に所属して、しっかりとしたクライアントと仕事をし、プロとしての経験を積むことをおすすめします。そうすることで、自分の責任で経営していく準備が整うからです。


起業する際に、資金に不安を抱える方は多いですが、プロは稼ぐ力があります。マーケティングなど考えずに稼げるのがプロの証です。逆に言えば、稼げる自信がないなら、起業はやめておいた方がいいでしょう。


また、今の会社で一番になれないのに独立するのは、おすすめできません。今の環境で本気で頑張れば、必ずトップになれるはずです。そうやって努力を重ねていけば、自然とプロとしての自信も身についてくると思います。

 

 

企業の採用担当者・就活中の学生向けにメッセージをいただけますか?


◆企業の採用担当の方へ
採用に諦めを感じている方に「私たちが何とかします」とお伝えしたいです。離島での採用など、一見不可能に思える環境でも実績を上げてきました。採用でお困りでしたら、お気軽にお問い合わせください。一緒に解決策を見つけていきましょう。


◆就職を考えている学生さんへ
「社会は面白いよ」というメッセージを伝えたいです。社会人になることへのポジティブなイメージは少ないかもしれません。ですが、実際はとても面白く、期待できる世界です。

当社でも、新しい正社員が1人増え、高卒の新卒も1人入社予定です。さまざまな形で社会に出る機会があります。本当に面白いところだということを、ぜひ働くことを通じて知ってほしいと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:柴田亮太氏

2014年4月 株式会社ソリューション入社 大阪本社配属

2016年6月 福岡拠点長就任 社内最年少で拠点の立ち上げを経験する

2018年   年間MVP獲得

2019年   2年連続年間MVP獲得

      異業種交流団体「BNI」にてプレジデント就任

2020年   3年連続年間MVP獲得

2021年4月 株式会社マトリックス専務取締役就任

   7月 株式会社マトリックス退社

   9月 個人事業「リプルズ」創業

2022年4月 「株式会社風土テック」設立

   9月 事業拡大に伴い、東京へ移転

2023年4月 株式会社風土テック第2期スタート

   6月 関東・関西・九州にて事業拡大中

 

企業情報

法人名

株式会社風土テック

HP

https://fudo-tech.co.jp/

設立

2022年4月1日

事業内容

組織コンサルティング

 

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