【#251】人と人がつながる場を提供し、「出会い」によって豊かな関係性を創出する事業を展開|代表取締役Co-CEO 嶋田 瑞生/南原 一輝(株式会社ATOMica)
株式会社ATOMica 代表取締役Co-CEO 嶋田 瑞生/南原 一輝
あらゆる願いに寄り添い人と人を結び続ける株式会社ATOMica。地域や企業に向けたコワーキングプロデュースや運営、学生向けのインターンシップなどの事業を展開しています。時代の流れと共に希薄になる人とのつながりに着目し、素敵な出会いのサポートを提供することでより豊かなライフワークの実現に取り組んでいます。今回は、代表取締役の一人である嶋田瑞生氏に、事業の詳しい内容や今後の展望を伺いました。
豊かなコミュニティ作りで人類課題を解決させたい
事業の内容をお聞かせください
当社の主な事業は、コワーキングスペースのプロデュースと運営です。「コミュニティを作る」これが我々のコアバリューであり、全てはこれに尽きると思います。単なる不動産事業としてではなく、スペースはコミュニティ作りの手段の1つであると捉え、地域や企業においてコミュニティをどう作るか、またそれをどう醸成し発展させるかといった観点を持っています。
コワーキングスペース運営においては相互理解を高めることが大事だと考えます。誰かと一緒に何かを営むには、お互いの文化や歴史などのプロトコルへの理解が欠かせません。このプロトコルを理解し共創を始めるために、人と人を結び続けるプロフェショナル「コミュニティマネージャー」を常駐させ、営みを生み出しやすくするのが我々のサービスです。
また、全国各地の企業と人を繋げることで、一人ひとりの「働く」の選択肢を最大化し、あなただけのとっておきの働き方を発見していただくためのプログラム『COYAGE(コヤージュ)』をはじめ、様々なプログラムの運営にも取り組んでいます。例えば、自分に合った働き方を発見するための学生向けインターンシッププログラム『ATOMatch(アトマッチ)』や人と人を結び続けるオリジナル交流プログラム『MEET@(ミートアット)』をATOMicaが運営する全国のコワーキング施設で展開中です。
ATOMatchでは、中小企業が採用に困っている課題と、学生が地元で良い仕事を見つけられない課題を結び、地域の事業者や自治体の課題を解決するべく取り組んでいます。ここにも弊社のコミュニティマネージャーが介在し、伴走支援を行う点が我々にしかない大きな特徴です。
MEET@では、年齢や役職などの垣根を超えてその人にとって最適な場を提供します。参加の目的やコミュニケーションスタイルに合わせてコミュニティマネージャーが関係構築のお手伝いをし、共創の機会を創出していきます。
我々は「あらゆる願いに寄り添い、人と人を結び続ける。」をビジョンに掲げ、多くの「願い=WISH(ウィッシュ)」を集めて「出会い=KNOT(ノット)」を生むことを大切にしています。単なるマッチングではなく、人間関係を構築し結ぶことに本当の意味があり、人と人との出会いで多くの願いを叶えることが我々にとっての大事な考え方です。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
大学1年生の時に学生起業をしました。この学生起業を通して、「この人と出会えていなかったらこんなことできなかったな」と思うことが多くありました。また、コミュニティの大切さも学びました。その後新卒でエンジニアとして働いていましたが、起業したときに実感したコミュニティの価値を証明したいという思いを強く抱いていたため、現在の会社を創業するに至りました。
最初はコワーキングスペースの運営から始めましたが、地方のコワーキングスペースの運営で黒字化しているところは少なく、事業として成立していないケースが多かったです。また、様々な地域課題を耳にするうちに、「コミュニティマネージャー」が地域課題や問題点をサポートしながら解決するサービスを提供できないかと思うようになりました。これが現在のソーシャルコワーキング®︎の事業が生まれたきっかけです。
弊社は共同代表取締役というレアなパターンで運営しているのですが、南原くんとは大学3年生の時にインターンシップで出会いました。お互いに別々の会社に就職しましたが、定期的に連絡を取りながらずっと意識しているような関係性でした。
仕事におけるこだわりを教えてください
世の中の笑顔の総量が最大化されるような意思決定をすることを大事にしています。目を背けたい事実などがあった時、それを放置してしまい他の様々なことを無駄にしてしまうケースがあります。しかし、短期的には辛くても、結果的に増える笑顔の数を最大化させることができるのであればそれは大きな意味を持ちます。そのため、中長期でのリスクを考えて意思決定をすることが私の譲れない軸になっています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
大小様々な壁がありますが、結局人間関係での問題が多いように思います。世の中のスタートアップ企業がぶつかる壁には30人の壁や100人の壁があると言われますが、我々も当然その壁に直面しましたし、しています(笑)。どんな会社でも必ずこの人間関係での課題に直面するのではないかと思います。これは組織の力の話ではなく、ステージの変化に伴う現象なので避けて通ることはできないことだと痛感しました。
しかし、壁に直面したらその都度、みんなで話し合ったり仕組みを作ったりして様々な対処を行うと、その壁を一緒に乗り越えたメンバーとの間には強い共創関係が生まれていると実感しています。
社員の学びや成長がトップとしてのやりがい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
従業員が成長した顔を見ることが一番のモチベーションになっています。できなかったことができるようになった時に、パアッと表情が明るくなる瞬間って本当に尊いですよね。その瞬間が見られると法人をやっている意味を実感できますし、モチベーションになっています。どうせ仕事をするのなら、成長したり経験を通じて学びに変えたりして、人生の血肉になる体験をよりたくさん味わっていきたいなと考えています。
その他にも、共同代表制の成功例を作っていきたいという思いがモチベーションに繋がっています。一般的に、共同代表制は難しいと言われていますが、だからこそ共同代表制の道を切り開いていきたいと考えています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
「誰かと一緒に何かをするって素晴らしい」そんな体験を多くの人に知ってもらうために活動し続けて行きたいと思っています。KNOT(ノット)する体験を提供してコミュニティを増やしていくことは、様々なところに転用が効くなと感じているため、たくさんの人たちにコミュニティの価値を届けたいです。
また、コミュニティの力を数式化したいと考えています。現時点ではコミュニティという概念はまだまだ抽象度が高く、その仕組みが数式では中々整理しにくい状況です。ただ、これが数字レベルで整理できるようになったら、よりコミュニティの価値を証明しやすくなり、結果としてもっともっと多くの方々をKNOTできるようになると思っていますので、そのような活動を続けていきたいと考えています。
良い仲間を見つけることが起業の第一歩
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
私はどちらかというと、起業することを悩むくらいならやらない方が吉ということが前提としてあります。必ずしも万人にとって幸せの総量を増やす意思決定ではないからです。しかし若ければ若いほどチャレンジしない理由はないため、もし起業するのであれば早めに行動に移すべきだと思います。特に学生さんは無敵状態なので、思い立ったらぜひ。
また、起業に大切なのは「仲間作り」だと思います。スタートアップらしい点でいうと株主の方々の存在も面白いです。資金を提供いただくだけでなく、その会社さまがお持ちのネットワークやアセットを共有いただけるのは、リソースやノウハウが虚弱なスタートアップにとっては本当にありがたいです。当然、株主と出資先の関係性ですので、適切な礼節は不可欠ですが、文字通り血を分かち合った仲間として共創体制がとれると法人としての表現力が一気に膨らむなと感じます。
サービスを利用したい方にメッセージをお願いします
地域のお話ではなくあえて都内のお話を。最近は、コロナ禍の収束と共にオフィス回帰問題やワークスタイルの変化などオープンイノベーションが叫ばれていますが、社内のコミュニケーション活性化や従業間の接点作りに課題を感じる企業が多いと感じます。そこで社内のコミュニティ作りを手伝ってほしいというケースが非常に多いため、弊社では単発のイベントから長期的なサポートなど様々な支援を行っています。社内コワーキング施設のご相談も増えてきました。
当社は全国に37施設と様々な場所に展開していますので、困ったことや悩みがあったらWebを通してご連絡いただくか、一度施設に遊びに来てみてください。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:嶋田瑞生 氏
1994年仙台生まれ、東北大学卒業。
大学1年生の冬にGamificationの領域で起業。会社経営を通じて様々なオトナと出会い、 そして共創が起きていく面白さに気付く。その後、靴磨きを通じて学生のキャリア教育と地域活性をめざすビジネス団体を立ち上げ、仙台市長に表彰を受ける。
新卒では株式会社ワークスアプリケーションズにエンジニアとして入社し、顧客巻き込み型の開発スタイルを学ぶ。その後、転職活動をする中で創業メンバーや各地の方々との思いもよらぬ出会いがあり、2019年4月にATOMicaを創業。あらゆる願いに寄り添い、人と人を結び続けるためのATOMicaの思想「ソーシャルコワーキング®」を唱え、全国各地に共創のきっかけと仕組みの構築をめざしている。
起業家データ:南原一輝 氏
1994年大阪生まれ、大阪大学卒業。
在学中に起業しグループインタビューを通じた若年層向けマーケティング・商品開発事業に従事。その後、同社株式を譲渡して三井物産株式会社に入社。シリコンバレーのデータ系スタートアップへの資本業務提携とその後の同社ソリューションの日本展開を担当した後、社内起業家として事業開発に従事。米国シリコンバレーでデザインコンサルティングファームであるIDEO社と共にデザインリサーチを行った後、日本での事業開発を開始し、飲食店の空席をワークスペースとして利用可能にするアプリSuupをリリース。大学時代からの友人である嶋田の誘いを受け、2021年に執行役員としてATOMicaに参画し、2022年4月に取締役COOに就任し、2023年3月より現職。
企業情報
法人名 |
株式会社ATOMica(アトミカ) |
HP |
|
設立 |
2019年4月5日 |
事業内容 |
ソーシャルコワーキング®️の企画・開発・運営 |
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