株式会社ママクオリア 代表取締役 塚越 奈央

株式会社ママクオリアは、現代社会におけるメンタルヘルスケアを中心に、多様な事業を展開しています。代表取締役の塚越奈央氏は、自身の産後うつをきっかけにこの事業を立ち上げ、オンラインカウンセリングやコミュニティの運営を通じて、多くの人々に心の支えを提供しています。「安心できる社会を作ること」というビジョンのもとに事業をおこなう塚越氏へ、事業内容や今後の展望などをお聞きしました。

 

利用者一人ひとりに寄り添うメンタルヘルスケア事業と企業向けマーケティング支援

事業の内容をお聞かせください

当社では、2つの柱に沿って事業を展開しています。

 

1つ目は、メンタルヘルスケアの事業を行っています。オンラインカウンセリング、オンラインコミュニティ、そしてメンタルヘルスに関する情報発信を通じて、利用者一人ひとりが安心して相談できる環境を整えています。特に、産後うつや育児に関する悩みを抱える方々に向けて、科学的根拠に基づいた情報を提供し、正しい知識を持って問題に向き合えるようにサポートしています。

 

当社のメンタルヘルスケア事業の中心には、利用者が安心感を持てるよう寄り添うことを据えており、オンラインカウンセリングの資格を持つ専門家が利用者の個々の問題に対して最適なアプローチを提供しています。

 

また、オンラインコミュニティは、同じ悩みを共有する人々が集まり、そして互いに支え合う場となり、孤独感を感じることなく安心して悩みを話せる環境を整えています。私たちは、利用者が自分自身を再発見し、新たな一歩を踏み出すためのサポートに力を入れています。

 

2つ目の柱は、企業向けのマーケティング支援事業です。この事業では、企業のブランディングや広告コミュニケーション、PR活動の戦略的サポートを提供しています。私たちは、企業のニーズに応じてオーダーメイドのプランを提案し、広告戦略の立案から実施までを総合的にサポートしています。特に、企業の強みや課題に合わせた柔軟な対応を心がけ、信頼できる結果をもたらすことに注力しています。

 

この2つの事業はいずれも「人を支える」という共通の理念に基づいています。メンタルヘルスケアを通じて人々の心を支え、マーケティング支援を通じて企業の成長を促進することで、社会全体に貢献することを目指しています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私がメンタルヘルスケア事業を始めたのは、自分自身が産後うつを経験したことがきっかけでした。第一子を出産した後、私は長い間、自分が産後うつであることに気づかずに苦しみました。適切な支援や情報を得ることができず、孤独感と不安に苛まれていたのです。

 

ようやく医師に診てもらったときに、初めて「産後うつ」であると診断され、その時のショックと納得感、そして「なぜここまで医療や支援に繋がらなかったのか?」と疑問に思ったことを今でも覚えています。

 

この経験を通じて、同じように悩んでいる方々に寄り添い、支えになりたいという強い思いが生まれました。そこで、まずはフリーランスとしてカウンセリングサービスを開始しましたが、次第に支援を必要とする人々が増え、2022年に株式会社ママクオリアを設立し、事業を拡大しました。

 

「困っている人に寄り添う」深いケアへのこだわり

仕事におけるこだわりを教えてください。

私の仕事に対する最大のこだわりは、「困っている人に寄り添う」ことです。メンタルヘルスケアは、単に情報を提供するだけではなく、利用者が安心感を得られるような深いケアが求められます。そのため、私たちはカウンセリングの中で、一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応を心がけています。

 

特に重視しているのは、信頼できる専門家からの情報を提供することです。メンタルヘルスや育児に関する情報は時に混乱を招くことがありますが、私たちは正確で信頼性の高い情報を提供し、それによって利用者が安心できる環境を作り出しています。情報の正確さと信頼性は、利用者にとって非常に重要な要素であり、それが私たちのサービスの核心にあります。

 

また、私たちは単に利用者の問題を聞くだけでなく、認知行動療法などを用いたメソッドを提供、さらに様々な講座やセミナーも開催し、利用者が自分自身を見つめ直し、新たな視点を得て前進できるようにサポートしています。こうした「自分自身を再発見する」プロセスが、私たちのカウンセリングにおける大切な要素です。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

起業してから最大の壁と感じたのは、法人化した際に感じた責任の重さでした。個人事業としての活動とは異なり、法人化することで協力してくれるメンバーも増え、彼らの生活を守るという責任が加わりました。事業が拡大する中で、金銭的なプレッシャーも大きくなり、特に経営者としての責任感が私を悩ませました。

 

また、事業の成長と安定を確保するためには、常に最高のサービスを提供し続けることが求められます。時には、自分自身のメンタルケアが必要だと感じることもありましたが、適切な休息を取り、ストレスを管理することで、プレッシャーを乗り越えてきました。こうして、少しずつではありますが、事業を安定させるための強い意志と経験を積み重ねてきました。

 

「安心を届けたい」強い思いが原動力

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私がこの事業を続けるモチベーションは、「一人でも多くの人に安心を届けたい」という強い想いに基づいています。自分自身が苦しんだ経験があるからこそ、他の人々が同じように孤立しないように、支援を提供しています。支援を提供するにあたっても、私たちは常に新しい方法でメンタルヘルスケアを提供し、利用者にとって最善のサポートを届けることを心がけています。

 

また、私たちの活動に共感してくれる仲間が増えていることも、大きなモチベーションです。チーム一丸となって働くことで、より多くの人々に対して支援を提供できることに、大きなやりがいを感じています。私たちは同じビジョンを共有し、全員が利用者のために最善を尽くしています。

 

さらに、メンタルヘルスケアに対する社会全体の理解を深めることも、私の重要な目標です。メンタルヘルスケアはまだ偏見が多い分野ですが、私たちの活動を通じて、その重要性を広く社会に認識してもらいたいと考えています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

今後は、メンタルヘルスケア事業をさらに拡大し、より多くの人々に支援を提供していくことを目指しています。特に、育児やライフステージの変化に伴うメンタルヘルスケアに重点を置き、メンタル不調を抱える女性の就労支援などライフステージに合わせたサービスの提供も計画しています。

 

たとえば、就労の希望はあっても、心身の不調を抱えたまま無理して就労するケースもあります。そういった方にメンタルヘルスケアとキャリア支援を組み合わせたサービスを提供することで、より多くの女性が自分らしい人生を歩めるようにサポートしていきたいです。

 

また、これまでに培ったノウハウを活かし、企業向けのメンタルヘルスケアプログラムの提供も視野に入れています。多くの企業がメンタルヘルスケアの重要性を認識し始めていますが、具体的な対策を講じている企業はまだまだ少数です。私たちは、企業が従業員のメンタルヘルスを守るための効果的なプログラムを提供し、働きやすい職場環境の構築を支援していきたいと考えています。

 

そして、最終的には国際展開も視野に入れています。メンタルヘルスケアのニーズは世界中で増加しており、特にアジア地域では、メンタルヘルスに対する理解や支援体制がまだ整っていない国が多いです。私たちは、日本で培った経験とノウハウを海外に広め、世界中の人々が安心して暮らせる社会を作る一助となっていきたいです。

 

「ビジョンを強く持ち、支えを大切に」

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業をするにあたって、自分自身のビジョンを強く持ってください。起業はリスクや困難が伴いますが、信じるビジョンに従って進むことで、必ず道は開けると信じています。また、周囲の支援を得ることも大切です。家族や友人、そして信頼できるパートナーと協力し、助けを求めることで、より強固な基盤を築くことができます。

 

さらに、起業後も常に学び続ける姿勢が求められます。ビジネス環境は日々変化しているため、新しい知識やスキルを積極的に取り入れ、自分自身を成長させ続けることが、成功の鍵となります。

 

そして、失敗を恐れず挑戦し続けることも大切です。失敗から学び、次の挑戦に活かすことで、成長していけると信じています。

 

最後に、特にメンタルヘルスケア事業に関わる方々には、「まず自分自身を大切にすること」を強調したいです。他者を支えるためには、自分自身の心と体の健康を守ることが不可欠です。バランスの取れた生活を送りながら、自己ケアを怠らずに取り組んでほしいと思います。

 

今後開催するイベントについてお聞かせください

「妊娠・出産・産後のメンタルヘルス支援シンポジウム2024」

日時: 2024年9月29日(日) 13:00~15:30
場所: TKPガーデンシティ渋谷4階フロア (東京都渋谷区渋谷2-22-3 渋谷東口ビル)

 

イベントのポイント:

  • 産後うつ支援のためのシンポジウム
  • 信州大学医学部 村上寛先生による基調講演
  • パネルディスカッションでは支援体制の強化について議論
  • 医療・福祉関係者、企業、一般の参加歓迎
  • 相談スペースとキッズスペースも完備

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:塚越奈央氏

famitasu主宰、メンタルケアカウンセラー®︎、コミュニケーションプランナー。都内で一児の母。産後、うつ状態にもかかわらず適切なケアとは無縁のまま過ごし、仕事復帰後に適応障害になり、その際に初めて「産後うつ」だったとわかる。その後退職しフリーランス、法人設立を経て現在に至る。株式会社西鉄エージェンシー、株式会社電通、株式会社Iーneで主に広告コミュニケーションやマーケティング領域の経験を積む。2021年、ハンドルネーム「ワーママみち」としてインスタグラムを中心に産後うつに特化したカウンセリングサービスをスタート。フォロワー1,000人以上(当時)。2022年11月に法人化。広告・マーケティング・PRのコンサルティング・プランニング及びブランディング・コミュニケーション業務全般の委託業を行う。並行して、自身が当事者として身をもって経験したメンタルヘルスケアの重要性を啓発し、必要な人にケアが行き届く社会を目指してメンタルヘルスケア事業に取り組む。

 

企業情報

法人名

株式会社ママクオリア

HP

https://mamaqualia.com/

設立

2022年11月1日

事業内容

メンタルヘルスケア事業、広告・PRコンサルティング事業

沿革

2022年11月 設立

2023年9月 famitasu.comオープン

2024年1月 famitasu communityオープン

 

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