マネーペディア株式会社 代表取締役 有我 雄汰

マネーぺディア株式会社はITと金融を融合させた新たなソリューションを提供することで、未だかつてない金融業界の変革へ挑戦し続けています。これまで複数の金融機関に勤める中で感じた、金融業界ならではの課題を解決すべく自ら会社を立ち上げた有我氏に、事業内容や会社経営上の最大の壁、今後の展望などを伺いました。

 

店舗まで行かなくていい!オンライン完結型の金融商品仲介サービス

事業の内容をお聞かせください

私たちは保険を中心とした金融商品の仲介をさせて頂いています。

 

メインで取り扱うのは生命保険ですが、それだけに特化しているわけではなく、不動産などを含めライフプランに紐づくもの全般を仲介しています。

 

他にも金融商品仲介会社がある中で、当社の強みは「全てがオンラインで完結する」ところです。他の仲介会社では窓口に行って購入しないといけないことが多く、お客様の負担労力が大きいです。

 

当社では集客から始まり、面談、そして成約後のアフターフォローまで全てオンライン上で行うことで、お客様の負担を最小限に抑えています。

 

当社にはITソリューション、プロフェッショナル向けマネープランニング、企業向け財務コンサルティング、リタイアメントプランニングの4つのサービスがあります。

 

一つ目のITソリューションは、オンラインを中心にサービスを提供していくとなるとSEOやWEB広告によるマーケティング施策、システムやアプリの開発運用といった、IT基盤の整備が欠かせません。

 

金融業界では未だに紙文化も根強く、IT導入において他業界より遅れているという実感があります。そうした課題を解決するためにも、当社ではエンジニアを自社育成するなどしてIT環境の整備に力を入れています。

 

こうして培った自社のITソリューションを事業者にも提供し、それぞれのサービスにおいて役立てて頂いています。特に金融業界のマーケティングは特殊なので、そのノウハウをお伝えできるのは当社ならではの強みかと思います。

 

二つ目のプロフェッショナル向けマネープランニングは、医師や弁護士などの士業の方や、経営者、アスリートなどの特殊な職業にある方々のマネープランニングをオーダーメイドかつマンツーマンでサポートするものです。

 

大手の金融機関などでは異動が多く担当が頻繁に変わってしまいます。しかし、当社では担当が継続的につくことで、資産形成を通じてお客様の夢や目標を形にしていくサポートをさせて頂きます。

 

三つ目の企業向け財務コンサルティングは、先ほどの個人向けのプロフェッショナルマネープランニングとは異なり、企業向けの資産形成計画策定です。中小企業を対象に、現在の財務状況を見ながら、企業目標を達成するための今後の戦略を一緒に考えていきます。

 

中小企業で多いのは、売上自体は上がっているけれども手元に現金がないという悩みです。そういう場合は政策金融公庫や商工中央金庫で融資を受けるようアドバイスしたりします。

 

四つ目のリタイアメントプランニングは、人生100年時代のこの時代に、仕事を引退した人々がどのようにして生きていくかをお客様と一緒に計画を立てる事業です。

 

最近では国が国民一人ひとりの資産形成を後押ししていて、それこそ新NISAやiDECOなどが推奨されていることもあり、保険とどう使い分けるべきかを聞かれることもあります。

 

しかし、これはケースバイケースなので一概には言えません。個人の好みの問題もありますし、その時々に応じて最適な方法を提案させて頂いています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

小さい頃から金融業界を身近に感じていました。祖母のところによく銀行の方や証券会社の方が資産形成の話をされに来ていて、仲良さそうに話す姿を見て漠然と「こういう仕事も楽しそうだな」と幼いながらに思っていました。

 

そんな背景もあり、社会人になってからは銀行に勤め、当時リテール業務を担当していました。しかし、どれだけお客様と関係性が築けてもせいぜい2−3年で異動になってしまうという環境でした。

 

そこで、もっと長期で特定のお客様と関わりたいとの想いから、外資の保険会社へ転職しました。そこでは期間に縛られることなくお客様と関係を築けて、やりがいも感じられてとても楽しかったです。

 

しかし、次第に自社商品しか扱えないことに限界を感じるようになり「もっとお客様のために様々な会社の金融商品を一括で仲介できるような会社があったら良いな」と思い始め、今の会社を立ち上げるに至りました。

 

また、当社は「一家に一人のFPを」というスローガンを掲げています。これはお金に関する大事な決断において、私たちがお客様にとって気軽に相談できる存在になれたらとの思いから生じたものです。

 

当社だけでなく社会全体としてそういった相談しやすい環境づくりを推進していけたらと思っています。

 

良い仕事の源泉は主体性。会社ではなく自分のために働く意識を持つ

仕事におけるこだわりを教えてください。

相手に主体的に動いてもらえるような体制づくりを意識しています。私自身、人に強制的に指示を出すのも出されるのも好きではありません。

 

そこで、お客様が自ら動いてくれるような提案の仕方だとか、社員が自主性を持って働けるような組織づくりといった環境体制を整える方に注力しています。

 

元々銀行に勤めていた時に、主体性を奪われて自由度がない中で働かないといけない経験をしました。それが合う合わないは個人によると思いますが、私自身は自由度がある方が働きやすいと感じ、そこから働く上での主体性や自由度を意識するようになりました。

 

しかし、自由度が高い方が能力を発揮できる子もいれば、ある程度タスクをこちらから与えた方が伸びる子もいるので、主体性は重視しつつ、成長までの過程は個々に合わせて柔軟に対応するようにしています。

 

もう一つ、私が社員に伝えているのは「会社のためではなく自分のために仕事をしろ」ということです。

 

自分の給与アップでも、自己成長でも、目的は何であれ自分のために仕事をしたら結果的に会社も成長するから、会社のことは気にせずに自分のミッションやビジョンを持つようにと、これは採用時からずっと言っています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

実は今でこそIT化を謳っていますが、創業当初は100%対面でサービスを提供していましたし、集客もネット経由ではなく紹介のみでした。

 

今では信じられないかもしれませんが、コロナ前はオンライン面談を普及しようにも市民権すら全くないような状態でした。そこで対面命でサービスをやっていたところに、2020年コロナが大流行して、そこからはもう経営史上最大の危機です。

 

案件も売上も半分くらいに減って辞める従業員も出てきました。業界全体が落ち込みを見せる中で、事業を存続させるためにいち早くIT化していこうとのことで、今のビジネスモデルに切り替えました。

 

おかげさまで今ではWEBマーケティングを通じてSNS等で集客ができ、面談もオンラインで出来るので、対面時よりアプローチできる層も広がったように思います。

 

モチベーションより環境重視。否が応でもやらざるを得ない環境を作る

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私の場合はモチベーションというよりも、やらなきゃいけない状況を先に作ってしまうという方が近いかもしれません。

 

モチベーションだけでは達成できないことも、無理やりやらないといけない状況を作ってしまえば必然的にやるというのでしょうか。そっちに意識を向けています。

 

あとは自分が雇われている時は固定給で、頑張っても頑張らなくても同じ結果だったのでいまいちモチベーションが湧きづらい場面もありました。

 

しかし、経営者になったことで自分の頑張りが業績にモロに反映されるようになり、そこは一つのモチベーションになっているかもしれません。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

現時点では新しい事業を始めることは考えていません。まずは今のサービスにおける新規顧客獲得数を増やしていくことが今後の展望です。

 

以前よりIT化が進んでいるとは言え、まだまだ他業種に比べて生成AIといった最新技術を使う場面は少ないです。そのための課題は山積みで、今後更なるアップデートが必要だと思っています。

 

近日中には、AIがお客様の性格に適したFPをマッチングするサービスを提供開始予定です。これまでにもAIがお勧めの金融商品を紹介してくれるサービスはありました。

 

しかし、自分の資産を預ける大事な金融商品を機械の判断に委ねてもいいと思える人は少なくて、そこにはきちんと人が介在する必要があるというのが私の意見です。

 

そこで、AIを通じて商品ではなく、人であるFPをマッチングさせることを考えました。人間である以上、お客様とFPとの相性もそれぞれです。

 

綿密に数字を見せてほしい方もいれば、大枠で話をしたい方もいらっしゃいます。AIを通じてこの辺りのすり合わせができれば、その後の面談もスムーズに進むのではないかと思います。

 

また、当社はプラットフォーム形態を目指しており、マッチングするFPは当社社員だけでなく外部からも登録してもらいます。ただしやたらめったら数を増やすのではなく、本当に優秀なFPだけを集めて、20名くらいの少数精鋭で運用できればと考えています。

 

自分が得意な「巻き込み方」を分析すべし

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

あえて一人ではなく企業としてやる意義は「どれだけ人を巻き込めるか」だと思います。自分がどういう時に人を巻き込んで何ができたかをきちんと思い出して分析し、その状況を作っていくことが大切です。

 

自分が過去にできた状況というのは自分が得意な状況でもあるので、それをどう再現するかを考えてみてください。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

起業家データ:有我雄汰

1993年生まれ。埼玉県出身。成蹊大学経済学部を卒業後、複数の金融機関を経て2019年にSYN Group 株式会社を創業。2024年5月1日に社名をSYN Group株式会社から、マネーペディア株式会社に変更。

 

企業情報

法人名

マネーペディア株式会社

HP

https://syngroup.jp/moneypedia/

設立

2019年1月

事業内容

資産コンサルティング事業、ウェブサービス運営事業、マーケティング支援事業、システムエンジニアリングサービス事業

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