【#269】コスト削減で中小企業に成長をもたらす、経理・労務を丸投げできるBPOサービスを展開|代表取締役CEO/共同創業者 小澤 拓(マルナゲカンリ株式会社)
マルナゲカンリ株式会社 代表取締役CEO/共同創業者 小澤 拓
中小企業やスタートアップに特化したBPOサービスを展開するマルナゲカンリ株式会社は、経理・労務をはじめ細かくて複雑な管理業務を短時間・低コストで担う会社です。すべての管理業務を窓口1つで対応することで少ないやり取りのみでマルナゲでき、管理業務の面倒に悩まされやすい中小企業の手間の解放を実現させています。今回は、共同創業者の1人である代表の小澤 拓氏に、事業の内容や今後の展望を伺いました。
中小企業の人件費や採用課題を解消するBPOサービス
事業の内容をお聞かせください
我々は、中小企業向けのバックオフィス、いわゆる経理、税務、労務、人事、総務、法務など裏方仕事のBPOサービスを提供しています。中小企業やスタートアップのように、多額の資金調達をしていなくて人の採用に困っている会社をターゲットとしており、複雑な管理業務の人手不足を低コストで解消させることが可能です。
経営者が抱える管理上の悩みには、自社業務の効率の悪さ、人の離職、高いコスト、税理士や社労士への相談の手間などが挙げられますが、当社のアウトソーシングならこれらの課題をすべて解決できます。
例えば、経理を担うスタッフ1人にかかる様々なコストを換算すると、年間300万円は超えます。これに税理士や社労士への顧問料や委託料を加えると、少なくとも400万円程かかる計算です。そこで当社に依頼していただいた場合、どんなに高くても2分の1の費用で済みます。うまくフィットすると4分の1以下も可能かもしれません。それは、明瞭会計で無意味なお金を払わせない当社のこだわりがあるからです。顧問料は一切頂かず、必要な作業だけ依頼を受ける、このスタンスがポイントになっています。
また、管理業務上よくあるのが「これは誰に聞けばよいのだろう?」という場面です。税務申告や労務管理は複雑であるにも関わらず、税理士だったら税務だけ、社労士だったら労務だけ、と分担され、相談先が別なのが一般的になっています。この手間を解消するため、当社は経理、労務などの作業全般の窓口を1本化して提供しています。税理士と会計士資格を保有し、実際の経営経験を持つ我々が窓口となるため、よくわからなくても全部マルナゲでOKです。
我々のように「有資格者としての専門性×実際の事業の経営経験」という掛け算ができる人はあまりいないのではないでしょうか。だからこそ他の税理士や社労士など”先生”と呼ばれる方々と差を生み、事業者目線で今までよりも高い精度の作業を短時間で実行できると思っています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私は、公認会計士になる前からいつか自分で起業したいという思いがありました。ただ当時はやりたいことが何もなかったんです。大学3年の時に周りの子たちの就職が決まり始め焦ってはいたものの、何も考えずにサラリーマンになったところであまり続かないだろうと思って、将来に繋がりやすいと感じた会計士を選びました。会計士になれば若いうちから経営者の方々と話せる機会が持てることも魅力でした。
そして4年前、コロナ禍によってWebでの仕事が主流になり働き方に変化が起きた一方で、少子高齢化の流れは進み今後働き手がどんどん減っていくことが懸念されていました。これは時代の1つの節目だと思っていて、このまま放っておくと中小企業の人手不足が益々きつくなっていくだろうと朧げながら西澤と2人で話していました。
その頃、西澤の家業で新しく人を増やしたいと思ってもなかなか獲れず先が見えない状態になってしまい、人手が足りない課題感を肌で感じていたらしいのです。私も妻方で家業をやっていますが、経理は家族の中で回してやっていたり外部の先生も頼れなかったりですごく大変だと聞きました。
この現状をどこかで担保できるようにしなければ、中小企業が元気になれず日本の国力は下がる一方だと危機を感じて、人材不足を解消するために私たちにできることはないかと話し出したのが最初です。
それともう1つ、この文脈の中でビジネスとして成り立っていくのではと思っていたのが、中小企業向けのシェアードサービスセンターです。シェアードサービスセンターとは、子会社等グループ企業の管理部や経理部の業務を全部集約させて一律で担う組織のことで、業務を効率化できるためコストを下げたり空いた人材を別の仕事に配転させることができます。私も西澤も、コンサル時代にその構築・推進プロジェクトにそれぞれ参加していた経験があるため、「専門家×事業家×シェアードサービスセンター」この3つの掛け算で事業を展開できるのではないかと考えたのが2021年でした。
それから3年経ちやっとですが、前職を退任できるようになったタイミングで、共同創業という形でこの会社を立ち上げました。
チームや部下と一緒に最後までやり切る
仕事におけるこだわりを教えてください。
何に対しても絶対にやり切ることが大切だと思っています。前々職の企業では社員が少なく、私がやらなかったら誰がやるという環境に置かれていたため、やり切ることが当たり前になっていました。自分がやり切ると決めたことに対して、他のスタッフそれぞれに割り振ってチームを作っていくことはずっと無意識に続けています。
それから、自分がどんなに辛くてもまずはチームや部下のことを考えるよう意識しています。これは 前職でCFOやCOOといった役割を任せていただきながらも、もっとも何をやったかというと結局は人のマネジメント、すなわちCHRO(最高人事責任者)のような動き方をを担っていた頃から感じていることで、結局人の管理をきちんとしていかない限り会社はスケールしないと思うのです。
基本的には「好きなようにやっていいよ」と言うタイプですが、必ず最後はケツを拭くので気にせずやってくれという気持ちで任せてきました。
起業から今までの最大の壁を教えてください
創業してまだ半年なので、まだ壁と感じたものはありません。
今後は、当社のサービスをどうスケールさせていくか、スケールのスピードをどう作っていくかが一番の壁になってくるだろうと思います。
従来の先生方に頼むよりも我々のサービスで捌いた方が間違いなくコストが下がるのはみんな理解してくれますが、中小企業の社長と話すと出てくるのが「じいさんの代から世話になってるから」、「昔助けてもらったから」といった言葉です。この中小企業のエモい部分を最近少しずつ感じ始めています。
お客様の数を増やすだけだったら割と簡単だと思っていますが、本当に困っている人たちをサポートしていきたいと考えた時に、老舗企業や地方にある企業への支援は必要不可欠です。「今は税理士先生がいるから大丈夫」と言う企業も、10年後20年後同じ状況は続かないでしょう。税理士業界は若い人たちも出てきてはいるものの、平均年齢は65歳ととても高いのが現状です。
我々は中小企業の将来を見据えながら、1つの地域に留まらず多くの企業にアウトソーシングを届けることをミッションにしないと意味がないと思っています。その上で、このエモい部分を突破し、より早くスケールしていけるかが課題となりそうです。
BPO導入で余力を生み、日本企業の成長を促したい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
日本のより良い未来のために、BPOを通じて人手不足を解消し、それによって生まれた余力を企業成長に回してほしいというのが我々の願いです。
管理部門の人を雇う時間やお金があったら営業の人を雇った方が売り上げが上がりますし、物を作る人を雇ったらもっといい物が作れるんじゃないかと思うのです。このような、企業の成長を後押しする文脈を大きく作りたいと思っています。
そして、最終的には日本の国民総生産が上がってくれれば嬉しいです。私たちの子どもや孫世代が列強の国々からいいようにされるような日本になってしまうのは嫌なので、この世代の子達が大人になった時に幸せな環境になっているようにマクロ目線で経済を成長させていけたらと思います。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
早期に頑張らなければいけないのは、まず認知の拡大です。中小企業向けのBPOだったらマルナゲカンリだと思ってもらえる部分までとにかく認知を高めていき、何かニーズがあったときに引っかかりやすくしたいと思っています。
現状、我々ほど幅広い面で細かく対応するBPOサービスはないはずなので、中小企業のバックオフィスの中心に我々がいれたらいいなという思いがあります。その上で、他の税理士や社労士など専門性の高い方々と連携してネットワークを作りつつ、Win-Winで多くの困っている中小企業をサポートしていきたいです。
更に、会社運営が安定してきたら新しいサービスを作ることも考えています。BPOサービスでしっかり稼げるようになってくると、ある程度の中小企業のデータベースが出来上がると思うのですが、このデータベースができれば新しいことにも挑戦しやすいと考えており、クロスセルで新サービスを展開できればと思います。
そして、これらの認知拡大や新サービスの立ち上げを行うには、私たちの分身も作らなければなりません。現在は創業したてで2名でやっていますが、今後は同じ思いを持つ人材を採用し、お客様に手間をかけないオペレーションを作っていく必要があります。当社の窓口は税務や労務などそれ相応のスペックや知識がないと捌いていけないため、そこに位置する人材を採用できるかが次のステップです。
出会った人たちとの繋がりが前進する力になる
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
出会った人たちとの繋がりがとても重要だと思います。これは起業して私が体感したことでもあります。起業して間もない頃に助けてくれるのは、間違いなくこれまで自身が繋がりを持ってきた周りの人たちなので、出会った人たちとのネットワークを大事にしてほしいです。自分のやりたいことを明確にし、謙虚な姿勢を以て事業を推進していけば、きっと彼らが助けてくれるでしょう。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:小澤拓 氏
2008年:早稲田大学法学部卒業、有限責任監査法人トーマツ入所
2011年:デロイトトーマツコンサルティング合同会社入社
2014年:株式会社カドー入社・取締役就任
2017年:株式会社キューブ入社・取締役就任(2023年専務取締役就任)
2017年:エムトラスト株式会社社外取締役就任
2024年:マルナゲカンリ株式会社を共同創業・代表取締役就任、サービスローンチ
企業情報
法人名 |
株式会社マルナゲカンリ |
HP |
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設立 |
2021年12月(2024年サービス開始) |
事業内容 |
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