株式会社スーツ 代表取締役社長CEO 小松裕介

株式会社スーツは、中小企業向けのチームのタスク管理ツール「スーツアップ」を提供しています。代表取締役社長CEOの小松氏は、上場企業の代表者や多くの中小企業の企業再生などで培った知識やスキルをもとに、中小企業の成長をサポートするための革新的なクラウドサービスを提供しています。

 

今回は、その事業の背景や起業に至った経緯、そして仕事に対する小松氏の情熱について、詳しくお話を伺いました。

現場の課題から生まれたチームのタスク管理ツール『スーツアップ』の誕生と展開

事業の内容をお聞かせください

当社は、「スーツアップ」という中小企業向けのチームのタスク管理ツールを提供しています。このツールは、特にリソースの限られた中小企業の業務を効率的に進めるために開発されました。

 

中小企業では、社員が少人数の状況下で多くの業務をこなさなければならないため、タスク、担当やそのタスクの進捗状況などチームのタスク管理が非常に重要になります。しかし、多くの中小企業では、このタスク管理が十分に整備されておらず、もし仮にタスク管理をしていたとしても、エクセルやスプレッドシートのような表計算ソフトを使った管理が一般的です。

 

「スーツアップ」は、企業内のタスク管理を効率化し、誰でも簡単に使えるように設計されています。特にITリテラシーが高くない企業でも導入しやすいよう、エクセルやスプレッドシートのような表計算ソフトに似たインターフェースを採用しました。これにより、従業員が新しいシステムを習得する負担を軽減し、導入後すぐにツールの利用を始められる点が大きな特徴です。

 

また、このツールはクラウド上で動作するため、場所を問わず、どこからでもタスクの進行状況をリアルタイムで確認することができます。リモートワークを導入している企業にとっても、社員がどこからでもアクセスでき、チーム全体のタスクの進捗を迅速に共有できるため、効率的な業務遂行が可能になります。

 

これにより、タスクの抜け漏れや遅延を防ぎ、タスクの見える化を実現することで、企業全体の生産性を向上させることができます。実際に導入企業からは、業務の効率化や生産性向上に直結しているとの声を数多くいただいております。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

この事業を始めるきっかけは、長年の中小企業への経営支援の経験に基づいています。私はこれまで多くの中小企業の経営を支援してきましたが、その中でどの企業も共通して抱える大きな課題がありました。

 

それは、誰が、どのようなタスクを、いつまでに実行しなければならないかといったチームのタスク管理が出来ておらず、タスクの進捗状況が十分に把握されていないということです。特に、中小企業では社内リソースが限られているため、業務が属人的になりやすく、特定の社員がいなければ業務が滞ってしまうことが多々ありました。

 

また、上司と部下の間でのコミュニケーション不足により、誰がどのタスクを担当しているのか、進捗がどれほど進んでいるのかが明確でない状況もよく見受けられました。

 

このような問題を解決するために、私は中小企業に最適なチームのタスク管理をシステム化する必要があると考えました。特に重要だったのは、誰でも簡単に使えるということです。「スーツアップ」は、多くの中小企業の社員のようにITに詳しくない人でも直感的に操作できるように設計されており、使い始めてすぐに効果を実感できるようになっています。

 

また、クラウドベースでの操作を実現したことで、タスクの進捗状況をリアルタイムで確認し、業務のスムーズな進行をサポートします。これにより、タスクの見える化が進み、従業員同士のコミュニケーションが円滑になり、全体的な業務効率も大幅に向上します。

 

技術的課題を克服して生まれた『スーツアップ』へのこだわりと挑戦

仕事におけるこだわりを教えてください。

私の仕事に対するこだわりは、チーム全体が一丸となって成果を上げることにあります。中小企業では社員数が少ないことから、個々の社員のパフォーマンスが企業全体の業績に直結します。

 

そのため、各メンバーが自分の役割をしっかりと理解し、チーム全体で効率的に業務を進めることが求められます。それには、組織とチーム内のコミュニケーション、そして、タスク管理をしっかりと整えることが重要です。

 

私たちが「スーツアップ」の事業の立ち上げを行う際にも、このような考えを反映させ、役割分担とタスクの進捗状況が誰にでも一目でわかるよう自社プロダクトの「スーツアップ」を使用しています。これにより、タスクの見える化が実現し、チーム全体が協力して業務を進めることができ、各メンバーが自分の役割に責任を持つようになります。

 

タスクの進捗状況の可視化によって、個々のタスクがどの段階にあるのかを常に確認でき、タスクを確実に遂行するためのモチベーションも高まります。このように社員同士の協力が生まれるマネジメントシステムの構築を通じて、チーム全体の生産性を最大化することが、会社経営における私の大きなこだわりです。優れた経営者とは「1 + 1=2」ではなく3にも5にも10にもできることだと考えています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

最大の壁は、「スーツアップ」の開発で直面した技術的な課題です。特に、エクセルやスプレッドシートのような表計算ソフトに似たインターフェースを開発しつつ、タスク管理ツールとして必要な機能を追加することは非常に困難でした。

 

私は当初、普段ユーザーとして使い慣れているエクセルやスプレッドシートのような表計算ソフトのインターフェースの開発をそれほど難しいとは思っていませんでした。しかし、開発が進むにつれて、そのシステム開発の難しさに驚かされ、また、大変な苦労をさせられることになりました。

 

エクセルやスプレッドシートは、それこそ世界のトップエンジニアが何十年もかけて開発してきたシステムなのです。それと同じ開発を短期間に行って、さらに通知機能やAPI連携などタスク管理ツールとして欲しいと考える機能を実装するには、数多くの課題が発生しました。これらを克服するために、エンジニアのチームと何度も議論を重ね、試行錯誤を繰り返しました。

 

最終的には、チーム全体の努力によって技術的な壁を乗り越え、未だ改善の余地はありますが、現在の『スーツアップ』を完成させることができました。

 

この経験から得た教訓は、優れたシステムを開発するためには、優秀なエンジニアを集めて、なおかつ、彼らが時間をかけて粘り強く取り組む必要があるということです。

 

結果として、表計算ソフトのようなインターフェースとタスク管理ツールに必要な機能の実装が実現したわけですが、これらは競合企業にとっては高い参入障壁になりますし、お客様である多くの中小企業に対しては使い慣れた操作感を提供できることになり、大きな価値を感じています。

 

中小企業の未来を支える『スーツアップ』の進化とグローバル展開へのビジョン

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私のモチベーションは、中小企業が抱える課題を解決し、彼らの成長をサポートすることです。統計的に考えても中小企業は日本の経済を支える重要な存在であり、彼らの生産性向上が日本経済の維持・発展に寄与することは間違いありません。

 

しかし、多くの中小企業は限られたリソースの中で業務を進めており、特にタスク管理など業務の効率化において多くの課題を抱えています。

 

少子高齢化が進む日本では、今後ますます人材不足が深刻化することが予想されます。そのような中で、限られたリソースを効率よく活用することが非常に重要になると考えています。

 

「スーツアップ」は、タスクの進行状況をリアルタイムで把握し、効率的に業務を進めるツールとして、多くの企業にとって不可欠な存在になると信じています。これからも、中小企業の成長を支えるために、このツールをさらに進化させていくことが私の大きなモチベーションです。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

今後の展望としては、「スーツアップ」をさらに多くの中小企業に導入し、日本全体の生産性向上に貢献していきたいと考えています。

 

現在は日本国内での展開が中心ですが、将来的にはグローバル市場にも進出したいという強い意欲があります。日本社会では、サラリーマンは会社に対するコミットが強く、また、スキルも高いため、しっかりとしたタスク管理を必要としません。

 

そのため、言わば日本社会は「タスク管理の後進国」であって、その日本社会で通用するタスク管理ツール「スーツアップ」を世界に広めることは、簡単で効率的なタスク管理ツールを広めることであり、国際的な課題解決にも寄与できると確信しています。

 

特に私たちはAIを活用したタスク雛型に力を入れていく予定です。AIを導入することで、業務の標準化を実現して、最も効率的で実効性のあるタスク雛型を自動的に提案できるような機能を開発したいと考えています。これにより、企業が抱える課題をより効率的に解決し、企業の成長を一層サポートできるようになると考えています。

 

 焦らず自分の情熱を見つけることが成功の鍵

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業を考えている方には、まず焦らずに心から自分がやりたいと思うことをしっかりと見つけることが大切だと伝えたいです。私は3年前から現在の事業の企画開発を始めましたが、それまでの20年間、さまざまな企業の支援を行いながら、自分が本当にやりたいことを模索してきました。

 

焦って決断するのではなく、本当に自分が情熱を持てるテーマを見つけ、それに向かって一生懸命に努力することが、長期的な成功への道だと思います。

 

また、起業には多くの困難が伴いますが、自分の信じるテーマに向かって全力で取り組むことで、困難を乗り越える力が生まれます。私自身も、自分がやりたいと考えるテーマに全力で取り組むことで、ここまで事業を成長させることができました。

 

起業を目指す方々には、まず自分の情熱を見つけ、それに向かって努力し続けることで、必ず道が開けるとアドバイスをしたいと思います。決して起業して会社を創業することが目的ではありませんから、焦らずに自分のペースで進むことが成功への鍵です。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:代表取締役社長CEO 小松裕介

2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。 2014年12月に当社の前身となる株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より、国土交通省PPPサポーター。 2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場会社の子会社化を実現。 2022年12月に、株式会社スーツを新設分割し、当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。

 

企業情報

法人名

株式会社スーツ

HP

https://suitup.jp/

設立

2022年12月1日

事業内容

経営支援クラウド事業、経営支援事業、投資銀行事業

 

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