【#295】仕事で世の中を「泣かせたい」。自分たち”らしい”個性を反映した企業理念と文化でエンゲージメントの高い組織作りを支援|代表取締役(CEO) 奥田 真広(Singerly株式会社)
Singerly株式会社 代表取締役(CEO) 奥田 真広
「なぜ多くの日本人は仕事で泣かないのか?」この問いをきっかけに、Singerly(シンガリー)株式会社は誕生しました。同社は、企業それぞれの「らしさ」を反映した企業理念の形成と、唯一無二で差別化された組織文化の構築を支援しています。「仕事で泣きじゃくる人が増える世の中」を目指す、同社の代表取締役(CEO)奥田氏に事業の詳細や起業のきっかけ、そして今後の展望についてを伺いました。
企業理念を起点に組織文化を育む
事業の内容をお聞かせください
当社は、自分たち”らしい”組織創りを支援するコンサルティングサービスを提供しています。
主に企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー:MVV)を軸に策定・浸透・活用まで一気通貫で支援するケースが多く、すでに企業理念が定まっている企業にはリブランディングを提案し、企業理念が定まっていない企業には、ゼロから策定するお手伝いをしています。
企業理念を策定することがゴールではなく、それを企業文化として浸透させ、根付かせることが何よりも重要です。我々は企業理念が組織内で浸透するまで支援を続け、さらに浸透した後は外部への発信や採用活動、営業活動、新規事業の立ち上げなど、次の段階へ進めていくサポートも行っています。
これらのプロセスを一貫して支援することが、当社の事業です。クライアントの多くは歴史ある老舗企業で、かつ同世代の後継経営者をご支援しています。
多くの場合、後継者が先代との比較や過去のしがらみに直面しており、過去から引き継いだ伝統を大切にしながらも、時代の変化に合わせて変えるべき部分との折り合いをつけることに苦戦しています。そうした課題も考慮しながら、次世代の組織づくりを支援しています。
変化の激しいこれからの時代を生き抜くには、ブレない組織の「軸」を持つことが不可欠です。そのためにも、個性を反映したその企業「らしさ」を武器にすることが重要だと考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
創業当初は主に営業コンサルティングを行っていたのですが、営業コンサルティングの世界では自分より遥かに能力、スキル、経験が高い方が多いことに気づき、「この領域では勝てない」と感じるようになりました。そこで、自分の強みや、他社が参入していない領域、今後のマーケットニーズを考えました。
これからの時代は、企業とはたらく個人の価値観が共感し共鳴しあう組織創りが必ず必要になると考え、「理念」を軸にした組織変革支援が自分に合っているのではないかと思ったのです。
私の強みである「ムードメイキングや人を楽しませて、喜ばせること」「徹底的にギブする精神」「喜怒哀楽を最大化する」ことが理念経営に集約されていると感じました。
また、以前勤めていたインテリジェンスでは新規事業である顧問紹介事業をしており、経営理念の策定プロジェクトに数多く関わっていたことも大きかったです。専門家と一緒に、さまざまな企業の企業理念を作るプロジェクトを20〜30件ほど担当したため、そのノウハウが蓄積されていました。
当時は専門家たちが中心となって進めていたのですが、「自分ならもっとブラッシュアップできるのではないか」と思い、理念作りに本格的に取り組む決断をしました。それが独立してから2年目のことです。
前職での経験は、現在の事業に大いに役立っています。当時は専門家をサポートする立場として、さまざまなコンサルタントの手法を間近で見ることができました。200〜300人のコンサルタントや顧問と一緒にプロジェクトを進めていたため、それぞれの手法を学び、良いところを取り入れることができました。その経験から得た知見を統合して、今の事業を立ち上げました。
共感を生む企業理念。独自性とエンターテイメント性へのこだわり
仕事におけるこだわりを教えてください
我々が目指しているのは「仕事で泣きじゃくる世の中」、つまり「仕事メンヘラ社会」です。そのため、一番のこだわりはお客様を感動させ「泣かす」ことです。常に「どうやったらお客様を泣かせられるか」を考えながら仕事に取り組んでいます。
また、我々が策定する企業理念に、その企業や経営者「らしさ」がしっかりと反映されているかどうかにも非常にこだわっています。譲れない軸として、ユニークさ、面白さ、楽しさ、そしてエンターテイメント性を大切にしています。そのため、お客様から「つまらない」と言われてしまうと、一番堪えますね。
自分たち”らしい”企業理念を作るために、様々な工夫をしています。たとえば、心に響くパワーワードにする為には、短い言葉であること、リズミカルであること、世の中に存在しない言葉であること、その企業らしさが表れていること、日常会話に溶け込む言葉であること・・・など基準を設けています。
これらの要素が満たされているかを確認し、クライアントと話し合いを重ね、最後は『好き嫌い』で決断します。そのような工程を踏みますので、どうしても数か月から半年ほどの時間を要します。
時間は要しますが、会社の歴史や価値観、想い、喜怒哀楽を込めた理念だからこそ、『好き嫌い』がハッキリした理念となり、バチっと価値観が合う仲間を集めることが出来ます。
起業から今までの最大の壁を教えてください
2023年に福岡拠点を閉鎖・撤退したことが、最も大きな壁でした。創業時から私は東京に住んでいましたが、主要メンバーは福岡在住ということもあり、二拠点経営をしていました。
本来は創業期ゆえにとにかく売上を作る営業やコンサルタントを採用すべきですが、クリエイティブやマーケティングが得意な人材など、経営陣にはないスキルを持つ人たちを優先して採用していました。その結果、人員は増えるものの、売上が思った以上に上がらない状態が続いてしまったのです。
また代表である私は東京で一人リモート。定期的に福岡拠点には足を運ぶものの、それではマネジメントがうまく機能しないことにも気づきました。福岡には優秀なメンバーがおりましたが、彼らを活かしきれず、結果的に拠点を閉鎖せざるを得ませんでした。
当時福岡に住んでいた現取締役(COO)の橋本に頭を下げ、東京で一緒に再出発しようと頼みました。2023年1月、橋本と2人で渋谷に新たな拠点を設け、組織を再構築しました。
いま振り返ってみても、その時の福岡拠点の閉鎖がこれまでで一番厳しい選択でした。経営者としての自分の能力のなさを痛感しました。
「楽しい」を原動力に、好きな人たちと仕事をする喜び
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
正直、私は自分が楽しいと思うことをやっているので、「モチベーション」を意識したことはほとんどありません。好きな人としか仕事をしないと決めているため、好きな人たちと一緒に仕事をしていると、「頑張ろう」というよりも「もっと仕事がしたい」「もっと貢献したい」という気持ちになります。好きの原動力は最強ですね。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
次世代の組織創りにとても興味があります。従来の階層型ピラミッド組織をいかに拡大させていくか?ではなく事業責任者やメンバーがドンドン「社長」になれる会社をたくさん作ることがしたいことです。
来年から組織拡大に舵を切りますが、サラリーマン的な出世の道ではなく、チャレンジしたい人が積極的に組織内で起業し、自分の会社を持てる環境を作りたいと考えています。皆が会社のリーダーとなれる環境を整え、世の中に好影響を与えるグループ組織になることが目標です。
具体的にやりたいことで言えば、企業理念を五感の武器に変えていくことがしたいです。例えば、理念創りの一貫でビジョンを絵にしたりするのですが、絵で留まらず音にして曲にしてみたり、製造業のお客様なら工場の音を使ってみたり、その曲を社内バンドで演奏してみたり、そのような会社を複数社集めて採用イベントにしてみたり・・・。
もしそのような事が出来れば歴史がある企業や組織も変革が出来ると考えています。我々にしか出来ない支援をしていきたいと思います。
自分の時間を存分に使える若い時にこそ起業に挑戦を
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業して失敗しても、決して死ぬわけではありません。「まず、やる!」というのが一番のアドバイスです。起業することでしか学べないことが数多くあると思いますので、「起業したい」と思っている人は、ぜひ挑戦してください。しかも、できるだけ若いときに始めるのが良いと思います。
歳を重ねると結婚したり、子どもが出来たり家族を守ることも求められます。若い独身時代であれば全てのリソースを事業に注いで、泊まり込みで仕事をすることも出来ます。だからこそ、自分の時間をフルに使える若い方には、ぜひ早めに起業にチャレンジしてみてほしいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:奥田 真広氏
関西学院大学社会学部卒業後、株式会社インテリジェンスに入社。社内初ベンチャーの『i-common company』(顧問紹介事業)の立ち上げに従事。2020年、Singerly株式会社を創業し、理念に特化した組織コンサルティング事業を推進。主に2代目・3代目の後継経営者に向けに”自分たちらしい”組織カルチャーの醸成を支援している。
企業情報
法人名 |
Singerly株式会社(シンガリー株式会社) |
HP |
|
設立 |
2020年1月6日 |
事業内容 |
理念特化型・組織コンサルティング支援 (理念策定/浸透/採用、組織エンゲージメント改革) |
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