【#297】日本初のAI鑑定として、コレクションに安心と楽しさを届ける。新時代のトレーディングカード鑑定|代表取締役 岩田 翼(株式会社コレクテスト)
株式会社コレクテスト 代表取締役 岩田 翼
AIを活用したトレーディングカードの真贋鑑定サービス「VALUE SCOUTER SERVICE(バリュースカウターサービス)」を提供する、株式会社コレクテスト。市場では海外企業が先行している中、ゼロからサービスを立ち上げ、日本初のAIを導入した鑑定サービスとしてコレクターが求める信頼性と精度を実現しています。代表取締役を務めるのは、5歳からトレーディングカードを収集しているという、岩田 翼氏。事業の内容や仕事へのこだわりについてお話を伺いました。
日本初、特許取得のAI真贋鑑定サービスでトレーディングカードを評価
事業の内容をお聞かせください
当社はAI技術を活用し、ポケモンカードを始めとするトレーディングカードの鑑定サービスを提供しています。これまでトレーディングカードの鑑定サービスは海外企業が主流でしたが、当社はAIを活用してカードを鑑定する国内初の企業であることが特長です。
我々の鑑定サービスはAIによる高精度なシステム鑑定を導入し、人為的な鑑定ミスを減らす工夫をしています。スポーツの審判にミスがあるように、人の判断には限界がありますが、AIの導入により安定して精度の高い鑑定が可能になりました。ただし、AIに全てを任せるのではなく、3名の専門スタッフによるチェックも合わせて行い、人間ならではの五感で気づく違和感や微細な判断も大切にしています。そうすることでAIと人間の長所を組み合わせた、信頼性の高い鑑定を実現しています。
鑑定後には、カードと鑑定書をUV97%以上カットする透明なアクリルホルダーに密封して返送しており、洗練された外観がお客様にも好評です。
トレーディングカードの価値は日々変動するため、鑑定証にはQRコードを添付し、それをスキャンすることで、いつでも最新の市場価値をリアルタイムで確認できる仕組みも導入しています。現在はポケモンカードを含む、12ジャンルのトレーディングカードの鑑定が可能です。
ここ数年でトレーディングカード市場が急速に拡大している理由は何だとお考えでしょうか?
コロナ禍で外出が制限されたことで、多くの人が自宅でできる新たな投資手段を探すようになった結果、トレーディングカードに注目が集まりました。遊びとして楽しめる上に資産価値も期待できる点が評価され、コロナ初期から市場が急成長を遂げたのです。
2010年代の前半はトレーディングカードで遊んでいるのは中学生までの子どもか、一部のマニア層の大人が中心でした。しかし、近年ではトレーディングカードが絵画や骨董品と同じように資産的価値を持つことが認められたため、コレクションの品質や真贋を公平に判断できる第三者機関の必要性がさらに高まりました。こうした第三者機関の存在が浸透するにつれ、価値が保証されたカードの人気も高まり、市場の成長に拍車をかけたと考えています。
現在の事業を始めた経緯をお伺いできますか?
起業したきっかけは、以前スマホアプリでトレーディングカードの偽物を購入してしまったことが大きく影響しています。届いた瞬間に偽物だと分かり、出品者に連絡して返金をお願いしたところ「あなたが偽物にすり替えたのでは?」と逆に疑われ、困った状況になりました。
その経験をして、少しでも同様の被害者を減らせないかと考え、偽物を減らすためのチェック機能がより働けばと考え、AI技術を活用した鑑定を検証するようになり、特許も出願・取得できたため、本格的にこの事業をやりたいという気持ちが強まっていきました。
実は会社員時代には起業を考えていなかったのですが、新規事業の立ち上げに携わっていた経験や知識が現在大いに役立っています。
コレクター目線で、品質と満足度を追求したサービスを
仕事におけるこだわりを教えてください
私自身、長年トレーディングカードを収集してきたコレクターであるため、鑑定サービスにおいて「コレクターとして妥協しないこと」を重視しています。同様にコレクターであられるお客様に納得いただける品質を提供することが、私の仕事の軸です。
たとえば、カードを収めるアクリルケースの透明度、気分が上がるような金色プレートのデザイン、ケースの大きさや厚みといった点まで、細部にも徹底してこだわっています。
また、鑑定書のQRコードをスキャンした際に表示される価格の見やすさ、価格が表示されるタイミングにまで配慮し、全てのプロセスでお客様に満足いただけるよう設計しています。コレクターとしての視点を大切にし、細部まで妥協のないサービスを提供することを心がけています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
海外の有名企業が業界のメインプレイヤーとして存在する中、ゼロからサービスを立ち上げ、この市場に参入したことが大きな壁でした。
当社はまだ認知度が低いため、コレクターの皆さんに知っていただくことが今後も重要な課題です。この点については、日々試行錯誤を重ねています。
好きだからこそ続けられる、トレーディングカードへの情熱
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
シンプルに「この仕事が好きだから」の一言に尽きます。
私は幼い頃からトレーディングカードが好きで、集め過ぎて親に捨てられてしまうほどでした。捨てられても懲りずにまた買い集めるというのを繰り返していました。大人になるにつれて多くの人が他の趣味を持つようになる中で、私はずっとトレーディングカードに夢中でい続けています。
何がそんなに楽しいかというと、やはり「他の人が持っていないものを手に入れたい」というコレクターとしての感覚や、開封した際に何が出るか分からないワクワク感、強さを示す数字に惹かれる部分が大きいと思います。珍しくて強いカードを手にしたときの喜びや、コレクター魂を揺さぶられる感覚が自分の中にずっとあり続けていて、それがこの仕事を続ける大きな原動力になっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
トレーディングカードは私が深い知識と経験を持つ分野であり、今後もこの領域に力を入れていく予定です。目先の目標としては、トレーディングカード好きのお客様により満足いただけるよう、サービスのさらなる向上を図っていきたいと考えています。たとえば鑑定や価格評価の精度を高めたり、見栄えを良くしたりするなど、細かな改善を重ねて、より充実したサービスに磨き上げることが目標です。
また、長期的な展望としては、AIを活用してさまざまなジャンルの「価値あるもの」を見いだし、それらを美しく保存できる世界を築きたいと考えています。AIによる真贋鑑定はトレーディングカードに限らず、コレクターがいる他の様々なジャンルにも応用可能ですし、ネット上の取引価格を解析する技術もあらゆるアイテムに活かせると考えています。
人生は一度きり。迷ったら挑戦を
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
トレーディングカードのタイトルは「ポケモン」等のゲームになっているものもいくつかあります。ゲームでは失敗しても、途中からやり直すことができますが、人生は一度きりで、やり直せません。
そして、起業しなかったことを悔やむ人はいても、実際に起業した後に後悔している人にはまだ出会ったことがありません。起業を迷っているなら、一歩踏み出してみる価値は十分にあると思います。
私自身は起業に踏み切るまでにある程度の時間を要したタイプですが、若い人ほど、失敗した際のダメージは比較的少ないはずです。
起業に興味がある人は、迷わず挑戦してみるべきだと思います。
株式会社コレクテスト 採用情報▼
プロダクトマネージャーと、マーケティング担当を募集中です。
ご興味のある方は、以下よりお問い合わせください。
https://www.collectest.com/contact
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:岩田翼 氏
早稲田大学、一橋大学大学院卒。5歳から現在に至るまで様々なタイトルのトレーディングカードを数十万枚集め、偏愛するコレクター。リクルート、NTTドコモ等で新規事業や、経営企画等に従事。コロナ禍には個人で全国60以上の神社仏閣と連携して、「神社仏閣カード」を企画・運営する。2023年に(株)コレクテストを設立し、代表取締役CEOに就任。
企業情報
法人名 |
株式会社コレクテスト |
HP |
|
設立 |
2023年3月 |
事業内容 |
VSS鑑定(バリュースカウターサービス) |
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