【#312】トップアスリートの知見を製品化。次世代のフィットネスケアで、毎日のケアの効果を上げる|代表取締役CEO 林 慧亮(株式会社MAKERS)
株式会社MAKERS 代表取締役CEO 林 慧亮
「スポーツと運動の力で、一人一人の健康に貢献する」をパーパスに掲げる株式会社MAKERSは、フィットネス関連商品の企画・販売を行う企業です。プロアスリートも認める高性能マッサージガンをはじめ、最高グレードの原料を使用したプロテインなど、こだわり抜いたケア製品を開発。医療機器認証の取得や自社一貫開発体制により、確かな品質と使いやすさを両立しています。今回は代表取締役CEOの林 慧亮氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
トップアスリートの経験を元に開発されたフィットネス商品
事業の内容をお聞かせください
当社では、フィットネス&ケアブランド「uFit(ユーフィット)」の運営・販売をおこなっています。アスリートから運動やトレーニングをする一般の方までが、日常的なケアに使える製品を自社で企画開発から設計、販売まで一貫して手がけるファブレスメーカーです。
具体的な製品としては、筋膜リリースができるマッサージガンがあります。医療機器としての認証も取得しており、効果・効能が認められている製品です。他にも、バイブレーティングローラーという振動する機能付きのフォームローラーやヨガマット、プロテインや完全栄養食などの製品も手がけています。
医療機器として認証され製造・販売するには、厳格な認可要件があります。特定の学歴や実務経験を持つ従業員の配置、適切な製造環境の整備など、さまざまな基準をクリアする必要があります。当社はこれらの要件を全て満たし、必要な許認可を取得した上で、開発・製造を行っています。
当社の特徴は、商品力にあります。企画から設計まで全て自社で行っており、内部構造やパワーの出し方、重心の位置など、使い勝手に関わる細かな部分まで徹底的にこだわっています。
もう一つの強みは、多くのトップアスリートとの繋がりです。Jリーグの選手や、今年のパリ五輪に出場した選手などを含む、1000名以上のトップアスリートに使っていただいています。彼らからのフィードバックを製品開発に活かし、10回以上ものマイナーチェンジを重ねることもあります。
トップアスリートに選ばれる製品を目指して改良を重ねることで、結果として一般の方にも使いやすく満足いただける製品が実現できています。
他社のプロテインとどのように差別化を図っていますか?
一つ目は素材へのこだわりです。
プロテインは一般的に「どれも同じ」と思われがちですが、そうではありません。例えばホエイプロテインは牛乳、ソイプロテインは大豆が原料なので、良い素材を使えば当然美味しくなります。素材のグレード表がある中で、当社では最高グレードの原料だけを使うことを決めています。
また、人工甘味料、保存料なども一切使用しない方針で製品を作っています。そのため、価格は比較的高めになってしまうのですが、多くのお客様に選んでいただいています。
もう一つの特徴は、障がい者支援への取り組みです。
プロテインの製造は、全てオートメーション化した工場で作る方がコスト的には安くなります。ですが、当社では障がいのある方が働く施設で製造をお願いしています。例えば、商品のシールを貼らずにプリントで仕上げる方法は安いのですが、あえてシール貼りの工程を残しています。これは、シール貼りの作業であれば障がいがある人でも働くことができるからです。
「寄付をすれば良いのでは」と言われることもありますが、障がいのある方からは「働いてお金を稼ぎたい」「収入を好きなことに使いたい」との声を聞きます。ですから、当社では障がいを持つ方に仕事として携わっていただける体制づくりを大切にしています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
新卒で入社した会社でIT系の仕事をしていたこともあり、最初はウェブ広告代理業として起業しました。この事業は縁があって売却し、次の事業を考えることになったのです。
新しい事業を検討する中で、私自身が大学までずっとスポーツをやっていた経験から、体のケアの分野に着目しました。私自身、体の調子があまり良くなかった経験もあり、「何か役立つプロダクトが作れるのでは」と考えたのです。教えたりスクールを運営したりするよりも、物を作る方が価値を提供できると考え、今の事業をスタートさせました。
起業をした理由の一つには、「バスケットボールチームのオーナーになりたい」という夢があります。サラリーマンではその夢を叶えるのは難しいと考え、また、自分の性格や特性を改めて振り返ったときに、起業家の方が社会により大きな価値提供ができるのではと考えました。
起業する前に働いていた会社では、数字だけでなく、その先にいる「生身の一人の人」を意識することを学びました。例えば、SNSでは何十代が何%、男女比率は何%などの分析になりがちですが、目を向けるべきなのはその先にいる「実在するひとり」です。
今でも商品を作るときは「誰が使うのか」「誰が欲しいと思うのか」を深く考えています。当社では「バイネームで言えるか」という話をよくします。「20代女性で、こういう人が購入します」などの抽象的な話ではなく、具体的に名前が挙げられるところまで意識した商品開発に取り組んでいます。
家族や友達に誇れる仕事をする
仕事におけるこだわりを教えてください。
「凡事徹底」を大切にしています。特別なことをするよりも、当たり前のことをしっかりとやり切ることが、強いチームづくり、人づくりに繋がると考えています。
また、会社のフィロソフィーの一つに「先祖代表として恥じない行動をする」があります。端的に言えば、正々堂々と戦いましょう、親に胸を張って話せる仕事をしましょうという考え方です。
自社で製品を作り、ウェブで販売する際には、さまざまな手法があります。その中で私たちは常に、自分の子どもができたときに「パパ・ママの仕事はこれだよ」と胸を張って言えるかを基準にしています。身近な人に「私の仕事はこれです」と自信を持って言えることが、私たちの判断基準なのです。
商品開発においても、単に売れればいいわけではなく、「これは自分が作りました」と胸を張って言えるものを目指しています。もちろん事業として売上も大切ですが、それ以上に、商品を手にした人が本当に喜んでくれるか、自分の大切な友達にも全力でお勧めできるかどうかを大切にしています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
メンタル的にはそれほど落ち込むタイプではないのですが、身体的にはとても大変だった経験があります。
当社は一部の製品を海外で製造しています。輸入の作業は専門業者に任せるのが一般的なのですが、先輩経営者から「全部自分でやってみろ」とアドバイスをいただきました。工程を理解していないと、本当にその費用が妥当なのか、将来スタッフに任せるときに適切に判断できないからとのことでした。
そこで実際に、コンテナの手配から、港までのトラック運転、消費税の手続きまで、全て自分でやることにしました。特に大変だったのが、港でリフトに荷物を置かれた後です。「トラックへの積み込みは自分でやってください」と言われてしまったのです。フォークリフトを運転できるわけもなく、何百箱もの段ボールを自分で積み込みました。当時は従業員全員がリモートでオフィスもなかったので、300箱全てを自宅に入れることになりました。
本当に大変でしたが、今ではやって良かったと思っています。自分でもできるという自信もつきましたし、物流の仕組みを体験として理解できました。
お客様の喜びの声がやりがいに繋がる
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
シンプルに仕事が楽しいのが大きいです。もちろん売上目標などもありますが、それ以上にモチベーションとなっているのが、お客様からのフィードバックです。
私たちはBtoC事業を展開しているので、お客様のお声がダイレクトに届きます。中にはお叱りのお言葉もありますが、毎日何十件も「uFitのおかげで元気になりました」とのお声をいただいています。社会の誰かの役に立っていると実感できる瞬間が何よりも嬉しく、モチベーションになっています。
従業員のモチベーションについては、本人が目指したい姿や進みたい方向と会社の方向性を合わせることを意識しています。
入社1年目で自分の将来像がまだ描けないメンバーもいますが、3年後、5年後にどうなっていたいのか、そのために必要なスキルは何か、会社の目指す方向とそれは合っているのかなどの対話を大切にしています。この方向性が合っていれば、自然とモチベーションも高まっていくと考えています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
フィットネス領域のケアブランドとして、まずは圧倒的なナンバーワンを目指しています。
ケア分野は非常に広い可能性を持っています。例えば、病院で使用される治療器のような医療機器分野にも、将来的には参入していきたいと考えています。ケアの対象を広げながら、製品のラインナップも順次拡大していく予定です。
また、海外展開、特にアジア圏への進出も視野に入れています。ただし、会社の体力や規模を慎重に見極めながら進めていく必要があります。直近2〜3年での展開はまだまだ早いかなと判断しており、まずは国内市場で基盤を固めることに注力する予定です。
全てを失うような挑戦は避ける
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
私がお勧めしたいのは、まず全て自分でやってみることです。
私自身も先輩経営者からこのアドバイスをいただき、本当によかったと思っています。外注できる業務であっても、自分で実際にやることで「これは外注する価値があるな」「これは自社の強みになるから自分たちでやった方がいいな」などの判断ができるようになりました。
それに加えて、私が心がけていたのは、立ち直れないような勝負はしないことです。
具体的には、前職に戻れる関係性を保っておいたり、1年くらいは生活できる資金を確保しておいたりと、セーフティーネットは意識して作っていました。このおかげで精神的に安定して事業に取り組めましたし、「今月の資金を稼がなきゃ」などの焦りに追われることなく、じっくりと事業に向き合うことができました。
採用を強化されているそうですね。どのような人材を求めていますか?
現在、複数のポジションで人材を募集していますが、特にマーケティング領域の強化を図っています。自ら新しい領域を切り開いていけるような方を求めています。例えば、BtoCブランドのマーケティングを担当されていた経験をお持ちの方など、ブランド構築の実績がある方に来ていただけると嬉しいです。
▼採用情報はこちら
https://ufit.co.jp/pages/recruit
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:林慧亮 氏
横浜国立大学経営学部卒。新卒でSNSコンサルティングを手がける企業に入社。その後、2018年に独立。現在はケアブランドのuFitを手掛けつつ、Youtuberとしても活動し、チャンネル登録者数は34万人におよぶ。
企業情報
法人名 |
株式会社MAKERS |
HP |
|
設立 |
2018年7月 |
事業内容 |
フィットネス&ケアブランド「uFit」の運営、販売。 |
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