【#317】広報の可能性をメディアに届ける!元テレビマンだから開発できた、メディアと企業の壁をなくす新しい広報プラットフォーム|代表取締役 稲田 爽(株式会社ロケグー)
株式会社ロケグー 代表取締役社長 稲田 爽
テレビ番組制作や映像制作に携わるスタッフが利用する「ロケ地検索サイト」と、広報情報を発信する「プレスリリース発信」を掛け合わせた広報プラットフォーム「ロケグー」。長年続くテレビ制作現場のリサーチ・ネタ探しの悩みと、広報さんのメディアに情報を届けたい悩みを、同時に解決したいという思いから事業を始めた稲田氏に、起業の経緯や今後の展望などを詳しくお聞きしました。運営する株式会社ロケグーの代表取締役社長の稲田爽氏は、もともとテレビ番組のディレクターや放送作家などをしていたことから、その経験を活かして広報プラットフォーム「ロケグー」を立ち上げました。
「ロケ地検索サイト×プレスリリース」の新しい広報プラットフォーム
事業の内容をお聞かせください
テレビやドラマ、映画、CM、縦型動画などを制作するクリエイターが従来利用する「ロケ地検索サイト」に、広報情報を発信する「プレスリリース機能」を掛け合わせた新しい広報プラットフォームを運営しています。
サイトを利用するユーザーにとっては、リサーチやネタ探しにも使えるロケ地検索サイトになります。ジャンルや媒体は問わず、多くの方にご利用いただいております。
掲載していただいているのは、一般企業からスタートアップやベンチャー企業、創業100年を超える老舗、アミューズメントパークや撮影スタジオなど、多種多様な企業やロケ地になります。
面白いネタや取材先を探したり、撮影場所などのロケ地を探すのに苦労するメディア側と、メディアに伝えたい情報や届けたい想いを広報さん側が発信することで、双方の悩みや課題を同時に解決することを目指しています。
また、2024年11月より、あらゆるテレビ番組制作の情報をまとめたWebメディア『テレビ制作大百科』を立ち上げました。
これまで自分が経験したことや、テレビで培ってきたノウハウなどを発信することで、テレビ制作の「教科書」になれたらと思っています。テレビ業界は70年以上、言語化された「マニュアル・教科書」が全くありませんでした。
そこで教科書を作ることによって、テレビ業界や映像業界が良い方向に進む一助になれたらなと思っています。新人ADさんや現役の制作スタッフに向けた情報だけでなく、業界を目指す学生さんにとっても有益な、就活情報なども発信しています。
業界に興味がなくても、暇つぶしになるサイトですので、お時間があればぜひ皆さんも読んでみてください!(https://locagoo.co.jp/television-dictionary/)
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
ロケグーを始めた経緯は、長年テレビ制作や映像制作にのしかかる「不変的な仕込み・リサーチの苦労・過酷さ」と、広報さんからよく相談を受けていた「メディアに広報情報を届けたい」という2つの課題を解決したいと思ったからです。
番組側は埋もれているネタを探していますし、常に面白い企画を考え続けています。それでも見つかるのは既に取材されたネタや、どこかでやったことのある企画に落ち着いてしまい、テレビの課題である「面白くない」「どこも同じことやっている」などの既視感をどうにか解決したいと思っていました。
一方で多くの広報さんからは、「もっとメディアに情報を届けたい!」と相談を受けていました。面白いし使えるネタであっても、番組で昇華できるものは1割もありません。
つまり、担当番組や企画、そしてタイミング・運によって、ほとんどがボツになって埋もれます。「この前の番組ならきっとネタにできた!」「この情報は絶対知りたいスタッフが多い」「こんな企画に合いそうだな…」などと考えていました。
その時に、番組スタッフは「プレスリリースのようなオフィシャルの情報ではなく、もっとカジュアルな情報を求めているけど直接連絡しないとわからない」、そして企業は「メディアが求めてる情報がわからないし、発信場所がない。」と考えていることに気づきました。
そこで、番組制作者目線で広報情報を発信できる場所を提供できれば、双方の長年の悩みが同時に解決できると思い、「ロケグー」の開発をしました。
大事なのは「テレビ制作の目線を忘れないこと」
仕事におけるこだわりを教えてください。
ロケグーを運営する上で、こだわりは「テレビ制作の目線を忘れないこと」です。
ロケグーのポリシーとして「サイトを利用するテレビ制作者・映像制作者にとって本当に必要な情報」を届けることを大切にしています。
現在、掲載企業様からの掲載費などをいただく収益モデルになっていますが、クライアント本位になりすぎると情報が濁ってしまいサイトとしての価値が下がってしまうと思っています。
メディア側に「このサイトいいな!」「面白い企業たくさんあるな!」「ロケ地が見つけやすい!」と思ってもらうことが、巡り巡って掲載企業に価値を提供できると信じています。
広報・PR業界には、ADからディレクターなどリアルなテレビ制作に携わったことのある方が少ないので、私の経験が最大の強みであり、差別化だと思っています。だからこそ、クライアントと打ち合わせする時も、テレビマンとしての目線で俯瞰しながら率直な意見を伝え、掲載ページを作ることを心がけています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
メディアからはじめて問い合わせが来るまでの2ヶ月間が一番の壁だったと思います。
潤沢な資金があったわけではないので、広告などを打ち出すことはできませんでした。また、サイト運営自体も初めてのためポータルサイトのSEOなどの知識も全くありませんでした。
そのため、毎日独学で研究し、サイト運営から設計など試行錯誤を繰り返しました。掲載件数は日に日に増えていくのですが、PV数は全く伸びませんでした。自分のやり方が正しいのか分からずに進む道のりが、今思えば辛かったです。
そのような状況が2ヶ月近く続いた時に、超有名ゴールデン番組から1件のお問い合わせをいただきました。とても嬉しかったことを今でも覚えています。場所や時間もはっきり覚えており、16時くらいに専門学校でロケハンをしていた時でした。
そこからはPV数も開設初期に比べ50倍近くになり、狙っていたSEO表示も最高2位を獲得できました。さらに「ドッキリ」「工場見学」「かまぼこ」「密着取材」などの細かいキーワードだと、SEO1位を複数獲得し、自分の方向性・やり方が間違ってなかったと安心しました。
今ではテレビや映画、ドラマ、CM、ネット配信番組、インフルエンサーなど幅広い方から毎日のようにお問い合わせをいただくことができ、とても嬉しく思っています。
「もっと面白い番組を見たい!素晴らしい企画の一助になりたい」この思いが原点
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
決してお金儲けをしたいとか有名になりたいなどではなく、慢性的にある当たり前で気づかない課題や苦労を解決したいと思っています。
課題解決を通して、「もっとテレビを面白くしたい!そして埋もれている企業を知ってもらいたい!」という思いが、ロケグーを続けるモチベーションかもしれません。
それでも原点にあるのは、テレビに限らず「やっぱり面白い番組や企画を見たい!」という気持ちであり、「そういう番組や作品の一助になりたい」というテレビっ子的な側面があるのかもしれません。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
今後やりたいことは、3つあります。
1つ目は、企業や店舗などの1社だけの訴求にとどまらず、自治体や観光協会など地域全体の魅力や可能性を届けていくことです。地方の埋もれてしまっている情報を発信することで、地域活性化や地方創生に貢献したいです。
2つ目は、テレビ制作大百科を通して、テレビ制作業界の横の繋がりを結ぶハブになることです。
実はテレビの業界はかなり特殊であり、編集所、放送作家、ロケ弁屋、美術・技術さん、などの横の繋がりはほとんどありません。仕事を一緒にしているけれど、互いの意見や情報交換などはしません。
そのため、横の繋がりを作ることによって制作業界を、もっと働きやすく、もっと楽しくしていきたいと思っています。
3つ目は、世界的SNSアイコンの横に並ぶ企業になることです。
企業のHPなどを見ると、ページの下の方にInstagramやXなどのSNSアイコンが載っています。そのアイコンの列にロケグーのアイコンを並べたいです。
ロケグーマークがあるということは、「この企業は取材・ロケに協力的なんだ!」とすぐにわかってもらえる存在になれたら嬉しいです。
「100%いける」と思えた時に、1歩を踏み出してみてください
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
シビアに計算して「100%いける!」と思えた時に、1歩を踏み出してみてください。
起業は、大小あるにせよリスクは必ずついてきます。そのリスクを考えた上で、100%信じられない場合には、起業はしない方がいいと思います。
言い換えると100%自信があるなら絶対挑戦した方がいいです。人生で100%自信がある瞬間なんて、ほとんど出会えないはずです。
初めて好きな女の子に告白するとき、100%の自信をつけるために、男友達や女子友達にリサーチしたり、女の子の言動を観察したり、LINEを読み返して予測したりしながら、自信を高めていませんでしたか?
そして100%自信がついた時に、勇気を振り絞って告白したら、薔薇色の生活が待っていたと思います。
起業もきっと一緒で、自分の中でまだ自信がなかったら、周りからアドバイスをもらったり、リサーチしたりして100%自信をつけてから起業するといいと思います。
私自身、まだ何も成功していないですし、上手くいかずフラれて(事業失敗)泣くことになるかもしれません。それでも挑戦してよかったと、今から思えることは100%決まっています。
やらなくて後悔することもありますし、やって後悔することも起業にはあるので、100%の自信をつけてから挑戦してみるといいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:稲田爽 氏
1992年岩手県盛岡市出身。盛岡第四高校を卒業し、中央大学に入学。卒業後、テレビ番組制作会社オフィスぼくらに入社。その後、フリーランスとして独立。ディレクターや制作進行だけでなく、放送作家としてもテレビ番組制作に携わる。2023年2月に、ロケ地検索サイト運営と広報PRコンサルタントの事業を行う株式会社ロケグーを創業。2024年11月あらゆるテレビ番組制作の情報をまとめたWebメディア『テレビ制作大百科』をリリース。
企業情報
法人名 |
株式会社ロケグー |
HP |
|
設立 |
2023年2月 |
事業内容 |
ロケ地検索サイト×プレスリリース配信サービス「ロケグー」の運営 |
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