
ミート株式会社 代表取締役社長兼CEO 岩城功
NFCを活用した次世代コミュニケーションツール「MEET(ミート)」を展開するミート株式会社は、営業活動の可視化から販促施策、来場者限定コンテンツの提供まで、あらゆるリアルな体験をデジタルにつなげる仕組みを提供しています。「NFCを使ったDXといえばMEET」と言われる世界観の実現に向け、国内外での展開を視野にいれる代表の岩城功氏に、事業の詳細や込められた想いについて伺いました。
人に惹かれ、事業にコミット。NFCで変わるリアル体験
事業の内容をお聞かせください
私たちは、スマホをかざすだけでコンテンツに即アクセスできる、NFCを活用した次世代コミュニケーションサービス「MEET(ミート)タッチPR」を提供しています。
店頭での商品PR動画の視聴や、試供品を試してその場での購入、施設案内や展示会での情報取得など、さまざまなビジネスシーンでの活用が広がっています。
一般的なNFCは、端末や読み取り位置によってはアクセスに失敗することが多く、人によるオペレーションが必要になるケースも少なくありません。
そこで私たちは、機種を問わず確実に読み取れる独自の「MEET EASY ACCESS」を開発しました。シートタイプのため、POPに重ねて使うこともでき、誰でもスムーズにコンテンツにアクセスできます。
さらに大きな強みの一つが、特許を取得したアクセス制限機能「シェアブロック」です。これは、実際に「MEET」にタッチした人だけが特設サイトやアプリにアクセスできる仕組みで、URLを他人と共有してもアクセスできません。
例えば、ライブ会場での限定グッズの購入や飲食店の来店ポイント付与など、来場者や利用者限定の体験を届けることができます。
「MEET」は単体での利用だけでなく、他のシステムと組み合わせた活用事例が多く、LINEのWebアプリとの連携やレジ前での導線改善など、企業ごとの課題に応じた柔軟な展開が可能です。
サービスの1つである「MEETタッチ資料」は、オフラインの営業活動を可視化させることをテーマにしています。営業担当者一人ひとりが「MEET」を持ち、顧客にタッチしてもらうだけで簡単に資料送付が可能です。
資料へのアクセス状況も表示されるので営業資料が確実に見てもらえているかを確認できます。これまで定量的に評価しづらかった営業活動を可視化することで、オフライン業務も評価ができるようになります。
私たちは、単にNFCを提供するだけではなく、NFCで何を実現するかを重視しています。当社の母体となるベースメントファクトリープロダクションは、約25年にわたりナショナルクライアント向けにコーポレート制作やCMS提供を行ってきた制作会社です。
そのクリエイティビティを活かし、NFCをデジタル名刺や販促ツールとして使うだけではなく、企業のDX推進を支援し、課題解決に取り組んでいます。
こうした幅広いNFCの活用をクリエイティブに展開している企業は国内でもまだ少なく、他社に真似できないサービスをもっていることが私たちの強みとなります。
サービス内容の詳細はこちら。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
きっかけは、前代表との共通の知人から「社長を探している会社がある」と声をかけられたことでした。当時は複数の会社で顧問やコンサルタントとして働いており、時間にも収入にもある程度の余裕がありました。
その一方で、自分の時間を切り売りしている感覚が拭えず、「このまま50歳まで同じ働き方を続けるのは違う」と感じ始めていました。
もう一度何かに本気でコミットし、自分自身のキャリアを形づくる道をつくっていきたいと考えていたタイミングで当社の代表の話を受けたことが、参画することとなった経緯です。
当時の代表の北村は「会社を上場させたい」と語っていました。その理由を尋ねると、「30年近く経営してきたベースメントファクトリーで、創業初期から一緒にやってきた従業員がいる。今も支えてくれている仲間に恩返しがしたい。」と話してくれました。
そうした、仲間を最後まで大切にする姿勢に心を打たれたことが、この事業に本気で関わる決意を固めた一番の理由です。
壁を壁と捉えない。できる理由でチームを動かす
仕事におけるこだわりを教えてください。
基本的に「できない理由を考える」という概念をなくすようにしています。これは、私がサラリーマンだった頃からずっとこだわっていることです。
人によっては「できない理由」を探す人もいるかもしれませんが、私はそれよりも「どうすればできるか」を一緒に考えた方が、チーム全体が前に進めると思っています。
たとえ難しい課題であっても、何かしら方法はあるはずです。社内でも「無理だ」ではなく、「何があればできるのか」と主語を置き換えることを大切にしています。
この考え方の原点は、新卒1年目に勤めた訪問販売の会社にあります。1日300件ほど個人宅に電話をかける仕事をしていました。
その会社では、社訓や「成功する十か条」を毎朝みんなで読み上げていたのですが、その中にあった「できない方法を考えるのではなく、できる方法を考える」との一文が私自身の中に強く残っています。毎朝声に出していたことで、自然と染みついていった感覚です。
もともと私はネガティブ思考ではない性格なので、その言葉が私自身のポジティブな気質とも重なったのかもしれません。
起業から今までの最大の壁を教えてください
これまで「壁だ」と感じたことがあまりありません。うまくいかないことはありますが、それを「壁」として捉えるかどうかは、自分の受け止め方次第だと思っています。
何が起きても想定内だと思うようにしています。
たとえば、信頼していた役員が突然辞める出来事があったとき、当然その穴は埋めなければなりません。でもそこで「困った」と止まるのではなく、自分がまず動いて埋める。
そのうえで、「次はもっといい人が現れるかもしれない」と考えるようにしています。ネガティブな出来事こそ、次のチャンスだと思えるかどうかが大事だと思っています。
代表である以上、自分が立ち止まれば、チーム全体も止まってしまいます。走り続けるためにも、壁を壁と捉えている余裕はありません。
以前、代表を務めていた会社では、3期目のタイミングから社長として就任し、創業者と従業員の間に立つ立場を経験しています。そのときに培ったコミュニケーションの取り方や立ち居振る舞いが、今に活きていると感じています。
私が常に意識してきたのは、「翻訳者」であることです。どちらかの立場に偏るのではなく、創業者や経営陣がなぜそう言っているのか、どういった背景があるのかを丁寧に伝え、従業員が納得できる言葉に置き換えて話すよう心がけています。
会社が違っても、やるべきことは変わりません。創業者の思いと従業員の声のバランスをとりながら円滑に物事を進め、しっかりコミュニケーションを重ねてきたからこそ、大きなハレーションが起きることもなく進んでこれたのだと思います。
目指すは「NFCを使ったDXといえばMEET」
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
正直なところ、これまでモチベーションについて意識したことがあまりありません。
モチベーションの維持方法を聞かれることは多いのですが、仕事が嫌だと思ったことがなく、私自身はモチベーションが下がったと感じたことがありません。そのため、モチベーション維持のために何かをやらないといけない、と考えたことはありません。
例えば、歯を磨いているときやお風呂に入っているとき、車を運転しているときなど、一人でぼんやり考える時間があります。そのときに自然と「次はこういうことができるかもしれない」「これを誰かに聞いてみよう」「自分で調べてみよう」と、仕事のことを考えています。
そうした考える時間があると、家でも会社でもやりたいことが出てくるので、モチベーションが下がることがあまりありません。
常に何かしら前に進むためのことを考えているので、結果的にモチベーションをずっと高い状態で保てているのだと思います。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
今後は、NFCを活用した新しいサービスの展開にさらに力を入れていきたいと考えています。NFCを使って世の中のあらゆるものをDX化する発想は、国内ではまだほんの一部にとどまっているのが現状です。
だからこそ、まずは「NFCを使ったDXといえばMEET」といったポジションを、いち早く確立していきたいと思っています。
NFCは世界でも標準規格であるため、日本でのスタンダードになることを目指しながら、海外展開も視野に入れています。私たちのプロダクトや発想力は、国内に限らず海外でも十分に通用すると信じています。
これまでに、企業向けや個人向けを含めて37万枚のIDを発行しています。新たなプロジェクトも進行中なので、今後もぜひご注目いただきたいです。
ゼロからじゃなくてもいい。起業に必要な視点とは
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業と聞くと、「0から1を生み出す」とか「これまで世の中になかった革新的なものをつくらなければならない」と考える方も多いかもしれませんが、起業家にもいろいろなタイプがいると思っています。
私の場合は、0から1を生み出すことより、誰かが形にした1を10に、10を100にしていく方が好きですし、得意だと感じています。必ずしも斬新なアイデアがなければ起業できないと思い込む必要はないと思います。
自分自身がどのタイプなのかを理解したうえで、起業するかどうかを判断することが大切だと思っています。
資金が続くかどうかは現実的な問題としてあるかもしれませんが、今はお金をかけずに始める方法もあります。投資家や資金調達の手段も昔より増えているので、難しく考えずに起業するのもいいと思います。
ただ、成功のハードルは決して低くないので、無理に起業する必要はないとも思っています。
起業はあくまで選択肢のひとつなので、自分自身の特性や強みを理解したうえで、その選択をするかどうかを決めるといいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:岩城功 氏
1983年三重県生まれ。山形大学工学部卒業後、株式会社ネクスト(現、株式会社LIFULL)で賃貸不動産会社向けにHOME’Sの営業、2010年よりグリー株式会社でゲームコンサルタントに従事。2012年に株式会社アイトレンタを設立し、代表取締役に就任。以降、複数社の代表・顧問を歴任し、2024年8月よりミート株式会社代表取締役社長兼CEOに就任。
企業情報
法人名 |
ミート株式会社 |
HP |
|
設立 |
2022年6月30日 |
事業内容 |
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