【#467】コーチングに変化を。悩みの言語化から実現まで、共に歩むキャリアセッション|代表 高橋悠人(株式会社エンセッション)

株式会社エンセッション 代表 高橋 悠人
株式会社エンセッションは、キャリアの悩みを一人で抱え込まない社会の実現を目指し、コーチング事業を軸に、キャリア支援を一貫して行う企業です。1on1セッションを通じて価値観の言語化を行い、副業や転職、独立など、多様な選択肢の実現に向けた行動を支援しています。キャリアの悩みに対して、気持ちの整理から具体的なステップまで伴走するスタイルが特長です。今回は、代表の高橋悠人氏に、これまでの歩みや今後の展望について詳しくお話を伺いました。
キャリアの悩みに寄り添い、伴走する。新しいコーチングのかたち
事業の内容をお聞かせください
当社は、コーチング事業と有料職業紹介事業を軸に、人事領域のコンサルティング、そしてクラフト事業の4つを展開しています。
メインとなるコーチング事業では、キャリアの悩みや目標に向き合う1on1セッションを提供しています。
クライアントの多くは、20代後半から40代前半の、働き方や生き方に違和感を抱く方が中心です。なかでも30代は、これまでの働き方に迷いが生じたり、かつて挑戦したかった仕事や夢を諦めきれず、一歩踏み出していいのかと葛藤を抱えやすい世代です。
明確な目標に向かって自走できる方にとっては、コーチングは不要かもしれません。けれど、走り出したいのに動けない、目標を立てられない、ありたい姿が言語化できない、そうした状態の方こそ、私たちの支援が求められていると思います。
セッションでは、自然と価値観を掘り下げ、その方の奥底にある理想や野望に触れながら、言語化していきます。言葉にすることで、次に何をすれば実現に近づくかの視点が芽生え、マインドセットにも変化が生まれます。
一つ一つ言語化し、優先順位を整理し、ロードマップをひいていきます。副業や転職、独立といった多様な選択肢に向け、気持ちの整理から具体的な行動までを一貫して伴走するのが、私たちのスタイルです。
従来のコーチングとの違いは何でしょうか?
日本とアメリカでは、コーチング市場に数十倍以上もの差があります。アメリカでは、IPOを目指す経営者に対し、外部のコーチが株式公開にふさわしい人物かどうかをアセスメントするほどコーチングが経営判断の一翼を担い、その文化が深く浸透しています。
一方で日本では、コーチングが自己啓発や他の手法と混同されることも多く、その扱われ方に違和感を覚えてきました。
一般的なコーチングでは、クライアントの中にある答えを引き出し、実現まで導くことが基本とされ、コーチは原則としてアドバイスをしません。上下関係や依存を生まないための配慮です。
しかし私は、その前提に疑問を持っています。たとえば転職を望む方にとって、コーチが適切な知見や経験を持っていれば、共有しない理由はありません。
だからこそ当社では、言語化された想いや価値観が現実の選択につながるよう、キャリアの実現までを一貫してサポートしています。
たとえば、方向性が見えてきた後のフェーズでは、転職・副業・独立といった多様な可能性に応じて、具体的なアクションプランの設計や実行面でのアドバイスまで積極的に行います。
転職を志向する方には、その人らしさに沿った企業との出会いを支援し、独立を目指す方には、中小企業診断士や起業支援の専門家と連携しながら、事業計画・マーケティング・ファイナンス面まで含めた実践的な支援を提供します。
悩みの言語化から具体的な行動までをワンストップで支援することが、当社の一番の特徴となります。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
スタートアップで営業、人事領域の経営職に就いていた当時、事業全体を預かる立場でしたので、キャリアの悩みを気軽に相談できる相手がいませんでした。
どうにもならない気持ちを抱えていたなかで出会ったのが、コーチングです。相談できる相手が世の中にいることを知り、価値観が一変しました。
そこから3人のマイコーチと出会い、思いや悩みを言語化するサポートを受けながら、今の働き方へと変わっていきました。
コーチングを受けて人生が変わる経験をしたことが、事業を始めた一番のきっかけです。
この体験を自分だけのものにせず、同じく悩んでいる方に届けたいとの思いが芽生えました。その想いで起業し、試行錯誤を重ねるなかで、キャリアの悩みに一気通貫でお手伝いできるコーチングは、きっと社会に求められているだろうとの確信を持ち、今に至ります。
コーチングに風穴を。自分軸から生まれるエネルギー
仕事におけるこだわりを教えてください。
自分の評価軸を他人に委ねないことです。人は年収や企業の規模といった外から見える指標で自分自身の価値を測ってしまいがちです。
ですが、本当に大切なのは、自分の評価軸は自分の中にしかないことです。一番大切にしたいものを持っているかどうかにフォーカスを当て、向き合っていける事業にしたいと考えています。
当社のキャリアセッションのホームページでは、じっくり向き合うことをタグラインとして掲げています。目標達成や年収アップをゴールとするのではなく、自分自身について知ることの大切さを伝えていきたいとの思いを込めています。
私自身、これまで多くの方とキャリアの話をしてきましたが、年収よりも自分にとって大切なことを見つけたいと語る方が圧倒的に多いです。
実際のセッションでも、大切な価値観に気付いた瞬間、空気ががらっと変わるのを感じます。驚くほど行動に移し始め、まるで逆回転していた車輪が一気に前へと動き出し、エネルギーが爆発的に生まれます。
だからこそ、年収や肩書など分かりやすい指標ではなく、自分らしく働くとは何かが見出せる場づくりを、これからも大切にしていきたいと思います。
起業から今までの最大の壁を教えてください
最大の壁は、コーチングに対する社会的な地位の低さです。
現在、コーチングを学べるコンテンツは数多くあり、挑戦したいと考える人も少なくありません。今の日本では、コーチとして活動していても安定してクライアントと出会うことが難しく、「本当にこの道で生計を立てられるのか」という不安を抱える方が多いのが実情です。
だからこそ、私たちはこの状況に風穴を開けたいと思っています。コーチングが憧れの職業となれば、しっかりと生計を立てていける仕事にもなるはずです。
高く立ちはだかる壁に対して、小さなドリルで穴を開けるように、ひとつひとつ打ち破っていく活動を続けていきたいと考えています。
そして、同じ想いを持つプレイヤーたちとともに、追いつけ追い越せの気持ちで、この業界全体を押し上げる一翼を担えたらと思います。
自分らしい選択を。キャリアに寄り添うナビゲーター
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
コーチングの可能性が、まだ世の中に正しく伝わっていないことの悔しさが、私の原動力です。
コーチングセッションは、人生を変えるほどの力を持つ素晴らしい時間です。それにも関わらず、ときに情報商材やスピリチュアルといった誤解がつきまとい、悩んだ末に頼るべき選択肢として選ばれるはずのコーチングが、選択肢にすら入りません。
この状況に対して、悔しさや怒りに似た感情を抱くことがあります。
この構造が変われば、救われるコーチが増えるだけでなく、キャリアに悩む多くの方が、自分らしい選択を取り戻せると信じています。もっと伝えられるはず、もっと変えられるはずとの思いが、モチベーションの源になっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
キャリアの旅路を一緒に歩むナビゲーターになることです。
キャリアのモヤモヤを解決し、その先の選択肢を実現していく一連の流れに、伴走するパートナーがいてもいい。その考えをもっと多くの方に理解していただけるよう、コミュニケーションを重ねていきたいと思っています。キャリアを旅にたとえるなら、その道のりは紆余曲折し、先が見えなくなることもあります。
そんな中で、すべてを一人で決めなければと抱え込んでしまう方も少なくありません。けれども、隣にコンパスを持ち、ともに進む道を考えてくれる存在がいてもいいはずです。そうした気付きを届けるために、コーチングの枠にとどまらず活動を広げていきたいと考えています。
たとえば、学生の就業支援を行う団体と連携し、働くことの意味を一緒に考える機会をつくったり、定年後のセカンドキャリアに悩む方に向けて、転職の伴走支援をキャリアセッションとして実現することも面白いかなと考えています。
自分自身と対話を。起業は手段のひとつ
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業も選択肢のひとつにすぎず、すべての人にとっての正解とは限りません。起業すること自体が目的となり、何をしたいかが曖昧なままでは、多くの場合うまくいきません。
自分の目的を叶える最も効果的な手段が起業であれば、迷わず挑戦すればいいですし、会社に属して昇進・昇格していく方が近道であれば、その道を選ぶほうが賢明です。
大切なのは、自分自身としっかり対話をすることです。そのうえで、起業こそが自分の道だと確信できたのなら、あとはリスクを恐れずに挑戦してほしいと思います。
たとえ失敗しても、その過程で得られる学びや人脈は、会社員時代とは比べものにならないはずです。その経験が、次の選択をより豊かにしてくれると思います。
私自身も、その思いでチャレンジを続けていて毎日が刺激的ですし、起業してよかったと心から感じています。起業しかないと感じた方には、ぜひこちら側で一緒に挑戦していきましょうと伝えたいです。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:高橋悠人 氏
三菱UFJ銀行、メットライフ生命を経て、DX領域でコンサルティングを提供するスタートアップ企業へ参画。
企業情報
法人名 |
株式会社エンセッション |
HP |
|
設立 |
2024年3月 |
事業内容 |
コンサルティング、コーチング事業など |
サービスサイト |
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