
株式会社Nexil 代表 鈴木 将吾
未経験人材の転職支援で急速な成長を遂げる「楽楽転職」。このサービスを運営する株式会社Nexilは「学歴やキャリアを持たない人に可能性を提供すること」を目指し、現在はゼロからエンジニアとしてのスキルを習得できるスクール事業も展開しています。
「職の提供」から「スキルの提供」へ。新たにエンジニアスクール事業をスタート
現在力を入れている事業をお聞かせください。
現在弊社が力を入れているのが、未経験人材をITエンジニアに育成するエンジニア育成事業です。エンジニアスクールを修了して現場で必要な基本スキルを習得したエンジニアは、人材不足に悩むクライアント先へ常駐勤務しています。
弊社には独自のeラーニングシステム「Nexter」があり、まったくの未経験からスタートして簡単なWebアプリを制作できるレベルまで学習することができます。そのため研修修了後はすぐにクライアント先でエンジニアとして活躍できます。
現在エンジニアを派遣している業種は金融系やWebサービス・Webアプリの開発会社などです。これらの企業からのエンジニア人材のニーズを受けて、弊社が育成した自社のエンジニアを派遣するというビジネスモデルになっています。
現在は中途採用を中心に、20代から30代までの若年層をターゲットとしています。やはりゼロから学ぶ必要があるため、若い年代のほうがスキルアップしやすいというのが理由です。
弊社では「何もない人たちに可能性を与えていくこと」を、1つの大きなテーマとして掲げています。
そのためにまずは職の提供として、転職支援サービス「楽楽転職」を立ち上げました。しかし中長期的なキャリア形成にはスキルの習得が欠かせません。
このエンジニアのスクール事業は、「楽楽転職」では成し得なかったスキルの提供の壁を乗り越えるためのものなのです。
転職支援サービス「楽楽転職」についてもお聞かせいただけますか
「楽楽転職」は、20代の未経験転職を支援する人材紹介サービスで、主に正社員で働いたことがない人、希望する業界・職種が未経験の人を対象としています。
未経験の人のための転職支援サービスを始めた背景には、私自身の実体験が大きく関わっています。
自身の経験から過去の経歴によって新たな挑戦の機会を制限されている人のために、新たな機会を提供するサービスをしたいと考えて「楽楽転職」を立ち上げました。
学歴や職歴がないために社会から認められない悔しさや苦しさが、私にはよく分かります。「楽楽転職」は、業界トップクラスのサポート体制と内定獲得実績のあるサービスです。
初めての転職で分からないことが多いという人、あるいはまだやりたいことが明確になっていない人も、キャリアアドバイザーが親身になってサポートさせていだきます。
未経験の転職で不安があるという方は、ぜひ弊社の「楽楽転職」に一度お問い合わせください!

困難を乗り越え、ついに初のスクール修了者が
2年前から現在に至るまでの間で感じた困難を教えてください。
この2年で特に感じたのが、組織拡大の難しさです。
まず現在の若手労働人口の減少の問題があり、そもそも採用自体が容易ではありません。そして苦労の末に人材を採用できても、それらの新しいメンバーに我々と同じ目線で、同じ方向を向いてもらうようにしながら組織を拡大していくのは非常に困難な道のりでした。
その問題を解決するため、今は四半期ごとに「経営合宿」というものを実施しています。これは一定以上の役職のメンバーと会社の外でまとまった時間を過ごし、会社としてのビジョンやマインドを共有することを目的とした取り組みです。
やはり意識を統一していくためには、単純に共に過ごす時間を長くするという方法が1つと、もう1つは会社の方向性を明確に言語化して伝えることだと思っています。
この2年間で特に印象に残っていることはありますか?
自社のエンジニアスクール事業にて、初めてスクールを修了してエンジニアとしてデビューした最初の生徒が出たことが感慨深かったです。
まったくの未経験者を採用して1人前のエンジニアとして育て上げたことには、本当にやりがいを感じました。我々としても教育事業というのは初めての試みでしたが、意欲を持って必死に学び、自学自走してくれたおかげで、その最初の成果につながったのだと思っています。
会社が4期目を迎えたとき、それまでの職の提供から一歩進んで、スキルを提供すると決めました。
新しい分野での挑戦で苦戦が続いていましたが、その最初の生徒の成功があり、ついに起業当初に決めたことを実現できたと思うと胸に迫るものがありました。
企業として成長を実感している点についてお聞かせください
私が一番感じるのは、各メンバーのビジネスパーソンとしての意識向上です。
これまでは自分が今やっている仕事に対しての質しか追求していなかった人でも、今は多くのメンバーが自分の一段上の役職の仕事の視座を持っていると思います。
弊社では早期キャリアアップの意欲を持っているメンバーが多いため、早い段階から上の役職の視点で仕事に取り組もうという意識が生まれやすいのでしょう。
弊社では日々のコミュニケーションにおいても、より質の高い仕事を求める方向に向くようになっていて、会社の風土としてそうした雰囲気を築くことができたと考えています。

AI推進チームを発足し中小企業の採用力をAIで向上
この2年でのビジョンや目標に対する進捗はいかがですか
目標に対する進捗は60%と認識しています。
まず好調だったのは既存事業の売上です。前年比で売上200%を達成し、業績としては大きな成長を遂げられたと思っています。
その一方で新規事業の立ち上げという大切な目標が未達のままで終わってしまいました。我々のようなベンチャー企業では、常に新しい事業の可能性を探り、新たなキャッシュポイントを作り続けていないと連続的な成長は見込めません。
それにも関わらず新しい事業の種をまくことができなかったというのは、大きなマイナス要因であり、次に全力で取り組むべき課題と言えるでしょう。
社内で何か新たな取組みはあるのでしょうか
直近では、社内にAI推進チームを発足したことが新たな取り組みとして挙げられます。
現在AI推進チームでは、各事業部でどのようなAIの機能やプロンプトが使えるのかをまとめ上げてワークフローを整理しているところです。
まずそれがプロジェクトの第1段階で、次の段階としてはAIをエージェント化することを考えています。人間がその都度指示を出さなくても、AI自らで考えて動いてくれるところまで使いこなせるようになることが目標です。
AIが自走してくれれば、すべての事業部において業務効率化が実現し、生産性を飛躍的に高められるでしょう。
このように、弊社としてはトレンドの技術をしっかりとキャッチアップし、自社の業務フローに落とし込むということにも積極的に取り組んでいます。
今後はどのようなことに挑戦される予定ですか
これから、AI技術を活用して人材業界に旋風を巻き起こしたいと考えています。
すでに大手の人材会社ではAI活用が進んでいますが、そうした会社のサービスのほとんどは大企業が対象です。弊社ではこうした現状を危惧して、中小企業の採用をAIによって最適化していきたいと思っています。
日本の経済を支えているのは、間違いなく中小企業の方です。それにも関わらず大企業と中小企業の間の情報格差は大きく、その溝は深まるばかりです。しっかりとその差分を埋めていくことが、社会的にも意義が大きい仕事だと思います。
市場としてのポテンシャルにも十分期待ができますから、事業としても取り組む価値があります。
そのため、弊社では現時点であまりAIを上手く活用できていない中小企業に対して、AIを取り入れた採用マーケティングやワークフローの整理をお手伝いし、事業成長に貢献したいと考えています。
「勝つと思えば勝つ、負けると思えば負ける」
起業を目指す人に向けてメッセージをお願いします
まだまだ未熟な自分が、何かを語る立場にはないかもしれません。だからこそ、あえて私自身の言葉ではなく、ある一言を紹介したいと思います。
「勝つと思えば勝つ、負けると思えば負ける」これは豊臣秀吉の言葉です。
これから起業という挑戦に向かう方々も、ぜひこの言葉を胸に刻んで、自分の可能性を信じてほしいと思います。結果はすぐに出ないかもしれません。
しかし、勝つと信じて前に進めるかどうかが、未来を分ける大きな要素になるはずです。

本日は貴重なお話をありがとうございました
起業家データ:鈴木 将吾 氏
企業情報
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法人名 |
株式会社Nexil |
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HP |
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設立 |
2021年4月 |
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事業内容 |
HR事業・IT/DX事業・Webマーケティング事業 |
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