株式会社MOSVA 代表取締役 山田直人

株式会社MOSVAは、日本の和の要素と手厚いコンシェルジュサービスを掛け合わせた民泊事業を提供しています。都心のワンルームから郊外の一軒家、さらには海外進出も見据える代表取締役の山田直人氏に、事業内容や今後の展望について伺いました。

 

「和×コンシェルジュ」の民泊運営

事業の内容をお聞かせください

当社は、民泊の運営とそれに付随する業務を行っています。

 

民泊事業には、自社で施設を運営する事業と、他の方が所有する物件を代わりに運営する運営代行があります。このほか、民泊物件の清掃やトラブル発生時のスタッフの派遣など、民泊に関わる周辺業務も一括して手がけています。

 

自社運営のものは15施設あり、各物件は「和×コンシェルジュ」をコンセプトにしています。

 

部屋には和の要素を取り入れつつ、暮らしやすさを重視した和モダンな空間を意識しました。ブランド名の「Zen Abode」は、禅と住まいを意味するAbodeを組み合わせ、暮らせる和の空間を表現しています。

 

当社は他にも、予約が確定した時点からチャットで相談に対応するコンシェルジュサービスを無料で提供しています。様々なお客様のご要望にも対応し、海外からのお客様の不安を少しでも解消できるよう努めています。

 

このサービスは、私自身が留学やワーキングホリデーなどで海外の民泊を利用した際に感じた体験をもとに立ち上げたもので、MOSVAのアピールポイントの一つです。

 

代行をご依頼いただく方は、民泊運営が初めてでノウハウがないとお困りの方や、自分で運営を始めてみたものの集客がうまくいかず困っている方がほとんどです。そのため、これまでの民泊運営の知見を生かし、他のオーナー様の物件運営をお手伝いしています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

父が起業家でとても楽しそうに働いているのが印象的で、幼少期から起業に興味がありました。そして社会人になり、本格的に起業することを決意しました。

 

ただ、何も知らない状態で始めても上手くはいきません。まずは営業力と人脈をつくろうと考え、様々な会社で営業を経験しました。いよいよ起業できると思ったタイミングで、先に起業していた友人から声をかけられ、その会社の立ち上げを手伝いました。

 

事業を手伝う中で、本当に自分がやっていて楽しいこと、自分にしかできないことは何かと真剣に考えるようになりました。その過程で、日本に来る外国人に、日本の良さを知ってもらいたいという自分の想いに気づきました。

 

それからは東京タワーや浅草を回り、外国人観光客にインタビューを実施しました。どうやって日本に来たかなどの質問をしていく中で、ほとんどの外国人観光客が2つのプラットフォームのどちらかを利用していることが分かりました。

 

この2つのプラットフォームでのマーケティングを攻略すれば事業は必ず上手くいくと確信し、民泊事業を始めました。

 

 

なんでも自分でやってみる

仕事におけるこだわりを教えてください。

私が大切にしているのは、まずやってみるという姿勢です。

 

民泊事業も、最初は何も分からないところからスタートしました。自ら部屋を借りてインテリアをそろえ、清掃も自分たちで行いました。通常であれば行政書士に依頼する民泊の申請も、自分で手続きに挑戦しました。

 

1件あたり20万円ほどかかる申請費用を節約できただけでなく、この経験があったからこそ業務の幅が広がり、デザインや清掃といった派生事業につながっていきました。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

最大の壁に直面したのは、新宿区で物件を借りたときです。大田区にある一つ目の民泊運営が順調に進んでいたので、新たな施設を新宿に作ろうと物件を2件借りました。

 

この時想定外だったのが、区によって民泊の申請ルールがまったく違ったことです。申請が通るまで家賃が発生し続けるのに、許可が下りるまでに3カ月もかかってしまい、会社の資金が尽きかけました。

 

また、運営自体の課題の一つに、清掃スタッフの手配があります。民泊は個人のお客様を相手とするビジネスなので、当然、お客様によって価値観が異なります。

 

民泊の集客は立地と写真である程度決まりますが、清掃がしっかりできていないと悪いレビューが入ってしまい、次のお客様が入りにくくなります。ここは細かい運営力が問われるところで、難しい部分です。

 

 

失敗を改善につなげるカルチャー

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

何よりも楽しいからということに尽きます。

 

当社の創業メンバー3人は全員が幼馴染で、幼稚園も一緒でかつては同じマンションに住んでいたほどの仲です。そんな昔からの仲間と共に、課題を一つずつ解決しながら事業を成長させていくという過程そのものが、とても楽しいと感じています。

 

もちろん経営を続ける上では数字や成果も大切ですが、それ以上に面白いことをやり続けたいという思いが強いです。結局のところ、それが私の一番のモチベーションになっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

現在は都内のワンルームが多いですが、今後は都心以外の空き物件をリノベーションするなど新しい展開を進めたいと考えています。賃貸は初期コストが少なく、撤退しやすいメリットがある反面、内装の自由度が低く、表現の幅が狭まってしまいます。

 

そこで、今は東京から1時間半圏内で、私たちの理想を形にできる場所を探しています。中長期的には、これまで培ってきたノウハウを生かして、事業を拡大していきたいと考えています。

 

野望は「Zen Abode」のブランドを海外展開すること。海外で日本の文化に触れてもらい、日本に行ってみたいと思う人を増やしたいです。そして実際に日本に来てもらうことで日本のファンを生み出すといった循環をつくりたいと思っています。

 

当社は現在、人材募集中です。私たちは「ヒューマンエラーは存在しない」という価値観のもとで、失敗を個人のミスとして終わらせるのではなく、仕組みを改善して再発を防ぐカルチャーを大切にしています。

 

失敗を隠さずに報告し、データとして蓄積し、改善につなげていける、実直な人材を求めています。

 

また、カスタマーサクセスの担当者も募集しています。お客様からのチャット対応、清掃後の写真チェック、清掃スタッフへの指示出しなど、実際の運営の根幹を担うポジションです。

 

当社に興味を持ってくれた方には、ぜひ一度気軽に話を聞きに来てほしいと思っています。

 

泥臭く行動する

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

まずは何でもやってみることが大切だと思います。頭で考えてこれは難しいと止まってしまう人も多いですが、一度動き出せば情報が集まり、やがて突破口が見えてくるはずです。

 

また、泥臭く行動することも欠かせません。私自身、前職で飛び込み営業を経験したからこそ、今の事業でも、例えば清掃スタッフを確保する際にWEB広告を出すのではなく、直接声をかけて採用するといった地道な行動が自然にできています。

 

起業は華やかに見えるかもしれませんが、実際には一つひとつの地道な積み重ねの上に成り立っています。だからこそ、考える前にまず一歩を踏み出すことが大切です。

 

そして行動の中から次の道を見つけることが、成功への近道だと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:山田直人

愛知大学現代中国学部を卒業後、2021年4月に新卒でリゾートトラスト株式会社に入社。2023年1月には株式会社Miuitの取締役に就任し、2024年4月に株式会社MOSVAを創業。

 

企業情報

法人名

株式会社MOSVA

HP

https://mosva.jp/

設立

2023年12月13日

事業内容

  • 民泊運営 
  • 民泊運営代行
  • 民泊清掃
  • 住宅宿泊管理業
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