株式会社クレアフューチャー 代表取締役 出口 大詞

東京都全域を対象として「重度訪問介護」のサービスを提供する株式会社クレアフューチャー(https://www.crea-future.co.jp/)。かつては外資系企業で働くなど、元々は福祉業界に関心があったわけではないという代表取締役の出口大詞氏に、今回なぜ重度訪問介護の事業で挑戦するのかという理由や、進み続けるモチベーションについてお聞きしました。

ALSなど難病や障害をお持ちの方を対象とした訪問介護

事業の内容をお聞かせください

我々の事業は訪問介護に分類されますが、その中でも少し特殊な「重度訪問介護」のサービスを提供しています。

 

一般的に訪問介護と聞くと高齢者の方のご自宅に行って介護をするという認識だと思いますが、我々のサービスを利用していただいているのは難病や障害をお持ちの方々です。そのため、ご利用者の中には20代の方もいらっしゃいます。

 

具体的にどのような状況の方が重度訪問介護のサービスを利用されるかというと、我々の仕事で特に多いのがALS(筋萎縮性側索硬化症)のご利用者です。これは日本では1万人に1人と言われる難病で、少しずつ筋肉を動かす運動神経が働かなくなる進行性の病気です。

 

症状には個人差がありますが、多くの場合、徐々に手足が動かなくなるところから始まります。呼吸も十分にできなくなり、最終的には瞼を少し動かせるだけという状態になります。

 

ただ身体は動かせなくても意識ははっきりしていることが多く、気管を切開して人工呼吸を使用し、その状態で寿命まで40年、50年生きる方もいらっしゃるのです。

 

そうなると当然、介護をする人が必要となり、我々のような重度訪問介護の事業者がお手伝いさせていただくことになります。

 

重度訪問介護の仕事の特徴は、1回あたりの訪問時間が際立って長い点です。通常の高齢者の訪問介護であれば1回の訪問は30分から1時間程度であることが多いのですが、重度訪問介護は長時間で対応します。

 

利用される方から求められるケアがそれぞれ異なるため、経験者であっても新しい利用者のところを訪問することになれば、また一から学び直さなくてはならないというのも難しい点です。

 

困難な事業ではありますが、重度訪問介護のサービスを必要とする難病や障害のある方がいる限り、我々の仕事は社会に欠かすことができないものだと思っています。

 

社名の「クレアフューチャー」というのは「未来を創る」というところから来ていて、ここには「従業員と利用者の方々、そして社会全体の未来を明るくしていきたい」という想いが込められています。

 

重度訪問介護の知識や弊社の取り組みについては、YouTubeの公式チャンネルやInstagramでも発信しています。よろしければ一度ご覧ください。

【Instagram】

https://www.instagram.com/creafuture_care

【YouTube】

https://www.youtube.com/channel/UC7z56Sq4QkXXg5t8UJYNYTw

 

 

同じことを何回聞かれても答える、合理的な指導方法

仕事におけるこだわりを教えてください。

私自身は特にこだわりはありません。何かにこだわっていると、結果的に自分を縛ってしまう場面も多いので、自由な発想でその時々の状況で最適な方法を選ぶようにしています。

 

何の縛りもしがらみも無いからこそ、駄目だと思えばすぐ修正しますし、撤退することも厭いません。やってみて駄目なら駄目でもいいという思いで、気軽に挑戦するのが我々のスピリットと言えるでしょう。

 

ただ、従業員に対して創業当初から一貫して伝えていることが1つあります。普通の職場では一度教わったことを何度も聞くことははばかられると思いますが、私は「同じことを何回でも聞いていい」と伝えているのです。

 

これは、そのほうが結果的には効率が良いからという考えに基づいています。「同じことを質問すると叱られるだろう」と従業員が悩んでいる時間も、「前に教えたはずだ」と怒っている時間も、無駄でしかありません。

 

疑問を解消して前に進むという目的において、何度でも聞いて直ぐに回答を得られる体制を整えたほうが合理的です。あえて言うと、このように「合理的であること」には私自身こだわっていると言えるかもしれません。

起業から今までの最大の壁を教えてください

創業当初からずっと変わらず最大の壁は、採用の問題でした。そして、その状況は今も同じです。

 

人材の獲得はどの業界、どの会社も苦労していると思いますが、介護、その中でも訪問介護は一般的になかなかイメージしづらい仕事でもあり、人を集めるのには常に大変な思いをしています。

 

特に我々が手掛ける重度訪問介護のサービスは、経験者であっても難しい仕事だと思います。何とか採用ができたとしても、次は人の管理の問題が出てきます。

 

この事業を継続していくうえで、人材面はこれからも永遠の課題として戦い続けていかなくてはならない問題といえるでしょう。

 

 

自分たちが介護を担うことで、社会の活力を維持する

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

我々の仕事は、社会の活力を下支えするものだと考えています。

 

我々が介護を引き受けることで、ご家族は仕事や趣味や消費活動を継続でき、そうして社会が回っていきます。だからこそ我々は仕事に誇りを持って取り組むことができます。

 

特に訪問介護の仕事は、ご家族介護のために離職せざるを得ないような状況を防ぐ役割があります。要介護のご家族に付きっきりになっている人に「我々が介護を担いますから、その間どうぞお仕事をしてください」と言うことができるのです。

 

介護の仕事はそうやって社会を陰ながら支えているという意識が、我々の大きなモチベーションとなっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

我々の現在の主力事業となるのは訪問介護ですが、これからは施設介護の事業も展開していきたいと考えています。現在、荒川西尾に新しくデイサービスの立ち上げ準備中です。オープンは2025年10月を予定しています。

 

そちらのデイサービスは「第1店舗目」という位置付けなので、今後も2店舗、3店舗と続けて立ち上げていく計画です。1店舗目の準備段階からそうした先のことを見据えて、再現性のあるやり方を意識しています。

 

今回のデイサービス事業が成功すれば、すぐに別のエリアで次の店舗立ち上げの準備を進めていく予定です。

 

起業において完璧な準備は不可能、とにかく足掻くこと

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

迷っている人には「もう思い切って踏み出したほうがいい」と伝えたいです。

 

十分な準備をせずに起業に踏み切るのが怖いという気持ちがあるかもしれませんが、どれだけ周到に用意をしていても、事業立ち上げの後には必ず想定していなかったトラブルが降りかかります。完璧な準備などそもそも不可能なので、とにかく足掻くしかありません。

 

一説では、立ち上げ後10年存続する会社の確立は6%と言われています。このような数字を見ると不安になるでしょうが、その中にはいい加減な会社や書類だけの会社も含まれています。

 

私が見る限りでは、熱意と志を持って事業に取り組んでいる起業家は皆健闘しています。ですから、あまり恐れずにチャレンジしてみればいいと思うのです。

 

何より、起業するなら若いうちがおすすめです。事業の立ち上げ時には体力や気概が求められるので、その点で若い方が有利でしょう。

 

会社勤めでしっかり経験を積んでからがいいという考えもありますが、会社でどれだけ長く勤めていても、独立後には会社勤務時代とは異なる困難が立ちはだかります。それなら、少しでも早く起業に臨んだほうがいいというのが私の考えです。

 

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:出口 大詞

株式会社クレアフューチャー 代表取締役

 

企業情報

法人名

株式会社クレアフューチャー

HP

https://www.crea-future.co.jp/

事業内容

訪問介護事業

 

送る 送る

関連記事