90株式会社 代表取締役CEO 高田勝太

多くの日本人が挫折してしまう英語学習。「90 English」では、日本語で論理的に教える日本人講師が、手厚いレッスンで生徒一人ひとりに徹底的に伴走します。自身が経験した既存の英語教育への「怒り」を原動力に、日本の英語教育の課題を根本から変えることを目指す代表取締役CEO高田勝太氏に、事業内容や今後の展望について伺いました。

 

レッスン頻度3倍、価格は半額

事業の内容をお聞かせください

当社のサービス「90 English」は、日本語で論理的に教える英語コーチングスクールです。多くの日本人が英語学習を途中で挫折してしまう現状を変えるため、専属コーチが長期にわたり伴走し、継続して学習できる環境を提供しています。

 

90 Englishの強みは、言語学に基づく指導、後天的バイリンガルの採用、圧倒的なレッスン頻度、この3つです。

 

現在、在籍している日本人コーチは全員、後天的に英語を身につけています。発音、実践力、指導力を厳しく評価して採用しており、常に質の高いレッスンを提供しています。

 

レッスンは週3回、各30分で、短時間でもしっかり集中して取り組めるよう設計しました。ほかの英語スクールよりレッスン頻度を増やすことで疑問や課題をその場で解消できると考えています。

 

カリキュラムは完全オーダーメイドで、学習進度や苦手分野に合わせて組み立てます。平日の課題はシャドーイングとライティングです。シャドーイングは同じ音源を1週間練習し、コーチが平日に毎日、LINEでフィードバックします。

 

『書けないものは話せない』の理論を基にライティングも重視。レベルに応じて基礎文法、日記、トピック英作文を行います。

 

昨今、「3ヶ月でペラペラになる」などの広告をよく見かけます。ですが、留学経験のある方なら、それがいかに非現実的なことか、すぐに分かるはずです。私たちのサービスは、そうした広告に惑わされず、口コミと実績を重視する方々に選ばれています。

 

「レッスン頻度3倍、価格は半額」がキャッチコピー。金額が理由で英語学習をあきらめる人を減らすべく、他社が月20万円で提供する内容を、半額程度で受けられるようにしています。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は幼少期を海外で過ごし、4歳で日本に帰国しました。しかし、現地でも日本人幼稚園に通っていたため、海外にいたにもかかわらず英語はまったく話せず、家族の中で自分だけが話せないことにコンプレックスを感じていました。

 

大学1年生の時から自分のコンプレックスを跳ね返したい一心で、英語に本気で取り組みました。しかし、3年間で200万円を使ってもまったく英語が話せません。当時の英語業界には本質的な学習法がほとんどないことを痛感しました。

 

代々経営者の家系のため、いずれは自分も起業するだろうと思いつつも、大学卒業後は国内の大手メーカーに入社しました。しかし、社内には挑戦する意欲を受け入れない雰囲気が漂っていていました。

 

会社を退社した後、私の最初の一歩は「路上での靴磨き」でした。一見すると原始的に思えるかもしれませんが、自分にとっては新しい挑戦の象徴だったのです。

 

その靴磨きをきっかけに出会ったのが、共同創業者の加々本でした。私が友人向けに行っていたコーチング型の英語学習に価値を見出し、これは事業になると提案してくれたのです。当時は生徒だった加々本が、まさか共同創業者になるとは思いもしませんでした。

 

この出会いが、現在の事業を形にしていく大きな転機となりました。

 

生徒に寄り添い、痛みを理解する

仕事におけるこだわりを教えてください。

私が英語コーチングで最も大切にしているのは、生徒一人ひとりのつまずきを徹底的に理解し、その痛みを自分ごとのように感じることです。

 

私自身、後天的に英語を習得してきた経験があるため、日本人がどこで壁にぶつかりやすいのかを事前に予測し、具体的に指導していることがこだわりであり、大きな強みだと考えています。

 

例えば、瞬発力が不足して会話が続かない、リーディングの定着が不十分で内容が頭に残らない、知識はあるのに整理ができず応用が利かないなどの悩みは人によって実にさまざまです。

 

私たちはその原因を丁寧に見極めたうえで、生徒ごとに最適な学習方法を組み立てます。必要であれば「このトレーニングを追加してください」といった具体的な改善策まで提案し、実践に落とし込みます。

 

単にカリキュラムを提供するのではなく、生徒の課題を共に解決していく姿勢にこそ私たちのこだわりがあります。

 

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

常に壁があるので、正直迷うことはあります。しかし、振り返ってみると、起業当初に取り組んだ友人をモニターにした徹底的なサービス改善こそが、大きな挑戦だったと思います。

 

限られたリソースの中で、とにかくリアルな声を聞き、アイデアを拾い上げ、試行錯誤を繰り返しました。その地道な積み重ねが、事業の基盤をつくるうえで欠かせないものでした。

 

この姿勢は今でも変わっていません。現在は多くの生徒さんに利用していただいていますが、そこから寄せられるご意見やご要望は何よりの財産です。いただいた声をできる限り迅速にサービスへ反映させ、教材やシステムをアップデートし続けています。

 

英語教育への怒りが原点

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私の原動力は怒りと危機感です。無料カウンセリングに来る方々の話を聞くと、過去の私と同じように、既存の英語教育に頼った結果、何も変わらなかった人たちが後を絶ちません。週1回のグループレッスンで1時間に実質5分ほどしか話せない環境では、英語を話せるようになることはほとんど不可能なのです。

 

沈みかけている日本の現状を前に、英語という生き残るための手段を持たずに「時間、お金がない」と言い訳している場合ではないと思っています。そうした危機感こそが、私を突き動かす使命感につながっています。

 

そもそも、私はモチベーションをあまり信じていません。これはもろくて、弱い言葉だと思っています。自分の意志に頼らず、やらざるを得ない環境を意図的に作ることが大事だと考えています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

私の長期的な目標は、“大人向けの英語スクールをなくす”ことです。中高生のうちに言語学に基づく正しい教育を受ければ、大人になってから英語で苦労する必要はありません。

 

大学生になるまでにバイリンガルになれば、海外の大学も選択肢に入り、日本の若者の可能性は大きく広がります。正しい教育が適切な時期に提供される環境を整えることで、日本の英語教育全体を変えたいのです。

 

当社は現在、英語コーチを募集しています。明るく素直で、人の幸せを本気で考えられる人材を求めています。スキル面については、入社後の3カ月間の研修、OJT制度で補えますので、しっかりと育てていきます。

 

人のために尽くした結果として報酬を得たいと考える「お節介ができる」方と、ぜひ一緒に働きたいと思います。

 

 

命をかける領域を見つける

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

「儲かるかどうか」よりも、まずは自分が本気で命をかけられる領域を見つけてほしいと思います。その領域の中には、きっと自分の「怒りの根源」や「原体験」が眠っているはずです。

 

人は誰しも、何かに強い違和感や悔しさを抱いた経験がある。その感情の延長線上にこそ、心から情熱を注げるテーマがあるのではないでしょうか。

 

起業は決して平坦な道ではありません。必ず困難に直面する瞬間が訪れます。そのとき、単なる儲けたいという気持ちだけでは続けられません。逆境を前にしてもどうしてもやり遂げたいと思えるかどうかが、事業を続けるか否かを分ける大きな要素になります。

 

だからこそ、自分の原体験や価値観と深く結びついた領域を選ぶことが、何よりも大事なのです。

 

私は一度会社に勤めて修行してから起業するという考え方に必ずしも賛成ではありません。それよりも、自分が命をかけてもいいと思えるほどのテーマを見つけ、その熱量を武器に飛び込むことが大切です。

 

誰にも負けないエネルギーを持って挑戦することで、ようやく壁を乗り越えられます。そうして初めて、自分だけの事業をつくり上げていけるのだと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:高田 勝太

2018年法政大学を準首席で卒業。在学時に国費留学生としてケネディ大使への謁見を経験、アメリカの州立大学にて派遣され、起業論とマーケティングを専攻。大学卒業後、ミズノ株式会社に新卒入社。営業職を経て独立。2019年2月 路上での靴磨き修行をしている際に出会った2名の執行役員と共に、英語コーチングスクール「90 English」を立ち上げる。2021年に同サービスを法人化し、90株式会社の代表取締役CEOに就任。新R25、Business Insiderなど大手メディアへの出演多数。

 

企業情報

法人名

90株式会社

HP

https://90english.com/company

設立

2021年3月31日

事業内容

オンライン英語スクール

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