【#520】出会いが事業を加速させる!コミュニティを起点としたマーケティング戦略|代表 井上 裕介(KOBUSHI MARKETING合同会社)

KOBUSHI MARKETING合同会社 代表 井上 裕介
「KOBUSHI BEER」という独自のクラフトビールバーを拠点に、斬新なコミュニティマーケティングを展開しています。音楽業界出身という異色の経歴を持ちながらも、マーケティングの知識・経験を駆使する代表の井上裕介氏に、事業を始めた経緯や今後の展望を伺いました。
コミュニティから生まれるビジネスの可能性
事業の内容をお聞かせください
私たちは、単なるマーケティング会社という枠にとどまらず、クラフトビールバー「KOBUSHI BEER LOUNGE & BAR」を拠点に独自の事業モデルを展開しており、このバーを活動の中心に据えて毎日交流会やイベントを行うことで、参加者の皆さまと信頼関係を築きながらリードを獲得しています。
通常は広告費を投じてリードを集めるのが一般的ですが、当社の場合は参加者の方から料金をいただきながら年間4,000件のリードを創出しており、その半数が経営者であるという点が大きな特徴です。
また、経営者向けには発注力のあるビジネスパーソン同士をつなぐ「コミュニティスポンサー」を提供しており、現在は約70社にご参画いただいております。スポンサー同士、あるいはスポンサー以外の参加者へのご紹介を通じて、実際に半年で数千万円規模の受注につながった事例も生まれており、こうした参加者同士が互いに刺激し合い成長していく環境をつくり出せていることこそ、当社ならではの強みだと考えております。
「KOBUSHI BEER」が大切にしているのは、単にお酒を楽しむ場ではなく、人と人が出会い、つながり、学び合える体験の場であるというコンセプトです。コンビニのイートインなど気軽に飲食できる場が増えて飲食業界全体が厳しい競争環境にある中で、私たちはあえて「出会いと体験」に価値を見出し、このバーを新しい人脈や学びのきっかけの場として位置づけ、参加者の人生やビジネスに前向きな影響を与えていきたいと考えています。
さらに当社は、交流会やイベントを通じたコミュニティマーケティングを軸に、BtoB/BtoCマーケティング支援や営業活動の最適化、リード獲得、さらにはインサイドセールス内製化まで、多岐にわたるマーケティング支援を展開しており、プロフェッショナルマーケティングのノウハウやデジタルマーケティングのスペシャリティを活かし、企業の成長や事業拡大を力強くサポートしています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
今回の起業は二度目でして、最初は学生時代に音楽関連の会社を立ち上げて10年ほど経営し、その後はいったんサラリーマンとして約4年半勤務し、独立してからはコンサルタントとして活動していました。コンサルタントの仕事は収入面では安定していたのですが、一人で黙々と業務をこなす毎日に次第に物足りなさを感じるようになり、やはり自分で事業を立ち上げたいという思いが強くなっていったんです。
そこで起業を考えた当初は、前職での経験から「音楽の次はビールだ」というシンプルな発想でビール事業を始めようとしました。しかし、実際に取り組んでみると酒税をはじめとする規制の高さに直面し、このまま進めていくのは難しいと早い段階で判断しました。
そこで方向性を切り替えて、コンテンツを中心に据えたビジネスを構築する方針を取り、現在のコミュニティ事業へとつながっていきました。当初はエンターテインメント色の強いコミュニティとしてスタートしたのですが、活動を続けていく中で、より大きなニーズはビジネス領域にあるということを実感し、ターゲットをマーケターや経営者、起業家といった方々に広げることで、今の形へと発展させることができました。
その上でクラフトビールがコミュニティを持っているという点は大きな差別化要素になります。実体があるので想起のハードルが非常に下がるというのが有効なのです。
質の高いコミュニティを維持するために
仕事におけるこだわりを教えてください。
僕の仕事における一番のこだわりは、約束を守ることです。コミュニティを運営していると、約束を守れない人がいるだけで場の質が一気に下がってしまうのを実感してきました。多くのコミュニティはどうしても規模を広げることに注力しがちですが、僕はむしろ質を保つためには間引くことが大事だと考えています。
そして僕が理想だと思うコミュニティの形は、人が共通の信念や価値観を拠り所に集まっている状態です。そうした場では、リーダーの姿勢や考え方が自然と指針になり、参加者同士のつながりがどんどん強くなっていく。僕が運営しているこのコミュニティでも、自分自身の価値観や信念を軸にして、一貫した方向性を示してきました。
すべての人に受け入れられる必要はないと思っています。むしろ同じ想いに共感してくれる人が自然と集まってくれることで、この場にしかない独自の価値が生まれると考えています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
最も大きな壁は、新型コロナウイルスの感染拡大でした。
当時は交流会やコミュニティの活動がすべて中止になり、事業が立ち行かなくなるのではないかと危機感を覚えましたが、そんな状況下でも、私たちは活動を続け、コミュニティを運営し続けることで、新しいサービスに敏感な人たちからいち早く支持を得ることができ、後発者でありながらリセットからの先行者としての優位性を活かして事業を大きく成長させることができたと感じています。
人と繋がる喜びが、事業を動かす
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
モチベーションの源は、人生は一度きりだから、やると決めたことは最後までやるという考えです。特にコミュニティの運営に携わっていると、その思いは一層強くなります。
なぜなら、活動の成果がただの数字や成果物としてではなく、人の表情や言葉といったリアルな反応としてダイレクトに返ってくるからです。参加者の方から感謝の言葉をいただくたびに、心からやってよかったと実感し、新たな意欲が自然と湧き上がり、次の挑戦への強力なモチベーションへとつながっていきます。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
今後の展望として、もう一店舗を出店したいと考えています。次に構想しているのは、スナックやカラオケバーのように、少し大人がゆったりと楽しめる空間です。現在の店舗はカジュアルさやエンタメ性を重視しており、誰もが気軽に集まり、自然と交流が生まれる場として機能しています。
一方で、落ち着いた雰囲気の中でじっくり語り合える大人向けの場所を設けることで、これまでとは異なるニーズにも応えられると考えています。カジュアルで活気ある空間と、大人が安心して過ごせる空間の2つを住み分けることで、より幅広いビジネスパーソンにアプローチでき、それぞれが自分に合ったスタイルで交流を楽しめるようになるはずです。
そうした多様な選択肢を提供することこそ、次のステージに進む上での大きな挑戦だと捉えています。
事業を伸ばすための思考法
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
近年のスタートアップでは、事業の収益構造を正確に理解することがますます重要になっています。以前のように資金調達に頼り、バリエーションを膨らませてIPOを目指す手法は、現在の日本では必ずしも有効ではありません。グロース市場で100億円規模の時価総額のルールは一気にIPOのハードルを上げたと思っています。
これからの時代は、資金に依存するのではなく、自分自身の力でいかに収益を生み出すかが鍵となります。多くのチャレンジを重ね、試行錯誤を繰り返し、泥臭く行動することこそが、事業の成功につながるのです。
どんなに小さな一歩でも、積み重ねることで確実に成長につながります。挑戦を恐れず、自分の手で未来を切り開いていく皆さんを心から応援しています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:井上 裕介 氏
渋谷マーケター&起業家コミュニティを中心に10,000名以上のハイクラスビジネスパーソンが集まるビジネスコミュニティを運営しています。 渋谷道玄坂の自社コワーキングスペース&クラフトビールバーで毎日イベントを開催。 参加者とのネットワークを活かし営業と採用の支援を提供しています。
企業情報
法人名 |
KOBUSHI MARKETING合同会社 |
HP |
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設立 |
2020年7月 |
事業内容 |
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