UpToU株式会社 代表取締役 荒木茉衣

「美容を通して幸福度を上げる」をビジョンに掲げるUpToU株式会社。アジア初の「美容医療」専用記録管理アプリ『W/Beauty』を運営し、ユーザーが施術履歴や費用を一元管理できる環境を提供しています。代表取締役の荒木茉衣氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。

 

アジア初の「美容医療に特化した施術管理」プラットフォームで、より充実した美容医療体験をサポート

事業の内容をお聞かせください

美容医療をメインに自分の施術記録を簡単に管理できるプラットフォーム「W/Beauty」を提供しています。

 

使い方は、ユーザーがクリニックや美容サロンに行った後、施術内容や料金をアプリに登録します。どんな治療を行ったか、料金、オプション内容などを入力できます。また、ビフォーアフターの画像や契約書、見積書なども保存できます。加えて、クリニックや執刀医の情報も追加可能です。

 

今までも美容関連のアプリはありましたが、アジア圏に美容医療に特化したものはありませんでした。私たちは美容医療の全施術をリスト化し、全国のクリニックと医師も包括的にデータベース化していています。ドクターからも「ありそうでなかったサービスだね」と好評頂いています。

 

また、記録した内容は自動的にグラフ化されるため、家計簿アプリのように美容にかけた費用や施術内容が可視化される点もユーザーに評価されています。

 

これまでユーザーは、スマホのメモ帳やSNSの非公開アカウントで美容医療のデータを管理することが多かったものを、一元管理できるようにしたのが私たちのサービスです。

 

現在、記録した内容はユーザー本人のみが閲覧できる仕様になっています。口コミのような“他人の体験”を参考にするのではなく、“自分自身の記録”を意思決定の軸にできることが特徴です。

 

また、蓄積されるログデータは、ユーザーにとっての「選択基準」になるだけでなく、業界が“感覚”や“広告”に頼っていた領域に、データによる信頼構造を持ち込むインフラ基盤としての役割を果たします。現在はこの基盤を整備し、美容医療の「透明性」と「誠実さ」がサイクルする仕組みづくりを進めています。

 

※美容医療分野におけるクリニック・医師リストの搭載と、施術履歴の一元管理が可能なアプリ(2025年10月UpToU社調べ)

 

アプリからのオンライン相談機能も展開していますが、現在は「ログデータの価値最大化」に注力しています。蓄積される記録をもとに、ユーザー自身の選択基準(自分軸)を可視化し、その集合知をユーザーや業界に還元する仕組みを整えています。

 

口コミで一般的な意見はわかりますが、自分に合った選択基準がわからない方が多いのです。この部分を支援できれば、もっとユーザーに喜んでもらえるのではとヒアリングを通じて感じています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

美容医療に関心を持ったきっかけは、中学生の頃の体験でした。同級生から外見を指摘され落ち込んでいた私を、母が美容クリニックへ連れて行ってくれました。

 

そこで出会った医師から、今気にしている部分は、大人になれば魅力になるから治療は必要ないと言っていただき、外見だけでなく内面も救われたと感じました。

 

この体験以降、美容医療には、ただ見た目を変えるだけではなく、人生そのものに影響を与える力があると思っています。

 

憧れを抱き、私は美容クリニックで働き始めました。マーケティング業務に携わる中で、ユーザー体験や情報の非対称性など、業界が抱える課題も見えてきました。そこで、多くの方に適切にサービスを届けたいと考え、起業を決意しました。

 

アプリ開発の出発点は、私自身が美容医療を頻繁に利用する中で、施術や経過の情報を自分では覚えきれないと感じたことにあります。美容医療ユーザーの友人との会話をきっかけに、記録と比較がしやすく、納得感ある選択を支えるサービスの構想が生まれました。

 

 

自分が欲しいと思うサービスを作り続ける

仕事におけるこだわりを教えてください。

自分が一番のユーザーとなるサービスを作り続けることです。自分が本当に良いと思えるものにしか取り組みません。現在のサービスも、私自身が「欲しい」と感じたからこそ開発しました。

 

実際、現行アプリで最も多くのデータを入力しているのは私自身です。自分が欲しいもの、良いと思うものをつくるという姿勢は、今後も変わらないと考えています。

 

私たちの軸は、“信頼できる美容医療体験をつくる”ことです。美容医療の情報はこれまで、レビューや広告など「他人や企業の主観」によって左右されやすい構造にありました。

 

W/Beautyでは、ユーザー自身のログ(記録)をもとに意思決定できる仕組みを設計し、情報の恣意性に依存しない“誠実な判断インフラ”を目指しています。

 

一人ひとりの非公開記録が積み重なることで、業界全体の透明性も高まり、
結果的にユーザーも、業界にとっても、前例のない意思決定インフラをつくりたいと考えています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

壁はたくさんありますが、特にアクセラレーター・プログラムで最初は苦労しました。

 

プレゼンテーションをする際に厳しく指摘され、人と話すのに手が震える経験をしました。自分が考えた事業に対して様々な厳しいフィードバックを受け続けました。

 

当時は、想定より踏み込んだご意見をいただくことが多く、戸惑いがあったのは事実です。

 

ただ、その経験を通じて視点が広がり、いまでは背景や意図を理解できています。いちど大きな山を越えたことで、その後の壁には落ち着いて向き合えるようになりました。

 

 

ユーザーの偽りのないレビューが業界を変える

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私が原動力としているのは、お客様の悩みを間近で見てきた経験です。大学時代のアルバイトや、美容クリニックでの広報・マーケティング業務を通じて、多くの方のリアルな苦しみや葛藤に触れてきました。

 

中でも印象に残っているのは、美容クリニックで企画した1年間の変化支援プロジェクトです。オーディションでは、参加者の方が涙ながらに「きれいになりたい理由」を語ってくださいました。

 

その後、美容医療や食事・運動などに継続的に取り組み、最終回には2万人が集まるファッションイベントでランウェイを歩く体験を一緒に実現しました。

 

この取り組みを見た方が「私もこんなふうに生まれ変わりたい」とSNSに投稿してくださり、嬉しかったのを覚えています。

 

私にとって美容は目的ではなく手段です。人が自分らしく生きるためのツールの一つとして美容があり、全員に必要とは限りませんが、必要とする方には確かな情報と機会を届けたいと考えています。美容医療を「不安な賭け」から「納得のいく人生の選択」へと変えていきます。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

今後は、ユーザーが蓄積する“自分の美容医療ログ”を軸に、ユーザー・クリニック・業界がともに価値を高め合う新しい循環をつくることが目標です。

 

さらに、美容医療領域に新規参入したいヘルスケア・コスメ企業様とのPoC(実証実験)も構想しています。

 

W/Beautyが蓄積する生活者視点のデータを活かすことで、よりユーザーに寄り添った商品開発やマーケティング支援を実現できると考えています。

 

美容医療の構造を再設計する―― その中心となるプラットフォームを目指しています。

 

 

一歩踏み出せば、できることが見えてくる

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

まずは行動してみてください。数年前の自分には、今の状況は全く想像できませんでした。アクセラレーター・プログラムへの参加も迷いましたし、辛いことも多かったです。でも一歩踏み出してみると、想像以上に、私たちにできることがあると気づきました。

 

起業すると精神的に大変なことがあります。ですが、想像以上に楽しいですし、毎日を全力で生きている実感があります。もし起業を迷っているなら、まず小さな一歩を踏み出してみてください。

 

採用情報

現在、幅広いポジションで採用を行っています。弊社の挑戦に少しでも興味がある方は、ぜひご連絡ください。

 

▼詳細はこちら
https://www.uptou.jp/#e0ec119fa3c84ed98b369c3a75379484

 

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:荒木茉衣

日本最大手の美容クリニックでの広報・マーケティングをはじめ、美容業界に15年以上従事。心理士資格を持ち、過去にはマーケティングスクール講師も経験。 全世界27都市で展開される世界最大規模のAntler Cohort ProgramのJapan Programにて366名の応募の中から採択され、UpToUを設立。日本の美容医療業界出身者として初の、ベンチャーキャピタルから資金調達を実施。

 

企業情報

法人名

UpToU株式会社

HP

https://www.uptou.jp/

設立

2024年2月5日

事業内容

  • 医療美容ダイアリーアプリ「W/Beauty」の運営
  • 美容医療の相談サポート・クリニック開業支援

 

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