株式会社YTGATE 代表取締役 高橋 祐太郎

実は今、クレジットカードの取引は約20%が、ユーザーが購入ボタンを押してから、「決済」に失敗しているという事実。この問題に真正面から取り組み、決済の承認率改善サービスを提供するのが株式会社YTGATEです。代表取締役の高橋祐太郎氏は「サービスの価値を顧客にしっかりと伝えることは簡単ではない」と語ります。それでもこの領域で勝負をかける理由について、高橋氏にお話をお聞きしました。

 

知らぬ間に起きている多額の失注を防ぐ!決済承認率改善サービス

事業の内容をお聞かせください

私たちは、決済承認率の改善に向けて、完全伴走型のコンサルティングサービスと、EC事業者向けに承認率改善プロセスの一部を自動化するSaaS「YTGuard」を提供しています。

 

現状、特にクレジットカード決済において、平均で全体の約83%しか決済が完了していないという現実があります。

 

これはユーザーの与信枠の問題だけではなく、カード会社による決済承認の引き下げや、ユーザー自身のパスワード入力ミスなど、複合的な要因が影響しています。

 

これらの決済失敗は、ユーザーが購入ボタンを押した後に発生しているため、EC加盟店としては知らない間に多額の失注になってしまっています。

 

この課題を解決して決済承認率を上げることができれば、EC加盟店の売上向上はもちろん、顧客獲得単価の低減にもつながります。また、ユーザーは決済が通らない苛立ちが解消され、クレームも減少します。

 

そして、商取引の間に立つ決済代行会社やカード会社にとっても取扱高の増加につながり、収益の向上が期待できます。このように関係者全員にとって利益が生まれるのが、私たちが取り組んでいる決済承認率改善事業の意義です。

 

承認率改善のための具体的な方法として、大きく2つの要因にアプローチしています。一つは、ユーザー要因へのアプローチで、ユーザーの打ち間違えや離脱を防ぐために、UI/UX改善や適切な誘導を行います。

 

もう一つは、カード会社側へのアプローチで、これは私たちが最も得意とする領域です。カード会社が不正利用の懸念から決済承認を厳格化している場合、私たちが各種分析データを元に直接対話し、合理的な承認率向上を促進します。

 

現在、弊社の顧客は大手EC事業者が中心で、そのほとんどがクレジットカード決済を主要な決済手段として扱っています。

 

国内では、依然としてクレジットカードがキャッシュレス決済の7~8割を占めていますが、QRコード決済などの新たな決済手段も増加しており、今後は顧客ニーズに合わせて他の決済方法にも対応していく予定です。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は以前、大手の決済代行会社で約10年間営業として働いてきました。

 

決済代行会社の営業というのは、大量の決済を処理できれば、それだけ売上が上がるというシステムになっています。私は大手EC事業者を担当しておりましたが、大手の場合は取引量が多いため、その分相対的に不正利用も多発することもしばしばあります。

 

不正利用が増えれば、それを押さえ込むため、あるいは発生した問題を処理するための運用コストが上がります。そのため一時的に取引を抑えたり、停止したりといった事態に発展することもありました。

 

これは、売上を伸ばしたいEC加盟店、決済代行会社、カード会社と、関係者すべてにとって苦しい状況です。

 

私はここに大きな課題を感じました。特に、不正対策というのは売上の直接的な増加を目指す施策ではないため、売上向上施策と比較するとリソースが集まりにくいのが現状です。

 

また、不正対策や事故処理は業務の性質上、前向きに取り組みづらいこともあり、社内や業界全体での相互連携や、新規性のある画期的な施策などが生み出されない点が課題だと感じています。

 

そこで、決済業界に大きな被害を及ぼしている不正利用に対して、私が解決を主導していく存在になりたいと考えたのが、この事業を始めた一つのきっかけです。

 

加えて私には、起業前から「日本のプレゼンスを向上させたい」という大きな目標がありました。そのためには、それだけ影響力の大きな仕事をする必要があります。

 

そう考えたとき、私のバックグラウンドである「決済」というのは、世界中のすべての商取引に存在するもので、事業としては非常にスケールしやすい領域です。

 

そこで、決済を最適化するという、他の人が試みようとしなかった事業で挑戦しようと決めました。

 

 

スタートアップとして求められるのは、志とスピード

仕事におけるこだわりを教えてください。

重視していることは、志とスピードです。

 

まず「どれだけ大きいことを成し遂げたいか」という志によって、企業の成長の可能性が決まると考えています。スタートアップである以上、私たちの会社は必ず成長し続ける必要があります。

 

私たちは「日本のプレゼンスを向上させる」という大きなパーパスを掲げており、「決済を最適化し、世界をつなぐ」というミッションの元で実現したい世界観を具体的に持っていますが、この壮大かつ具体的な目標が非常に重要な原動力になっているのです。

 

そしてスピードも志と並ぶ重要な要素です。

 

現在のビジネス環境では、AIの進化によってすべてが加速しています。このスピード感を無視して、従来のペースで進んでいては競争に遅れを取ることは明らかです。特にEC・決済・フィンテック業界では、より一層「スピード」が競争力の源泉となります。

 

その中で、スタートアップとしてスピード感を欠くことは致命的です。私たちには、スピードが何よりも必要であり、それを重視する姿勢は弊社のバリューの中でも最も重要な位置を占めています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

提供しようとしているものの価値が伝わらないことが大きな壁でした。

 

そもそも「決済承認率」という概念自体、まだ多くの人に認識されていないのが現実です。私たちは、顧客に革新的な価値を提供できると確信し、その信念を持ってサービスを提案してきましたが、顧客の多くにはその内容が十分に理解されていませんでした。

 

実際、決済が通らないことによる大きな機会損失が発生しているにもかかわらず、顧客自身がその重要性に気づいていないのです。特に事業を立ち上げた当初は、私たちと顧客側の間に認識のギャップが大きく、本当に苦戦しました。

 

顧客の反応が思わしくないと、売上計画や資金調達にも影響が出ます。私たちは金融機関からの融資を中心に資金を調達してきましたが、その判断材料となる数字は顧客の反応に大きく依存します。

 

私たちは一貫して事業に対して確信を持ち続けてきましたが、決済というニッチな領域であるがゆえに、常にこれらの困難に立ち向かわなければならないと感じています。まだまだ決済の承認率改善の意義について啓蒙していく必要があると考えています。

 

 

目標も道筋も明確になり、あとは進むだけ

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

モチベーションの核となっているのは、「日本のプレゼンスを向上させる」という志です。これは社会に出る前からずっと一貫して自分の中にある大きな目標で、そこに向かって進んでいくことが自分の原動力になっています。

 

ただ志というと抽象的な表現になりますが、実現のために事業として何をするべきかも、自分の中でははっきりと見えています。目指すべき場所と、そこに至る道筋が見えていて、あとは進むだけという今の状況が、非常に強いモチベーションを生んでいるのです。

 

そしてもう一つは、共同創業者と起業時に交わした約束です。私たちは最初に「短期間で大きな事業をつくる」と決めて事業を立ち上げ、どちらもその約束を必ず果たすという意気込みで臨んでいます。

 

そのため、規模を縮小したり、スピードを緩めたりといった妥協は一切ありません。2人のその強い決意も、進み続ける動機になっていると思います。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

私は、私たちのサービスが普及したあとの新しい世界のビジョンが明確に見えており、その実現こそが、今目指しているところです。私は必ずできると確信しています。

 

また、弊社には「決済を最適化し世界をつなぐ」というミッションがあります。つまり、この決済承認率改善のサービスを国内だけに留めず、グローバルに展開していくということです。

 

商取引の流れや決済承認率改善のメリットは、世界共通のものです。そして世界にはまだまだクレジットカードやECがこれから普及していく市場があり、この事業の可能性は大きく広がっています。

 

また、日本国内においても、決済承認率改善のサービスをグローバルに展開するビジネスチャンスが見えてきます。それというのも、日本は海外市場と比べて独特の環境を持っており、海外企業にとって、日本のカード決済はグローバルスタンダードに合致しにくいという課題があります。

 

海外の加盟店が日本のクレジットカードでの決済の最適化を望んでいても、日本の決済システムに精通していないため、適切なサポートを見つけるのは難しいのが現実です。

 

そんな中で、私たちが日本のカード決済における課題を解決できると提案できれば、日本市場の窓口としての役割を果たすことができるでしょう。

 

日本のマーケットはまだまだ大きなポテンシャルを秘めており、海外の加盟店も関心を向けています。そこを糸口として弊社がグローバルに活躍していけるのではないかと考えています。

 

 

「自分の軸は何か」という問いの答えを明確にする

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業を志すのであれば、勉強よりも先に、まず自分自身の心と向き合うことが大切だと思います。

 

起業の道はハードシングスという言葉で表現されるように、当たり前のように物事はうまくいかず、思ってもいない困難が日々生じます。そのような苦しい状況で、必ずなぜこの道を進んでいるのだろうと自分に問いただす場面が来るでしょう。

 

自分と向き合い、自分の人生の目的は何かなどの要素が明らかになって初めて、苦難を乗り越えてさらに先へと進む力が湧いてきます。

 

絶対に実現したいというものが起業の軸になっていれば、苦しい道でも歩み続けることができ、その先できっと成功が得られます。それを信じて勇気をもって一歩踏み出す人がいれば、一緒に世界により良い価値を届けていきたいです。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ: 高橋 祐太郎氏

早稲田大学国際教養学部を卒業後、2014年4月にGMOペイメントゲートウェイ株式会社へ新卒入社。最年少でグローバル営業部長に就任し、海外の大手企業向けに決済ソリューションを提供。国内EC事業者の成長と成功を支援したのち、2023年10月に株式会社YTGATEを創業。現在は、不正対策と承認率改善を軸にしたソリューションを展開している。

 

企業情報

法人名

株式会社YTGATE

HP

https://ytgate.jp/

設立

2023年10月2日

事業内容

  • 決済関連コンサルティング事業
  • 決済承認率改善支援
  • 決済最適化SaaS事業

 

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