【#568】注文率が上がるAI電話対応!顧客の成果に直結する確かなAIサービスを|代表取締役社長 磯山 博文(株式会社wevnal)

株式会社wevnal 代表取締役社長 磯山 博文
BXプラットフォーム「BOTCHAN」の開発・提供によって、顧客企業のビジネスの成長をサポートしてきた株式会社wevnal。常に最新のテクノロジーやビジネスモデルをキャッチアップして事業に取り入れてきた同社は、現在、AI電話のサービスに注力しています。今回は代表取締役社長の磯山博文氏に、詳しい事業内容や「顧客主義」へのこだわりについてお聞きしました。
AIがコールセンター業務を担う新サービス
事業の内容をお聞かせください
弊社が提供する「BOTCHAN」は、オンライン上での接客を通じて、企業やブランドのマーケティングを最適化、さらに売上成果を最大化するためのサービスです。その中でも、現在はAI電話の領域に力を入れています。
AI電話の機能を一言で言うなら、コールセンター業務の自動化です。人間に替わってAIが顧客と会話し、商品の購入、予約、予約変更、解約などを進めていきます。実際に対応するのはAIですが、顧客側としては普通の人間と電話で話すのと同じ、自然な会話での接客が受けられます。
さらにAIはマニュアルや顧客データを事前に学習しているため、より正確でクオリティの高い接客が可能です。実際に、人間のスタッフが対応するよりも、AIが対応したほうが注文率などの成果に繋がる割合が高いという結果も出ています。企業側にしてみると、コールセンターにかかるコストを削減しながら、売上などの成果は最大化されることになるのです。
現在、コールセンター業務での人手不足は深刻です。電話ではなくチャットでの対応も増えていますが、顧客の中にはチャット操作に不慣れな方や、電話での会話を望む方も依然として多いため、企業はコールセンターにコストをかけざるを得ません。
我々のAI電話であれば、コストを半減させながら注文率を向上させることが可能です。 そうして定量的な成果はAIに任せることで、企業は「顧客をファンにする」ための本質的な価値提供に集中できるようになります。
現在、AI電話はEコマースや物販の業界で多く導入していただいています。人間が対応する場合は電話受付の時間も限られてしまいますが、AIであれば24時間の対応が可能で、新規注文のチャンスを逃しません。
他にも、専門的知識が求められる金融業界などにサービスの提供は拡大しており、今後このサービスが広まることで顧客対応の常識は大きく変化していくと考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私の起業した理由には、インターネットなど新たなトレンドが次々と誕生した時代背景があります。
私は最初IT企業に就職したのですが、リーマンショックの影響で倒産してしまい、親会社のマーケティング部門に入社しました。しかし当時は不況ということもあって、どうしても自社サービスの提供や維持に手一杯にならざるを得ない状況でした。
そんな会社の現状を見て、当時の同期と自社の成長だけを見るのではなく、まずお客様の成長を手助けし、その結果として共に成長していけるパートナーでありたいというビジネスの理想をよく語り合いました。この頃から、その理想の追求のために、新たな事業を立ち上げたいと考えるようになりました。
そして、東日本大震災が起こりました。震災の混乱によってサーバーがダウンしましたが、その中で唯一Twitterだけが機能していました。当時Twitterが最適な安否確認の手段として使用される状況を見て、これからはSNSが個人と個人を直接繋ぐ、ソーシャルメディアの時代になると確信しました。そこで、まずSNS広告の代理店を立ち上げることにしました。
「wevnal」という社名は、「web」と「wave」と「signal」という3つの意味を掛け合わせて作りました。ここには、web業界で起こる様々なトレンドや変化の中で、顧客を成功に導く灯台でありたい、という理念が込められています。
新しいものが次々と登場して、顧客は何が正解か分からず不安を抱きます。そんな中でwevnalが提供するものなら、どんな新しいサービスでも大丈夫と安心を与えられる存在になることが、創業当時から変わらない我々の想いです。
その後、SNS広告代理店から、弊社は顧客が主体となるプロダクトサービス開発のSaaSビジネスモデルへとシフトしました。そして今、AIというさらに新しいテクノロジー領域が生まれて、我々も注力しています。

「お客様のためのビジネス」という企業文化
仕事におけるこだわりを教えてください。
顧客の課題解決ということに、こだわりを持っています。自分たちがやりたいサービスを押し付けるのではなく、お客様の困りごとにフィットしたサービスになっているかは、非常に重要です。
我々が目指すのは顧客を成功に導く灯台であることです。そのためには、誰の何を解決するためのサービスか、問い続ける必要があります。常に顧客目線でいること、お客様の悩みを解決するという本質がサービス設計に組み込まれているかは、会社の姿勢として強くこだわっている部分になります。
もちろん、これはプロダクト開発だけではなく、セールスでもCSでも、すべての部署に通じる軸です。だからこそ、私は社内でよく顧客主義を口にしていますし、お客様のためになるビジネスをするという企業文化を築き続けています。
何よりも、メンバー自身が主体的にお客様のために自分に何ができるかを常に考えて動いてくれていますし、現場の顧客目線のアイデアが新規事業にもつながっています。そういった意味でも非常に優れたメンバーが揃っていることが、私の誇りです。
起業から今までの最大の壁を教えてください
これまで資金調達や事業の伸び悩みは幾度もありましたが、それらは一つの課題として乗り越えられていました。けれど、人の問題だけは、心の整理がつかずに長く苦しい思いをすることがあります。
広告事業から事業会社への転換を進めていたタイミングでは、連鎖的に何人かのメンバーが辞めていくという事態も経験しました。広告事業を率いていたのは私でしたが、チームごと上場企業に事業を譲渡する決断を下しました。ビジネス的には間違いなく正しい判断だったと考えていますが、同時に「人や組織を大切にする」という自分の価値観との間で、非常に強い葛藤を感じていました。
ただ、嬉しいことに、移った先で元チームメンバーが充実した仕事をしている様子を見ることができ、その点では安心しています。ビジネスとして、会社の成長にとって必要な手段であったことは間違いなく、その決断に後悔はありません。
しかし、会社の成長と、自分が大切にしているものを折り合わせなくてはならなかったのが辛く、内心では半年ほど苦しんでいました。哲学的な問題かもしれませんが、それは経営者として一つの大きな壁だったと思います。

「新しい時代において影響力のある会社にする」という使命感
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
モチベーションという言葉は、私には当てはまらないと思います。私を動かしているのは、この会社を世間から高く評価される会社にしたいという使命感です。
フリーランスなど自由な働き方の選択肢もある中で、メンバーはこの会社で働きたいと言って集まってくれています。彼らの人生の大部分を占める仕事を、単にお金を稼ぐためだけの作業的な時間にはしたくないのです。やはり皆にワクワクしながら働いてもらいたいですし、そのためには会社がより影響力を持ち、世の中から必要とされる存在になることが必要だと思っています。
これからAIが社会のインフラとなっていく新しい時代で、我々が影響力を持った存在になっていきたいと思いますし、それが可能なメンバーが集まってくれています。だからこそ、壁にぶつかって沈んでいるなんて、そんなことは経営者として許されないという使命感が、私の一番の原動力になっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
やはり一番の目標は、AIの領域において業界を牽引するトップカンパニーになることです。
今年はAIエージェント元年と言われ、AI業界が一層注目された年でしたが、もう数年もすればAI自体が特別なものではなくなっている可能性が高いでしょう。
それはちょうどインターネットが登場したときと同じです。最初はIT業界などと言われて話題になりましたが、もはやどの産業でもインターネットは当たり前のものになっています。
その一方で、当時のIT業界で頭角を表した企業の多くが、今では日本全体を代表する大企業に成長しています。弊社もそれと同じく、このAIの業界でトップに立ち、将来的には日本を代表する企業を目指したいという考えです。
弊社は初期の段階から大手企業と連携もしていますし、まずAI領域の先行者としてのポジションは確保できていると思います。その立ち位置を生かして、我々としてはこれからの3年が勝負になるでしょう。

重要なのは行動、迷う時間はゼロにすること
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
「起業したい」と思うのであれば、とにかく手続きに行くべきです。
申請さえすれば、会社は設立できます。しかしそれよりも、自分が何を成し遂げたいのかが重要です。ただ、これは起業してから様々な困難にぶつかるうちに、自ずと内面で向き合う問題でもあります。その意味では、一日でも早く起業してその経験から日々学ぶほうがいいでしょう。
とにかく迷っている時間をなくすことが大切です。起業したいなら起業する、営業がやりたいなら営業をやる、お金を稼ぎたいなら稼ぐというように、やりたいことがあるなら、迷うより先に行動しましょう。これからのAI時代において、私は特にそうした行動力が明暗を分けると考えています。
学生の中にも起業したいという人は大勢いますが、その中で実際に起業を経験している人は一握りです。学生を面接する経営者の目線としても、起業経験がありますと言える人は、実際にその一歩を踏み出した100人に1人の逸材ということで非常に魅力を感じます。
人間は、一歩踏み出した先の体験から学び、変化していくものです。だからこそ起業したいだけではなく、まず行動を起こしてほしいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:磯山 博文 氏
2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、新規事業開発に携わる。11年4月にwevnalを創業し、LTV(顧客生涯価値)最大化を実現するサービス「BOTCHAN」を展開。集客から購入、継続、解約までのあらゆるタッチポイントにおいて、消費者のブランド体験を重視した売り上げ向上を支援。現在はAI領域に注力している。
企業情報
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法人名 |
株式会社wevnal |
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HP |
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設立 |
2011年4月 |
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事業内容 |
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